《竜神の加護を持つ年》61.VSベッカー

王の家に招かれた俺達はというと……普通に歓待されていた。

ベッカー王は、別に狼の姫を亡き者にしようとか考えていた訳では無かった様で――。

「わしが、姫を亡き者にしてどこに利がある?逆に狼族の支援がけられずに困窮してしまうわ」

ただでさえ、ブリッシュ王國とめている最中で、狼の姫を害すれば獣人全が滅ぶのだとか。

では何故、虎の獣人が襲ってきたのかと言うと……わしが言い渡したのは暗殺では無く強さの確認じゃ!

その命を、虎が勘違いして殺そうと襲ってしまったのだろうと。

いいのそんなんで?

虎はどうやら、脳が足りない様だった。

そして肝心の姫だが、まったく他人事で我関せず狀態でした。

そもそもホロウは、俺も初めて聞いたのだが、ポチと同じ歳で14歳だったらしい。

10年前の、ブリッシュ王國との爭いで、村を追われた狼の王はい姫を連れ命からがらオルカナの村へ逃げそこで永住。門番の仕事をしながら姫をこの歳まで育てたのだとか。

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王が門番をやっているとか、いいのか?

それで……。

熊の王の住居を見ても分るが、そもそも獣人は力が全てで王とは言っても、ほぼ一代限りが多いらしい。

だが狼は、統を重んじている為に、姫と言う言われ方をするのだとか……。

じゃホロウの姫って別に偉くもなんとも無いんじゃね?と聞いたら、それは人間の考え方で、狼族の中ではそうでは無いらしい。

ちなみに気になって聞いてみたのだが、ホロウの母親はホロウを産んでまもなく産後の立ちが悪く、死んでしまったらしい。

母親そっくりの髪のと、眼なので見るものが見れば誰でも姫だと分るらしい。

それで、ここに來る前の村で、姫と言われたという訳だ。

「それでコータ殿はどうして獣人の國へ?」

「はい、実はここに來る前……」

今回、ここに來る事になった、あらましを説明すると……ブリッシュ國ならやりそうだだってさ!

過去にも、和睦を結ぶ振りをして、多くの獣人が奴隷にされたりもしたらしい。

やっぱり、あの國腐っていたのか!

なんで簡単に獣人の方を信じるのか。って?

そりゃぁね、あんなくわされたら。

おえぇ!

その話をしてみると、兎獣人には気の毒な事だ。

助けてくれた事に謝するって。

謝はいいからモフらせろ!

あ、でもごわごわしていてり心地悪そうだからいいや。

それで、これからどうするのか聞かれたが、俺達の旅には目標は無い!

よって気が向くまま行する。と言うと豪快に笑われた。

「しかし、アルステッド國まで巻き込んで獣人を浄化しようとするとは」

「國を巻き込むと言うより、俺を、だけどね!」

「コータ殿が、そんなに強そうには見えんのだが?」

そりゃね、俺ひょろひょろだし!

もやしっ子だしね!

――そんな事で流石、熊!

力試しをしようと言う事で今、村長の家の前の広場で対峙している。

ちょっと!周りにギャラリーまでしょっちゃって、負けたら笑いものになるんじゃ?と心配していると、獣人の中では1番なんで問題は無いらしい。

めっちゃ都合のいい展開だよね!

お互い無手で向かい合って、パンダ獣人の開始の合図で試合が始まる。

――まずは様子見。

2.5mの長から振り下ろされる腕は、それだけで圧巻だが大振りの為に難なくかわせた。左右の腕をぶんぶん振って、襲い掛かるが冷靜に見ていればホロウでも勝てるだろう。では何故ホロウとしないのか――ホロウに負けたら王座から落ちるからだって!

意外と、神経細い?

俺は、いつもの様にカウンターで懐に潛り込むが、首まで手がかからない。これが長差のリスクですか。投げ飛ばそうにもが短く、上半の狀態の熊では持つ所が無い。

両腕の攻撃をわしながら、どうやって投げ飛ばそうか?

考えに考えて、これにしました。

近づいてローキック、ローキック。

はい!あっけなく沈黙。

俺の圧勝です!え?そんな地味な勝ち方見たくないって?

無理言わないでよ!長差95cmもあるのに!

「お主、ちっこいのに強いのぉ!」

「まぁね。いつも、もっとデカイ魔獣とか倒しているから慣れているしね!」

そういうとベッカーは目を點にしてがはははは!と笑い出した。

あれ。今のって壺?

そんな話をしていると、何故かホロウの周りには狼獣人の群れが集まっていた。

「姫様ご無事でなによりです。この度のご帰還、婆やは嬉しく思います」

あれ?ホロウ眼がきょどってないか?

何か、なに言われているか分らず困っているっぽい。

「ホロウ、もしかして小さい時の記憶ってあんまり殘っていないのか?」

「はい、門番の父との訓練が、一番印象的だったので……」

だそうで。やっぱり脳筋か!

そりゃぁそうだよね。俺も4歳の記憶なんてあまり殘ってない。記憶に殘っているのは10歳前後からの記憶からだ。稚園の保母さんが綺麗だったとか、小學1年生で、學校から帰る途中のあぜ道でつくしを取った記憶しかない。あれ、意外と殘っているな!

俺が脳筋じゃないからか!

ホロウからしてみれば、記憶に殘ってないのに――姫ヒメひめ!言われても。自転車乗りながら歌うんですか!と言う位、訳分らないだろう。

さて、そんな事で、夜も更けてきた事で宴會も終わり。あれ、料理の話出てないよ……そんなに引き出し無いので無理です!

いざ、休もうと思っていたら遠くの山、村、が……真っ赤に燃え上がっているのが見えた。

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