《拝啓、世界の神々。俺達は変わらず異世界で最強無敵に暮らしてます。》拝啓、神父殿と雙子殿。決戦前です。

「さて、と」

1週間に及んだ❬大神父❭さんとの訓練も終わり、❬法王❭を倒す算段もできた。

俺は今、❬法王❭との戦いの準備を進めている。

「ポーションはたくさんレナからもらった。武の手れも十分やった」

手元にある❬聖銀の雙剣❭も眩い銀に輝いている。その銀の輝きを見てふと思った。

「なんで俺は寢てた間にあんなに長したんだ?」

明らかにおかしい。異常なまでの長に、知らない剣技、さらには魔力を加速させた後の。❬大神父❭さん曰く、俺の髪のが一部銀に変化していたという。

……まるで、俺の雙剣のように。

なんだか、❬大神父❭さんはあの姿について何か知っていたようだが、何も教えてくれなかった。

「ハカリ君、準備出來ましたか?」

「ああ、いつでも行けるよ」

ルナは外で王都とつながる転移魔法を組んでくれていたのだ。

「あの、ハカリ君。ちょっとその剣を貸してくれませんか?」

ルナが俺の雙剣を指差して言った。

「ああ、別に良いけど?」

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ルナに剣を渡すため鞘に納めようとすると「あ、抜きのままで大丈夫ですよ」

と靜止の聲がかかった。

「そうか?じゃあ、ほら」

ルナが萬が一でも怪我をしないよう丁寧に一振りだけ手渡す。

「ありがとうございま……重いっ!?」

「大丈夫か!?」

雙剣がルナの手に渡った瞬間にルナがとても重そうにした。

「これ、そんな重いか?俺はメチャクチャ軽くじるけど……」

ルナも力がないという訳ではないと思う。前に一度❬大神父❭さんとルナが徒手空拳での模擬戦闘を見たが結構エグい威力の攻撃をしていた。

……聖、コワイ。

「多分、神様がハカリ君以外使えないようにしているんですね。本當に神様にされてるんですね」

半分までは穏やかな笑いだったのに後半からはし馬鹿にするような笑いになった。し腹立つ。

「まあな。で、俺の雙剣がどうしたんだ?」

「あの、じゃあそこの機に雙剣をおいてくれますか?」

言われた通りに機に置く。取りあえず、剣の重みで機が壊れることは無かった。これはセーフらしい。

「じゃあ、失禮して……」

ルナの手に見慣れない道が現れる。一見萬年筆と彫刻刀を合わせたような不思議な形をしているが……。

ルナが道を雙剣に向けた。紙に文字を書くようにサラサラと剣に道で何か彫っていく。

ルナが持つ道は魔力を帯びており優しい魔力のを放っていた。

不思議なのは道と剣との間にしの間にがあること。その間から魔力の粒子が溢れだして作業を行っているルナの姿がすごく幻想的でしく見える。

そんな姿に見惚れているとルナが二振り分の作業を終えた。

「できました!どうですかハカリ君?」

機に置かれた雙剣に近づいて見てみると……特に変化は見られなかった。

「……ごめん。何が変わったのか分からない」

「まあ、持ってみてください!」

言われるがまま雙剣を持ってみると、雙剣が銀の輝きを得た。これはいつも通りなのだが、今回はその続きがあった。

剣の刀に文字のが幾何學模様を描くように浮かび上がった。

「おお!」

すごく、ファンタジーの武っぽい!

「これでも私は刻印師ライターなので武を強化する刻印を彫っておきました」

「ありがとう。ちなみにどんな風に強化されるんだ?」

「それは……その……分からないんです」

「は?」

を強化する刻印をを彫った本人なのに分からないとはどういうことだろう?

「えーとですね。その刻印は【萬華鏡の刻印】といって、使用者がその時求める能力が強化されます。この印、実は私だけが彫れる印なんですよ?」

「え?それを俺の武に?」

「まあ、ハカリ君には頑張ってほしいので!」

「そうか……ありがとう」

もう一度禮を言う。

「ちなみにハカリ君、準備はできましたか?」

「もちろん。いつでも出発できる」

「じゃあ、早速庭に向かってください!出発しましょう!」

ルナが庭の方を指差して言う。

「分かった」

王都に転移するための魔法陣が展開されている庭に出る。

そこにはレナと❬大神父❭さんが居た。

「あ、カナタ。いつでも行けるわよ」

と、レナ。

「そうか。じゃあ、早速王都に行くとしようかな」

輝く魔法陣の上に乗る。そのとたんに魔法陣の輝きが増した。

いざ出発!と思っていると❬大神父❭さんが握りこぶしをこちらにばしてきた。何かを持っているようだ。

「ハカリ君。最後にこれを」

❬大神父❭さんが手を開く。そこにあったのは……紅の寶石がついたネックレスだった。

「これは?」

「これは、この世界の戦神が流したから生まれた……っていう言い伝えがある寶石だよ。この國だとお守りとされているんだ。ぜひ持っていてしい」

「そうなんですか?ありがとうございます!」

ネックレスをけとる。手のひらの上で寶石が真紅に小さく輝いた。というか、この世界の戦神というと……ソラ・ベルム様だろうか?俺が戦闘の基礎を教えてもらっていた、あの……。

と、そんなやり取りをしている間にも魔法陣のはどんどん強くなっていく。この覚はどこかこの世界に召喚された時の覚に似ている。

❬大神父❭さんが最初會った時と同じ穏やかな笑みを浮かべる。そして、最後の見送りの言葉を告げてくれた。

「さあ、秤彼方。この世界を救おうとする勇者(ヘタレ)よ!まずはこの、常人族に真の秩序を與えたまえ!汝に幸あらんことを祈っているよ」

「待って、今勇者ヘタレって言わなっ」

❬大神父❭さんの最後のからかいに突っ込もうとしたその時、俺の視界はに包まれた。

……さあ、❬法王❭との対決だ。

の中、改めて自分に言い聞かせるように呟いた。

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