《金髪、青目の人エルフに転生!》第七十五話 うるさい男が來たようです

「おい、ジェイドとやら、今日の夜、空いてるか?」

「ん、ジェイドいないよ?」

「……は?」

私はそんなおかしな會話を聞きつつ下に降りてみました。

「なんですか?」

「ああ?! なんで出てきたの? もう、また厄介なことに巻き込まれるのはごめんだよ!」

ソフィア様が文句を言っているのはさて置き。わざわざ宿に來るまでして伝えたい用ってなんなんです、ドミニク?

「ほら、行きつけの居酒屋、ここで待つからな」

「え、あ、はあ……? 夜って、大雑把すぎるんですけど」

「いいから夜!」

行ってしまった。って、夜ってなんだよ。

適當すぎるが、訂正してくれるような人ではないようですね。フェリオス様に似ています。

大雑把って言えば、この地図も大雑把すぎます。クララ様に地図を書かせてもこうなるんですよね。

「いく、の?」

「え、ダメですか? 居酒屋ってことは、大したことするんじゃないでしょう?」

「ジェイド、お酒飲まないくせに」

え? 別に、飲まないって、まあ、そうですけど、飲めないわけではないですよ? まあ、好きなわけでもないですが。

……、あれ? なんででしたっけ。

「よう、きたか、ジェイド」

「私はあなたに呼び捨てで呼ばれる筋合い無いですが」

そう言うと、軽く笑って座れと命令した。命令される筋合いもありません。

私のことをしばらくじっと眺めていたドミニクですが、しばらくすると、にやっと笑って聞いてきた。

「で? どれが本命だ? 白髪の子? 茶髪の子? 金髪の子? 眼帯の子?」

「……は? ソフィア様が私の『主人』なんです。それ以外、何が?」

「ソフィア……? あぁ、あの金髪の。可いよな」

何が言いたいんでしょう。意図が見えません。今まで、こういう會話の経験はほとんどありません。

なにせ、二千年も生きてると、仕草で言いたいことは丸見えですから。

「そういえば、一回白黒のフリフリの裝で外出てたことあったな? 似合うよなぁ?」

「あなた、初日から私たちのこと見てたんですか? 全く、呆れます。よく飽きませんね」

「おい、そう言うな。ずっと機會狙ってたんだぞ」

だいぶ酔ってますかね? こいつ。私はこんな話をするつもりじゃ……。こんなつもりだったんですか。

全く、ソフィア様の言うことを聞いて來なければよかったです。

「それにしても、それ。お前こそ飽きないんだな」

「何がですか?」

「それだよ、それ。敬語」

……? 敬語……。そういえば。これが普通になっちゃいましたからね。気づきませんでした。どうりでこいつの言葉使いが野蠻に聞こえるわけです。すごくうるさい男なのかと思いましたよ。いや、うるさいんですけれど。

ドミニクはなんだかわからないが黃を飲む。あまり好きじゃないのは、馬鹿なスカーレットのせいでしたね。それ以來、飲んでなかった……。

「飲まないのか?」

「あまり好みではないもので。それより、もう帰ってもいいですか?」

「んだよ。せっかく來たんだから、もっと聞かせろよ。お前の可いご主人様」

ああ、馬鹿にしてるんですか。悪魔だからでしょうか……。勝ったのは私なのに。

「でも、あっちの、えっと……。もう一人の金髪の子? 俺はあっちの方が良いな」

「マリア様は、もっと恐ろしいですよ。ドラゴンなんか召喚しますから」

「召喚士か。そりゃ怖いな。その、ソフィアとやらは?」

主人だと言っているそばから、こういう言い方、何なんでしょう。一般の人はこんなもんなのか、こいつが特別悪いのか。

っていうか、見たんでしょう、あの戦い。まだちょっかい出す気があるなんて、死にたいんでしょうか?

「全屬神級。召喚と回復々。生活魔法も行いますね。それから、剣と盾もしなら扱えます」

「おいおい。そりゃ、お前より化がいたもんだな」

「私の主人なんです、當然でしょう。そろそろ帰っていいですか? ソフィア様が早く帰ってこい、心配だ、とうるさいです」

ドミニクはキョトンとした様子で私を見ています。私も、しまった、という気持ちでいっぱいです。

だって、ずっと聞いてるみたいですし。ソフィア様。

「さっきからずっと念話が送られてくるんですよ。話もほとんど聞き取れません」

「……。まあいいか。じゃあな。今度誰か紹介してくれ」

「ダメです。殺されますよ?」

またもやキョトンと。あの戦いんのルール、知らないんでしたね。そんな人がいるってこと自、忘れてました。

コツコツと涼しい道路を歩いていく。この時間に外にいるのは、盜賊か酒飲みでしょう?

私も、こんな時間に外にいることは、滅多にありませんし。

って、あれは……?

い、今、超見慣れた炎のような髪が見えた気が……。噓でしょう……?

ですが、隣の人も見てしまった以上、否定はできません。

「スカーレット? インディゴ?」

「え、ジェイド?! 噓、早くない?」

「お、お前らこそ、何やってんだよ」

まさかの二人と會ってしまいました。

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