エルフの案で巨大樹の元まで來ると、その大きさが良くわかる。直徑５０ｍはあると思われる程に太く高さは天を突く程でどこまで続いているのかまったくわからない。

その元には學校の昇降口の様なり口があった。中にり、真っ直ぐに進むと１０畳ほどの部屋に案され中にるとその部屋が浮遊しだした。

エレベータ！

まさかこんな近未來的なものがあるとは……。

皆は突然部屋がき出した為に何事か！　と構えているが、日本ではおなじみの仕組みな為に皆に説明する。

「これは上の階に魔法の力で運んでくれる部屋みたいだね。問題は無い筈だから落ち著いて！」

「そうなのですか？　そう言われれば、この浮いた瞬間はクロ様に乗った時に似ていますわね」

「多分もっと上の階に、統括理事の皆さんがいるんだと思うよ」

「はい。この最上階に統括理事の皆さんがおりまして、アルフヘイムはその手前に座います。そもそもアルフヘイムは別名を天空の要塞と言われておりまして、住居は天空に座います。またスヴァルトアルフヘイムはこの木の地下に座いまして今回はお見せ出來ません」

案してくれている細で、が控えめな緑の髪のエルフさんがそう教えてくれた。

最上階に著くとそこは展臺になっており、上空には雲ひとつ無い青空が見えていた。し下を覗けば、雲が絨毯の様に広がっているのが一出來るだろう。

しかし驚かされるな。最上階に著いた時に振すら無いなんて……これなら日本のエレベータよりも乗り心地はいい。むしろ日本のそれの方がスッと止まる、あの後を引く嫌な覚があるだけ遅れているように思う。

こちらへと案され、一つの部屋にるとそこは円形の講義室の様になっており、講義する側が逆に高く聴く方の席が低い。見下ろされながら６人の統括理事が座っているのが見える。

俺達が席につくと、一番中央の席の統括理事が語り始めた。

「この度は私たちの同胞を、ガルラード帝國の兵より救って頂き、またここまで連れ帰ってくれて謝の念に堪えません。また古竜様におかれましてもお手間を取らせてしまい申し訳ありません。それで、私たち統括理事の面々にお話がおありだとか――伺いましょう」

俺はその場で立ち、今回のダムの件が可能かどうか確認してみる。

「私はアルステッド國で伯爵位を賜っておりますコータ・ミヤギと申します。この度のガルラード帝國との一件で――ご提案がございまして參りました。今回の拐は、切羽詰ったガルラード帝國の暴挙では座いますが、このままこの問題を放置すれば、近い將來周辺國にとって好ましくない未來しか見えてきません。そこでご提案なのですが、アルフヘイムの水源の下流に大きな水溜りを作り、その水をガルラード帝國へ流して頂く訳にはいかないでしょうか？」

「それは私達エルフにガルラード帝國の命綱を預けるという事になりますが、それを承知で仰っているのでしょうか？　ガルラード帝國がそれを飲むとは思えませんが」

「水が無ければガルラード帝國に先はありません。この提案をけざるを得ないでしょう」

「ガルラード帝國の今までの確執と今回の暴挙で、エルフのは著しく悪化しております。當方にそれを行うメリットがあるかと問われれば全く無いと思われますが？」

あーダムを作る事のメリットか……それを言われるとガルラード帝國側に配慮した容だから無いんだよね。

「將來のガルラード帝國や周辺國との、和平の為では駄目でしょうか？」

「仰っている意味はわかります。ガルラード帝國をこのまま放置すれば必ずや何らかの軍事行に走らざるを得ませんからね。ですが、それとエルフが協力するかは別問題です。ガルラード帝國が軍事行に出たとしても、このアルフヘイムの結界の前にすもないでしょう。後は、周辺國のあなた方が対処する問題です」

あーばっさり切られちゃったよ。

「お話は以上でしたら、本日は歓待の用意をさせておりますので、案役に従って頂き會場へ足をお運びください」

俺達は、さっきエレベータで案してくれた緑の髪のエルフさんの指示で再度エレベータに乗り下の階へと降りていった。

広い広間に席が設けてあり、すでにニョルズ達とはいってもアルフヘイム側のエルフだけだが。席について待っていた。

「統括理事の皆さんの話は如何でしたか？」

俺はあまり芳しく無い旨を伝えたが、想像していた通りだった様で……。

「やはりそうですか。私達は過去にガルラード帝國に攻め込まれても結界で完全に防いでいたので仮にガルラード帝國が今以上の暴挙に出ても十分対処出來ると思っていますからね」

あらら……。

俺本當にこの語の主人公なのかな？　実は【竜神クロの最強伝説】とか【竜神の子育て戦記】とかそんなタイトルじゃないよね！

１４歳の頭でダムまでは考えたけど、エルフのメリットってなんだよ！そんなのどっかの営業マンにでも話もっていけよ。

席に著くと助けたエルフの親族の皆さん達から謝の言葉を贈られ、豪勢な食事でもてなされた。頭の中ぐしゃぐしゃで料理の味なんて分らなかった俺だけ不幸じゃん！

歓待の席も終わり、その日は階の中層にある宿泊施設の様な場所に寢室が用意されていた。もちろん陣とは別の部屋ね。

深夜眠れなくて、同フロアにある展室から暗い空しか見えない外を見つめていると後ろから聲をかけられた。

「コータさんも眠れないんですか？」

「そういう、アルテッザも？」

「はい、この様な高い場所に宿泊した事は一度も無いですから。なんか落ち著かなくて……」

「それはそうだよね。この世界で多分一番高い場所がこの大樹だもん」

「昔の伽噺の本では見知っていましたけど、本は初めてでしたし、本當にあるとは――」

思ってもいなかったそうだ。そりゃそうだよね。普段は結界で隠されたそう昔のアニメのバベルの塔の様なものが実在したらどきどきわくわくが半端ねぇ！　筈なんだけどね。

俺の心は意気消沈。

「そうだよね。俺達がいるこの場所は伽噺の世界の中と同じだもんね」

実際に人間でここに來たのは、もう何百年以上も昔の事らしい。

「でもコータさんは、あまり驚いては居なかった様に見えましたけど？」

「うーん、どこまで話していいか？　信じられないかも知れないけど……。俺の居た場所はこの世界よりもっと科學というものが発展していて、馬車の代わりは馬が引っ張らない鉄で覆われた箱をその科學の力で走らせ、人はそれをる。その馬車が１５臺位繋がって大勢の人を運ぶ箱が走り。海には鉄の船が行きい。空には大きな鉄の船――もっとも向こうでは飛行機って言うんだけど、それが大勢の人を乗せ飛び。建はここの大樹ほど高くは無いけど、雲にかかる位の高さのものがあり。電話という遠い場所に居る人といつでも話が出來る魔道の様なを人は１人、１臺は持っている様な所だったんだ。だからかな？　この大樹の高さには驚いたけど、階段を使わなくても自で上に上がってくれる魔道の様なものは向こうにもあったから。みんな程、驚きはしなかったんだよね」

「なんか不思議な世界からきたんですね！　コータさんは。でも遠く離れていても好きな人と話せる魔道はいいですね！　寂しくなってもいつでも話せるなんて」

アルテッザがの前で両手を握りしめながら羨ましいです。と語った。

「慣れちゃうとも何も無いけどね」

「それでも夢の様な世界じゃないですか！」

こっちの世界に來たからにはもう戻れない。俺にとっても。夢だったとしか思えないな。

「それでコータさんは、何を悩んでいたんですか――私にはお見通しですよ」

最後にウインクしながらそう言うアルテッザがとても可い。

「どうしても、統括理事が提示したエルフにとってのメリットが出てこないんだよね」

「大丈夫です！　コータさんなら出來ますよ！　これまでだって私達を盜賊から救い。タマちゃんも救い。海洋國家エジンバラに乗り込んで、ギャフンと言わせて……。ブリッシュ王國を潰し差別の無い國を築いた立役者なんですから！　私。信じていますよ」

琥珀の大きな瞳で真っ直ぐこちらを見つめながら自信満々でそう語った彼がおしく、

本當に綺麗だとそう思った。