《神眼使いの異世界生活》第59話 オーガ討伐

旅立ってから數日ーーー

「オーガの討伐?」

「はい」

偶然立ち寄った村の宿で寛いでいると、アルテミスがそんな話を持ってきた。

「近隣の森でゴブリンを従えたオーガが畑や人を襲っていて困っているそうです。」

「さすがに見過ごせないのじゃ」

「ふーむ」

確かに人に被害が出ているのは見過ごせないな。ご存知ないだろうが、冒険者ギルドには細々とした規則はあまりない。元々はゴロツキをまとめるための機関でしかないからだ。

だが、そんなギルドでも2つの理念が存在する。

ひとつが【実力主義】。

実力があれば何をしてもいい訳では無いが、それ相応の地位が與えられ、優秀な者ほど特権が與えられる。

そしてもうひとつが【そこに生きる民の為に】

というものだ。この理念の前には【実力主義】も効力は無い。

その地に生きとし生きる者の為に行する。

そこに國や秩序、種族などは関係ない。

民への脅威は依頼中でも優先的に排除する。

それが出來てこそ、真の冒険者と言えるだろう。

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と、まあ。現在冒険者としても活している俺達はオーガの討伐には行かなくてはならないわけだ。

「仕方が無い。オーガ退治に行くか。」

「はい!」

「うむ!」

村からすぐ近くにある森を俺達は歩く。

「さて、今回のオーガ退治だが、俺とシュレイはオーガは相手しない。」

「む?それではどうするのだ?」

「アルテミス、一人でオーガを倒してみろ」

「私ですか?!」

ソウマの提案にアルテミスは驚く。

「この森にいるオーガは普通のオーガだ。となれば今のアルテミスが腕試しをするには丁度いい相手だとおもうぞ」

「私そこまで強くなってるの?」

「まあ、冒険者ランクこそまだ低いけど、実力でいえばBランクくらいの力はあるそうだ」

『Bランク冒険者の平均的力量からすればやや落ちますが、誤差の範囲です。』

らしい。その辺の管理は全部リエルに任せてるから細いことは知らん。

「殘りは俺とシュレイで対処する」

「キュー!」

「いてっ!」

頭の上に乗っているハクが髪のを引っ張ってくる。地味に痛いからやめてしいんだが。

「なんだよぉー」

「ハクも戦いたいんだよねぇー」

アルテミスがハクを抱き上げるとそういった。

「そうなのか、それじゃあハクはアルテミスのサポートだな。2人でオーガを倒してみろ」

「うん!」

「キュー!」

「そこだ!いけ!もっと早く!」

「ちゃんと敵の攻撃を回避するのじゃ!」

俺とシュレイの聲がアルテミスにかかる。

アルテミスは汗をかきながら必死にオーガと戦っていた。

「やぁァァァァっ!」

アルテミスが【百花繚の剣】を持ってオーガに切り掛る。

それをオーガは距離をとって避ける。

そして殘っている右手でアルテミスを毆り付けた。

「キャッ!」

重い拳によって毆られたアルテミスは數メートル毆り飛ばされるが、勢を整えて著地すると直ぐに剣を構えた。

先程から一進一退の攻防が続いている。

遭遇してからの初太刀でアルテミスはオーガの左腕を切り落とすことに功したが、それは【百花繚の剣】の能によるもの。それからは剣を警戒してオーガは距離を取って戦い、隙を見つけては拳による攻撃を仕掛けるが、アルテミスの來ているソウマの創った伝説級の裝備である【蒼救の聖服】によってダメージがほぼ無効化されている。

これによって最初の攻撃以外はアルテミスは攻撃出來ず、オーガも裝備によって攻撃を當ててはいるが無効化され意味の無いものとなっている。

だが、その拮抗を崩す一手を既にアルテミスは打っていた。

空高くから何かが飛來する。落下速度と飛翔スピードが合わさり凄まじい勢いで落ちてくるそれにオーガは直前まで気付かなかった。

「きゅぅぅぅ!!!!」

「!?!?」

空から落ちてきたそれーーハクに気付いたのはハクがすでに攻撃を始める直前になってからだった。

小さなのハクから業火が放たれる。それはオーガに直撃し、火だるまにする。そこへアルテミスが勢いよく切りかかる。

「やぁぁぁぁ!」

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

をバラバラにされたオーガはハクの炎により消し炭になり絶命した。

「微妙だな」

「なんでよ!?」

「きゅっ!?」

村に帰った俺達は宿で今日の反省會をしていた。

そして俺の言葉にアルテミスとハクは驚いた。

「まず作戦はよかった。アルテミスが最初囮になり、ハクが上空から炎を放ち、最後にアルテミスが確実の倒す。まあ、作戦はな。」

そう、作戦は別に悪くない。問題はき方だ。

「まず第一に俺はアルテミスであればオーガを倒すことができるといったよな。だからアルテミスが倒せといった。」

「だから最後にとどめを………」

「とどめはな。けど、結局ハク頼りでけなくなったのを負い打ちかけただけに過ぎない。別にアルテミスが切らなくてもハクの炎ならオーガを焼き盡くすこともできたんだ。」

「それは……」

「それに攻撃もけすぎだ。同じことを繰り返して何度直撃を喰らった?」

「……5回くらい?」

「23回だ。23回もオーガの拳を直撃してるんだ。普通だったらとっくに死んでるな」

「けど、生きてるじゃない。ってことは喰らっても大丈夫だったってことでしょ?」

「あほか!ダメージがなかったのはお前の來ている裝備の能のおかげだ。それで危機がなくなりすぎてるんだよ!オーガを切れたのも武の【百花繚の剣】の能が高かったおかげだ。それにかまけてあんな適當な太刀筋を出して、もし他の剣だったらと皮1枚切れずに毆り殺されてたぞ!」

「………」

「つまりだ。アルテミスがオーガを倒せたのは実力でも何でもない。ハクの力と裝備の能でだ。」

「……ぅ……うぅぅ………!」

俺の言葉にアルテミスは俯き、涙を流す。

ハクがどうすればいいのかおろおろしているが、何もすることができない。

俺もアルテミスが泣くところは見たくないし、泣かせてしまったことに罪悪じるが、ここは心を鬼にしなくてはならない。

でなければアルテミスが今後命を落とすかもしれないからだ。

「次、魔が出た時は裝備一式は使わずに戦ってもらう。代わりのものを用意しておくからそれを使ってくれ」

そういうと俺はハクを連れて部屋を出のだった。

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