《竜神の加護を持つ年》37.新たな謀
回復魔法でアルテッザを治療し馬車の中へ運び込む――。
足の切斷面から流れ出たは、倒れていた周囲を赤く染めていた。
一般人の総量は重1kgあたり80mlが平均らしく重が50kgなら4lが総量となる。
では致死にいたる量はというと、その半分2lも消失すれば死にいたる事になる。
アルテッザの正確な重は分からないが……。
周囲を染め上げたの量からすると、まさに危機一髪だった事がわかる。
俺の回復魔法で何とか傷を治しはしたが、當分の間は、
絶対安靜なのは致し方ない事だろう。
「それにしても、クロは朝から何処に行っていたんだ!」
クロさえ付いていてくれれば、こんな事にはらなかったのに……。
憤る気持は抑えられない。
俺が寢坊したのが悪いと、言われてもおかしくはないが――。
そもそも、このメンバー全ての保護者的存在はクロだ。
俺には、クロの加護が付いているが……他の娘達にはそれは無い。
萬一対処が遅れていたなら、アルテッザの命は失われていた。
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ここ數日で急接近した、アルテッザとの距離を考えれば尚更であろう。
「うむ、山脈のいつもの狩場に大き目の魔獣の気配をじての、調査しに行っておったのだ」
思わず、そのせいでアルテッザは……。
死ぬ所だったんだぞ!
そう言いかけ口を噤む。
クロ程の竜が――。
あんな小型の竜の接近に気づかなかったのか?と……。
考えたくは無いが、
ゲームでいう所のMPKじゃ無かったのか?
でも何で?
恐らく俺の思考とリンクしているクロにはばれるが構わず思考を廻らせる。
ふむ、流石にコータが子供でも、気づかれたか。
大きな魔獣の気配を、3つ認めて行ったのは確かなのだがのぉ。
コータ達の4日間の果を見る為に、けしかけたのは……。
ちと早まったかのぉ。
コータはいい。
だが他の4人は、この先コータの足手纏いにらねばいいが……。
これではオクトパス討伐は、コータ一人でやって貰わねばなるまいな。
二人で思考の海に陥っていると、
寢かせていたアルテッザの口から微かに聲がれた。
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「ん、コ……タ……さ……ん」
俺は、直ぐにアルテッザに駆け寄る。
見た所、調が急変したとかの心配は無さそうだ。
「アルテッザ……ごめん。俺が護るって言ったのに」
「コぉタ……さん。のせい……では……ない……です」
きっと自分が弱いからだと言いたそうな――。
アルテッザに今はゆっくりと休んで、
また元気な姿を見せてくれ。と伝えると、
アルテッザはこくりと頷いて、また瞼を閉じた。
クロの件は取り敢えず保留にして、皆に集まって貰った。
流石に、アルテッザがこんな狀態でパワーレベリングなど、
する気にはれ無かったのもあるが……。
今回の事で、次は仲間を失うかもしれないと――怖くなってしまった為だ。
ソファーを囲んで、今日のパワーレベリング中止を皆に知らせる。
皆も、今の神狀態では狩りなど出來ないだろう。
ここで無理して狩りに行って、先程味わった恐怖を思い出し――。
足が竦みでもしたら……。
今度こそ、立ち直れない傷を負ってしまう可能だってある。
今回は、奇跡的に回復魔法が功して一命を取り留めることが出來たが、
次もそうとは限らない。
俺に出來る事は、皆を守れる程――強くなる事。
それと、萬一傷を負ってしまった時に対処出來る様に、
回復魔法を確実に使える様にる事だ。
みんなに一日休みの指示を出した俺は――。
一人湖畔に行って、ナイフで自分の指を切っては回復。
切っては回復を、何度も、何度も繰り返した。
「コータさん、流石にこんを詰めすぎだに!」
「こーたさん、魔獣を相手にしているんです、こんな日もありますよ」
「コータさんあれは仕方がありません。竜を3匹も相手にあれくらいで済んだのはむしろ奇跡です」
皆が心配してめてくれている様だが、
それで、自分が納得出來るかと問われれば否と答えるだろう。
「俺は4日間パワーレベルングをして皆も強くなってきて調子に乗っていたのかもしれない。
こんな弱い魔獣ばかりで退屈だって……。
だから罰が當ったんじゃないかって……」
「何言っているんですか。何も悪い事して居ないのに當りを引く訳ないじゃないですか!」
「イアン、そうは言っても、そう思わない訳にはいられないんだよ……。
いくら自分を責めるなって言われても、俺が護るって約束した以上は……
護らないといけない」
「コータさんは神にでもったつもりだに?」
「クロから絶対防の加護を貰っているんだから。似たようなものだよ」
正直、今はめよりも責めて貰ったほうが気は楽だろう。
今後二度と、皆を同じ目に合わせない為にも……。
「そんなの、アルテッザさんも喜ばないと思いますよ?」
「だからこれは俺の問題なんだって!」
「皆で一緒に行しているのに、何でコータさんだけの問題になるんですか?本當に子供ですね」
「ああ、子供だよ。14歳の子供だって。
いつもそれを言い訳にしていたさ……。でもそれじゃ駄目なんだ。
それじゃいつまで経っても俺は子供のままだ……」
「私達に甘えろとは言わないだに!甘えられても気持悪いだけだに!」
「ポチ、確かに狼獣人の私に甘えられても、気持悪いと思いますね」
「私もコータさんより年上ですけど、甘えられるのはちょっと……」
何、この子達……。
上げて、下げるみたいな――。
シリアスな場面ぶち壊しだよ!
「もう分かったから、しばらく一人にしてくれないかな?」
3人は言うだけいって馬車に戻っていった。
夜になってもアルテッザは目を覚まさなかったが……。
今日が約束の最終日だ。
仕方ない。
アルテッザを、俺が抱きかかえてクロに乗れば王都の手前までなら何とかなるだろう。
アルテッザを一度外に連れ出し、らかい布の上に寢かせる。
俺は、馬車を収納しみんなでクロに乗って王都の手前まで運んでもらった。
馬車に乗り換え王城へ付くと、王子が笑顔で迎えてくれた。
「お帰り、待ってたよ、ん?アルテッザ君はどうしたんだい?」
今朝方の件を一応報告する。
それは災難だったね。
でも、命に別狀なくて本當に良かったねと言われたが。
その時の俺は、まだそこまで割り切れていなかった。
「オルバーン執政大臣殿!いったい何時になったらわが國へ船を出して頂けるのですかな?もう三月も足止めを食らっておるんですぞ!」
「申し訳ございません。オルドバ大臣。ですが、後二日お待ち頂ければ貴國への船を出せるようになりますので後しばらくの猶予を何卒お願いします」
「こちらから販売した船は魔獣に沈められる。船の建造も現時點でストップされているというではありませんか!今回の易の話はそちらから言い出した事、努々お忘れなき用に!」
ふん!漸く第一王子が思い腰をあげて、オクトパス退治に乗り出したか。
これで計畫通り、事が進められるわい。
第一王子さえ居なくなれば、この國ももうお終いじゃて。
王の方は最初の企てで、ずっと寢たきりになったというのに……。
あの忌々しい勇者候補の王子がいては、
こちらの兵に甚大な被害が出かねん。
苦節4年も待ち続けたが、漸く報われる時がやってきたわい。
男が大臣と話を終わらせ、滯在している大使館に戻ろうとした所で――。
達の、しい話が聞こえてきた。
「今日、古竜様方一行がお戻りになる予定でしたっけ?」
「そう聞いているわよ」
「じゃ明後日までには、古竜様達でオクトパスを退治なされるのね」
なんだって?
第一王子が退治するのでは無かったのか!
「それじゃ、古竜様達の連れになったあの可い貓獣人のの子も行ってしまうのかしら?ここ最近よくお城で見かけるんだけど、あのらしい姿に癒されるのよねぇ」
ふむ、古竜というのは気にるが次の手も考えておくか……。
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