《自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十數年酷使したはいつのまにか最強になっていたようです〜》第14話:未來が見えるから必ず明るい未來に繋がるとは限らない。だが、未來を変えることはできる。

俺が酒場を出ようと席から歩き始めた時、あまり聞きたくない聲の持ち主達から話しかけられた。

「あれ?おっさんじゃん。何してんの?」

「うわー、最悪なの見た」

「……キモいです」

この辛辣なの言い方。

俺のことを見下すような発言。

……ザブラ達だ。

正面から向き合うような形になってしまい、俺は苦笑いしか浮かべられない。

もう今日は帰って休みたいんだ。

頭だけ下げて立ち去ろうとすると、またザブラ達が口を開いてきた。

「おいおっさん。シカトはねーだろ?」

ザブラが俺の肩を摑み引き止めてきた。

なんだこいつは。構ってちゃんか?

「ザブラ汚いからやめなよー。……うわ、こいつ子供背負ってるよ」

イコルが背中にいるリムに気付いた。

いや待て待て。その前に汚いってなんだ?

俺は綺麗好きだぜ?

毎日寒くても水でを必ず拭くし、汗をかいたら放置せずに布で拭ってる。

さらにその布も毎日洗ってるんだぜ?

その俺に向かって汚いなんておかしいだろ。

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だが言い返すのは特じゃない。ここは穏便に……。

「聞いたぜー?今またBランクになったそうじゃねーか」

「そーなの?またどこかのパーティの荷持ちでしょー?」

「うわー、子供を騙したんですか?……気持ち悪いです」

……ほんと言ってくれる。

まずリムは立派な仲間だ。子供じゃねぇ。

いや子供かもしれねーが、お前ら以上に中長してるはずだ。

そして荷は俺が好んで持っている。

リムに重い荷を持たせられるか?

俺はには優しい男なんだよ。

旅してる間にこいつらの噂は聞いていた。

確かに強さと功績は素晴らしいものがあるが、人間がダメだ。

どこかしこで必ずめ事を起こしている。

俺の教育が失敗に終わったんだ。一部は俺のせいでもあるな。

「なんだよ睨みやがって。文句でもあんのか?あ?」

おっと。俺も気付かないうちに睨んでしまってたのか。

めんどくさくなっても嫌だな。

さっさと退散することにしよう。

「まぁ俺なんて気にすんなよ。お前らに比べたら吹けば飛ぶ存在だしよ」

ここは軽く流して終わった方がいい。

あんまり長居して他人に迷をかけちゃいけない。

だが、予想に反してザブラが怒りの形相を浮かべながら俺のぐらを摑んできた。

「てめぇ今なんつった?『お前ら』だと?いつまでも先輩面してんじゃねーぞ?」

近い。めちゃくちゃ顔が近い。

いやそれよりもそんな所に引っかかってここまでするのか?

隨分と心が狹くなったものだ。

どうするか。あまりめ事は……いやリムを起こしたくない。

ここは謝って穏便に……。

「くぉら!あんた達!め事なら他所でやんな!!」

酒場の奧から恰幅のいい將さんが大聲でんだ。

急にばれてビックリしたのだろう。

ザブラの力が抜けた瞬間に手を振り払い、逃げるように酒場を後にした。

追いかけてこないか後ろをチラッと確認すると、ザブラがフレイに止められている。

「おっさん!次會った時はぶっ殺してやる!」

「あんなゴミ気にしなくていいよー」

「食が失せました」

……まぁいい。

絡んでこないのはこっちにも都合がいいからな。

とっとと退散して、宿で寢るとしよう。

「ケイド、なんで何もしなかったの?」

暗い路地を歩いていると、リムが口を開いてきた。

どうやら起きていたらしい。

かっこ悪いとこを見せちまったな。

「ん?大人には々あるんだ。リムもそのうちわかるよ」

「えー!あんなのムカつくから毆っちゃえばいいのに。リムにはわかんない」

リムが首をそっぽに向けたのだろう。

し拗ねてるような口調だ。

こんなに可い子をあいつらのいざこざに巻き込む訳にはいかない。

やはり逃げたのは正解だったな。

「そんなことより寢なくていいのか?宿に著いたら明日準備して塔に向かうぞ」

「ムカつくから眠くないもん」

どうやら機嫌を損ねたらしい。

となれば取る行は1つ。

「よぉしリム、ちゃんと捕まってろよ?」

「えっ?ーーわわわわわ!!」

勢いよく走り出した俺の肩を必死に摑んでいる。

リムの機嫌が悪くなった時は遊ぶのが効果的だ。

今は遊び道がないからな。風のように走りまわるのがいいだろう。

人混みを避けるように走り、屋の上まで飛び街を見下ろしながら走り続ける。

「すごーい!ケイドー!綺麗だよ!街が綺麗ー!」

「……あぁ、そうだな!」

街が燈りに照らされて綺麗な夜景を描いている。

上空から見下ろす街並みはしく、そこかしこの人混みもまた風景となっていた。

嬉しそうにはしゃぐリムを背に、俺は絶対に泣かせることだけはしないと……心に誓った。

それから何日かを準備にあてた。

準備の最中にあいつらと合わなかったことが幸いだな。

まため事が起きても困る。

あのあと酒場で他の冒険者ともめて追い出されたらしいがな。

さらにその冒険者にも怪我を負わせたとか。

力だけあっても心が付いて來なきゃ本當の強さとは言えねぇ。

……教えてたはずなんだがなぁ。

まぁいい。考えるのは辭めだ。

今回も泊まりになる可能があるので水と食料をたっぷり用意する。

あとは回復系ポーションと狀態異常回復薬。

元々持っている薬にさらに追加した狀態だ。

リムも多回復系統の魔法は使えるが、全てにおいて準備は大事。

は多くなるが、塔攻略には必須だろう。

宿屋でお禮を言って出て行く。

目指すは最後の八柱の封印地、プロテオンの塔だ。

「ケイドー!おっきい!凄くおっきいねー!」

リムが塔を見上げながらんでいる。

確かにこの塔は高い。多分最上階から見下ろす景は最高級だろう。

途中の魔報もしっかりと頭にっている。

最上階にお寶があるのも聞いている。

これは攻略するのが楽しみーー

「っ!!うがぁ!!」

「ケイド!?どーしたの?」

急な頭痛が俺を襲ってきた。

ここ最近勝手に予知眼ビジョンアイが発し、ここまでの頭痛はじたことがない。

脳みそを鷲摑みにされながら剣でぶっ刺されるような痛み。

俺は痛みに耐えられず、頭を抱えながらうずくまる。

その痛みと同時に景が見えてきた。

それは……まみれのリムがいた。

悲しそうな顔をしている。

次の瞬間、俺がリムのを拳で貫いていた。

その拳にリムが手を當てて何かを喋っている。

ダメだ、聞こえねぇ。

そしてリムは人外の姿から人へと戻り、そのままかなくなる。

……俺がリムを殺すシーンだ。間違いなく、俺がーー

「くはっ!!」

「ケイド?ねぇケイド!!」

現実に戻ってきた。

なんて嫌な予知を見せやがる……。

隣では心配そうな顔をしたリムが俺の顔を見て泣きそうになっていた。

俺が?俺がこんなに可いリムを殺す?

間違ってる。絶対にありえない。

俺は笑顔を浮かべ、リムの頭をでた。

「……ごめんなリム。もう大丈夫だ」

「ほんと?ほんとにほんと?絶対に?」

「あぁ大丈夫だよ。こんなに元気さ」

俺が腕をまくり力こぶを見せる。

元気そうな顔ときを見て安心したのか、リムにも笑顔が戻ってきた。

「もう、びっくりしたよー!今までに見たことないぐらい痛そうだったもん!」

そうだ。今までにないぐらいの痛みで俺は膝を折った。

やはりリムは俺のことをよく見てくれている。

ずっと一緒に旅をしてきた大事な家族。

そんなリムを俺が殺す?絶対にそんなことはしない。

「ごめんなリム。気を取り直して、さっそく攻略しに行こうか!」

「はーい!」

頭をでると、リムが嬉しそうな笑顔と右手を上げて元気よく返事をした。

あぁ。やっぱりこの笑顔は崩したくない。

例え俺が犠牲になろうとも、俺はリムを守る。

俺たちは塔へと踏みれた。

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