《竜神の加護を持つ年》58.ブリッシュ王國の

まさか昨日出された料理って――兎獣人の子供の

タマちゃんは、意味が分っておらず呆気に取られていたが、意味が通じた他、全員は一斉に吐いた。

そりゃ、そうでしょうよ!

獣の兎だと思ったら兎獣人だよ!

あれ、合っているのか?……兎、獣、ここまでは良い。この後に゛人 ゛が付かなければね!

「オベンリー大使、まさか昨晩のは兎獣人の、なのでしょうか?」

取り敢えず、確認はしないとね。

勘違いって事もあるしさ。

「左様で座います。兎獣人の味しいですからね!」

駄目だ。こりゃ、狂っていやがる。

もうね、こんなの我慢を出來るわけ無いよね!

流石に俺も切れた。

「俺達の仲間に、獣人が居るのを知っていて出した訳だよね、どういうつもりで出したんです、アルステッド國は獣人を、人と認めている國ですよ。それを……」

よくも、そんなを食わせたな!

と俺が怒りをにしても、オベンリーはこの國では、これが當り前だと言いはり開き直りやがった。

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しかも、當國へお迎えする外國の使節団、大臣等へあの食事を出すのは通例であるそうだ。

もう帰るか、と思った時に、先程の兎の親子が視界にったが――丁度、弓でられて倒れた所だった。の子は無事だが母親は、既に息絶えている様に見えた。

オベンリーが何か言っているが、構わずに兎獣人の親子に駆け寄り、回復魔法を使ってみる。やはり既に息絶えた者は回復魔法では生き返らない。俺が母親を抱きかかえ、泣きじゃくる兎獣人の子供を、ポチが抱きかかえて、俺達は王城の客間へと戻った。

やり切れない思いが、聲に出る。

「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!なんで。なんで、なんでこんな……」

皆、一様に沈んだ表を浮かべている。

「コータよ、死んだ人間では厳しいかも知れんが、イメージを最大限に絞ってみろ」

「何、言っているんだよ。死んだ人間が生き返る訳ねぇーだろ!ゲームでは、復活の魔法とかあったけどさ……ここはリアルなんだろ!」

兎に角、クロはやって見ろと言う。

俺は昨日、街で見た母親を思い浮かべ必死にイメージする。

死ぬな!生きろ!

生きろ!

何度も、何度も。

わずかばかりの時間だったけど、俺は、いているこの母親を知っている。

起きろ!

起きて!

娘の為にも、起きて!

自分の母親がこの人だったら、そう思いながら、何度も起きあがるイメージを作る。

甲斐あってか?

周囲にまぶしいが輝き、母親は意識を取り戻した。

流石に魔素を、ごっそり持っていかれた様で、俺の顔も悪い。

「出來たではないか!これなら……」

クロが、何か言っているが、俺が意識を保つのは限界だった。

俺が目を覚ますと、皆がホッとした顔をして、今の狀況を教えてくれた。

どうやらされていた様で、扉の前には兵士が立っていた。

何故と皆に聞いたら、國の奴隷を勝手に持ち出した罪らしい。

俺は、助けたつもりだったのだが、それを拐ならまだしも竊盜扱いとは――。

解せん。

最初に、人のを黙って食わせたのは、こいつらなのに……。

何を言っているんでしょうね。

だが、メテオラによれば、この國の法では兎獣人はである以上、何を言っても無駄なんだと!

俺は、釈然としないまでも今後を考える。

俺の勝手で、戦爭なんて事態になったら、それこそ救われない。

しかし、何でこの國は、そうまでして獣人を蔑むんだ?

ベッドには、俺が命を助けた、兎獣人の母親が寢ており、その傍には小さな子供がついている。

親を、一気に亡くした俺としては、その子の様子が暗いものでは無かった事だけでも、助けて良かったとで下ろす。

だって母親スイカップなんだよ?

助けない訳にはいかねぇじゃん!

初スイカップだよ!

大事な事なので、2度言いました。

その時、扉がノックされ大使が室してきた。

當然、護衛の兵士付きだ。

「その親兎、助かった様ですな。てっきり、もう死んだかと思ったのですが」

「何の用でしょう?」

「何の用ですと、コータ・ミヤギ殿は自分の仕出かした事を、理解されていらっしゃらない様ですね」

「私は、自分の信念に基づいて、救うべき命を救ったまで」

「それはブリッシュ王國が所有する奴隷です。貴殿がした事は、ブリッシュ王國では竊盜罪にあたります」

「それで?」

「そうですな、ブリッシュ王國の法に照らし合わせれば固刑、もしくは罰金刑といった所でしょうか?」

へー、意外と普通の罰則だな。

と思ったら固100年、罰金でも金貨1萬枚だと!

ふざけんな!

「流石に、コータ・ミヤギ殿も、固100年はお嫌でしょうから――金貨1萬枚の方をお勧めしますよ?」

辺境伯すら付けないとか、こいつら最初からそれが目當てで。でも俺が兎獣人に同しなければ、こんな問題にはならなかったのか。俺が側近に獣人を傍に置いているから、半ば確信を持って仕組んだ。そう考えるのが妥當か。しかしどうしよう……。

お支払いして頂けないようでしたら、そちらにいる獣人3人と娘さんたちの奴隷落ちと言う事になりますが……。

はぁ?

こいつの脳みそ、沸いているのか!

アルテッザとメテオラを、奴隷落ち?

いっそ、國ごと潰しちゃっていいですか――。

そう思っていたら、扉から國王がってきた。

何しに來やがった!

「いやぁ、コータ殿は中々に博主義者な様だ。だがその思いが、自らの周りを苦しめる事もあるのだぞ。今回の件を不問にする良い手があるのだがね?」

どうする。と王は言った。

今の所、確かにいい手は無かったんで、一応聞くだけ聞いてみる事にしたのだが、その話は――。

「いやぁ何、我が國に來てどう思った、活気が無い。寂れている。枯れている。そんな印象であろう。この國は、この10年あまり――ずっと獣人たちの抵抗も激しくなり、こちらの被害も最近特に大きい。それでじゃ、コータ殿に現在の、ブレビ王國の國王を殺してきてしいのだ」

はぁ?

何を言っちゃっているの、こいつ!

「今回、兎獣人を助けた俺が、そんな事をするとでも?」

「コータ殿ならするだろう。伝え聞く所によれば家族思いらしいではないか?」

家族を苦しめたくは、無かろう。

そう言って、ヘンリー國王は嫌らしく笑った。

し時間を與えよう。よく考える様にだとさ!

、何をどう考えろというんでしょうねぇ?

もうこんな國……無い方が余の為、人の為、獣人の為には、良いんじゃないだろうか?

クロがブツブツそういう事かとか言っているし――。

どうしたんだ、こいつも!

まったく。どうするのか何て、俺が教えてしいですよ!

兎獣人の親子を助ける為に、獣人の國王を殺すとか。

もうね、どっちも嫌に決っているでしょうに!

「これは、困ってしまいましたわね」

「どうしたら良いんでしょう?コータさん」

「さっさと逃げ出した方がいいだに!」

「こんな國滅ぼしてしまいましょう!」

「??」

タマちゃんは知らなくても、良い事だからね!

逃げるか。

それも手だな。

ホロウさんは相変わらず過激ですね!

俺も、それ考えちゃったけどさ。

さて、どうしよう!

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