《竜神の加護を持つ年》76.コータの考査
しかし王都まで後1日か。行きと違って帰りは盜賊が一切出なかったんで、退屈な道程と化した。もうしイベントがあってもいいんだけどね!でもキツイのはいらないよ。
流石に誰かが怪我をするとかいうのは、やはり見たくもなければ合わせたくは無い訳ですよ――俺としては。
俺の中にはあのアルテッザの瀕死だった狀況が今でも目に焼きついているのだから。
さてフレイ氏はというと、エルフとガルラード帝國の狀況説明も聞き終わりお役免? となって自分達の馬車へと戻っていった。
そして俺の者臺には誰も來ない。
者席がわたしの助手席です! って言ってくれるの子は居ない訳。うちのメンバーには?
行きと同様にに布を羽織、暖をとりながらフロストさんの手綱を握りながら考えるのだが……。
このフロストさん、何気に俺の事を好きなのではないだろうか?
何故そう思うって?
だってさ、俺以外には手綱握らせないでしょ。それに他の人が握ると梃でもかない。
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そして、俺が眠くなるとこっちを振り向いて冷気で起してくれる訳よ!
何か、これが人間のだったらされているな! と思っちゃうかもしれないでしょ!
え?
考えようによっては自分だけ働かせて、のうのうと眠ってんじゃねぇ! とも取れるって?
んーそうかな?
この白磁の様なといい。艶といい。これだったらかなりっぽいキャラになるんじゃない?
あ、でもフロストさんが人間になったら馬車を引っ張る人が居なくなるのか。
そんなどうでもいい事を妄想していたらフロストさんが振り向いてニヤっと笑った気がした。
このフロストさんもクロ同様、俺の意思を読めるとかないよね? 今までを振り返るとヘメラにも読まれてそうなんだけどさ。
「フロストドラゴンの末裔じゃ、その可能も無い訳ではないぞ!」
えっ?
その可能ってどっちの可能?
化の方?
考え読めちゃう方?
「流石に化は厳しいだろうのぉ」
やっぱりそっちは無理なのか。
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フロストさんなら寒くても平気そうだから、者席でイチャラブ者生活が始まると思ったのになぁ。
――殘念だ。
でも、俺の意識を読む事は出來るのか。通りで、ブリッシュ國落城戦でブリザードを吐いて、俺らをフォローしてくれたり出來た訳だ。
でもガルラード帝國の水問題、どうやって解決したらいいんだろう。
ため池、地下水脈、山脈から引っ張る、そもそも帝國には行った事無いから距離が摑めないんだよね。多でもいった事があれば、この川から引っ張れるとか作戦も立てやすいんだけれど。
「足りない頭で、いくら考えても駄目なんだぞ!」
ちょっと。ヘメラさん、馬車の中からぶの止めてくれませんかねぇ。俺の心臓に悪いから!
そういえば魔獣って魔石あったよね?
「う、うむ、あるぞ。人間にはないがな」
クロってたまにおかしな所で言葉どもるよね?人間の魔石とか地球の神の話とか……。
「……………………」
まぁいいけどさ、その魔石を使って水を沢山作ったりは出來ないの?
ファンタジー小説のお約束なんだけど。それ!
「普通の魔石は、魔力を大量には含んで無いから。それだけの水を賄うのは不可能じゃぞ!」
はぁ、これで振り出しかぁ。ファンタジー小説のお約束が可能なら一気に問題解決すると思ったのに。
「あれ、じゃアイテール城とかの風呂はどうやって水溜めて、沸かしているんだろう? 大浴場並みの広さはあったけど」
「それ私見た事ありますよ。水は魔石に魔力を、メイドさん達が數人で通してれていましたし、沸かし方は火の玉の魔法を、浴槽へ打ち込んで暖めていましたね」
それって魔力を人が使えれば可能って事だよね?
じゃ魔石さえあれば可能なのでは?
「コータはたまに的外れな考えをするのぉ、そもそも魔力の高い人間は數じゃ。どこに國全を賄う水が確保出來るだけの魔法師がおるというんじゃ!」
いやぁ、1家に1臺みたいなじでさ?
「じゃからな、その水を出せるだけの魔力がある人間がないのだ!」
えっ、だってうちの娘さん達、全員魔力高いよ?
「それはコータが、パワーレベリングで強制的にレベルを上げているからじゃろうて」
はぁ、とか溜め息をつくの、止めてくれませんかね。
息が耳にあたるんで!
じゃ住民全員が、パワーレベリングでレベルあげれば!
「可能じゃろうな。だが、何十年かかる、魔獣を狩りつくし狩るものが無くなったら?」
あーそういう事ね。魔獣も永遠と湧きつづける訳じゃ無いと。でも俺達のレベルあげしている狩場は常に湧くよね? まるで倒した魔獣がポップするみたいに。
「あそこでも大人數が押し寄せ、同じ事をすればもう湧かなくなる可能もあるぞ」
魔石を使った作戦は不可能なのか。
後考えられるのは地下水かな? 確か東日本大震災の時に、原発の下に地下水脈が発見されて、放能、セシウムが汚染水にり込んで、それが地下水にもれ出した事から地下を凍らせて汚染を食い止めようとしたけど、結局凍らせる事が出來なかったんだっけ?
詳しくは知らんけど。だって14歳なんで!
でもそれだけ勢い良く、地下水が流れ続けるってどれだけの水が地下に埋まっている、流れているんだろうね。これだけの山脈が近くにあるんだからきっと、水脈さえ見つかればなんとかなるんじゃないだろうか――でもそれによって山脈の他の場所で水不足とかなったら本末転倒かな。
俺がを掘る魔法を會得するとか、水を大きなため池に溜められるくらい作って植林を助けるとか、何か出來るだけの事はやってみよう。
その日の夕方には馬車は王都に到著した。はもう地平線の向こうにかすかにしか見えず、あとし経てば靜寂で真っ暗な世界に早変わりするだろう。その前にやる事しないとね。
まずは宿屋の確保だ。
宿屋は俺達が王都へ來た時に使っている所が開いていたので、そこで手続きをした。
「2週間近くも馬車に乗っていると疲れますわね」
俺の方がもっと疲れているんだよ! メテオラ。
「メテオラさん、それをコータさんに言っちゃ……」
うんうん、さすがアルテッザ良く分っているね。さすが俺の嫁!
あ……メテオラもか。
「帰りは何もでなかったにゃ!」
「が鈍ってしまうだに!」
「盜賊だけでは足りませんでしたね!」
獣人3人娘は相変わらず騒だな。
そんなに戦闘がしたいのか!
誰がそんな風に育てた!
あ、すみません。俺でした。
さて真っ暗になる前に、孤児院に行ってみようか?
俺はフレイ氏と二人で孤児院へ向った。流石に薄暗いからエルフが堂々と歩いていても目立たないで歩けているようだ。
フレイ院長さんはもう王都の顔なんで珍しくは無いらしいが、やっぱりエルフって人里というか、街ではほとんど見かけないからね!
「ここですか、フレイ様がいらっしゃる孤児院と言うのは」
俺がノックをして中の鍵が開くのを待っていると、中から以前、オワルスター軍からクロが助けたの片方が顔を出した。
「どちら様でしょう?」
俺が顔を見せると、
「あっ、コータさん! こんばんは、久しぶりですね。こんな時間にどうしたんですか?」
早口でまくしたてられた。
うん。久しぶりに顔見て嬉しいんだね。
そういう事にしとこう。
だしね。
「うん、ちょっと院長先生にお客さんを連れてきたんだけれど……」
「ちょっと待っていて下さい」
『院長先生、お客さんですぅ。後、コータさんも』という大聲が聞こえてくる。なんとも微笑ましい。
「あらあら、もう夕方ですよ。し聲を小さくしましょうね!」
そんな注意と共に、フレイ院長が臺所の方から出てきた。
「あら、コータさん、2週間ぶりでしょうか?」
「ええ、ちょっとあれから、トーマズの街までのゴミ掃除をしてきまして、さっき戻った所なんです」
「それでは?」
「ええ、一応主だった輩は掃除出來たかと思います」
「有難う座います。これであの子の親も浮かばれるでしょう」
「その途中で、院長先生の知り合いという方と出會いまして、その人をお連れしたのですが……」
そういって後ろに居たフレイ氏を紹介すると、
「あらあら、珍しい。ニョルズじゃないの!」
え? ニョルズが名前? にょるず! ぶっはぁ! 俺が笑いを堪えていると面長の目線が細められた。
え? 怒っている?
だってフレイですとかいうからそっちが名前かと思ったら……ニョルズが名前だよ? 笑っちゃうじゃん!
「それでどうしたのかしら、こんな遠くまで來て」
「お婆様、実は……」
えぇぇー、こんな綺麗な人がおばあさま?
「嫌だわ!ニョルズったら、せめておねぇ様と呼びなさいって言っているでしょ!」
「えぇ。お姉様」
――ぶっはぁははは。
ブン……俺は意識を久しぶりに失った。
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