《竜神の加護を持つ年》65.ブリッシュ王國の崩壊

「おい!オベンリーを呼べ!」

、何が起こっている?ここ最近で変わった事と言えば……あのコータ辺境伯をこの國にれた事だけだ。まさかあんな子供に何が出來る訳では無いと思うが、オベンリーにも確認しておかなければな。

「陛下お呼びでしょうか?」

「うむ、此度の襲撃を、お前はどう考える?あのコータ辺境伯の仕業では無いのか?」

「恐れながら申し上げます。確かに海運國家エジンバラへ乗り込み武勇をあげは致しましたが、あの見た目通りのただの年で座いました。今回の襲撃とは、まったく関係は無いと斷言出來ましょう!」

「それならば良いのだが……萬一にでも、コータ辺境伯が襲撃の原因だった時は、連れてきた主の罪は重いぞ。分っておろうな」

「それはそれは、重々承知致しております」

「うむ、下がってよい!」

「はっ!」

まずい、非常にまずい。まさか間者が齎したアルステッド國の王と王子の會話の容が真実だとは。そもそもあんな年に、この様な力普通ではありえない筈だった。

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だが、結果を見れば……やはりあれか?獣人のが原因なのか?

だが獣人のは、この國でしか食せない貴重品だ。まさかそれを出してここまで怒るとは、想像も出來んでは無いか。城壁に尖塔、街壁、被害は甚大だ。今ここで獣人に強襲されでもしたらこの國は……。そういえば先日、村を襲撃に行った部隊がまだ戻っておらんな。探りをれてみるか。

オベンリーは焦っていた。國王に今回の襲撃とコータは無関係と報告したものの、間者の報告通りならまさに、竜の尾を踏んだ事になる。せめて人質でも居ればと思ったが、連れてきた全員で逃げ出し、にする予定だった子兎すらコータらに連れ去られた。何かいい案は無いものかと頭を悩ませるオベンリーであった。

一方、コータ達は丘の上ですっかり壁が無くなって、風通しが良くなった王都と城を眺めていた。

「いやぁ。思ったより、すっきりしたじだね!」

「そーですね。これなら獣人さん達も攻め易いかと」

「こんな事をして、本當に大丈夫ですの?心配ですわ」

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「見てください!あの王城自慢の尖塔を消し飛ばしてやりました!」

「面白かっただに!」

「悪い奴等は、これでもきっと懲りないんだぞ!」

「そうじゃな、それは歴史が証明しておる」

ふむ。これでこの國を獣人が乗っ取って、差別の無い國を作らせるのが目的なんだけど……そう簡単にはいかないかな?

まだまだ夜は長い。ブリッシュ王國の悲劇はこれから始まるのである。

「おっと、ベッカー達のお出ましだ!これからまた忙しくなるぞ」

「じゃぁ、今回はタマとメテオラ、ヘメラでお留守番お願いね。さっさと片付けて帰ってくるからさ」

「いってらっしゃいにゃ!」

「コータさんお気をつけて」

「分ったぞ。ヘメラはタマと良い子にしているんだぞ!」

3人を、丘の上の馬車に殘し、俺達4人はクロに乗って王都へ向った。

王都では、壊れた街壁から次々と、ると謂うよりもすると言った言葉がぴったりと當てはまる位、多くの獣人が攻めった。

王都の警備擔當の職員も、門の守衛も、流石に警備を強化してはいたが――これには驚く。

なんせ數が100や200と利かない。それこそ1000人はいると思われる數の獣人が、武を持ってしてきたのだ。街に教會の鐘の音が煩く鳴り響く。

を持たない、一般の住人には攻撃しない様に前もって言ってあるが、どうしても逃げ遅れ、怪我をする住民は避けられない様だったが、これは仕方ない。ここの王達が獣人に対して行った殺に比べれば可いものだ。

更に、住民でも武を取るものは出てくる。これ等に対しては、殺さない限りはある程度好きにして構わないと言ってある。

流石に手を抜いて、自分達が殺されたら不味いからね。

今まで散々搾取してきた側だから、意外と一般の住民の抵抗も多い。きっとこれで負けたら、自分のが危ないとそう思っているんだろうけど……その心配は無い。一応、獣人の方も、攻めながらこれで勝っても差別はしない。とは言っている様だけれど――人間側が何処までそれを信じるかだね。そうこうしているにも、城からの応援の軍が続々と出てきていた。

さて俺達も行くか!

中型のクロに乗って王城へ。

別に、兵隊の相手をしたく無くてじゃないよ?

この方が、被害なく早く解決するからね。

さっさと王族を確保、拘束して兵達をおとなしくさせれば早く終わるでしょ!

終わらないかな?やっぱり王を取ったら勝ちじゃん!

王城のテラスから、外の戦闘の様子を観戦していたヘンリー王は、急に周囲が暗くなった事から、これでは獣人の夜目が利く。やつ等の思い通りではないか!と怒気を荒くして、まくし立てていた。だが、良く空を見ると月に雲などかかっておらず晴天の様だ。いったい何が、と不思議に思い再度上空を見上げると――そこには巨大な竜が視線をこちらに向けた狀態で浮いていた。

「ぎゃぁぁぁぁーり、りゅ、うだぁぁぁぁぁぁぁー」

急いで部屋の中に飛び込むヘンリー王。その後に続いて、テラスに飛び降りたのはコータに抱えられたアルテッザと、勢いよくジャンプしてきたポチとホロウだった。

「やぁヘンリー王、また會いしましたね!」

「なっ、なにを……」

「お主はっ、コータ殿ではないか!」

「今は忙しい。用なら後にせよ!」

「後にせよって、命令されてもね?俺あんたの部下じゃないんですよ!」

コータが、一度言ってみたかった臺詞NO、4であった。

「ともかくじゃ、今は相手をしている暇は無い!竜が、竜が出たのじゃぞ!」

「知っていますよ?それ俺の仲間ですから!」

「何をっ――言っておる?そんな馬鹿な話聞いた事も無いわ!」

「あれ?王様は知らなかったんですか……俺が竜と共にあるって?」

「そんな戯言、知らんし聞いた事も無いわ!」

「じゃぁ王様は、大使に噓付かれていたんですか?大使は俺がドラゴンと共にある事を知っていましたよ?」

最も、ピクシーと勘違いしていたが。

「なっ!そ、そんな報告はけてはおらん」

「まぁ、そんな事はどうでもいい。今日は貴方を拘束しにきました!」

はぁ?と言う顔をしているが今回の街壁、城壁、尖塔、獣人の襲撃全てに思い當たり。

「お前が諸悪の源かぁ!」

言うだけ言ってドアの方へ逃げ出した。廊下で誰か!誰か!侵者だ!捕まえろ!と怒鳴っている。

俺も、王の後を追い、立ち向かってくる兵と騎士を、蹴りや槍の石突で倒していく。

どこまで逃げるつもりなのか、最終的に、王宮に逃げ込んだ。

逃げた先には、王族が全員揃っており、その前には10人の騎士も居た。

「もう、鬼ごっこは終わりですか?」

俺がそう言うと、王族全員にポカンとされた。どうやらこっちには鬼ごっことか浸していないようだ。

――糞。

そして10人が、一気に俺達に襲い掛かったが、ポチもホロウも敏捷を生かして撹しながら石突で倒していく。アルテッザは魔法のカマイタチを発し、足を斬りつけ騎士のきを止めていき、俺も相手のきに合わせて懐にり山嵐、背負い投げであっけなく処理していった。

「なっ――こんな小僧がこれ程強いとは」

「だから最初から大臣に聞いてなかったんですか?そう聞いたじゃないですか。俺が海洋國家エジンバラで何をやってきたのか、聞いていたんじゃないんですか?その件も含めて辺境伯に就任したんですけどねー」

「そ、それでは……」

「はい、私が言った事は、全て本當です。そしてこの國は、そんな俺を怒らせた」

「あなた方を拘束します。宜しいですね?」

そう言うと、王族達が反発してきた。そんな不當な事は認められんだとかなんとか。

「貴方達、自分達が何をやってきたのか、ご存知でしょ?散々、獣人を甚振り、侵し、殺してきたんだから」

「獣人は獣だ!人間ではない!」

はぁ。もうどうでもいい。さっさと終わらせようと思ったら……王族の中から、一番若いが前に出てきた。

「私達の罪を認めます」

「アロマ何を!」

「私も、以前から思っておりました。何故、人語を話し、流が出來る獣人の皆さんと仲良く出來ないのか?と。ですから私、兎のは苦手ですといつも言っていましたでしょ?そこの皆さんと同じで、私も兎のを気持悪くて食べられませんでした。私に罪があるとしたら――そんな行為をただ見過ごしていた罪ですわ」

お父様達は、どうなさいますの?とアロマが聞いたが、他の王族は聞く耳をまったく持っていなかった。仕方が無いので力ずくで拘束した。

あ、アロマは自主的に付いてきてくれるみたいなんで拘束していないけどね。

テラスに出て、大聲で城下に言い渡す。

「王は拘束しました。これ以上の戦闘は無意味です。雙方武を下ろしなさい!」

その言葉に、兵達は大人しく従った。

さて、これで終わったかな?

くそっ。まさか王都が獣人如きに踏み込まれるとは……。

城を馬で出した大使のオベンリーは丘の近くに來ていた。丘の上を見るとそこには――見た事がある馬車が1臺と、ドラゴンライダーがいた。

こうなったら、こいつらを人質にして王都を取り戻す!

そう思って馬車に近づいたオベンリーであったが、馬車の扉に手をかけた所で意識を失った。

「まったく人間とは何処まで行っても、愚かなんだな!」

そう言って、冷酷な瞳でオベンリーを見下ろすヘメラがいた。

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