《竜神の加護を持つ年》8.後処理

クロが盜賊の討伐を完了したというので、

拐されてきた娘3人と、やってまいりました窟へ――。

「あれ、盜賊の死は?」

「そんな教育に悪いものを、窟に殘して置く訳なかろうが!」

何、この教育パパさん――。

確かにグロ態勢が無い俺には、死は酷だな……。

親の亡骸は、本當に酷かった。

あぁ、考えたら気持ちがどんどん暗くなってきた。

肩の上に止まっていたクロから、翼でバシバシ叩かれた。

元気付けてくれているらしい。

それで、盜賊じゃないっぽい魔師はどこにいるの?

――と聞こうと思ったら何かを踏んづけた。

「ぎゃぁー、助けて下さい、殺さないで、食べないでぇ」

あ、暗くて分から無かったけどここにいたわ。

俺が――踏ん付けてしまったみたいだ……。

食べないでとか言っているけど、クロ食べたの?

ちょっと怖くて聞けないんだが――。

「外で処分するので、口の中にれて運んだからな!」

なるほど、食われたと勘違いしてもおかしくないね!

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「別にあなたを殺す気も、害する気もありませんよ。貴は他の人達みたいな盜賊じゃないんでしょ?」

「盜賊って……ジャズさん達はオワルスター伯爵の私設警護隊って聞いていましたよ?」

どうやら拐3人娘達の言っていた通り、盜賊では無いらしい。

聞き取り調査でもしとこうか。

「こんな山奧に、何の用があって立ちったんです?」

「それは、伯爵様が私設警護隊を使ってピクシードラゴンを捕獲するのに『急!魔法が使える魔法師募集!』って冒険者ギルドに募集が出ていて依頼をけて伯爵様からジャズさん達を紹介されて――」

「それでは、そのジャズさんって人達が盜賊で、商隊や村を襲ってこのの子を生贄として用意したのも知らなかったと?」

「ひぇぇーそんな。そんなの、知っていたら引きけませんよ!犯罪者じゃないですか!」

心眼の能力とか持っている訳じゃないから真実かは分からないけど……。

噓を付いている様にも見えないな。

――どうしよ?

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見ておれんとばかりに、今まで黙って聞いていたクロが喋り出した。

「コータよ、人間は噓をつくと溫がわずかばかり上昇する。我達竜はそういったものに敏じゃ!――そのものの溫は、恐れで下がってはおるが、発言によって上昇する事は無かった。故にその娘の言っておる事は本當だぞ」

すげーな!

これが野生の勘ってやつか?じるって事は勘じゃないのか――。

うろ覚えだけど蛇とかが、溫度に反応するとか前に見たテレビで言っていた様な気がするな……。

蛇と一緒にされたのが勘にったのか――。

羽でバシバシしばかれた。

――酷い。

「じゃあ、潔白も証明されたって事で、君の名前は?――俺はコータ、それでこの竜はクロ。こっちの3人は知っているんだよね?」

「私は、オワレスの、街の冒険者で魔法師のイアンといいます。名前までは……なんせ奴隷で生贄と聞いていたので」

が移らないように聞かなかったって事か――。

この世界の人々ってドライなのかな?

「結果としては、竜の縄張りに足を踏みれた盜賊が、竜に襲われて全滅した訳だけど、イアンさんも冒険者としての依頼で來たなら――任務失敗って事になるよね?」

「勿論です。ペナルティーは痛いですが、盜賊の一味として討伐されなかっただけでも幸運でした」

「一人だけ生き殘って帰っても問題は無いの?」

「魔法師は貴重な戦力ですから、竜に襲われた時にジャズさん達に匿われたと言えば……「無理じゃな!」」

イアンの言葉を遮ったクロから、辛辣な言葉が投げかけられる。

「そもそも、30人の集団が襲われて、ただ一人だけ奇跡的に――それも無傷で助かる事など在りわせん!自分の縄張りにった者に竜はそこまで寛大じゃ無いからじゃ。よしんば怪我を負って戻っても悪巧みのボスのその伯爵がそなたの噓を見抜けないと?」

伯爵が何らかの手を使い――。

イアンさんの噓を暴くだろうとクロは言った。

「じゃ私はどうすれば……」

「そなたは冒険者と言ったな?」

イアンは視線を足元に固定させ――。

思考に陥りながらも。

クロに『はい!』と返事を返す。

「冒険者ギルドと言うのは、そなたの國だけの組織か?それとも大手の商會の様に各國をまたにかけた組織か?」

なるほど、獨立した組織なら國に戻らなければ死亡扱いで処理されて……。

後で忘れ去られた頃に戻れば、問題は無いと言う事かな?

「はい、ギルドはそもそも魔のスタンピードや――他國との戦爭時に臨時で雇用出來る傭兵の代替で考えられた組織ですから。國をげば登録もまた別の扱いになり新規で登録になります。それが何か?」

イアンはクロが何を言いたいのか、分かって居ないらしい。

「イアンは、このまま國に、オワレスの街に戻れば伯爵に消される。そうならない為には國外に逃げるしか無いと言っておる」

「何故、私が?」

「伯爵の私設警護隊、もとい盜賊団と行を共にし――。ただ、一人だけ生き殘り噓の証言をした。となれば、自分のを知ったが為に、何も語らないと考えても不思議ではなかろう。伯爵が盜賊とグルだとばれてもその地位は安泰なほどの大なのか?」

それはいくらなんでも無いだろう――。

獨裁國家の王ならいざ知らず……。

領地を任されているだけの、雇われが……。

犯罪者とグルだとか國の信用に関わる。

ようやく自分の狀況を理解したのか……。

イアンの瞳からポタポタ涙が溢れ出る。

それでも嗚咽をもらしながら、たどたどしい言葉で話し出した。

「ぐすっ……ようやく魔法師になって、これからいっぱい稼いで片親でここまで育ててくれたお母さんに恩返しできると思っていたのに――。こんな依頼けるんじゃなかった。貴族様の私設警護隊をサポートするだけで金貨5枚もの大金がもらえるおいしい仕事のはずだったのに……」

金貨5枚が大金なのか?

小説とかでは、金貨1枚で10萬円位だったけど……。

50萬円と考えたら2、3日の仕事で――高いな!

こっちの世界の事は何も知らないからな――。

教えてくれる知識人がいると助かるな。

ついでに、魔法も教えてもらえると尚ラッキーだけど!

「イアンよ――ここからは提案なのじゃが……我はコータと二人で山奧より出てきて、世をまったくといっていいほど知らん。旅をしながら世界を見聞して歩こうと思っておった所じゃ――。それでじゃ、わしらと共に旅をせんか?我の力を持ってそなたの安全は保障しよう!母君には旅先からこっそりと手紙と仕送りでもすれば良かろう?一生戻らない訳では無いのだ。ほとぼりが冷めるまでじゃ」

クロが伯爵の城に乗り込んで――。

ブレスを吐けばすべて丸く収まる気もするんだけどね!

それだとクロが災害認定されて、勇者達から付け狙われるか……。

あ、クロに呆れとも取れる視線を投げかけられた。

しばらく思考の海に篭っていたイアンが決意した様に――。

「分りました!竜さんとコータさんと共に旅に出ます!」

吹っ切れた表でそう言って、宜しくお願いします。と握手をわす。

この世界にも握手とかあったんだ……。

「で、そっちの3人はどうするのだ?」

あ、アルテッザは商會のある街まで戻りたいって言っていたな。

獣人の二人は住んでいた村はもう無いみたいだけど……。

俺の思考を読んだクロが、まずアルテッザに言う。

「そなたが、街に戻るのを止めはせん。イアンとは立場が違うからの。生贄は盜賊達による人選だったのじゃろうから――。そなたが伯爵に狙われる事は無いだろう」

アルテッザはし考えていたが――。

決心したように俯かせていた顔を持ち上げ言った。

「私は商會の娘です、父の安否も気になりますし、街には留守を、留まって守ってくれている母もおります。ですから帰ります!」

「ふむ、よかろう。では旅のついでにトーマズだったか――。その街まで送るとしよう」

「有難う座います!」

アルテッザが深々とお辭儀をする。

「それでじゃ、獣人の二人はどうする?」

二人もアルテッザ同様、當初は顔を下げ思案していた様だが……。

最初に口にしたのは白い犬獣人のポチだった。

「わたしの村は――。村人も、村も、もう殘って無いだに。行く當てが無いなら強い力に護られていたいだに!」

先程、イアンに旅の安全はクロの力を持って保障する。

――そう言っちゃったもんね。

それにしても獣人だからか、やっぱり脳筋……。

獣人のの子達に失禮な事を考えていると、狼獣人のホロウも口を開いた。

「私も竜様とコータさんと一緒に行きます、理由はクロ様が強いからです!」

――――ぶっ。

思わず拭いてしまって、4人の娘達から白い目で見られた――。

クロは……なんか上から目線で見下していた。

だって強い力に護られたいならまだしも――。

強いからだよ?どれだけ脳筋なんだよ!と思うでしょ――。

一応、フォローしておくか……。

「あーごめん、ごめん、馬鹿にした訳じゃないんだ……ぷぷっ――」

喋っているうちに、思い出し笑いをしちゃって壺にはまった。

腹抱えて涙目になっていると――。

いきなりクロの尾で毆り付けられた。

ブン――。

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