《自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十數年酷使したはいつのまにか最強になっていたようです〜》第7話:年齢で自分の限界があると誰が決めた?俺は諦めてたが、生きてりゃいいことはあるもんだ。

『おい聞いたか?あの噂』

『あぁ知ってる。ザブラがとうとう魔王討伐に出発したんだろ?』

『ちげーよ。おっさん新米冒険者ルーキーって知らねーのか?』

『あー……あ!あれか?おっさんなのに冒険者始めたって笑われてるやつ』

『そーそー!そいつ白雪草を取りに行って1年以上帰ってこなかったらしいぞ』

『ぶはっ!白雪草でか!?あんなん超初心者クエストじゃねーか!』

『だろ?んな意味で今注目されてるぜ』

の変化がない街道。

道は整備されているものの、馬車はガタガタ揺れることはある。

その馬車は馬2頭に引っ張らせており、黒を基調とした職人の腕がるような構えを持っている。

乗り降りするドアの部分には紋章が刻まれており、太と同調してっていた。

その馬車の中で優れない顔をしたが1人、窓から景を眺めている。

先程も述べた通り、景に代わり映えはない。

たまに木が通過するが、彼の目線をかすことはなかった。

「じぃ?つまんない」

が馭者の席まで近づくと、後ろ姿を向けている白髪混じりの男に向かって、し大きめの聲を出した。

単純明快。彼は長い間馬車に乗り続け、すでに飽き飽きしていたのだ。

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じぃと呼ばれた男が首だけし振り向くと、彼に向かって優しい口調で話しかけた。

「お嬢様。危のうございますので、しっかりと席にお付きください」

「じぃはそーやってすぐ私を子供扱いする!」

は怒っているアピールをするために頬を膨らませた。

確かに容姿だけ見れば17.8ぐらいだろう。

らしいつきと、その顔からは想像できない満な雙丘。

馬車が揺れるたびに、そのらかそうな雙丘も上下に震えている。

の名前は『サラ・ワードクリフ』。

この土地を収めている王國『ダブアン』の第3王だ。

この世界は魔王に脅かされており、人族同士の爭いほど無駄なものはない。

そこでダブアン國は他國との友好強化や同盟加のためサラを嫁がせようとしていた。

ダブアン國は小國であり、魔王から狙われれば吹き飛んでしまうほど。

そこで大國である『リーパー』の第8王子とのお見合いに向かわせている最中だ。

しかしサラはこのお見合いを良しとしていない。

國のためなのはわかるが、自分の幸せはないのかと。

王家とはいえ弱小國家に生まれた自分は、自分の意思を持つことを許されないのかと憤慨した。

だが、大好きな父と母に頼まれては斷れない。

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「會うだけなら……」と今回のお見合いを渋々了承した。

両親の泣いて喜ぶ顔は忘れられないだろう。

國を出てすでに3日は経っていた。

「サラお嬢様は旅が嫌いかい?」

馬車の橫を歩いている男がいる。

彼は王の護衛として雇われた冒険者だ。

雇った人數は全部で6人。

あまりお金がない國が、娘を守るために大金をはたいて雇いれた。

6人全員が冒険者ランクAを誇っており、戦闘能力も高い。

道中も危険なくこれたのは彼らがいたからだ。

「景も同じ、ただここにいるだけ。つまらない以外何もないわ」

し顔をそっぽ向かせながらサラが答えた。

この年頃のが何もせず馬車に居続けるのは確かに苦痛だろう。

最初のころは魔や魔獣を見て興した。

それをバッサバサ倒す冒険者にもだ。

だが繰り返し同じ景を見ていると飽きてしまう。

にはいま刺激が足りなかった。

(ほんと、何か起きてくれれば面白いんですけどね)

自分を守っている冒険者には不謹慎だが、何がドキドキするイベントがないかと思っていた。

旅に危険など無い方がいい。

それを彼が知るのはもうし大人になってからだ。

そんな平穏は突如壊れた。

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先を偵察に行っていた1人が、慌てた様子で馬を走らせてこちら向かっている。

その姿を見た冒険者達に張が走り、何事かといった表を作った。

じぃが馬車を止めてその冒険者を迎えいれると、リーダーの男が口を開く。

「何事だ!?」

「この先に盜賊団がいる!數は20、全員が武裝している」

「……人數が厄介だな」

先ほどサラに話しかけた男が顔をしかめる。

彼はこの冒険者達のリーダーであり、統率力も高い。

ただの野黨で、10人前後なら負けることはないが、その倍はいる。

別の道を使った方が安全に通れそうだ。

その事をサラに伝えるため、冒険者達がサラの乗っている馬車のドアを開けた。

「サラお嬢様。盜賊団は危険ですので、し遠回りになりますが道を変更したいと思います。よろしいですか?」

「やだ」

リーダーの男の提案を即答で否定する。

これ以上馬車に閉じ込められてるのも退屈だし、その盜賊団とやらも見たい好奇心があった。

即答をけた男に向かってサラが追い打ちをかける。

「貴方達はAランク冒険者なのでしょう?それなら盜賊団など簡単に制圧できるのでは?」

「腕に覚えがあっても人數差がありすぎます。もしサラお嬢様に危険が迫れば、國王も嘆かれます」

リーダーの男がじぃと呼ばれた男に目配せをする。

一緒にこの姫様のわがままを止めてもらいたいと懇願する目だ。

その目をけてじぃも口を開いた。

「お嬢様、國王様にお嬢様の安全を約束されたですので、どうかここは従ってはいただけませんーー」

話してる最中にじぃの肩が弓で貫かれた。

矢じりが肩を貫通し、サラの目の前でが垂れ始める。

「敵襲!!」

「散開!!」

その言葉とともにリーダーの男がサラとじぃを馬車に放り投げるとドアを閉めた。

どうやら先に行っていた男をつけてきたらしい。

ニヤニヤした集団が冒険者達を取り囲む。

的な人數差ではあるが、國王から依頼されたとしては、何が何でも守らなければならない。

冒険者達も武を構え、迎撃する制だ。

「あの紋章……噂は本當だったか。王拐とはいい金になるな。やれ!」

盜賊団の先頭に立っている男。周りの比べても頭一つデカイ大柄な男が、その頭皮を太に反させながらんだ。

その聲を馬車の中で聞いたサラが震え始める。

目の前には小さい頃から知っているじぃが、を流しながら馬車の床に突っ伏している。

當たりどころが悪ければ即死していてもおかしくない。

緩やかに目の前の人間が死にに行く姿を見たサラに恐怖が宿った。

このままでは自分も死ぬかもしれないと。

馬車の小窓から外を見ると、むせかえるようなの匂いがしてきた。

さっきまで話していた冒険者と盜賊が殺し合いをしている。

これは模擬戦ではない。本當に命の奪い合いをしている。

冒険者がびながら盜賊を斬りふせる。

しかし數の差があり、一太刀、また一太刀と傷が増えるばかりだ。

彼らが魔獣と戦った時は殆ど誰も怪我をしていない。

連攜や経験などからくる安全策を取っていたのだ。

そうとは知らないサラは、その戦闘をつまらないと評した。

しかし今はどうだ。

んでいたわけではないが、を洗う戦いが繰り広げられている。

剣同士が合わさった甲高い音。

切られた衝撃で傷から勢いよくが吹き出る。

腕を失くしたもの、首とが離れた者、貫かれたままかなくなっている者。

ここは命を奪う戦場なのだ。

(うそっ……やだ……死にたくない……)

に後悔が襲いかかってきた。

先程わがままを言った自分。

もしあの時素直に従っていれば、この景はなかったかもしれない。

つまらないと言いながらも安全な旅が出來たかもしれない。

だがもう遅い。

盜賊団の7割以上を倒した冒険者だったが、殘っているのは僅か2人だけ。

は傷だらけで鎧にも生々しい傷跡がある。

リーダーの男は口からを流しながらも、まだ戦おうとしていた。

(ごめんなさい……ごめんなさい……!)

眼前に広がる慘劇を前に、彼は謝り始めた。

誰にでもなく、何にでもなく。

ただ謝ることしか思いつかなかった。

その目からは大粒の涙が流れている。

しかし、どんなに謝ろうが現実は変わらない。

最後まで立っていたリーダーが、先ほどの大柄な男の剣で真っ二つになった。

「さて、お楽しみと行こうか」

大柄な男が馬車に近付いてくる。

目があった気がしたサラは思わず餅をつき後ずさる。

狹い空間ではそれも意味をなさないが。

しかしサラを守る一心でじぃが起き上がった。

「じぃ!?」

サラを一瞥し、ニッコリと一度だけ微笑む。

ダメだ。じぃは死のうとしている。そうサラも気付いた。

だが言葉でんでもじぃは止まらない。

サラのもほとんどかず、じぃを見つめるしかできない。

肩からを流しながらも外に出て、じぃはドアの前に立ちふさがった。

両手を広げ、必ずサラを守ろうと必死の抵抗。

そんなじぃを見たハゲた男が怪訝な口調で口を開いた。

「あんだこのクソじじいは」

じぃは喋らない。

を流しすぎたのだろう。意識も朦朧としながら、それでもドアの前からはこうとしない。

ただひたすら無言で盜賊をじっと睨みつけている。

「めんどくせぇな。死ね」

(………!!)

サラの視線の先。

小窓から見えるにはじぃの後頭部と大男の振りかぶった腕。

じぃも殺される。自分はこのままこの盜賊に捕まりになるだろう。

れたくない現実が目の前で起きている。

だが、彼にはこの場をする手段はない。

(お父様、お母様。わがままな娘でごめんなさい……)

盜賊が腕を振り下ろした瞬間はスローモーションのようだった。

目を瞑り、親への懺悔をする。

じぃも自分の最後の抵抗を前に目をつぶった。

しかしその狂気がサラを、じぃを襲うことはなかった。

目をつぶった時に目の前の大男から「へむしっ!」と変な聲が聞こえてくる。

薄っすらと目を開けると1組の男がじぃを守るように盜賊団の方へ向いていた。

「危なかったなー」

「ほんとですよ!」

男は40代、いや30代後半だろうか。

黒に近い茶髪にし白髪が混じっている。

聲はやや渋く、生きている年月を想像させる。

長は180cm前後。服の隙間から見える筋が鍛え抜いた鋼と錯覚出來るほどだ。

その隣にはしい金髪を腰までばしている

後ろ姿でもわかるほどスタイルがいい。

こちらは若い聲でもあり、年は18ぐらいだろうか。

「じーさん。ちょっと危ないからかないでくれ」

男が振り返るとじぃに向かって笑みを見せた。

金髪のが男に「任せたわ」と一言いうとじぃの近くにしゃがみこんだ。

矢を折り抜き出すと、怪我をした部分の近くに手を當てて魔法を唱えている。

近くで見たしく、いい匂いまでしてくる。

じぃも若ければイチコロだっただろう。

「あ、あなた達は……」

じぃが唾を飲み込みながら口を開く。

はその問いに答える代わりに笑顔を見せた。

ある程度傷も癒えたのを確認すると立ち上がり男の方へ振り向く。

……どうやら加勢の必要はないらしい。

最後まで立っていた大柄な男が倒れるのを確認すると、男がじぃの方へ振り向き笑顔を見せた。

馬車の小窓からはサラが男の勇姿を見つめていた。

サラの目に映った男は勇ましく、自分の窮地を救ってくれた英雄に思えた。

まだ半數ほど殘っていた盜賊団は男に躙され、息をしているかも怪しい。

……いや、すでに命は斷たれている。

男の拳は一撃で生命を奪っていた。

男が馬車に近づいてくるとじぃの無事を確認して來た。

じぃはを流してしまったが、馬車を縦する余力はある。

し場所をかし、死から遠ざける。

改めてじぃがお禮を言おうとした時、サラが馬車から降りて來た。

「窮地を救っていただきありがとうございます」

「なぁに。たまたまだよ」

男は照れ隠しなのか、右手をひらひらとしながら聲を出した。

だがこんな言葉だけでは謝を表しきれない。

サラがじぃより前に出ると、男の手を取り目を見つめた。

「私はダブアン國第3王のサラと申します。貴方様の活躍は國を代表してお禮を述べさせてください」

「いーからいーから。小っ恥ずかしくなるからやめてくれ」

男が苦笑いをしていると、先程の金髪が肘で男を突いている。

それをじ取った男が右手をあげると「じゃぁな」とだけ発し、そのままいなくなろうとした。

ここから王都までは數時間もかからず到著出來るだろう。

この街道で盜賊が出たこと自珍しい場所だ。

もそれを知っており、このまま一緒にいるよりも別行を選ぶ。

先に進むことによって危険も排除出來るだろう。

「ま、待ってください!おじさまのお名前を。お名前を教えてください!」

サラが行ってしまう2人に一杯の聲をかけた。

名前を聞いていない。お禮をしたくてもどこの誰かわからなければ何もできない。

いや、あの英雄の名前を知りたかったからだ。

男が振り向き口を開いた。

「おじ……まぁ名乗る程のもんでもないよ」

その顔には笑みを浮かべており、何故かサラが暖かい気持ちに包まれる。

よく見れば年齢にふさわしい渋い顔つき。

清潭な顔立ちと言えるほど引き締まっている。

どこかの國の騎士団長だろうか。

そうでなければあの強さも説明できない。

また立ち去ろうとした時にが男に耳打ちをした。

2,3度頷いたかと思えばもう一度振り返り、サラに向かって聲をかけた。

「誰にも言うんじゃねーぞ?……俺の名前はケイドだ」

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