《金髪、青目の人エルフに転生!》第五十二話 練習試合1

「うああ?! …………、うっ」

サウルの急流ストロングカーレントが直撃したもんだから、私は思い切り吹き飛ばされた。

しかもそのあとの落下衝撃があまりに大きすぎて、涙が出てくる。

私は回復魔法をかけるのも忘れてそのまま空を眺める。

勝てない。一週間もやってみたけれど、どれも負けた。

いつも相手はクララとレオンとサウルとニコライ、それからインディゴ。

「大丈夫……? ごめん、防魔法使ってくると思ったから」

いやいや。私はインディゴのパラメータダウンの魔法をかけられた狀態で、クララの猛攻を避けてレオンの槍を防いでニコライの矢を全て撃ち落としてたんだぞ? 無理に決まってる。

しかもまさか全員がぱっと私から離れてサウルが全力で溜めていた急流ストロングカーレント撃ってくるなんて思わないじゃないか。

「ソフィア、大丈夫? ちょっとやりすぎだった?」

うんクララ、やりすぎだ。殺す気で來るなよ。怖くて本気で行けないよ。特にあなた、クララ!

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ようやく回復魔法をかけて立ち上がった。あ、いやいや痛いよ。もう一度しゃがむ。

サウルが慌てた様子で駆け寄ってくる。

「ご、ごめん! 大丈夫? ほんとに、ごめん」

痛いです。けどまあ、毎回同じだ。いつも通り。ただ、倒され方が違うくらいか?

一日目はクララにあっさり。剣と魔法じゃ相が悪い。

二日目はクララに気をつけすぎてニコライの矢に當たった。

三日目は今までかなかったインディゴがパラメータダウンの魔法を使ってきたから、クララに。

四日目はレオンの槍が思ってた以上に屆いたわけで。

五日目はサウルの蔓ヴァインにきを止められてしまった。其処にクララが。

六日目は油斷していた。インディゴが攻撃してきたことはなかったから。気づいたら私の首には剣が突きつけられていた。あれは本當にぞくっとした。

にしても、みんな庶民の人がいないければ敬語を使わなくなった。いいんだけど。嬉しいんだけどね。

「あぁ、まだダメか。なんでかな」

「だって、ソフィアが手加減してるから。一切攻撃してこないじゃん」

「あうっ! それは……」

バレてたか。でも、攻撃すると殺しちゃいそうだし。怖いんだよね。殺人事件になりかねない……。訓練なのに、そりゃないでしょ? でも……。

「わかった。次はいきなり全員殺す!」

「わああ?! そんなこと言ってないって! 待って、待って!」

「冗談だよ。そんなことするわけないじゃん。でもなぁ。攻撃するとなぁ」

どうしようか。眠らせるか、ちょっと起きられないように足を攻撃するか、蔓ヴァイン使ってけないようにしておくか。

「ま、頑張ってね。私達はまた作戦會議だからー」

「むぅ、人數が多すぎるんだって。しかもバランスが良すぎる」

また明日。もう七回目だ。そろそろ勝ちたい。

……よし! 次は本気で行こう。

「どう、なんとかなったかい?」

ニヤリと笑うクララは、今回も自分たちが勝てると疑っていない様だ。でも。

「神級魔法練習してきた」

「え、噓でしょ?! 神級?!」

私の答えに、クララが大きな聲を出す。聞いたニコライも目を見開いている。

神級魔法はこんなじだ。

火 大噴火ラーチイラプション 猛火ローリングフレイム

水 大滝キャタラクト 死海デススィー

草 大森林フォレスト 地獄草ヘルプラント

雷 雷雨サンダーストーム 酷暑インテンスヒート

土 緑石弾エメラルドブレッド 石弾ダイヤブレッド

空 地獄雨ヘルレイン 大吹雪ブリザード

死海デススィーは大量の水が出てきて私が溺れそうになるという馬鹿な技だった。だから、まだ使えない。

ただ、酷暑インテンスヒートは雷じゃないだろ、と思うが。

まあ、そんなことはどうでもいいんだけどね。それなら、地獄雨ヘルレインは水でしょ? ってなるから。うーん、原理が違うのかもしれない。

もともと、アバドンの森から帰ってきたあたりから神級は練習してきた。で、昨日やっと全部できるようになった。

ただ、出來るだけで、制できないものもある。意味がない。

「ともかく、やってみよう?」

私は杖を構える。クララとレオンとニコライがビクッとして後ずさったが、それぞれ武を取り出した。

合図などは特にない。全員が武を構えたら、だ。私は即効行だ。いくよ!

私の武、無詠唱、無発音、一切言葉を発さない魔法。まずは地獄草ヘルプラント。

「きゃっ?! なにこれ?!」

クララが可らしい聲を上げて蔓に足首取られ釣り上げられていた。ニコライも両手を縛り上げる。ニコライはどんな狀況でも矢を放ってきそうだからな。弓を落としたことを確認。弓は別の蔓がキャッチした。

それから雷雨サンダーストーム。レオンがびっくりして槍を落とす。いや、これには私も反応が遅れた。すっごいおっきい音なんだもん。まあ、それより雨がっ。スコールかよ?!

これはちょっと危ないかも。すぐに晴らす。この雨で地獄草ヘルプラントがもっと大きくなった。ど、どうしよう、これ。

ともかく、気がついたときには全員地獄草ヘルプラントが捕まえてた。私、指示してないのに。

呆気にとられていると、蔓は彼らをそっと私の前に降ろした。

「いい子ね……。賢い……」

いや、そんな馬鹿な。嬉しそうなんだが。蔓が? 植が?

「ちょ、ソフィア……。なんで一日でこう変わるの?」

「わかんない。初めて攻撃したから?」

今まで攻撃したことなかったし。そうか、防は弱いけど、攻撃は強いってことか。先手必勝! ……、なんかちがくない?

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