《自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十數年酷使したはいつのまにか最強になっていたようです〜》第23話:いいか?生ってのは喜怒哀楽が存在する。それを無視することなど出來ないんだよ。

『ふむ。はまだ殘っておるのぉ』

空中から見の見に徹しているギアが口を開いた。

『仕方あるまい。その為にもあの人間を選んだのだ』

ウバシャスが髭を弄りながらそれに答える。

『しかし、この場に英雄の子孫と始祖の魔王がいるとはな』

ウートがザブラと魔王を互に見ながら口を開いた。

全員がこの戦いを注視している。

『全くだ。だが……ほれ。爭ったツケか?もう英雄の子孫は死に絶えた』

ザブラがリムの攻撃で言わぬ塊へと変貌した。

それを面白そうに手を叩きながら見ているのはグーゼットだ。

『しかし、リムがやられた場合は我々も危険ではないのか?』

ルストが口を挾む。

八柱はリム……いや終焉の魔王の復活の為に力を殆ど使い果たしている。

萬が一狙われればひとたまりもない。

それゆえ空中に避難し、この向を見守っていた。

『大丈夫じゃろう。飛べるのもリムだけじゃ』

『魔王も……もう瀕死じゃな』

『人間……魔……哀れなものじゃのぉ』

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『最後にあそこにいる男を殺して完じゃ』

八柱の目線の先には、まったくけなくなったケイドがいた。

リムは今ケイドと言う心の支えを侮辱され、殺されかけた恨みなどで覚醒している。

その狀態で心の支えを自で殺した時、本當の意味でリムは終焉の魔王として覚醒するのだ。

をなくし我々の命令のみ聞く』

『邪魔するものはもうおらぬ』

『我らの悲願、世界の終焉』

『我らだけの楽園はもう目の前だ』

リムと魔王の戦いは激しいものだった。

いや、激しく見えるだけで魔王が押されていた。

魔王がどんな攻撃をしても、リムはそれを避け、弾き、掻き消す。

逃げろと言われたフレイとイコルは、変幻自在にくリムから逃げられずその場に佇んでいた。

「くそぉぉぉぉ!!」

魔王がびながら攻撃を繰り出している。

右手から放たれた『魔炎弾』。

された魔力はれたものをかき消すほどの威力。

事実通った地面は削られているほどの魔法だ。

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「……」

しかしリムが右手を振り払うと、その魔法は掻き消えた。

打つ手がない。

魔王の表にも焦りの表が浮かんでいる。

「オワリ……ダ」

リムの目がった。

魔王も何が起きても対処できるように構えを解いてはいなかった。

しかし、反応できるスピード以上の速さで魔王へ向かっていった。

「う……ぐっ!」

一本の線。一筋の

魔王を襲ったは、右半を消滅させていた。

傷口は焼けただれており、魔王の口から吐した。

誰が見ても致命傷だ。

「ぐっ……あああ……」

首だけをリムの方へ向ける。

だがその瞬間魔王の首は宙を舞った。

「ククククク……」

遊んでいる。リムはこの狀況を遊んでいるのだ。

空中に飛んだ魔王の首を蹴りで砕すると、殘った魔王のが音を立てて地面に沈んだ。

殘っているのはイコルとフレイ、そして俺だ。

「おっさん!!なんとかしなさいよ!!」

イコルが目に涙を溜めながらんだ。

だが俺は……何もできない。

ダメなんだ。心が……折れてるんだ。

「きゃぁぁぁぁ!!」

地面を向いていた顔を上げると、リムがフレイとイコルを両手で同時に持ち上げていた。

片手に一人ずつ。頭を鷲摑みにしている。

「やだっ!やめてぇぇぇぇ!!!」

「死にたく……死にたくないぃぃぃ!!」

耳をつんざくような悲鳴が聞こえてくる。

泣きぶようなイコルとフレイの聲。

見たくない。

聞きたくない。

俺は……止めるべきだ。

この殺戮を……止めるべきだ。

だが折れた心はかない。

迷っている間にい果が砕けた音がした。

は潰され、の滴る音。

その音は生命を2つ摘み取った音だ。

「ケイド……」

低く聞きなれない聲が俺にかけられた。

近寄ってくるリムは全に返りを浴びている。

指先からもが滴っており、可かった過去は全て消え去ったよう。

目の前にいるのは……ただの怪だ。

「あ……あ……」

確かに目の前にいるのは怪だ。

しかし……やっぱりリムなんだ。

俺にはわかる。むしろ俺にしかわからないのかもしれない。

リムは……リムだ。

「ケイド……ケイド……」

何度も俺の名前を呼びながら近づいてくる。

周りは死累々。リムが……いや、俺たちが引き起こしたんだ。

『待てリム。目の前の男は敵だ』

急に空から聲が聞こえてきた。

この聲はウバシャスだ。

俺が敵?どういう意味だ?

リムも困しているのか、その場で立ち止まってしまった。

多分俺を敵だと言われて混しているのだろう。

先程までずっと俺の名前をび続けていたのに。

八柱がすぐ近くまで降りてきた。

そしてリムを囲うようにして回っている。

『さぁ最後の仕上げだ』

『この男を殺せ』

『全てのを斷ち切るのだ』

八柱が手をかざしリムへ何か魔力を込めている。

なんだ?リムに何をしているんだ?

『グォァァァァ!!』

リムが苦しそうな顔をしている。

辭めろ。辭めてくれ。

これ以上リムを苦しめないでくれ。

「やめろぉぉぉぉぉ!!」

俺は気付くと聲を荒げながらじーさんに向かって走っていた。

リムは苦しんでいる。

この殺戮もリムの本心ではなかったのかもしれない。

このじーさん……いや、じじい共にられて……。

「おるぁ!!」

右手を振るいじじいに思いっきりぶちかました。

だがじじいに屆く前に俺のは吹き飛ばされる。

いてぇ。なんだよこいつら。

これは……結界か?

の程をしれ。ゴミが』

じーさんが俺に向き直ると、數多の魔法を繰り出して來た。

なんとか立ち上がり避けるが、數が多すぎる。

「くっそぉぉぉ!」

両手に魔力を集め叩き落とす。

何発も叩き落とすが、それでも魔法はやむ気配がない。

落としそこねた魔法弾が肩に、膝に、腕に當たる。

「ぐはっ」

ダメだ。

俺がいくら撃ち落としてもキリがない。

ちくしょう。やっぱ勝てねーのか。

『はぁ、はぁ……さぁリムよ。トドメを刺せ』

「ケイ……ド……」

『全てを……はぁ、はぁ……斷ち切れ……』

地面に橫たわりながら俺は目線だけをじじい達に向けた。

なんだよ。じじい共も疲れてるじゃねーか。

その中心にいるリムは……どうした?

大人しくなってるじゃねーか……。

『殺せ!全てを斷ち切り終焉へ向かうのだ!』

『奴はもう用済みじゃ!殺れ!!』

「……ケイド……」

ゆっくりリムが俺に近付いてくる。

くそっ。俺の人生はここで終わりを迎えるのか。

こんな慘めな姿で……地面に寢たまま終わるのか。

いや、最後ぐらいかっこよく死なせて……貰うぜ。

「ぐっ……おおおおぉぉぉぉ!!」

俺はびながら全に力を込めた。

震える膝を叩き起こし、力のらない背骨をばす。

顔を上にあげながらび、自分をい立たせた。

「ケイド……」

リムの目には俺がどう映ってるのかな。

最後のあがきをするおっさんか?

利用されて捨てられるゴミか?

いや、ゴミだと思ってるのはこのじじいだけのはずだ。

リムは……俺の知ってるリムはそんなことない。

「さぁリム。……お前に殺されるなら本だ」

俺は構えをとった。

なんてかねぇ。

いやかす方法はあるが……今のリムには何をしても意味がないだろう。

じじい共に利用されて殺されるのはしゃくだが……。

もうリムの目には俺がうつってないんだろうな。

だからリムに殺されるなら、俺もまだ我慢できる。

「ケイ……ド……」

リムの手が俺の腕にびて來た。

不思議と怖くはない。これから死ぬのに。

リムの手はあの溫もりはもうなかった。

ゴツゴツとした手。背も俺より高い。

その手が……俺の首にかかる。

「…………リム」

『さぁ殺せ!全てを斷ち切るのじゃ!!』

外野がうるせぇ。

今は俺とリムだけの世界なんだ。

最後ぐらい靜かに看取ってくれよ。

「リム……今まで……ありがとな」

「…………!!」

リムの目にが見えた。

これは……涙か?

リムが泣いて……いるのか。

最後の最後に泣かせちまったな。

……ごめんな、リム。

「ケイド……ケイドケイドケイド……グオォォォ!!」

一際大きな咆哮がリムから上がった。

どうしたんだ?一何が?

『チィ!不完全か!』

『一緒にいた期間が長すぎたのか!』

『これほどまでに……貴様は我々の人形のはずじゃ!』

「ふざけるな!!」

クソジジイ供め。

勝手なことを言うんじゃねぇ!

「リムはリムだ!てめぇらの人形なんかじゃねぇ!」

ふざけたこと言いやがって。

リムは……俺の大事なリムは……。

「リムは人間だ!俺と一緒に旅をした大事な仲間だ!!」

その瞬間俺はまた弾き飛ばされた。

ウバシャスが放った魔法が俺に直撃し、息をするのも苦しい。

くそったれが……。

「う……ぐ……」

『何も知らぬゴミが』

『我々に口答えをするな道化』

『もう一度じゃ。もう一度理を飛ばすのじゃ』

またジジイ共が詠唱を始めた。

リムを囲うようにして、リムに右手をばす。

そのリムは……ずっと俺を見ていた。

「ケイド……」

『殺すのじゃ』

「ケイドケイドケイドケイド……」

『お前は人形じゃ』

「ケイド……ケイド……」

『さぁ全てを解き放ーー』

その瞬間ウートのが橫に真っ二つになった。

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