《竜神の加護を持つ年》29.オワルスター家おわる

いやぁーまさか徹夜で走る事になるなんて思わなかったな。

  途中に縄で縛られた一行があの時のまま一列歩行で運會の買い競爭の様に歩いていたが――。気にせず追い越し、もう目の前にはオワルスター伯爵のおわす居城が見えて來ていた。

  なんか今まで見た城、もっとも見たのはトーマズの街の某ねずみのマスコットがいる浦安の方の城みたいなじのものだけだが、それよりも市壁が高く如何にも防に力をれているじの城だ。

 何を意識してこんな強固な守りの城にしたのだか……。

  門の前には、朝早くから収穫した野菜を売りに近隣の村からやってきた荷馬車が數臺並んでいた。

こんな早朝に著く馬車なんてまず普通は無い。

だって、徹夜で走ったら危ないでしょ?

 俺達くらいだよ?

こんな徹夜してまで急いできたのは!

 眠気全開なんで、ちょっとイラついています。

 他の人はいいよ?

なんか靜かになったと思ったら、みんな寢ているんだから!

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 俺もいつ寢ようかと思ったけど……。

 俺が寢ようとすると、フロストさんから冷気浴びせられるんだぜ?

まったく……信じられないよね!

  見たじ、みんな並んでいたので俺も荷馬車の後ろに並んでみると……。

 門から衛兵らしき人が走ってきて誰何された。

スイカってさ……変なじだよね?

だれなに?だよ?あーいいのか。

 「旅の一座で座います、本日催されるイベントの為にトーマズより參りました」

  そう告げると……。

そんなものは聞いておらん!

 怪しい奴扱いされ囲まれた。

 解せん。

 「馬車の中を改める!今すぐ者臺から降りよ!」

  んーどうしようかな?

どうせ、もうしで王都軍が來るんでしょ?

なら通りやすくしといて、ポイントアップ!というのもありだよね?

 「俺に構っている暇ないと思うよ?もうすぐここに王都軍が攻め込んで來るんだから」

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ちょっと脅してみた。

 「なにをふざけた噓を、我がオワレスはアルステッド國の西の砦にして、初代建國の王がかつて統治していた街。王國軍が攻め込んで來る訳がないだろうに!」

  いやぁ、本當なのだけど。

 狼年が最後に信じてもらえなかったのは自業自得だけどさ、

 俺まだ一度も、あなた方に噓ついてないよね?

――旅の一座……あ、付いていたわ!

そんな話をしていたら、ドアが開いて王子が馬車から降りて來た。

 「その者の話は本當ですよ!」

 「何を馬鹿な事を、騒罪で捕らえろ!」

えー?!

こいつら自分の國の王子しらねぇーの?

びっくりだわ。

 抜剣して、俺と王子の二人を、20人の衛兵が取り囲む。

 「コータ殿半分任せてもいいかな?」

えっ、暴れるつもりなんだ?

 任せてもいいかな?の時に噴いたのは緒ね!

 「まぁお手らかにお願いしますね」

  衛兵の剣先が俺の腕を狙ってくる。

 一応、殺すつもりは無い様だ……なら……。

 剣を振り下ろしたタイミングで懐にる。

あっけなく懐にられた衛兵は、あわてて腰から短剣を取り出そうとするがその前に俺に腕を摑まれ、背負い投げとか思いきや山嵐を仕掛ける。

  道漫畫で昔、読んだんだよね!

 一度やってみたかった大技その一。

 投げ飛ばされた衛兵は運よく?

 背中から落ちたようで、橫隔が一瞬麻痺し息が出來なくなった様だ。

あれ苦しいんだよね!

  苦しみ悶えている間に、

 腹にかかとオトシを仕掛け、ただ足蹴にしただけかも?

 気を失わせる。

この辺りはこの前の部隊との戦闘で経験済み。

 何度もやればやり慣れるよね!

  王子は剣の鞘を外さずに、毆って倒している様だ。

 俺、グロいの苦手だから丁度よかったわ。

 王子を見ている間に、3人がかりで襲ってきた。

 正々堂々やろうよ?

  取り敢えずバックステップで間合いを開き、相手のタイミングがずれた所で素早く右側の衛兵の後ろへ移、そのまま恒例の回し蹴り――。ただし今度は太に打ち込んだ!

 打ち込まれた衛兵は離れでも起こしたのか、その場にしゃがみ込む。

相手が二人になった所で、

今度も相手の間合いに素早くり込み相手の顔目掛けてジャンプ。

足蹴にしながら、バック転で著地する前に後ろの衛兵の肩を狙い踵落とし。

足蹴にされた衛兵は、鼻の骨が折れたようで鼻を押さえて蹲る。

肩に踵落としを決められた衛兵は肩が外れ手が使え無くなったようだ。

そこへ再び腹に蹴りをれて気を失わせた。

あと6人か……。

  王子も順調に倒していくが、そこへ騒を聞きつけたオワレス守備軍100人が到著!

 俺達を取り囲む。

これ殺さないで倒すのは大変なんじゃ?

そう思っていたら馬車からアルテッザ、ポチ、ホロウ、イアンが降りてきて參戦しだした。

  ふぅ、助かった。

これならなんとかなるな。

でもポチ、涎は拭いてから出てこようよ!

っちょ……イアン!おもいっきり寢癖ついているじゃん!

ロングのホロウとアルテッザは目立た無いけど……。

あなた……マニッシュショートなんだから気をつけないと!

  「コータさんおもいっきりやっていいだに?」

 「死なない程度にならやっていいよ!」

 「一生、立てなくなってもいいだに?」

 「あーそれは……勘弁してあげて!さすがに使いにならなくなったら子供出來ないでしょ!」

 「足と子供とどう関係あるだに?」

 「あ……足か……思いっきりどうぞ!」

やべー青年誌向けの、発言と間違えたわ。

 「コータさん……も男だったんでしたね」

アニメ聲でそんな事言わないで、とういか今まではなんだったの?

 「コータさん、そんなに飢えているんですか?人の儀が済んだら考えましょうか?」

ポニーテールでそんな事言われたら俺、ムラムラしちゃうかも!

ちょっと!ニヤって、

ニヤって犬歯出すの止めてくれる!

 怖いから……ホロウさん!

 「あはは!コータ殿の友人はみんなユニークだね!」

  こんな他も無いお話をしながらも、衛兵20と守備軍100を全て倒しきった俺達は、門から城までを無人の野をゆくがごとく皆で歩いていく。

 城にたどり著くと完全に門は締め切っておりまさに蟻の子一匹すられそうに無い。

  「ポチ。ホロウ、あの晩の魔法覚えてる?」

 「覚えてるだに!やったら怒られただに!」

 「はい、あの節はすみません」

 「今日は使って良いからあの門目掛けてぶっぱなせ!」

 「「はい!」だに!」

 二人は魔法の詠唱を始めた。

 「コータ殿、いったい二人に何をさせるつもりなのかな?」

 「見てればわかりますよ!」

 「「いきます!」だに!」

  息もぴったりとあった、火と水の魔法が発される。

 門にが出來たと思ったその瞬間。

 『ドボォォン』というけたたましい音と共に、木で出來た高さ5m幅3mはあろうかという門が跡形も無く消し飛んだ。

 「ヒューゥ!」

  慣れない口笛をふき、雰囲気を作り出す。

  「やっただに?」

 「おう!功だ!」

 「やりました!」

 「二人とも苦労さん、城の兵達が泡食ってるぞ」

 流石にこれだけの威力の魔法は、そうそうお目に掛かれ無いだろう。

なんせ地球でいう、水蒸気発だからね!

 「コータ殿、今のはいったい……」

おっと……泡食っているのがここにもいたわ。

 「則事項です!」

これ一度使ってみたかったんだよね。

なんだか納得いかない顔をしている王子を置いて、ぐんぐん中に進む。

さっきの魔法で恐れをなして、兵達は戦意も消失したようだ。

 「オワッタスターはどこだ?」

  腰が抜けてる兵士に俺が尋ねると……。

 奧の扉を指差しているがオドオドしているばかりで聲も出ないらしい。

 「みんなあっちだって!」

  その掛け聲とともにまた無人の野をゆくがごとく……くどいって?

 奧の扉は流石に鍵が掛かっていなかった。

 扉を抜けると上へ抜ける階段があり、

 兵に會う度に、場所を確認していく。

 恐らく最上階と思われる。

 何で分るんだって?だってもう登る階段無いもん。

フロアに付くと、外のテラスから下を伺っている――。

でっぷりと、太った男が居た。

 「オワルスター伯爵久しぶりですね」

まさか王子が一緒だとは思わず、一気に顔が悪くなるオワルスター。

 「え、えぇ、陛下のお見舞いに伺った時、以來でしょうか?」

なんとか無理して聲を出しているのが抑揚でわかる。

 「今回、僕が來た理由をご存知ですか?」

 奧歯が釣りあがったのが見えた。

チッって所か。

「さぁ一なんの事だか……私はいま、族の対応に追われていまして、とてもアレフ王子のお相手は出來かねる狀況なのですが……」

「それなら心配はいらん!こちらの手のものだからな」

「な、なんと、アレフ王子はここが初代王の築いた城と知った上で……ご心ですかな?」

 馬鹿が……抜剣しやがった。

 話だけなら、まだこの場での処刑は無かったものを……。

 王子様は、きっと切るな……確実に。

 「僕に剣を向けると言う事が、どういう事か理解していますよね?」

 「心したアレフ王子など、恐れるに足らず!」

 駄目だ……こりゃ。

俺は地の真似事をしながら、

素早くオワルスターの前に出て、一気に金蹴りをする。

終わったな、男として。

ぎゃぁぁぁーと悲鳴をあげ、倒れ転げまわっている。

ついでに五月蝿いんで、顎を軽く蹴り上げるとあっさり意識を手放した。

やっと終わったぁ。

こっちに來た初日から、こいつのおで面倒くさい事ばかりだ。

タマちゃん!

 敵は討ったよ!

 玉だけに……。

 丁度王都の王國軍も到著したようだ。

 後は、王子様とお役人さんに任せよう。

そう思ってみんなで馬車に戻ってくると馬車の前には、

イアンそっくりの顔で栗のショートの髪をベレー帽で隠した、

翡翠の瞳のが待っていた。

 「イアン……死んで無かったんだね、母さんの夢じゃないよね?」

 「母さん、直ぐに連絡出來なくてごめんなさい。伯爵にバレたら二人とも殺されるから帰れなかったの」

二人で涙ぐんで抱き合っている。

 「これで一件落著かな?」

 「そうだな!これでまたパワーレベリングが出來るではないか」

ガハハと愉快そうに笑っているクロ。

ってかさ、今回クロ何もして無いよね?

あ、最初にここまで運んでくれたか。

でも後はずっと馬車で、王様とだべっていたし。

やっぱり、クロって好きだよね?

ちくしょうこの……スケベ!

ブンって音と共に、俺の意識が刈り取られた。

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