《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.20 魔師は開戦する

俺は対戦が終わったアリスを出口で待っていた。

「お疲れ、アリス」

「クルシュ君、ごめんなさい。破っちゃったわ」

「そういう所がまだまだだな。中位魔法3回で水龍の寶玉アクアノヴァは防げた」

「まだまだ努力しないと........」

「まぁ思い詰めることも無い。2年間の長は見れたからな」

「本當!?ありがとうクルシュ君!」 

喜ぶアリスを後ろに連れて戻ろうとすると俺の前にリアが立ちはだかった。その瞬間アリスが表を険しくする。

「.......何?まだクルシュ君に用なの?」

「あなたに言いたいことがあるの、アリス」

「何かしら」

「ごめんなさい、あなたを私は見くびってたわ」

ほう、こんなことも出來るのか。いや、気高いだけじゃなくて責任も強いのか?

「あなたは強い、だから弱く見てたこと、謝らせて」

「別に私を悪く言うのは構わないけど、クルシュ君を見くびるのは許さない」

「それは次で決まる。私より弱ければそれはそれだもの」

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「負けないわよ、あなたなんかに」

「あらそう。楽しみにしてるわ」

そうしてリアはそのまま去ってしまった。まぁ後で戦うことになるやつと馴れ馴れしくする義理もない。まぁアリスが啖呵切ってくれたおかげで適當に負けてアリスだけ目立たせることが出來なくなったんだが。

「あ、なんか私ダメだった?」

「ああ。それはもうダメだった」

「ご、ごめんなさい........」

「今からとやかく言っても仕方ない。誰かのせいで退路は塞がれたからな」

勝つことは造作もない。普通にあの程度に負ける俺じゃない。まぁ勝ち方なんて様々なんだが。

「うう.........」

「とりあえず観客席に移してろ。もう終わったからここにいると怒られるぞ」

「う、うん」

と、アリスは昇降口に駆けていく。振り向きざまにこちらに手を振った。

「クルシュ君頑張ってね!」

「ああ」

それだけ聞いたアリスは昇降口を上がって行った。心做しか周りからの視線が痛いが全く正がわからないため無視だ、無視。

さてさて、もうしで俺の番だがあのは一何をしているのか。別に気になる訳でもないがまぁ一応対戦相手だ。敵前逃亡でもされたら困る。

「リア・ニルヴァーナさん、クルシュ・ヴォルフォードさん、スタンバイしてください!!」

クルシュが何をする訳もなくただ時間を待っていると、招集の合図が放送される。

さぁ、俺の番が來たか。........まぁ低位の魔法で勝ってもいいが俺の場合は魔だからその威力は変わらない。やれやれ、困ったな。

クルシュはそのままアリスが先程通ったのであろう闘技場へ続く廊下をゆっくり歩く。そしてが見え、そこを通り過ぎるとモニターで見ていた闘技場が目の前にあった。すでにリアの方は待機しているようだ。

「あら、逃げずにちゃんと來たのね」

「流石に棄権だけはみっともないんでな」

「まだ負ける方が恥ずかしいと思うけど?」

「まぁそれは結果次第ってとこだな」

ニヤッと笑うクルシュにリアは睨みを効かせる。登壇したクルシュとリアの會話の間にすでにスタートは切られている。しかしお互い1歩もかない。

「武は抜かないのかしら?」

「魔道に頼るのはし苦手でな」

「まぁ能無しじゃ意味ないわよね」

「.........さっきからお前達は俺の刻印が何の魔法も使えないと思っているようだが、それは違うぞ?」

「ええ、知ってるわ。でも魔道の制ができるかは別でしょう?」

確かにその通りである。魔力制によってり立つ魔道には魔法が使える使えないどちらも関係など一切ないのだ。

まぁ俺は使えないんじゃなくて使わないだけなんだがな。

「そういえば開始から2分経ってるが、始めないのか?」

「貴方が負けることを配慮して時間ばしてあげたんだけど?」

「そうか。まぁどうでもいいが」

「自分が勝つことを諦めてるの?、それとも最初から負ける気しかしないのかしら?」

「窮鼠、貓を噛む。慢心が負けを呼ぶことがあるからな、考えといた方がいい」

「それが最後の言葉かしら?」

ただ注意してやっただけなんだがな。さてさて、この強気な格はいいのだが自分の力を過信するやつは愚かでならない。

「まぁそう捉えてもらって構わない、か」

「あらそう。じゃあ、貴方がどこまでの強さなのか、私に見せて頂戴な」

そういったリアは自の剣を抜く。正確には剣の形の魔道、剣の役割も魔道の役割も果たす武だ。

「さぁ」

「さて.........」

「「始めようか(始めましょう)」」

そして模擬試合最終戦が幕を開けた。

さて、観客、そしてお前に魔法と魔の違いを見せてやろう。

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