《金髪、青目の人エルフに転生!》第二十三話 大事なのは何?

私は、処刑を見に行かなかった。ジェイドに頼んで、調がまだ良くない、と言ってもらうことになっている。つまりは仮病だ。

それほどに、どうしても人の死ぬところを見たくなかったのだ。それが、どんな人でも。

やることのない私は、この街の改造を考えていた。

今、ひとつの寮は6階建て、人が住むのは2~6階、一階のの部屋數は400だから、全部で二千部屋の形になっている。一部屋は5掛ける12の六十平方メートルで、四人部屋だ。

つまり、今ここに住めるのは八千人。今のところ、まだほとんど埋まっていないが、これから住みやすくしていくことで、たくさんの人に住んでもらおうと思う。

面積から考えると、五百萬人くらいはいけるだろうか? そう考えると、まだまだないのだ。

問題は、4ヶ所のながーい廊下はいいけれど、それをつなぐ廊下が、端にしかないことだ。全然ほかの廊下に行けない。どこか改造しないといけないな。魔法で一回切ってかすことって可能だろうか?

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仕事の給料はどうしようか。お金は大変だろう。ポイント制で行こうか。働いた分ポイントが貯まり、ここではそれを使ってもらおう。みんなが働いて、それをほかの街に売れば、街のお金としては稼げるだろう。何を何ポイントにするか考えなくては。

あとは、部隊のお揃い裝のデザインも考えなくてはいけないな。ほかの村の人がここに住む時の條件や、手続きの方法なんかも……。

あれ、なんか忙しくない? 私まだ十二歳なんだけど?

どうしよう……。早く決めないとなのに……。

とりあえず、デザインはさっさと出さないと作ってもらえないし、早く決めよう。ポイントはみんなと相談しないとだし。

で、結局、今リーダーが著ている服、ということになった。リーダーの服は新しくしようか、どうしようか……。

サウルとアラーナは普通にローブ。魔法使い系はローブでいいだろう。

魔法ピンクローブもいるから、ちょっとずつデザインを変えよう。

ニコライは、タンクトップに、皮の短いズボン。皮でできたロングブーツと手袋をしている。

ナタリアは、タンクトップに、皮でできた膝より上の短いスカート。白いニーハイソックスを履いていて、皮のショートブーツと手袋。

手はこれでいいだろう。

レオンは、ちょっとした皮でできた鎧みたいなものを著ている。で、下は普通のズボンで、ブーツを履いている。

男の子はこれでいいけど、の子はどうしよう? の子に鎧は重くて大変だ。

鎧ではなく當てだけにして、下はショートパンツ。黒のニーハイソックスに、ブーツがいい。

フェリオスは、し軽めに作られた鎧に、膝當てのついたズボン。軽量化のため、ブーツは皮。

の子は、上半を出來るだけ軽くした鎧にする。下はショートパンツで、編んだ鎖のニーハイソックス。ブーツは同じで構わないだろう。

ヴェリのところは男の子しかいない。軽量化なんか関係なし。防のみに特化した鎧と盾でみんなを守ってくれる。これは、まあいいだろう。

ルアンナの服は、し顔が隠れる形のターバンに、半袖のTシャツに長いズボン。その上から黒い薄くて袖のない黒いロングジャケットを著ている。黒いベルトをしっかりと付け、防音に徹底したブーツを履いている。

うん! これぞシーフ! 男子でも問題はない格好で助かる。

さて、問題はクララなんだけど……。今までみんなの服裝について言ったこと、あまりなかったと思うから、知らなくて當然なんだけど。ビキニアーマーを著ている。しかもベアトップタイプで。ニーハイソックスを大きなボタンでバチッと留めて、両手も鉄で守ってるんだけど、守りを捨てた完全に素早さを求めた格好……。いい……のかな? ちょっときわどいんだけど……。

まあ、いいか。男の子はフェリオスの方と一緒でいいだろう。

(はぁ、思ったより、時間掛かったな)

集中力が続かない。やっぱり、処刑の事、考えちゃうからかな。

「ソフィア様。ってもよろしいですか?」

「どうぞ」

ジェイドが一禮してからってきた。

「処刑が終わりましたことを、伝えに參りました」

「あ、そう……。ありがとう。あ、そうだ。デザイン、これ。渡してきてくれない?」

「かしこまりました」

ジェイドはしい歩き方で出て行った。あいつ、扉は閉め忘れたのか、わざとなのか。しかなく立って扉を閉めに行った。

座りっぱなしの私を立たせたかったのかな。が固まっちゃってる。気付かなかった。

「処刑、か」

どうやってやったんだろう。殺した人、嫌じゃないのかな。ほんとに、どうしていいのかわからない。

じゃあ、優しさって、なんだろう。一番大切なのは、なんだろう。

あの場合、帰っても酷いことされていたなら、此処でやったほうが? そんなもんだろうか? 彼らはどう思ってたんだろう。どうするのが一番良かったんだろうか。

「みんなが悲しまない世なんて、無理なのかなぁ……」

答えは出ることなく、余計な考えばかりが浮かんできて、どんどん遠ざかっていく。

ふと、扉の外に気配をじて、私は扉を開けた。この扉は、私から見ると外に押す形になっている。

ゴツン、と音がして、何かが地面に転がった。

「あたた……。どうしてわかったの?」

ルアンナだ。盜賊シーフの能力を最大に使って、私の部屋を覗き見ていたようだ。

「ご、ごめん。許して! 今日來なかったから、何かあるのかなって、心配で……」

「いいよ。話し相手ができたと思えばいいし」

すごく怯えているルアンナにそう言うと、ほっと安堵の表を浮かべた。

「ありがと」

私は、人が死ぬ、ということが嫌いなのだと話した。

「うーん、それは、もう格の問題もあるし、何とも言えないけど、ソフィアお嬢らしいよ」

みんな、なんだかんだ言っておいて、私のことを『ソフィアお嬢様』と呼ぶのに抵抗があったよう。まあ、ジェイドと被るのもあるんだろうけど。

いつの間にか『ソフィア嬢』やら、『ソフィアお嬢』と呼んでいた。まあ、確かになんでもいいとは言った。

「でも、勇者になるなら、絶対にそれじゃ困るし、うーん……」

「考えすぎじゃない? もうちょっと気楽に行こ。まだ人生長いんだし!」

というか、なんでルアンナは敬語じゃないんだろう? 不思議だ。

いやいや、ちがう。そうだなぁ、気楽に、か。

「うん、そっか。ありがと」

ああ、そうか。本當の優しさって、こうやって、さりげなく、助けてくれることなんだろうな。

気付いてなかったけど。今、私の周りには、優しい人がたくさんいるんだろうなぁ……。

(凄く、恵まれてる)

折角だから、生かさないと。助けてくれる仲間がいるんだから。

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