《金髪、青目の人エルフに転生!》第七十六話 スカーレットの過去とブランシュ

倒れそうになった。まさか、やっと帰ってきてくれたジェイドがスカーレットとインディゴ連れてるなんて思いもしないじゃないか。

「噓っ?! どういうこと?」

「えっと……。遊んでたんだよ。ワープで」

「違う! インディゴがワープの練習しようって言ったんじゃん」

は? 何言ってんだか。もうちょっとまとめてくれ。何が言いたいのかわからないじゃないか。

「悪魔は、一度天界に飛んで、人間界に戻るという段取りをとることで、長距離移ができるんだ」

「で、私、まだやったことがなかったから、練習してたの」

「まさか、こんなに進んでると思わなかったから、會わないようにしたつもりだったんだが」

あ、そう。まあ、だいたいでいいならわかった。

それで會っちゃったんだ。まあ、話したいことあったし、いいけど。

今は九時、か。まだ平気だね。あまり遅くまで起きてるのも良くないけど、そんなに遅くないから良いよね。

「ちょっと來て。ブランシュちゃんのことで、話がある」

「知り合いが、居場所を知ってるって、住所をくれたの。それ、このすぐそばの村っぽいんだ」

「え?! ブランシュの?!」

「うん。會ってもいい?」

「もちろんだ! 俺も、會えるだろうか……」

あらら。インディゴが珍しく興してる。一応夜だからね? 靜かに。

「で。もうちょっと三人のことについて知りたいんだけど?」

「それなら、私が……」

「ダメ!! それに大きく関係してるのは、私だから。それに、ブランシュちゃんが出て行った原因も!」

インディゴが目を大きく見開いてんだ。

「おい! どういうことだ!」

「ごめんなさい、ごめんなさい! 私、そんなつもりなんかなかったの! でも、でも……」

スカーレットは涙を溢し、私に向かって話しだした。

悪魔って、死なないって言うけど、壽命がないだけで、戦死はあるの。

その場合、意思もなにも引き継げないけど、生まれ変われる。

うーん……。たいていは、小學一年生くらい、になるの。

まあ、ほとんど天使に見つかって死んじゃうのよね。

私が目を覚ました時、街の中だったの。ちょうど、そこに転生したってこと。

そこに通りかかったのが、500歳くらいの、若いジェイドとインディゴ。

私を見るなり、すぐに家に連れて行ってくれた。そのままでは死んでしまうの、わかってたんでしょうね。

二人は、私の真っ赤な髪を褒めて、いつも丁寧に手れしてくれた。

それだけじゃない、んだもの、何もかも手にった。

生まれたばかりの悪魔はほかの悪魔が面倒を見る。本當は、普通のことなの。

でも、私、知らなかったから、迷だろうって思ってた。だから、しいものとかあっても、何も言わなかった。

でも、所詮子供だったから、仕草とか、ちょっとした言葉で分かったんでしょうね。

ともかく、私、二人のこと、お父さんみたいに思ってた。放浪癖のあるジェイドと違って、インディゴはいつでも私のそばにいてくれた……。

だから、正直、アンカさんは邪魔だった。

二人が出會った時は、私、もう、1000歳だったけど、二人しか、私にはいなかったから。本當に、奪われた気がした。

でも、その変わり、ジェイドはほとんど家にいるか、私を狩りに連れて行ってくれた。だから、あまり問題はなかった。

なのに。なのに、その上、ブランシュちゃんが……。ジェイドも、手伝いに行っちゃうことが多かった。

私、一人になっちゃった。そんな気がして、二人のこと、憎らしかった。

そんなふうに思ってたのに、アンカさんは私のことを娘みたいにしてくれた。

だって、私もインディゴの娘みたいなものだったんだもの。今思えば、だけど。

ブランシュちゃんとも、うまくやれた。人間と悪魔のハーフって、人間よりずっと早く長するから。私、妹ができたみたいで……。

アンカさんが死んだ時、お母さんが死んだみたいな気がした。

でも、私にとっては、本當のお母さんじゃないから、そんなこと言ってる場合じゃない、ブランシュちゃんの方が悲しいに決まってるって……。

もっと、ブランシュちゃんの近くにいるようにした。

みんなが何とか立ち直って。インディゴが珍しくブランシュちゃんと遊びにいくって言った。

ジェイドはまたいなかった。暇だし、こっそりあとをつけてたの。

私、本當に、びっくりしたの。それに、怖かった。

私、まだ、天使見たこと、なかったから。インディゴとブランシュちゃんが天使に襲われてるなんて、どうしたらいいか分からなかった。

助けよう、なんて、思えなかった。見つからない様にしようって、そんな事ばっか考えちゃった。

どこからかやってきたジェイドも參戦したけど。明らかに苦戦してて。

見てたのに。呼ばれてるの、わかってたのに……。るの、躊躇っちゃったんだ。

助けにれたのは、気づかれてなかったから。

それに、ブランシュちゃん、泣きそうだったから。

あと。インディゴの目の傷見たら、何もかも吹っ飛んじゃったみたいで。

かっこわるい。もっと早く助けにれば、誰も怪我をしなかったのに。

それでも、ブランシュちゃんにとっては救世主に見えたみたいで。

私、今のままじゃ誰も守れない。お父さんのそばには、スカーレットさんがいてって。

どう言う事、って訊いたら。強くなりたいから、三人の元は離れる。強くなったら、戻ってくる。そう言って、荷を纏めて。

止められなかったの、私じゃ。何もかも足りなかった……。

ジェイドとインディゴは呆気にとられたようにスカーレットを見ていた。

こんなことを考えていたって、知らなかったんだろう。

「スカーレット、天使、見たことなかったのか? わ、悪い。知らなくて……」

「見たことあるのは、ブランシュちゃんでしょ……」

「! そう、か。呼んで、悪かった。それは、怖い、よな」

「怖かったんだよ! 私。ブランシュちゃんのこと考える余裕なかった! 出てっちゃって、初めて気がついて、どうしよう、って」

スカーレット、こんなに、々考えてたんだ。怖いことも、恐ろしいことも、悔しいことも、たくさん経験して……。

「ごめんなさい、ごめんなさい……」

「スカーレット、気にするな。どうやら、普通に暮らしているそうですよ?」

「……え?」

ジェイドはにっこり笑って続ける。

「隣の村で、村長に気にられて書やってるそうです。明るい良い子って評判みたいですよ?」

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