《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.10 魔師は領主の娘に手を焼く

森林の奧へ進み続けるクルシュの背にはアリスがいた。彼は背負ったを木元にもたれかからせると、ため息をつく。

「まさかあれだけで気絶してしまうとはな.........」

數分前、クルシュを襲おうとした熊型の魔獣は、全てを見かしたクルシュの設置型魔によって討伐された。しかし、それを見たアリスは唖然としているのではなく、気絶していたのだ。そしてこのまま置いておくわけに行かず、アリスを背負いここまで來た、というわけだ。その時、は目を覚ました。

「ん........あれ、ここは」

「さっきの場所からし進んだ木だ」

「あ、クルシュ君...........」

「手間をかけさせないでくれ。あれだけで気絶してしまうと魔獣の餌食だぞ?」

「ご、ごめんなさい...........あまりにもびっくりしちゃって.........」

「まぁいい、とりあえず今日は帰れ。明日のことまでとやかくは言わないが、死にたくないなら來ないでいい」

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「か、帰るって今から1人で?」

「安心しろ。一瞬だ」

「え?、それはどう言う...........」

話の途中で指をパチンと鳴らして転移魔を起した。瞬間、アリスは魔法陣とともにどこかへと消え去った。

座標はしっかりと領主の館に設定してある。さて、俺はもうし運を続けるとしよう.........。

「ただいま」

「おかえり、夕飯できてるぞ」

その機に並べられたのは數々の料理。今日はいつもより3品ほど多い。まだ10にもみたない年の胃袋で、これを間食しろというのは難儀だと思うが。まぁレオの料理は俺が転生前と比べて食べた中では絶品だ、食えるだろう。

「..........ふむ」

「どうした?口に召さないものでもあったか?」

「いや、お前の料理はいつも味い。そうじゃなくてな、領主の娘の事だ」

「アリスがどうかしたのか?」

「ああ、アリスと言ったのか、あいつ。俺が運しようと森にったら後ろから追ってきてな」

「昔から天真爛漫というか、とにかく落ち著きのないやつだったからな。それで、どうしたんだ?」

「俺を後ろから襲おうとした遊び相手を倒したらそのまま気絶した。意識が戻ったら家に返したよ」

「そうか。まぁ一応言っておくが、クルシュ。熊の魔獣は私でも相手するのがやっとだ。何も知らないアリスからすれば恐怖だっただろう」

あの雑魚を相手するのが手一杯?おいおい、なにかの冗談だろ?あんなの首を斷てば簡単に殺せるじゃないか。

「そこでだが、クルシュ。アリスを相手してやってくれないか?同年代はお前だけだし、ほかの村の子供たちはまだいものが多い。アリスも同年代の存在を知って喜んでいるはずだ」

「本當に言っているのか?」

「なぜそんな顔をする。お前も友達が増えて嬉しいだろう」

悪いな、レオ。俺はそんじょそこらの子供とは訳が違うんだ。しかしここで斷る訳にも行かないだろう。何せ領主の娘だ、仲良くすればあとで何かと有利かもしれない。

「それに私も明日から大規模な遠征で隣の大陸に行くことになってな。しの間ここを開けることになった」

ほう、大規模な遠征、か。まぁ話は土産話として聞くほうがいいだろう。そこはあえてれずに置いてやるか。

「で、どうなんだ?クルシュ」

「わかった。お前がそこまで言うなら、仕方なく、な」

「ありがとうクルシュ!さすが私の弟だ!」

俺は抱きついてきたレオに抵抗することもなくれる。

レオ、お前がどう思ってるかは知らないが俺はただ利用するだけだ。有利な狀況はいつでも作るだからな。

翌朝、いつものようにレオは仕事へ行った。今日から、確か一ヶ月間と言っていたな。さて、モーニングコーヒーをれてそこから魔導書でも..........

「クルシュくーん!來てあげたわよー!」

朝から思いもよらぬ客に俺は頭を悩ませることになった。

「クルシュ君何読んでるの?」

「朝刊だ。新聞とも言うな。見たことないのか?」

「いつもパパが読んでたみたいだけど実際に見るのは初めてね」

この箱り娘め、ロクに世間を知らないみたいだ。さすがは領主の娘、裕福な家の子と言ったじだ。

「レオさんの家にこんな書斎があったなんてね〜」

「あ、お前そこのは............」

「えっ?」

アリスが本を引き抜いた瞬間、天井まで屆くその縦列の本が全てアリスの頭上に落下しアリスは本に埋もれた。

そこの列の本棚は崩れやすくて...........って言ってももう遅いよな。あーあ、せっかくの本が傷んだらどうするんだ。

「う、うう〜」

「...........読みたい本があるなら言ってくれ。お前に任せていたら本が持たない」

「私のの心配無いの!?」

とまぁ、朝からコメディのような展開を験しながら、晝を迎えた。晝は、いつもは作り置きてしてあるが、今回は、昨日レオが遠征の準備で忙しかったため作られていない。というよりこれから1ヶ月は自分で作らなければいけないのだから別に今日作られていなくても平気だ。

「...........それで、なぜお前はうちの食卓に居る?」

「うん、レオさんの料理も味しいけどクルシュ君の料理も味しいわね。っていうかクルシュ君料理できたんだ」

「お前、朝からここにいるが大丈夫なのか?」

「うん。別に勉強なら夜にやるし、剣と魔法は優秀な先生に教わってくるって言ったし!」

「............待て、話から察するにその先生って言うのは..............」

「もちろん、クルシュ君に決まってるでしょ!」

知らない間に俺は彼の中で先生格にまで押し上げられていたらしい。...........どうしてこうなったのか。世界の片隅で悲痛をびたい気分だ。それか八つ當たりに神を數匹殺したい気分だ。

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