《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.15 魔師は姉の片鱗を見る

さて、王都に著いたな。それにしたって長い、今は晝だぞ?

「ここか」

俺達が著いたのはリンドハイム王國。人族最大の王都であり、同じく人族最大の経済特區、こちらで言う工業王國だ。鍛冶屋や量産品などの製造、魔道もここで作されたりしているそうだ。どうやら魔が劣化すると共に工業が発達(?)したみたいだ。

「すごい!こんな所にレオさんは毎日來てるのね!」

「まぁな。私は借りた馬車を置いてくるからクルシュ達は宿で待っていてくれ」

「そういえばレオ、今日は休暇か?」

「無理を言って明後日まで、な」

「そうか。何かすまないな」

「いいや、気にすることは無い。私は行ってくるぞ」

そのまま馬車を走らせ消えて行った。そして殘った俺達はレオが予約しといてくれた『癒しの子羊亭』に向かう。何から何まで至れり盡くせり、またレオには何か贈りでもしておこう。

「レオさん、相當嬉しいのかな」

「何でだ?」

「だって、弟が優秀な學園に通うのよ?嬉しいに決まってるじゃない」

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「そうか」

1つ短く返事をして道を歩いているとやがて店名に相応しいような看板のマークが見えてきた。その中にるとやはりそこは『癒しの子羊亭』だった。

「いらっしゃいませぇ〜。あらあら〜可い子達ね〜、どうしたのかな〜?」

「予約していた者の同伴者だ。クルシュ・ヴォルフォード、レオの弟だ」

「あらあら〜あの人の弟さん〜?、可い子ね〜。そっちは彼さんかしらぁ〜?」

「なっ、か、かかか、彼!?」

アリス、変に赤面しないでくれ。本當にそうだと勘違いされてしまうだろう。

「勘違いしないでしい、ただの同伴者だ。それで、姉がここを予約していると聞いてきたのだが?」

「そうねぇ、じゃあ証明証あるかしら〜?」

証明証?そんなものが必要なのか?..........あいつ、いいを演じようとするためにたまにドジを踏む。絶対あいつが持ってるだろ、証明証。

「今は手元にないんだ」

「ん〜じゃあ、あなたがあの人の弟ならここに來るはずだからぁ、ちょっとテーブルで待っててくれる〜?」

「分かった」

「私はただの同伴者、私はただの同伴者、私はただの同伴者、私は............ 」

「何してるんだ?アリス。早く來い」

「えっ?あ........うん!」

そしてテーブルに座る。俺とアリスの前にはジュースが置かれた。俺的には珈琲がいいのだがせっかくの善意だ、け取っておこう。

「なぁ、あれ最高だったよな!」

「最近は魔獣も雑魚ばっかでよォ!」

「「ギャハハハハハ!!」」

と、その時、ガラの悪い冒険者4人組が店にってきた。周りの視線を集め、リーダー格の男がさっきの人に近寄る。

「おい、4人分だ。もちろん一部屋ずつな」

「あら、ごめんなさいねぇ、今指定の部屋には予約がってるのよぉ」

「ああん!なんだとこらぁ!」

「ジュゲムさんが言ってるのに了解できねぇのかこらぁ!?」

全く、やはりいつの時代にもこういう野蠻な奴らはいるらしい。ほら、さっきの人も困ってるじゃないか。.........でもまぁ、恩を著せるのは悪くないな。

「ちょっとあんた達!」

「あぁん?」

「なんだぁ?」

おい待てアリス、なんでお前が行くんだよ。いつもお前は俺の行を邪魔してくるよな!

「あんたら恥ずかしくないの!?そんなことして生きて!」

「うるせぇ!街の平和守ってんのは誰だと思ってやがる!」

「ちょっとならこれでも許されるだろ!」

「そんな考えが恥ずかしいって言ってんのよ!冒険者、冒険者って、本當に強い人はそんな事するわけないでしょう!」

はぁ、もう収集がつかないぞ、これ。仕方ない、出遅れたは否めないが、俺が出るしかない。

「すまない、うちのバカが失禮を働いた」

「ちょ、クルシュ君!」

「あぁん?誰だテメェ!」

「同伴の者だ。直ぐに下がらせるから見逃してくれないか?」

「駄目だね!文句つけたからにゃあ、それなりの誠意を見せてくれないとなぁ.........」

「誠意、か」

ふむ、もうすぐ・・・・か。ならもうしだけ。

「そうだ、誠意だ。てめぇが変わりになにかしろよ」

「悪いが貢げるものは何も無くてな。金は姉が持っている」

「ならその姉を差し出せ!そうだな、まだ未な坊主がしゃしゃりでたから雌奴隷で勘弁してやらぁ!」

「すまないがそれは出來ない。姉は今、手負いの事があってな」

もちろん噓だ。ただ馬車を返しに行ってるに過ぎない。そして、もうそろそろ時だな。タイミングを合わせるように相手もキレたみたいだからな。

「ならてめぇの全骨折で勘弁してやるよォ!」

「クルシュ君!だめ!」

男が手持ちの大剣を振り上げた瞬間、大剣と同じくらいのサイズの剣が目にとまらぬ早さで男の剣を弾き飛ばしそのまま諸共壁に突き刺さった。投擲した方を見ると、鬼の形相を浮かべるレオが投擲の勢から直りこちらを睨んでいる。どうやら近くにいた冒険者から借りたものみたいだ。

「な、なんだぁ!あの馬鹿力!」

「あ、兄貴!あいつは...........」

「やべぇですぜ!『孤高の獅子』だぁ!」

ふむ、どうやらその名稱はレオを形容するものらしい。へぇ、そんな呼ばれ方をしていたのか。

「貴様ら..........今、私の弟に何をしようとした?」

「おいてめぇら!陣形を立てろ!相手は強者つわものでもだ!4人で押せばなんとかなる!」

「その剣で私の弟が痛がったらどうするつもりだ、に一生消えない傷を殘したらどうするつもりだ、その顔に傷がついたらどうするつもりだ、生きていけない傷をつけたらどうするつもりだぁ!?」

「や、やっちまえお前ら!!」

「「おう!!」」

「私の可い弟を傷つけようとした罪は重いぞ!野蠻人共!!」

全く、勇敢なことだ。あんなにも激昴して。アリス、これ全部、お前が招いたことだからな。

「ぐへぇ!」

「がはぁ!」

「ぐわぁ!」

「ぶべらぁ!」

まぁもちろんレオに勝てる訳もなく、一方的にレオが鉄拳制裁していた。特に俺に剣を振り上げていた男の顔はボコボコにされているな。もう原型をとどめないまでに。

「全く!たわけ共が!」

「あ、レオさん〜待ってたわよ〜」

「すまないな、し馬車を返していたんだ。うちの弟が迷をかけなかったか?」

「いえ〜、むしろ二人とも仲裁にってくれて〜、いい弟さんね〜」

「そうだろう、そうだろう。なんせクルシュは私の可い弟だからな!」

おいバカ、やめろ。無駄にあるを張ってるんじゃない。こっちが恥ずかしくなるだろ。

「それはいいが、レオ、証明証がないといけないみたいだぞ?」

「ん、ああ、これだな。すまない、私としたことが、渡し忘れてしまった」

「はい、たしかに。それじゃあ予約は部屋の2階の一室だからね〜」

「ん?一室?」

「さすがに3人で3室はもったいないと思ってな」

ん、ちょっと待て、まさか3人でベッドに寢るのか?そうなのか?俺は別に気にしないがアリスは.........。

「べ、別に問題ないわよ。その方がお金安いもんね!」

「よしよし、安心しろ。ちゃんと私が間に割ってってやるから」

そういう問題じゃないんだけどな。

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