《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.11 魔師は逃げる

結局午後の運にアリスも同行することになり、昨日アリスが気絶した場所のはるか奧に進んでいた。そこはちょうど木が分けたように広くなっており、広場のようになっている。

この辺りでいいか。

「クルシュ君、何するの?」

「お前が俺を師と仰ぐならその力を見せてみろ。それで俺を納得させたら剣でも魔法でもなんでも教えてやる」

「えっと、的には何すればいいのよ?」

「まぁし待て」

俺は広場の真ん中に行って地面に片手をつく。

『結界魔、範囲(15²×3.14)×50』

『範囲指定完了、結界魔

魔法陣が発生しそこを中心に指定した範囲まで結界がびた。

「な、何したのよ..........クルシュ君」

「結界を張っただけだ。そうだな、半徑15メートルに高さが50メートルくらいか」

「そ、そんなの金の刻印を持った宮廷魔道士が張れるか張れないかじゃない!」

「そうなのか?まぁどうでもいいけどな。さて、じゃあ鬼ごっこをしよう」

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「へ?鬼ごっこ?」

まぁその反応は無理もない。大方、俺に魔法を見せろとでも言われると思ったのだろう。だが俺はそんなに甘くない。魔法を教える以前の話だ。

「俺にれたらお前の勝ち、お前がギブアップするまで俺が逃げ続ければ俺の勝ち。どうだ?」

「クルシュ君私を甘く見てない?仮にも私は金の刻印よ?」

「まぁ別にけないならいいぞ?すぐに解除して俺は運するだけだ」

「わかったわよ!やる!」

そう來なくてはな。無駄な魔力の消費になるかと思ったぞ。

「それじゃあ、今から開始だ。ほら、かかってこい」

「行くわよ!」

と、アリスはそのまま地面を蹴る。そのスピードは馬が走る並には速い。

まぁ領主の娘だ、英才教育は施されているだろう。強化の魔法を詠唱しているならすでに俺は逃げるのをやめて運していたところだ。

強化の魔法は誰にでも扱える基本中の基本だ。まぁ本にある記述に星寶の刻印おれたちはそれも使えないと書かれていたが。

「遅い」

「うわっ、っと!」

無謀にも一撃で決めようと俺に手をばしたそのごと俺はひょいと橫に避ける。

ふむ、なかなか運神経はいい方らしい。勢いよく突っ込んできたのにすぐに止まって方向転換できるんだからな。

「これで終わりじゃないだろ?」

「當たり前よ!」

と、そこから數十分戦いは続いた。だが一向にその手が俺を捉えることはなく、すでにアリスは息が上がっていた。

「はぁ.......はぁ.......はぁ、な、何であなた息が上がってないの!?」

いや、お前が激しくいただけで俺はほとんど元居た位置からいてないからな。

と、アリスが立ち上がって右手を構える。

「出すつもり無かったんだけど、本気で行くわよ!」

「はいはい、本気な」

「我がに眠りし力よ、枷を持って解き放ち我に付隨せよ!」

嗚呼...........また出た。また詠唱有りの魔法だ。英稱からして上位強化魔法か。魔導書を見ているうちに自然と覚えてしまった。

ということは先程まで中位強化魔法を使っていたのだろう。ふむ、中位であの遅さか、これは期待はずれかもしれないな。

「行くわよ!」

「どこからでも」

と、またアリスが地面を蹴った。

..........まぁ、スピードは上がってるんだが、元が元だからな。遅い、はっきり言って蝶くらいだ。さっきも馬程と思ったが言い過ぎた。

俺はなおをも避け続けて、魔法陣を足場に空中を闊歩する。

「なっ、ずるいわよ!それ!」

「ずるいも何も、これは範囲だ。誰も空中を使っては行けないとは言っていない」

「なら空中を使っていいとも言ってないでしょ!屁理屈よ!」

「その屁理屈含めて俺を捉えてみろ。ほら、ここまで來い」

「っ!、ああもう!やればいいんでしょ!」

ふむ、魔法陣を足場にするくらいはできるのか。しかもあの短時間でにつけたか?、まぁいい。でも難點がある。魔法陣は対象者の魔力に比例して大きくなるから...........。

「っきゃ!?」

あまりにも小さければ足をらせる危険がある、と言った半ばにアリスは背中から落ちた。

「だ、大丈夫か?」

「いたーい...........、危険すぎるわよそこ!」

ふむ、この歳ならばあの衝撃で泣きわめくんだがな。どうやら打たれ強い(?)らしい。

そこから數時間、だんだん魔法の常時消費によりアリスは疲労困憊な狀態のようだ。俺は魔法陣の上からアリスを見つめる。

「どうした?もう終わりか?」

「も、もう、無理.........。わ、私の負けよ..........」

俺は結界を解除して地面に降りる。そして座り込むアリスの隣に行く。

「じゃあさっさと諦めて..........」

「明日もよ!、クルシュ君を捕まえるまで諦めないんだから!」

こうして明日も俺との鬼ごっこを半ば強引に取り決めてしまった。俺としては多の運にはなるからいいが、こいつが俺を捕まえられるビジョンが2億年たっても見えてこない。

「..........で、何でお前はうちの食卓にまた居るんだ?」

「私、こっちに住むことにしたわ!」

「は......?」

「だって、どうせ明日やってもクルシュ君捕まえられる可能なんて低いでしょ?じゃあ日常的にクルシュ君を見てそのきを研究すればいいのよ!」

「おい待て、さすがにそれは領主が..........」

「パパに言ったら、『クルシュ君なら大丈夫だ!』って」

いつから俺はそんな絶対的な信頼を得たのか。

結局帰らそうとしても頑として帰らないアリスに押し負け、日常生活にアリスが加わった。

それにしても上位魔法如きを詠唱するなんてな、しかも始まりの強化魔法だぞ?...........はぁ、本當にこの世界の魔、いや魔法レベルは赤子より衰退してしまったのではないだろうか。先が思いやられる............。

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