《竜神の加護を持つ年》48.海洋國家エジンバラ

 「思ったよりも大きいんですね!」

「一応、遠洋航海を想定したガレー船だからね」

でも、ガレー船なのだ。知らない人もいるかも知れないので……。

簡単にいうと手で漕ぐだけの船?船の船に40人とか篭って、それぞれオールを持って漕ぐ。昔のバイキングの船もこれだったね。

主に軍事用なんだけど、帆船と違って風が無くても進めるが人力は遅い。

やっぱり帆船の様に自然の力を使った方が効率も、速度も早いんだよね。

まぁ近代のエンジンには葉わないが……。でも船に篭ってずっと漕ぐとか、汗臭くて匂いが酷そうだね。

出來れば航海中は甲板で生活したい。といいますか、クロで飛んで行った方がいいんじゃ?

「たわけ」

ですよねぇ。そうだと思いました。

「兄様はお前の足ではないんだぞ!」

はい、そうで座いますね。

「それで、この船に何人乗せるつもりですか?」

當然、俺が聞いたのは軍の兵士の人數だ。

「この大きさだからね100人位はいけると思うんだけど……コータ殿はどう思う?帆船の時の乗員の人數といい、詳しそうだから聞いてみたいんだけど」

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大きいけどそんなに高さも無く、平べったいこの船ではせいぜい50人かな?

大きいって言っても所詮50m程度だ。

「大きさはあの帆船の半分ですが、あの船と違って底も淺いですし、々50人がいい所だと思いますよ?漕ぎ手が兵士を兼ねているのなら100人乗れますが」

さすがに全員騎士、兵士に漕がせるのは不可能だろ!というか異世界の騎士ならやるのか?そう思って聞いたが答えは。さすがに漁師じゃないから厳しい。だそうだ。

人員の選出も終わり、俺はアレフ王子と王城に來ていた。

「用意は整った。ではコータ殿、いや既にオワレス辺境伯か!がはは、後は頼んだぞ!」

そんな王の激勵をけて俺達はカロエに旅立った。

え?娘達はって?そんなの連れて行ける訳がないでしょうよ。

すっかりアルテッザの調も元に戻り萬全ではあるが、やはり戦爭とか言っている集団には連れては行けない。

ちなみにこの1ヶ月の間に俺の婚約発表と辺境伯の爵位を授かった。

これでも一応、貴族様になった訳だが――実は無い。

今回は、兵達との親睦も兼ねて俺の馬車は使わずに、王都滯在中の迎賓館にフロストさんごと置いてきた。

クロ?クロは付いてきているが、何故かヘメラの腕の中で大人しくしている。

きっと、知らない兵士が見たらピクシードラゴンだと思うに違いない。

俺達といる時は、普通に喋っているのでそんな誤解はけないが……。

いやいや、問題は真っ赤な髪と眼のでしょうよ!

こんな見た目の人間、この世界でも珍しい筈だ。

それを聞いたら、竜人族はこれが普通なんだそうだ。

なんだ、そのご都合展開は!

「船で1週間、降りてから半日で海洋國家エジンバラの王都、エルドバーンに付く予定だからそれまではゆっくりしていようよ」

島國で海の近くに王都ね、日本ではよくある景だが――この異世界では他國の侵略に対抗する為に、普通は王都は國陸に作る。

それが海の傍って事は、それだけ戦闘には自信があるって事だ。

「それでは參りますぞ!」

ちなみに俺達の馬車の者はアレフ王子付の執事でセバスだ!

この人よく出てくるよね。重要人なのか?まさかね。

そんなこんなで、もうカロエです。

えっ?手抜きのし過ぎでしょって?だって何にもない街道の話なんてつまらないでしょ!

「いよいよ遠洋航海だけど準備はいいかい?ちなみに船長はもう知っているよね?」

「船長のドメスだ!小僧、じゃなかった今はオワレス辺境伯か!隨分出世したじゃねぇか!がはは」

高笑いを浮かべ、自己紹介をしてきたのはオクトパス討伐の時の漁師だった。

そっちも出世したみたいだね!

この船長は本當に船の扱いが上手い!

気になったんでステータスで見てみたら得意技に天才舵士、稱號に船の魔師とか出ていた。

MPがないから本當の稱號だけっぽいが。

「さぁて、いよいよ外洋だ!みんな落ちないようにしっかりつかまっていろよ!」

急にぐらっと揺れたが誰も落ちた人は居ない。

そもそもそんななのが、この船に乗り込んでいる訳がないのだ。と思ったら

「落ちるんだぞ!誰か助けるんだぞ!」

流石に噴いた。

ちょヘメラ、貴、神じゃないですか!なんですそれ。

クロは咄嗟に、俺の肩に飛び移った様で、クロを見るとなんとも言えない視線でヘメラを見ていた。

「さぁこっからが本番だ!例のオクトパスが出なければいいがな」

またまた、船長ってばそれフラグですからね!

え?今回は無い?本當かなぁ作者の悪意がじられるんだけど。

でも結局何もなかった。なんだそれ!

そうして遠洋に出て7日目にようやく広大な島?これ本當に島なの?

もうね、大陸って言われても可笑しくないんだけど……に到著した。

ただし、周りを10隻の帆船に囲まれながらだが。

ちょっと、これ仕掛けるんじゃなくて完全に仕掛けられていますよね?

これ世間一般の常識で言えば、拿捕って言うんですよ!

どうなのこれ!流石に敵対している國なら曳航とは言わないよね?

船を著岸し、錨を下ろすと船著場から強面長格が巌の様にガッチリしている男が聲を掛けてきた。

「貴殿らの訪問を心から祝福しよう!私は海洋國家エジンバラ。軍部統括大臣のエルダンと申す!」

ひやぁ、この強面こぇーよ!地球から來てすぐだったらびびってらしていたかも?

でも今の俺はそんなじゃないもんね!こっそりステータスを使ってみた。

●名前 エルダン

・種族 人族

別 男

・家族 オルダン(父)チェリーゼ(母)モルダン(弟)アンナロッテ(妻)

・職業 軍人

・LV 65

・HP 1910/1910

・MP 50/50

・得意技 剛剣 神剣

・屬 土

・稱號 鬼の剛剣 疾風の神剣 鬼教

すげー!HPたけぇと思ったらMPがゴミだった。

なんだ――。

これならうちのポチでも勝てるな!と言う事は俺の敵じゃ無いって事でもある。

これが最も強い上なら、この國もたいした事はないな。

え?それもフラグだって?

いやぁさすがにそれは、無いよね!無いでしょ!ねぇ。

そんなエルダンの先導する軍馬の後を大きな鉄製の馬車?

いやいや、これどう見ても牢屋だよね!に乗せられ連行された。

街は、見えない。

町並み?はぁこんな鉄の窓も無い馬車で何を見ろと?

なんでそんなものに簡単に引っかかったのか?

だってさ、大きな馬車は俺の馬車で慣れているでしょ?それで最初は中に窓もあったんだけど、って扉閉まったら、鍵掛けられて……あった窓もガシャン!とかいって閉まっちゃったんだもん!

俺にどうしろと?

馬車はいては止まり、いては止まり。またいては止まり。

またいては、くどいって!

そして何度目だろう?

最後に止まった場所は、何故かヒンヤリ涼しかった。

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