《金髪、青目の人エルフに転生!》第五十四話 練習試合3
「ひゃあ?! なにこれ、急ラピットタイドじゃないわね?」
私は、さっさと抜け出していた。反応が遅れた者は、海の餌食だね。
「アイリス、ここから雷とかも撃つけど、いいね?」
(平気平気。絶対落ないようにするから)
うん、ちょっと不安だ。でもまあ、仕方ないから、いくか。
霹靂サンダーストラック。濡れてるスカーレットにはよく當たるだろう。もはや、この狀態では雷雨サンダーストームは意味がないし。
でもまあ、雷系は嫌いだ。アイリスも怖がるし。でも、それ!
(えっ、あっ、ひゃあっ?!)
「?! ちょ、アイリス!」
うえぇ?! ふ、不安だ! ちょこっと落ちたんだけど? やだなぁ……。
ところで、スカーレットは?
あ……。まずい。まさか、そうなるとは想像もしてなかったんだが。
「ごめんね? 大丈夫?」
「ひ、ひどいですぅ。怖かったですよぉ。わあぁ、ばかぁ」
いやいやいや。どうしてそうなった? この泣いてるメイドはどうするべき?
ともかく水は引かせて、スカーレットのしがみついている木を離させる。……どこから來たんだ?
「誰か、これ何とかしてー」
「スカーレット、ほら。ジェイド、お前は次を」
「えぇ。ほんとにやるの? 仕方ないですね……」
大泣きのスカーレットはインディゴが引き取った。で、最後、ジェイドとだね。
「ふふふ、ソフィア様とこうやって正面からぶつかったこと、なかったですよねぇ?」
「そうかもね……。戦いは見てるけどね」
でも、ジェイドはなんでもするから対処しきれないんだよね。魔法も、武も。
「じゃあ、行きますよ!」
ジェイドの使った技は……地獄草ヘルプラント?! そんな馬鹿な。無詠唱で、地獄草ヘルプラントって……。
まさか、私以外にもできる人がいたとは。あ、人じゃないや。
でも、これはまずいね……。なんたって、私の魔力殘量は……。
ソフィア=レルフ
力 1500/3000 魔力 1500/4500 ダメージ 10%
攻撃力 850 魔法攻撃力 3200
3000減ったってことか。緑石弾エメラルドブレッドと死海デススィーが神級、1000ずつでしょ、霹靂サンダーストラックが超上級、500でしょ、それから解くのに300、アイリス召喚で200。足りるかなぁ。
ってか、あんなに練習したのに、パラメータほとんど変わってないんだが。
さて、そんなこと考えている場合ではないな。ジェイドの剣がものすごい勢いで振り下ろされているから。
しかも、やっぱり真剣かよ。木刀じゃなかったの?!
魔力的に、もう神級はまずい。どうしようか。でも、これはマジで殺されそうなんだけど?
「ジェイド! どういうこと? こんなの!」
「偶には本気でやりたいんですよ、私だってね」
あのさぁ。私、力ないんだよ。連戦でもう疲れたんだけど。
って、ああっ?!
肩にざっくり刺さった剣を見ても、狀況が理解できない。どういうこと? これ、ちょっと……。
「うわあああ!!」
え、あぁ、なんかクラクラする。全く、ジェイドったら、いっつもやりすぎなん、だか、ら……。
「うわ! ソフィア様!!」
「…………あ、あれ?」
私には真っ白な布団がかけられていた。何があったっけ?
あぁ、そうか、ジェイドの剣が、ね。
誰が治療してくれたんだろう。ここ、病院だよね。私が作ったから知っている。地球の病院をイメージしてね。
うーん、ちょっとが渇いたなぁ。くるくる辺りを見回すと、扉を開けてってくる人が見えた。
「まぁ、起きていたのですか?」
「今起きたとこだよ……」
あ、知ってる子だ。誰だっけ。この白著てるの。
えっと、茶の三つ編み、緑の目……。ルシアンナ。桃魔法ピンクローブの子か。
「ソフィア様! よかった。ちょっとびっくりして……」
ルアンナだ。いつもの、黒ぽい服を著ている。というか、どうしているんだろう。
「お母さん、ソフィア様の調は?」
「そんなに大変じゃないわ。うーん、そうねぇ。なんというか、スパッと切れてたからね」
……お母さん? え、あ……。
「ルシアンナ、ルアンナって、あなたの娘なの?」
「え、あ、養子だけどね。この子の親、あまり裕福じゃないから。でも、名前見ればわかると思ったんだけど」
そうだね、でも、似てる名前は結構多いよ?リリアーナなんかは割と似ている人が多い。桃魔法ピンクローブのリリアンとか、先生はリリアだったね?
「あぁ、そのへんは流行ったのよ。リナルド様とジュリアーナ様が結婚なさった時、『娘の名前は絶対リリアーナにする!』って宣言したから」
……。勝手に使っていいのか? カリディ家令嬢でしょ?
「そういえば、お母さん言ってたね。確か、名前買ったんでしょ?」
「そうそう! 『リリア』までくらいは、買わなきゃいけなかったのよ。そりゃ、すごかったわね」
えー。名前買うって……。どこから買うの? カリディ家か?
まあいいか。もしかしたら『ソフィア』も売られてるかもしれないし。
「とーにーかーく! ソフィア様はもうしばらく休んでいなくてはなりません。わかりましたね!」
「は、はあ。じゃあ、ルアンナ。またあとで來てね」
ルアンナは不満そうな顔をしたけれど、「はあい」と言って出ていった。
「もう。ジェイドったら。いっつもやりすぎなんだよなぁ」
でも。どうしてか、そんなに嫌じゃない。なんでだろう……?
夢のまた夢が現実化してチート妖怪になりました。
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