《拝啓、世界の神々。俺達は変わらず異世界で最強無敵に暮らしてます。》拝啓、❬法王❭。足元にお気をつけを。

視界が段々と開けて、周りの狀況が分かってくる。

俺は王都の端の方にある工場地帯に転移したようだ。

よく忘れがちだが異世界といってもここ……常人族に限っては技レベルが異様に高い。

使う武は基本銃だし、連絡手段もスマホ(に似た端末)を利用している。魔力を持たず魔法を扱えない常人族ならではの進化の仕方だろう。

ちなみにレナやルナは異人族で、常人族と他の種族の因子を持ち合わせている。❬大神父❭さんは……全くわからない。魔法を扱えていたので常人族ではないのは確かなのだが。

「まずは……報を集めないとな」

なにはともあれ報収集。クラスメート……他の勇者のきも知りたいし、今俺はどんな狀況に置かれているのかが分からない。

俺は取りあえず工場地帯を抜けて、都の中心へ向かうことにした。

ただ、この一週間で國にたいして反逆した勇者がいる、という報が広まっていないとも限らない。《アイテムボックス》からレナから貰った魔導の一つである香を取り出し使った。

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確か名前は❬素顔隠しの香❭といったはず。強い幻覚効果を持つ魔導で、これの効果が持続している間は他人は自分を認識できないらしい。

ただ全く見えなくなるのではなく他人からの使用者への興味、関心、印象がゼロに近い狀態になるそうで、向こうからこちらに接近することはないそうだ。

こちらから相手に話しかけたとしても相手は俺を『秤彼方』とは認識できないし、話し終わった後は段々と記憶が薄れ、話の容や相手のことは忘れてしまう……といったとても便利な道である。

この狀態になって俺は工場地帯を抜けた。途中、俺が使った転移魔法の魔力を知した宮廷魔導師數人とすれ違ったが何も怪しまれなかったし話しかけられもしなかった。

比較的栄えている地域に出た俺は、通行人のに話しかけた。

「あの、私はラグリスから來た者なのですが、城はどちらにあるのでしょうか?」

「城ですか?レイク王が住まわれるのはあそこに見える建ですが……?」

し困しながらも指差して教えてくれた。いくら田舎から出てきたとしてもそんな事も知らないのは流石に不思議に思ったのだろう。

「そういえば王都には勇者様がいらっしゃるのですよね!今、勇者様達は何をしていらっしゃるのですか?」

「はあ……?勇者様ですか?確か、今は王都に集まってらっしゃいます」

「そうなんですか、ありがとうございます!」

「いえいえ」

から禮を告げ足早に離れる。今、は勇者は全員王都にいると言った。つまり、俺と神崎の報は伏せられているということだ。どうやら、一週間前から狀況は変わっていないらしい。

いや、勇者が他の種族に攻撃しているので悪化しているといえるだろうか?

そう考えると、心のにあった焦燥が大きくなった。一刻も早く、という気持ちが抑えられずに俺はそこから走った。幸い、まだ人通りがない場所だったので全力で走ることもできた。

既に人の範疇を超えたは、魔力でを強化しなくとも途轍もない速度を出すことが可能だった。

日が沈みかけている黃昏の街に一迅の風が吹いた。

それから程なくして俺は城(見た目はほぼビルに近い)の付近にたどり著いた。その頃には香の効果も切れていた。

正直、簡単に城れるとは思っていない。俺がろうとした瞬間に城は厳戒制にるだろう。

❬法王❭が居るのはこの天樓の最上階。対して俺が居るのは最下層(地下をれたらそうではないが)だ。

……かなりムズい。しかも、中には勇者達が居る。彼らも実戦の経験を積んでなからず長しているはずだ。

もし王様が俺を反逆者として勇者達に伝えているとすると、勇者全員を相手取る可能も出てくる。以前よりも強くなっている勇者30人が相手になるなんて、考えるだけで全からの気が引いていく。どうしたものか……。

そこでルナから貰った魔導を思い出した。

「確か……明化の魔法を使えるスクロールがあったような」

スクロール。魔導書のランクを落としたような魔導

その能力は、使用するとそこに封じられた魔法を一度だけ使えると言うもの。俺はルナにいくつかのスクロールをもらっていた。

《アイテムボックス》から明化のスクロールを取り出す。

手の上に古びた羊皮紙の巻が現れる。それを開くと中にびっしりと書かれた文字が見えた。その文字の上に指を乗せ、魔力を流す。すると文字が魔力のを放ち始める。そのは段々と腕を伝ってこちらに移り始め……が通った所から明になっていく。

やがては全を通り過ぎ、俺は完全に明になった。

「よし、行くか」

城の構造は❬法王❭が居る塔が中心にあり、その塔を囲うように5本の塔がそびえ立っている。5本の塔は各々が國の機関の施設だと伝えられていたが、その頂上には❬法王❭の力を譲りけた❬聖者❭達が居るらしい。

さらに、それらの周りには厚く高い壁が建っている。

それに加えて、中心の塔には空間をる魔法がかかっているという。

「まあ、行くしかないよな」

俺は最初の関門、番人が構えている門をスルーし中心へと歩き始めた。

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