《竜神の加護を持つ年》51.賠償金とポントス
砲臺を破壊した俺達は、そのまま歩いて王城を目指す。
何て言うか、ここは某人気大ヒットアニメ劇場版の何とかの城みたいだな。
それも話の最後で、沈んだ城が浮かび上がって來たかの様な景が広がっていた。
何、この國……そんなに儲かっているの?
これでオートジャイロなんて飛んでいたら、まんまじゃん!
ただし水路は海水を汲み上げて流している様で、所々が固まって白くなっていたが……。
王子の話では、本來はここで塩を取る作業を行わせているらしい。
今日は俺達が暴れた為に――作業員は欠勤した様だ。
水路脇の通路を歩き、城に近づくと――オルドバ似の男が兵士50人位の真ん中に突っ立っていた。
あれ?生きていたんだ?
ほっ。初めて人殺しちゃったかと、心配しちゃったよ!
「ここから先へは通さん。そこの人質も後継者の多いこの國では役にたたん!」
え?そんな事いっていますよ?
アーグスタ三世さん?どうするのこれ!
「メルドバ止めるのだ!この者達には勝てん兵を引け!」
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「アーグスタ三世ともあろう者が、なんとも不甲斐ない!最早、この國に貴方は必要ありません!」
「何を馬鹿な!」
「たった今、この王は罷免されました。後継者はアーグスタ四世です!」
へ?そんな簡単にコロコロ変えられるものなの?
流石は家族多いだけあるね!
俺も気をつけないと……。
アーグスタ三世が、何かんでいる様だけど……もう火蓋は切って落とされた。
雑魚の兵が何人來ようと変わらないんだけどね!
さっきのおさらい。
剣を叩き斬り、また次の兵に近づき剣を斬る。
剣が斬られた兵は、最早放置している。
だって剣が急に軽くなって驚いた兵は、自分の剣を見つめて呆然としているんだもん。
もう戦闘意が無いなら放置でいいよね!
20人、30人、あっという間に倒れメルドバの、目の前まで俺は行く。
「お前の弟には、散々嫌な思いをさせられたよ。人の嫁さん候補を拐されたからな!」
「そんなものは、わしは知らん!」
「知っていても、知らなくても関係は無いさ!兄なら弟の落とし前を付けろと言っているんだ!」
地もどきで近づき、倉を摑んで一気に背負い投げした。
石畳に叩きつけられたメルドバは、口から泡を吹き出して気絶した。
さて、さくさくいこうか!
王城の前まで來ると、門は既に開け放たれており――王族が30人。
何この數!ずらりと並び両手を上げていた。
えっ。これで終わり?あっけなさ過ぎない?
案された王城の、一際贅をこらした部屋で、俺と王子、クロ、ヘメラ、セバス、護衛騎士は豪華なソファーで寛いでいた。
何で、護衛騎士まで寛いでいるのかって?
だってここには戦闘能力の無いアーグスタ三世と、メルドバしか居ないから!
今回の賠償を、どうするかの話し合いが持たれている。
そー言えば、メルドバって執政なんだって……。
知らなかったわ。
作者が登場人の一覧メモには書いてあるんだけどね……地図とかも!
冗談はさて置き……何がアルステッド國に必要で、何処まで引き出せるか?
「アルステッド國が失った船は2隻。しかも船大工や技者もそれで亡くなっている。それでだ……」
そんなじで、話し合いは3日間続き……。
「なぁアレフ王子、これどうするの?」
俺達は後ろに詰まれた金銀財寶、魔道、胡椒、更に帆船5隻を伴って帰路への航海中だ。
これまでに海洋國家エジンバラが侵した賠償として、沈んだ船の倍數と1隻。
それと特産品を、ごっそり頂いてきた。
これで海洋國家エジンバラは経済的に困窮し、他國侵略を控えるであろう。
「うーん、流石に――これ程呆気なく賠償を払って貰えるとは思ってもいなかったからね。本當にどうしよう?」
どうしよじゃないよ!
「これだけ船と財寶があったら、小さい國なら一國を丸々買えちゃうんじゃないの?」
「そうなんだよね。何か悪い気もしなくも無いじかな?」
あはは。と乾いた聲を出しながら戦利品を見渡す。
金塊10トン、銀30トン、鉄のインゴット100トン、胡椒600kg、砂糖1トン。そして帆船5隻。
眼が回りそうだな。
ちなみに財寶は、全部ばらばらの船に積み込んであるよ!
帆船の船は勿論、海洋國家エジンバラの船員が行っていて、今後はアルステッド國で長期の任務につかせる様に手配させた。
だって、こんな大型の帆船、俺達だけでかせないし。
えっ、虛空空間?
ごめん。今気が付いたよ!
流石に、るとは思え無いけどね。
だって100mの船だよ?
10mの馬車と違うんだよ?
でも……やったらったりしてね!テヘペロ。
そろそろアルステッド國近海という所で……現れましたオクトパス7匹。
「なぁクロ、これ倒したら不味いよな?」
「うむ、かなりに持たれるぞ。きっとな!」
「へぇ、クロの力で海竜様と渉出來ないの?だって元々の船はエジンバラのでも、もう所屬はアルステッドなんだし」
「どうだろうのぉ、分らんが攻撃されたらやり返せばよかろう?」
「見逃してくれればいいけどね!」
そうして、ゆっくりとオクトパスの間を船が通っていく。
最後の船が通り過ぎたと思ったら、急に俺達の乗る船の、左舷前方の海面が盛り上がった。
急いで甲板の手すりに摑まる。
現れたのは――巨大な海竜!
ネッシーじゃないよね?これ!
なんかネッシーに似ているけど……両脇のヒレとか頭の上から尾にかけてギザギザな鬣が走っていた。
「ポントス、いきなりだと危ないんだぞ!わらわが落ちる所だったんだぞ!」
流石……誰にでも変わらないその態度。
「本當じゃのぉ。相変わらず、脅かすのが趣味の悪戯好きは変わらんのぉ!」
ヘメラとクロがそう言うと――竜が喋った!
えっ、驚く事の程でもない?
ですよねぇ~。
「久しいのぉアイテール。あっちに行っていたと聞いたが、戻っていたのか。ヘメラは……悪かったな。こんな図じゃ許せ!」
やっぱり。こいつら仲が良いんじゃねぇーかよ!
「それでこの船の後ろの船だが、これはどこの船だ!」
「うむ。これは我等が海洋國家エジンバラより分捕ったじゃ!沈めるなよ?」
「うちの子らをめた國から分捕ったのか!それは愉快!愉快じゃ!」
「ここを通るがよい!今後も、この6隻は襲わんよう言い聞かす!」
「助かった。謝しよう!」
「ほぉ。アイテールともあろう者が、しおらしくなったものじゃ!わはは!」
「ではまたのぉ」
最後に挨拶して、海竜は暗い海の底へ潛って行った。
なぁ、クロ。
「なんじゃ?」
お前等、実は――仲凄く良いんじゃねぇのか?
「言っておらんかったかのぉ?」
言ってねぇよ!
散々、我が出て行ったら大事になる!それは不味い。
よってコータが行け!とか言っていたじゃねぇか!
お前、どれだけ俺に厳しくすんの?
どれだけ使えばいいんだよ!
どれだけ働かせるつもりだ!
俺はまだ14歳だぁ!
「お前、兄様に失禮なんだぞ!」
――ブン。
頭に衝撃を食らって……久しぶりに気を失った。
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