《能無し刻印使いの最強魔〜とある魔師は來世の世界を哀れみ生きる〜》EP.21 リアVSクルシュ

開始の合図の2分後、彼らの戦いは始まった。真紅の刻印を宿すリア・ニルヴァーナ、星寶の刻印を宿す"能無し"クルシュ・ヴォルフォード、彼らの戦いは一般的な戦闘のそれを上回っていた。

例えば右にふり抜かれた一閃、これがクルシュ以外ならばまともにヒットする。しかし當のクルシュには當たる気配すら見られない。

「『紅蓮斬』!!」

なるほど、この間で見た限り魔道は本當に使用者の構築を助けるだけでなく威力上昇も兼ねているのか。まぁ俺にはそんな付け焼き刃の強さは通じないが。

「『炎斬』!」

手刀を橫一閃に振り炎の刃を向かわせる。中位魔法であるそれは上位魔法と撃ち合い相殺させた。

煙が舞う瞬間に見えたリアの表は驚愕で塗り固められていた。

「はぁぁ!!」

しかし煙の晴れ間より出たリアは上段から下段へと剣を振り下ろした。

なるほど、し俺も甘く見ていたようだ。強さを前にしても引かない神力、これをこの歳で備えているとは。帽ものだな。

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(こいつ...........強い!!)

一方のリアは心とても焦っていた。1番無能とされる星寶の刻印が、あろう事か他の刻印と対等以上に渡り合っているのだ。自分は見誤っていた、能無しだとし余裕を持っていた。しかし現実は違う、目の前には強さの塊が存在しているのだから。

「中々やるじゃない、驚いたわ」

「悪いが俺も負けられなくてな」

「じゃあ次は本気で行かせてもらうわよ!」

瞬間、弾丸のように早い剣戟がクルシュを襲う。

ふむ、早いな。しかし一般より早いだけで俺にしてみれば牛より鈍い。まだ転生前の方が剣戟が早い奴らは沢山いた。

仕方ない。

『製造魔。種類タイプソード、製造インストール』

作り上げた構造型順な剣がリアの魔道を相殺する。反の威力で剣は砕けたが、魔道は後方へ突き刺さった。

「お、おい、あいつ今どこから剣を!」

「あの刻印、魔法なんて使えなかったんじゃないの!?」

やれやれ、驚くのは構わないがもうし聲量を小さくできないのか。まぁ最も製造魔なんて知る奴はいないだろうが。

「さっきの.........」

「種明かしは俺に勝ったらな」

「..........上等じゃない」

「にしても隙ありすぎだな」

「ひゃ!?ちょ、まっ..........」

有無も言わさず背後に回り込んだクルシュはそのままリアを投げ飛ばした。だがしかし、空中で勢を整えたリアが綺麗に著地する。

おまけに能力も高いか。確かにアリスといい勝負をするかもしれないな。

「いきなり投げないでよね!」

止とは言われてないだろう?」

「そうだけど!、の子のをいきなりるのはどうかと思うわ!」

やれやれ、面倒だし注文が多い。俺は絶対にこういうと付き合いたくはないな。

(.........やっぱりこの強さは本ね)

一方のリアは落ち著いて分析している。どうすれば勝ち筋が見えるのか、どうすれば負けないのか。.........やはり彼にはこの答えしか殘っていなかった。

(これしか..........ないわね)

――『黃昏のトワイライト・サン』解放

覚悟を決めたリアが抑えていた魔力を発する。すると手の甲に宿る真紅の刻印が変化し、オレンジに輝いた。そのリアの周辺には火花が無數に、際限なく舞っていた。

「おい、なんだあれ!」

「すごい!なにあれ!!」

この魔力は........そうか、俺の時代にも何人かはいたな。真紅の刻印の中で星寶の刻印よりも珍しい確率で産まれてくる刻印、別名『太の手』。炎系統はさることながら、さらに魔法をることが出來る。リアのその刻印は、おそらく『太の手』だろう。

「私に『黃昏のトワイライト・サン』を使わせたこと、褒めてあげる!でもそれもここまでよ!」

瞬間、浮き上がった彼が振り上げた手に炎が集まる。數秒待たずに作り上げたそれは、ひとつの太。メラメラと燃えたぎるそれは、辺りを照らす。

なるほど、こっちでは『黃昏のトワイライト・サン』なんて呼ばれてるのか。し勉強になったな。

「う、浮いてる!?」

「あれって飛行魔法!?宮廷魔道士でもまともに使える人なんて聞いたことがないわよ!」

 

その通りだ。この時代の宮廷魔道士程度じゃ飛行魔法の制は難しすぎる。おそらくリアの場合は自然と起きている上昇気流によるものだろうが。

「楽しかったわ。でも、ここで終わりよ!『落フォール・サン』!!」

ところがどっこい、だ。その魔法は『太の手』を使うやつが1番使う魔法だ。威力が高い割に魔力消費が薄いからな。それに炎とを適當に融合させれば使えるため簡単なのだから。

『結界魔、起

地面に手を置いた瞬間、魔法陣が出現し薄いがクルシュを中心にドーム狀に広がる。そして上から落ちてくる太と激しくぶつかり合い、まわりに小さく稲妻が迸ほとばしる。

「あれ結界だよな!?」

「うそ!宮廷魔道士でもないのになんで!?」

さっきからうるさい奴らだ。まぁ能無しでもこれくらいは出來る。いや、こんなもの出來て當然なんだがな。さて、結界魔を起してから直ぐに編み込み始めてよかった、もう発できる。

『凍結魔』!!

1歩踏み出した俺の足元から地面が瞬時に凍結し、未だ結界と競り合っている太を一瞬にして凍結させた。

「えっ、噓っ!?」

もちろん當の本人は全く何が起こったのか分からないでいる。なぜならクルシュの足元からびる氷が綺麗に太を包みその場で停止しているのだから。停止していても部でメラメラと燃えているそれは、1種のオブジェにも見えた。

俺が放ったのはもちろんオリジナルの凍結魔。オリジナルではあるがもちろん技名はある。

――『凍結魔』絶対零度アブソリュート

俺の扱える魔でも最上位に位置する技だ。おそらくこの時代だと神位魔法クラスに分布されるだろう。しかし、この程度の太をこの技で凍らせる必要もなかった。

「な、ならもう1回...........」

「悪いがそろそろ終わりだ」

『逆証魔

指をパチンと鳴らした瞬間、刻印の輝きが失われ辺りを舞っていた火花も散った。それにより

「へっ、あ、あれ?..........ひゃぁぁぁぁぁぁ!!?」

もちろん消したのは全て。辺りを溫めてできた上昇気流も消え失せたため重力を支えていた風を失い、結果落下する。

クルシュはそのまま落ちて行くのを無殘に見るほど非常じゃない。よって風魔でクッションを作りリアをキャッチした。

「ひゃっ.........え、え!?」

「騒がないでくれるか?耳が痛い」

「え、こ、これって..........」

リアは改めて自分の狀態を確認する。肩と膝裏に手を回されたそれは、お姫様抱っこだった。

まぁいつまでもこうしてやる義理もない。適當にゴロゴロ転がしておく。

「ふしゅぅ〜...............」

「気絶してるぞー」

「え、あ........勝者、クルシュ・ヴォルフォード!!」

適當にびているリアを無視して、俺は廊下をゆっくりと進んだ。

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