《竜神の加護を持つ年》4.盜賊と奴隷
クロの頭に乗り込んで一気に湖まで飛び降りる。
不思議なことに急降下しても、
どれだけ飛ばしても、
風圧や重力をじる事は無かった。
「すげーすげー! 周りの景があっという間に流れて行くのに風圧もじないなんて……」
「當然じゃ、コータを乗せているのに我が配慮しない訳がなかろう?」
そう偉そうに言うが、優しさだけは伝わってきた。
しばかりの遊覧飛行を終え湖の傍の木へ隠れる――。
もっともこの世界の木々はどれも200m近くはあり、全幅50mのクロでも余裕で隠れる事が出來た訳だが……。
元の世界でもアメリカに全長200m位の木が數かぞえる程だがあるとか前に読んだ図鑑に記載されていたが、この世界の木は本當にデカイ。
クロの巨大さといい、木々といい……人間もデカいんじゃ?
「人間はコータの世界と大きさは左程変わらんぞ?」
そーなんだ……さすがにホッとする。
他の人間もデカかったら俺だけ小人じゃんね。
「じゃコータよ、頭から降りてくれるか? これからサイズ変化を使うからのぉ」
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クロの頭から降りると、間もなくしてクロの全が赤く輝きオウムサイズの子竜になった。
確かの位置は……。
「あっちだ!」
クロが羽で用に羽指す。
クロを肩に乗せ指示された方角へしばらく歩くと……。
「きゃぁー」
の方角からの悲鳴が聞こえた。
俺が立ち止まって、の前に作られたキャンプファイヤーの焚き火をする様な広場を覗き込むと――。
そこには、手足と首に鎖で繋がれた犬獣人のの子?
狼っぽい耳の狼獣人のの子。
普通の人族のの子1名の3名が燃え盛る炎の前で鞭打たれていた。
「あれ何やっているんだと思う?」
そうクロに聞いてみたが……クロはジッとしたままその景を観察していて返答が無い。
仕方ないので釣られて俺も、の子達と鞭打つをただ眺める。
「ふむ、聞き耳スキルで聞こえたじでは鞭のは奴隷の娘達の躾をしているようだな」
「奴隷って……ファンタジーもののアニメでも中々お目にかかれないよ!」
俺の世界では奴隷制度はずっと昔に廃止されているはずだし……。
俺が知らないだけ?
「男達の裝備を見る限りでは、コータの世界より遙かに未開じゃ。文明が発展してなければ貧しさから奴隷落ちも珍しくはなかろう」
「おい! ジャス! 甚振りすぎて殺すなよ!」
奴隷娘達の傍で何かを飲んでいた大男からそんな怒號が聞こえてきた。
詳しく話が聞き取れるように隠れながら近づいていく――。
今度は鞭を持ったの聲が聞き取れるようになった。
「頭、賑やかにしないとピクシードラゴンが出てこないでしょ! 態々こんな山奧まで生贄の生娘を3人釣れて來て、収穫ゼロじゃ依頼相手の貴族様にペナルティー分捕られちまうよ!」
なぬ? 生贄? 生娘? ピクシードラゴン? なんだそりゃ?
「我にも詳しくはわからんが、奴隷の達が騒げばピクシードラゴンが寄ってくると思っておるようだな」
「そうなの?」
思わず聲に出してしまったが、幸い人間達には聞こえなかったようだ。
「昔からピクシードラゴンは、小さな子供なら害が無いと近寄る事はあったが、騒がしいのと生娘は関係ないぞ。そもそもピクシードラゴンは最弱のドラゴン故に滅多に人前には出てこないはずじゃ」
じゃぁあのジャスって達の勘違いか……。
「人間の世にはその様な誤った伝説が伝わっているのかもしれん」
そうなると……ピクシードラゴンが現れなかったら奴隷達はどうなるんだろ?
「人間の考えなど我にはわからんが、子供の奴隷の価値などコータのお年玉程度の価値しかなかろうな」
俺のお年玉の額とか知っているのかよ!
親類縁者が居なかったおかげで毎年両親からしかもらってなかったのに……。
「山奧まで生贄として連れて來たのはいいが、収穫ゼロなら連れて帰る様な手間はかけんだろうな」
俺はクロの言葉をきいて――。
背筋に冷たいものが流れるのをじた……。
じゃピクシードラゴンが現れなかったら殺される?
「可能は高いだろうな」
そんな……簡単に人を殺すなんて。
「人の価値など狀況と能力によっては、1食の食事にも劣る」
クロ、何行っているの? 人間を人間が簡単に殺しちゃ駄目でしょ?
「コータの世界でも、小遣いしさに人を殺している輩もおったではないか」
それは……。
確かに地球の様に科學が発達した現代でも――。
そんなつまらない事で人を殺めた事件をテレビのニュースで見た事があった。
けど、どこか自分とは関係の無い世界の話としか捉えてなかった。
再度ジャスが鞭を振るう。
「ギャァー……何でもしますからもう打たないで」
鞭を振るわれた、俺と変わらない歳の人間のがぶ。
「ピクシードラゴンが來るまでお前達は騒いで賑やかにしてりゃいいんだよ!」
が嗚咽しながらわめきだした
「やれば出來るじゃないか、あたいらは窟の影で隠れているからピクシードラゴンが來るまでそのままでいな! そこの獣人もだよ!」
そうジャスが告げて頭と呼ばれた大男と共に窟の影に隠れていった。
3人のの子は泣きながらもわーわー騒いでいる。
何とも糞の悪くなる景である。
「クロ、あの子達を助けられるかな?」
「コータが助けたいと思うならやぶさかではないが、助けた後どうする?」
どうするって言われても……。
この世界に來たばかりで、自分一人では生きる方法もわからない。
「それでも助けたいんだ!」
クロは漆黒の目を細くし、懐かしいものを見た様な視線で俺を見る。
「やはりコータは母君の息子じゃな、弱きものが傷ついていたら助けるか」
クロが愉快そうに笑いながらそういった。
「じゃ作戦を練ろう!」
達を救出する作戦がこうして始まった。
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