《拝啓、世界の神々。俺達は変わらず異世界で最強無敵に暮らしてます。》拝啓、神々。この世界は退屈ですね。
俺、秤彼方はかりかなたは退屈だった。いつもと変わらない高校への通學路の景を眺めながら高校へ向かう。
憂鬱だ。
學校では友達と呼べる人はいないし、ましてやクラスメイトと話す事さえない。學校生活の容はいつもただただつまらない授業をけるだけ。部活もっていないし績も平均。優等生とは程遠い、劣等生に近い分類だろう。こんな事もいつも考える。いつ、どこで選択を間違えたのか、そんな悩みも盡きない。しかし、それらも全て含めて俺の日常なのだと結論つけてしまっている自分もいる。
本當に憂鬱で…
「退屈な…日常だなぁ…」
つい呟く。
もはや生活の習慣となりつつある思考を続けていると俺の通っている高校につく。
朝、下駄箱でばったり會った友達と語り合いながら教室に向かう…なんてイベント、友達のいない俺には縁のないイベントで一人で教室に到著する。
俺が著々と朝の準備をしていると隣から聲がかけられる。
「おはよう!秤君!」
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隣の席の橘明日香たちばなあすかだ。彼はこの高校の中で最も人気のある生徒だ。
しく流れる黒髪は雲一つない澄んだ夜空のよう。綺麗でつぶらな瞳はを湛え、鼻梁も高くとても可らしく、それでいてどこか清く儚げなしい雰囲気を纏っている。つい見とれてしまう。その上皆に対して(俺のようなぼっち野郎にも)優しいのだから人気が出るのも仕方ないのだろう。
「あ、ああ。おはよう」
ぎこちなく、俺は挨拶を返す。彼に変に思われていないだろうか。
「ふふっ。いつも秤君はテンション低いよねー」
「べ、別に。そうかな」
むしろこっちは學校一のと話せているのだからテンションはかなり上がっているのだが…
と、そこで橫やりがる。
「おい!明日香。そんなメガネぼっち野郎と話してないでこっち來いよ」
學校一のイケメン、神崎竜斗かんざきりゅうとだ。
髪は派手な金髪で顔立ちはもちろん整っており、その上生徒からの信頼も厚い人気者だ。橘と二人でいるととてもさまになる。
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「んー。し待ってて。今秤君と話してるから。あと、秤君はぼっちなんかじゃないよ?」
まあ、當の橘は神崎を嫌いしているようだが。
「ハッ!そんな奴のどこが気にったんだよ。まあ、いいや」
神崎は橘をグループをれるのを諦めたようだ。すぐに自分達のグループの會話に戻った。
「ごめんね、秤君。嫌な思いさせちゃったよね…」
「いや、俺は別に…橘がフォローしてくれて嬉しかったよ」
「そ、そうかな。そう思ってくれるならありがたいよ」
…その後、擔任が教室にってきて俺と橘の會話は終わった。
結局、放課後まで俺はいつもと変わらず誰とも話す事なくその日は過ごした。
…放課後までは。
ホームルームが終わり足早に家に帰ろうと俺は誰よりも早く教室を出た。しかし、教室に忘れをした事に気付き教室に戻ろうとしていた。
教室に近づいていると何か騒がしい事に気付いた。
何だ…?
教室を覗きこんだ俺の目にうつっていたのは衝撃の景だった。
「お前が悪いんだからな?明日香。お前がいつまでもあんなメガネぼっち野郎なんかと一緒にいるから」
神崎と神崎と特に仲が良いグループが床に膝をついている橘を囲っている。
「なあ、お前らもそう思うよなぁ!?」
「「………」」
神崎が聲を上げて問いかける。周りのギャラリーは神崎に反抗できないでいる。神崎は學校全のスクールカーストの頂點とも言える存在だ。仕方ないのかもしれない。
でも…誰か一人でも助けてやれないのか橘を!
そこで、俺の脳裏に今朝の會話がフラッシュバックする。
何気ない朝の挨拶。でもぼっちの俺にとってはかけがえのない時間。俺なんかをフォローしてくれた橘。その橘が俺と一緒にいたからこんなふざけた行為の的になっている。
この場から全ての責任を放棄して家に逃げ帰るのは簡単だ。しかし…それで良いだろうか。
もし、そうしたら俺は大切な何かを失うだろう。一生後悔するだろう。本當にそれで良いのか?
「…違うだろ」
小聲で呟く。でも、それは今朝の退屈を嘆く呟きと違って
何かしらの強い信念に支えられていた。
『お前はその力を正しく使えよ』
昔、大切な人に投げ掛けられた言葉だ。
「ああ、今ころ❬力❭を使うべき場面だよな」
俺はかけていたメガネを外し橘の元へ進む。よく見ると頬は赤く腫れ涙が伝っていた。誰かに毆られたようだ。
その時、ついに俺の怒りは最高點に達した。
黒かった目が赤黒く染まっていく。力を使った証だ。
………ガキの時の話だけど、俺は一度生死の境をさまよった事があって神様とやらに會った。
その時、俺はとても大切な人を失ってしまったのだけれど、その人がして、神様が俺に授けてくれたのが今から使う力だ。
その力とは即ち……
「ん?ああいたのかぼっちメガネ。ほらお前のせいでしの明日香が泣いてるぞ?」
半分笑いながら言ってくる。ただ、それは俺の燃え盛っている怒りの業火に油を注ぐ行為だった。
「…もう、どうなっても知らないからな。神崎、それとそこの橘を囲ってるグループ…」
そして宣言する。
「お前らは許さない」
「はあ?許さないっつたか?笑わせるなよ。この人數とどうやってやりあうって言うんだよ?ああ?」
確かに普通なら勝てないだろう。逆にボコされておしまいだ。ああ、普通ならな。
その結果を覆すための俺の力だ。
神崎が毆りかかってくる。しかし俺はそれを簡単にけ止める。力を使って。
俺の力とは…『全ての事の結果を事前に知る』事ができる力だ。
「えっ?」
神崎が間抜けな反応をしている頃には俺は神崎の整った顔面に鋭い打撃を叩き込んでいた。一撃で神崎は失神した。まあ、殺す気で毆ったし。
「お、お前っ!おい!全員でかかるぞ!」
橘を囲っていたグループが全員で毆りかかってくる。
しかし、俺は全てヒラヒラと全て回避する。そして一人ずつ気絶させてゆく。
數秒後には決著はついていた。
そう、これが『結果』。俺はメガネを外した時からここまでの『結果』を全て知っていた。
俺が日常を退屈だと思うのはこの力があるからでもあるから忌々しく思っている。
でも、まあ、今は橘を助けられたからこの力には謝している。
「大丈夫か?橘」
橘に聲をかける。
「は、秤君…!」
泣きながら橘が俺の方へ近づいてくる。
そしてあろうことか俺のにを預けてきた。
「怖かった…怖かったよぉ秤君…」
し驚いたが相手のを無理やり引き離す訳にもいかない。に著されて心臓の鼓が早まってゆく。
「ごめんな、橘。俺なんかと話してるから…」
「ちがうよ…秤君は悪くないよ…」
暫くたって橘が落ち著いてきた頃。俺は今日の事を振り替えっていた。この退屈な世界は一日にして一変した。俺の人生においてこのまま、一日が終わるなんてあり得ない…そんな事を考えていると
「コラー!なに騒いでるの!」
と擔任が教室にってきた。そしてその瞬間
教室の床が眩しく出したのであった。
………拝啓、神々。この世界は退屈ですね。
俺には全てが分かってしまう。俺たちは異世界に転移するんですよね。あなたは何故俺が異世界に行った後じゃなく、あの時この力を授けたのでしょうか。もし、良かったら今度お話する機會を設けてはくれませんか?
秤彼方。16歳。あらかじめチート能力を持ってクラス転移に巻き込まれます。
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