《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.13 魔師は魔法を教えてみる
しばらくアリスを休め、自分で立てることを確認した俺は結界を解除して事を進める。
「さて、じゃあ始めるとするか」
「それはいいけど.........何からやるのよ?」
「だから基本だ、基本。強化の魔法から始めるぞ」
基本中の基本だ。だがだからこそ意味がある。これを使いこなすことはほかの魔法の使用理解ができるという事だ。
「本當に基本なのね..........」
「お前が使った第五位階魔法『疾風の』は部類では上位魔法にる。それを無詠唱でやるのに越したことはないが、お前の無詠唱にはあまりにも無駄が多すぎる」
「ど、どういうこと!?」
「お前は苦労して式組み換えで完させたんだろう。だけどそれが無駄なんだよ」
「..........努力したことが無駄だって言いたいの!?」
「そうは言ってないだろ。無詠唱ができたことで無詠唱の覚は摑めたはずだ。それだけでも収穫と言える」
まぁ、効率は悪すぎるがな。まだこいつに戦場の常識を教えるのは早いがさすがに俺の古式なやり方を変えるつもりは無い。まぁ今でもこれが一番効率がいい方法なんだが。
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「じゃ、じゃあどうすれば.........」
「イメージだ」
「イメージ?」
そう、イメージだ。魔法がどのようなものかを頭で連想させ、それを現化する。そうすることで式を変えるよりももっと早く展開できる。
「そうだな、じゃあお前でもわかるように第二位階魔法『風刃』で実証するぞ」
俺は手を出し水平に持上げる。
まず風をイメージする。次に刃、そうだな、形はなんでもいいか。その次は風の刃、名の通りの風刃を出現させる。
「ここまでで1秒もない」
「すごい!、普通は詠唱が必要なのに!」
まぁ俺の場合は魔法じゃなくて魔だ。魔法と呼び名が代わり詠唱や難しさで位階分けされただけの魔に過ぎない。まぁ質も落ちているのは確かだが。
「.........お前、俺をなんだと思ってる?」
「ただ能力高いだけ、だと思ってたわよ。それに能無しの刻印が魔法使えるなんて聞いたことないし」
はぁ、隨分と甘く見られたものだな、俺も。さすがに上位強化魔法を並の能力で逃げ切れるのは人外だけだ。俺だって強化魔くらいはかけていた。
「悪いが星寶の刻印は能無しじゃないんでな。そら」
振り下ろした腕から風の刃が生み出され近くにあった大木を易々と切り倒した。もちろん俺に倒れてきたら面倒だから丸太にした後、薪に変えておいた。
「え........初期魔法よね?なんであんなに............」
「まぁ練の差だ。さぁ、見本は終わりだ。まずは初期魔法から中位魔法までを正していくぞ。式組み換えはどうやらお前の癖らしいからな」
と、そこから更に數時間が経過した。
やはりこいつは天才だ、なんでも吸収して応用していく。既に癖だった式組み換えを克服して中位魔法までを完璧にイメージで使いこなせるようになっている。
「よし、いいぞ」
「どう!?、すごいでしょ!」
「ああ。ここまでのヤツは中々だ、じゃあ上位魔法やってみろ」
と、またも使うのは『疾風の』。やはり無詠唱は功して魔法が立する。
「やった!できたわよクルシュ君!」
「そうみたいだな」
それはいいが問題は本格的な魔法だ。強化の魔法は基本中の基本だ、難易度もそれだけ低い。だがこれが6種の魔法になってくると話も違ってくる。特に今の魔法レベルなら超位魔法をれるやつも居ないだろう。
「イメージは著いたな?、なら永遠と練習するんだ」
「やっぱりそう上手く魔法は教えてくれないわよね............。いいわ、やってやろうじゃない!」
こいつは焚き付ける方がやる気を出すのか、まぁ頭の片隅にでも置いておこうか。それにしてもこれでゆっくりと運ができる、という訳ではなさそうだな........。
◇
そこから1ヶ月がたったある日だ、2週間前に帰ってきたレオは相変わらず元気だった。帰って來ていきなり「クルシュ分補給!」とかいって無駄にあるの脂肪を押し付けてきたのが若干鬱陶しかったがまぁ悪い気はしない。
「そういえばクルシュ、アリスとはどうだ?」
「その質問では答えられないんだが?」
「別に深い意味は無い。単純に気になるだけだ」
「どうと言われてもな。........単純に」
俺が言おうとした瞬間、扉が勢いよく開かれ魔法が飛んでくる。中位魔法『弾』、逆証魔で一瞬にして消し去った。
「いつも思うけどなんなのよその魔法!」
「..........こういうやつだ」
「アリス!後ろから不意打ちとは何事だ!わた.........弟が怪我でもしたらどうするんだ!第一に後ろから奇襲なんて騎士の風上にも...........」
言う前にもう外に出てるじゃないか、相変わらず怒ると行が早い。地面に正座はなかなかの苦痛だろうな。
そこから數十分地面の上で正座して怒られていたアリスは家に招きれられた。
「うぅ..........だってぇ..........クルシュがぁ............」
「それにしたって度がありすぎる!中位魔法など..........」
「レオ、その辺にしといくれ。事実、俺が奇襲を仕掛けてもいいと言ったんだからな」
「そうよ!、まずこいつが私を馬鹿にして..........」
「アリス!お前もお前でちゃんと反省しろ!」
「なんで私なのよぉ!!」
もうこの騒がしさにも慣れたが、ふむ、悪くは無いな。
これからアリスに魔法を教えていくのはし大変そうだ。
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