《竜神の加護を持つ年》5.救出作戦
「ではコータよ、打ち合わせ通りにいくぞ」
救出作戦が決まっていよいよ決行だ。
作戦は簡単。クロが小型のドラゴンに変化し3人を連れ去るだけ――。
我ながら単純だ。
他力本願な作戦だと思うが俺自には力も知識も無いから仕方がない。
一度、湖の傍まで下がりクロが小型サイズまで変化――。
俺は、そのまま待機して待つだけ。
クロひとりで3人救出して戻ってくるだけの本當に簡単な作戦。
クロの話では中型サイズの竜でも厄災クラスで國の首都すらブレス一発で吹き飛ばしてしまうらしく、これからここの窟で暮らすのに、人間が出りする場所に厄災クラスの竜が出れば全人類の敵として、勇者クラスの討伐隊が編される恐れがある。
との意見から小型のサイズになった。
小型の竜なら滅多に無いが――。
村里まで逸れた竜が100年に1度程度は現れるらしく、
山奧で遭遇したとして討伐隊が組まれる恐れはまず無いだろうって話だ。
勇者が存在するって話に驚きながらも、大型の竜はどうか聞いてみたが……。
Advertisement
クロほどの大きさの竜はクロの時代には居なかったらしい。
故に竜神と、竜族の中で崇め奉られる存在であり人里に下りる事は無く――。
遙か上空から人の世の営みを観察するのを楽しみにしていたらしい。
そんなクロが何故――。
傷を負い。
俺の世界に避難してきたのか気になったが、まずは救出が先だ。
「では行ってまいる!」
「うん、頼んだよ」
クロは一度大きく湖を迂回し――。
窟の影に隠れているジャズ達の頭上から、威嚇の咆哮を放ち。
混に乗じて、3人を救出する手筈になっている。
クロが飛び立つと木々がざわめき、地面に積もった落ち葉が舞う――。
あっという間に豆粒臺の大きさ位まで小さくなっていく。
そろそろ窟の上空辺りだろうかと思っていると――。
大音量の咆哮が鳴り響いた。
「GWAAAAAAAー!!」
遠く離れていても地面が微かに振する程の、聲の暴力に俺も腰を抜かす。
それは窟前でも変わらない。
窟の影から這いずり逃げ出すジャズ達。
腰を抜かした俺よりけるだけ肝が據わっている。
奴隷娘達も例外では無く、すでに失神している様に見えた。
クロはゆっくり窟前に降り立ち、一人を口に咥えた。
「ひえぇぇぇぇー」
ジャズ達は、奴隷娘が食われる様子を見て腰を抜かし這いずりながら窟の中に逃げ込む。
クロはその隙に片手に一人ずつを摑み大きく羽ばたいた。
大きく高度を上げ迂回しながら木々に隠れるように帰還してきた。
ゆっくりホバリングしながら、摑んだ娘達を降ろし著地と共に口に咥えた人間の奴隷娘を降ろす。
さすがに3人はまだ気を失ったままだ――。
窟の方ではようやく危険が去ったと見てジャズ達が出てきていた。
クロが最初に飛び立った方向を指差して、何か言っている様だが……。
ここからでは聞き取れない。
「どうやら上手く行ったようだな、あの者達は山の向こうに飛んでいったと導されてくれたぞ」
愉快そうにガハハと笑いながらクロが教えてくれた。
さて問題はこれからどうするかだな――。
流石にジャズ達がまだ窟に居る以上、そこを住処には出來ないし。
「軽く運したら腹が減ったぞ、飯にしようではないか」
暢気にクロが言うが……。
どこに飯があるんだよ!
まさか――奴隷娘を食べるとか言わないよな?
「馬鹿もの、人間のなど味く無いもの我でも食わぬわ!」
ホッとするも、じゃ何食べるんだろと思っていると……。
「簡単な魚の串焼きでも食そうではないか、何この湖は魚の寶庫じゃすぐに捕まえられるわい」
そう言ったクロが湖の中にっていく――。
まるで鳥の行水みたいだ……。
「何か失敬な視線をじるのだが……」
クロがじと目で睨むがスルーした。
「こんなものか……」
クロが湖から上がってくると、口から大量の魚を吐き出した。
「うぉっ……鵜飼ですか! 竜なのに鵜飼?!」
「仕方なかろうが、この手で小さな魚を摑むのは大変なのだぞ?」
なるほど……そういうものかと思いながら……。
吐き出された魚を見るとどれも長40cmはありそうな――。
俺の世界でいうヘラブナっぽい魚だった。
「何をボサっとしておる、次はコータが働く番じゃぞ。棒切れを探してきて焚き火の用意と串を作って焼くのじゃ!」
さすがに竜でも手先は用じゃないらしい――。
周りの小さな木から枝をもいで、魚の口から差し込む。
取りあえず10本!
落ち葉と乾燥した枯れ木を集めた所で、クロに次の段取りを聞く――。
ミニマムサイズに変化しまるでガスバーナーの様なブレスもどきを吐き出す。
なんか便利だな。
またクロに、じと目を向けられる前に、魚を焚き火の前に刺していく。
10分ほどすると――。
魚から零れ落ちる油が、火であぶられパチパチ音を鳴らす。
さて……そろそろ食べ頃かな?
クロの世界に転移してきて、始めての食事が始まった。
【書籍発売中】貓と週末とハーブティー
【スターツ出版様より書籍版発売中です! 書籍版はタイトル変更し、『週末カフェで貓とハーブティーを』になります。なにとぞよろしくお願い致します!】 上司に回し蹴りをきめたいお疲れ女子の早苗は、ある仕事帰りの夜に倒れた貓を拾う。屆けた先は草だらけの謎の洋館で、出てきたのはすごい貓背の気だるげなイケメン青年。 彼に「お禮がしたいので今週末、またこの家に來てください」と誘われたが――――実はその洋館は、土日だけ開くハーブティー専門の『週末カフェ』だったのです。 ツリ目強気な仕事出來る系女子と、タレ目ゆるだる貓系男子(二面性あり)が、野良貓のミントやたまに來るお客様と過ごす、のんびり週末ハーブティーライフ。 ※ハーブの豆知識がところどころ出てきます。 ※ハーブを使ったデザートの紹介や、簡単なハーブティーブレンドメモもおまけであります。 まったり日常系なので、お気軽に楽しんでもらえると幸いです。
8 75ライトノベルは現代文!
ライトノベルが現代文の教育要項に指定された20xx年。 んなぁこたぁどうでもいい。 これは、ごくごく普通?の高校生が、ごくごく普通に生活を送る物語である
8 97負け組だった男のチートなスキル
都內某所にある天才たちを集めた學校、天運學高校。そんな學校に通う學生の名を高月光助と言った。 だが彼は毎日過酷ないじめにあっており、更には世間で思われているような天才でもなかった。 この先ずっとそのような日課が続くと思っていた光助の元にある転機が訪れる。彼の通う學校の全校生徒が突然異世界に転移されることとなったのだ。 新たな世界に一時は希望を抱く光助だったが、この世界でさえもステータスと呼ばれる能力の指數で彼らの足元にも及ばない。しまいには何も知らない異世界に一人で放り出されてしまうこととなったのだ。 だがそんな彼にはある秘密があった。 高月光助は神さえも驚かせるような力を秘めていたのだ。 改訂版書いてます。
8 91現人神の導べ
この物語は、複數の世界を巻き込んだお話である。 第4番世界:勇者と魔王が存在し、人と魔が爭う世界。 第6番世界:現地人が地球と呼ぶ惑星があり、魔法がなく科學が発展した世界。 第10番世界:勇者や魔王はいない、比較的平和なファンタジー世界。 全ては4番世界の勇者召喚から始まった。 6番世界と10番世界、2つの世界から召喚された勇者達。 6番世界の學生達と……10番世界の現人神の女神様。 だが、度重なる勇者召喚の影響で、各世界を隔てる次元の壁が綻び、対消滅の危機が迫っていた。 勇者達が死なない程度に手を貸しながら、裏で頑張る女神様のお話。 ※ この作品の更新は不定期とし、でき次第上げようと思います。 現人神シリーズとして処女作品である前作とセットにしています。
8 129FreeWorldOnline~初めてのVRはレア種族で~
このお話は今年で高校一年生になり念願のフルダイブ型VRMMOをプレイ出來るようになった東雲亮太が 運良く手にいれたFreeWorldOnlineで好き勝手のんびり気ままに楽しむ日常である
8 195永遠の抱擁が始まる
発掘された數千年前の男女の遺骨は抱き合った狀態だった。 互いが互いを求めるかのような態勢の二人はどうしてそのような狀態で亡くなっていたのだろうか。 動ける片方が冷たくなった相手に寄り添ったのか、別々のところで事切れた二人を誰かが一緒になれるよう埋葬したのか、それとも二人は同時に目を閉じたのか──。 遺骨は世界各地でもう3組も見つかっている。 遺骨のニュースをテーマにしつつ、レストランではあるカップルが食事を楽しんでいる。 彼女は夢見心地で食前酒を口にする。 「すっごい素敵だよね」 しかし彼はどこか冷めた様子だ。 「彼らは、愛し合ったわけではないかも知れない」 ぽつりぽつりと語りだす彼の空想話は妙にリアルで生々しい。 遺骨が発見されて間もないのに、どうして彼はそこまで詳細に太古の男女の話ができるのか。 三組の抱き合う亡骸はそれぞれに繋がりがあった。 これは短編集のような長編ストーリーである。
8 161