《金髪、青目の人エルフに転生!》第五十六話 噓みたいな

ふぅ。久しぶりだなぁ。お出かけ。

今日、急にお休みがもらえた。理由は簡単。ジェイドが「私の負わせた傷、ちゃんと直してくれないと……」と言って稽古をやらせてくれなくなったのだ。うん、気持ちはわかる。でも、午前中、暇になってしまった。

ということで、森を散歩。ここにはたくさんの霊がいるんだ。

霊は、魔力にとても似ている。ふわふわとのように漂っている。でも、意思がある。生きているのだ。

その子達と、私は遊んでいた。

私の家系は火の家系。當然赤い霊が多い。

でも、私は土魔法が好きだ。加減がしやすいから。だから、橙霊も多い。って、似たようなばっかだな。

「じゃあ、そろそろ帰ろうかな」

私は誰にでもなく言うと、街に向かって歩きだした。

狀況が理解できない。理解しようとしていないのかもしれない。

何があった? 何が起きた? どういうこと? なんでこんなことに?

「噓、噓、噓……。どう、いう、こ、と……?」

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門を越えると、目の前は真っ赤に染まっていた。正確には、真っ赤な人が転がっていた。噓みたいな、そんな景だった。

なんとか悲鳴を押し殺し、暴れる鼓を押さえつける。呼吸をするたびにの匂いがふわりと香る。

「とにかく、何があったか聞かなきゃ……」

私はなんとか立ち上がって自分の家に向かい走り出す。

転がるように、必死に走る。こんなことなら、家を真ん中に立てなければよかった。でも、ここにしたのは私じゃないけど!

私の家の一階、司令室。私はまるでアニメのように思い切り扉を開ける。思ってたより音が小さかったが。前にでながら、中に問う。

「何があった!」

中にいたのは、思っていたようりずっとなかった。スカーレット、クララ、ナタリア、ニコライだ。フェリたちも、ジェイドたちもいない。

私の姿を確認したスカーレットは、そのまま泣き崩れた。殘念だが、それでは何があったのか、まるでわからないのだけれど。

「ほかの、ものは、どうした」

「アラーナは、隣の部屋で寢てる。魔力切れ、だよ……」

泣くのを必死にこらえたようにクララが言う。

これ、は? 何? 何? 何……?

ともかく、し落ち著こう? よし、もう一度。

「そのほかはどうしたんだ」

「うっ、わかんないんだよ。クララは右手怪我して、私とお兄ちゃんは矢が切れて、戻ってきたけど……」

ナタリアは泣きながら訴える。つまり……。

「みんな、いないって、事?」

しの沈黙のあと、し落ち著いたらしいスカーレットが言う。

「わからないんです。ここにいる人しか、どこにいるのかも、生きているのかも。でも、多分、もう……」

私は後ろに下がろうとして、椅子にぶつかり、思い切り転んだ。でも、そんなことは気にならない。わかりきっていても、いざ言葉にされると、怖くて。もう、……それこそ、どうしていいのかわからない。

「ジェイドも、インディゴも……? ルアンナも、フェリも、レオンも、ヴェリも、サウルも……」

おかしいじゃないか。私が出たときは、何もなかったはずなのに。

もう、なんで、なんで、こんなことに…………。

「あぁ、うん……。大天使アークエンジェルが攻めてきた。スカーレットが見つかっちゃったんだ。ジェイドが囮になって、スカーレットはここまで逃げてきた」

ニコライが淡々と教えてくれたが、そんなこと、もうどうでも良かったし、何も頭にっていなかった。

「うぅ……。今日に限って……。どうして、私……」

今日の行が悔やまれる。さっきまで呑気に霊と遊んでいたんだ。

でもでも。こんなことをしている場合ではない。私はをかみしめて前を向く。

かないで。絶対に。わかったね?」

「え、でも、ソフィア様は……」

「いいから! 絶対に、かないでって言ってるの!」

立ち上がった私は、後ろの方を向いて、開け放たれた扉から外に駆け出した。なにか聲が聞こえた気がしたけど、聞き取ることはできなかった。

大きな魔力の反応はひとつ。場所は私のの特訓場。リーダーのみんなは知っているけどね。

問題は、私の魔力量。莫大な量だけど、神級を覚えた私としては、まるで足りない!

見えた。艶やかな長い銀髪を宙に漂わせ、自らの羽で空に浮かんでいる。

「おや、まだ生き殘りがいたんだね。もうみんな死んだかと思ってたよ」

もう気づかれた。まだ遠いっていうのに。私はエベリナからもらった大切な杖をしっかりと握り締め、大天使アークエンジェルも前に立つ。

「隨分荒らしてくれたね? ここは私の國だよ?」

「ふうん。ソフィアか。それはちょっと手を出しにくいね。でも、仕方ないか」

眩しいが辺りに溢れる。何だ、目くらましか? ともかく、私に敵意を持っていることは間違いない。

あ、よく見れば、線か。周りのが強すぎてわかりづらいけど。

まずは一発。小さめに。火線ファイアレイ。撃ち方は、さっきの魔法と相殺させるように。

「ちっ、ダメか。仕方ないな」

の意図が読めない。まあ、ともかく、私に屆く前に相殺は出來た。

「ふふ、とりあえず、この程度ではダメなのだな。まあ、本気を出してやろうではないか」

……。やめてしい。できれば速やかに立ち去ってしい。

私の武はこの素晴らしい杖と4500の魔力だけ。勝てる、かな。ううん、無理だよ、こんな化……。

「ふっふっふっ。いざ、勝負!」

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