《自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十數年酷使したはいつのまにか最強になっていたようです〜》番外編①:ケイドとリム
あぁ……死ぬってこんな覚なんだな。
俺は暗い海をゆっくり沈んで行く覚に包まれていた。
全生命力を使って放った一撃。
それはリムのコア悪い部分を破壊し、正気を取り戻す事が出來た。
それだけじゃない。
握っていた霊薬はリムを蘇生し、生き返らせる事が出來た。
これで満足だ。
俺の人生は、したを守って終わる。
そのしたの膝枕。
らかかったなぁ……。
リムが俺を見ながら何かんでいたが……ごめんな。
最後の言葉は聞き取れなかったよ。
でも……いいんだ。リムさえ生きてくれれば俺はーー。
いや、満足しているのか?
したを守る事は出來たが、この先は?
あの塔の崩れる瞬間。
リムはちゃんと逃げる事が出來たのか?
死ねない。
死にたくない。
なんだ?俺は満足してねーのか
「はっ」
乾いた笑いが口から溢れる。
だがそれを聞いている相手はいない。
くそう。死ぬのか俺は。
段々と意識が薄くなる。
まるで眠りに落ちるかのように。
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「ほっほっほ。よう來たのぉ」
「なぁに。たまたま通り道だったからな。リムもじーさんに會いたがってたし」
……なんだ?回想か?
ははっ。死ぬときには走馬燈を見るなんていうがな。
これで俺は何回目の走馬燈だ?
「リムね?いっぱい悪い魔倒したんだよー?」
「おぉ!さすが我が孫じゃのぉ」
「えっ?リムはじーさんの孫なのか!?」
リムがじーさんにでられて嬉しそうだ。
そうだよな。リムはじーさん想いのいい子だった。
「でねー?でねでね?ケイドがバーン!ってしたのをリムがーー」
「ほっほっほ。素晴らしいのぉ」
「まぁ俺とリムのコンビならどーってことない相手だったぜ」
あぁそうだ。
そこには幸せがあったな。
帰る家があって、話す相手がいて、一緒に食べる飯は味い。
「ケイドよ、リムを頼むぞ」
「ん?もちろんだぜ?……そうだ、あそこに生えてる霊薬の元を摘んでもいいか?」
これは……出発の日か。
そうだったな。この時もじーさんに頼まれてたんだっけな。
ここで霊薬の元を摘んでおいて正解だった。
最初に見た時から気にはなってたんだ。
そして……じーさんとの會話。
これは俺も覚えてる。
リムを頼む……か。すまんなじーさん。
俺はもう終わりらしいんだわ。
じーさんが俺たちをずっと見送っている。
リムも嬉しそうに手を振って可いな。
だけどなんだ?
なんで俺はじーさんの後ろから自分を見送ってるんだ?
「全く。近頃の若いもんは約束も守れないのか」
ん?じーさんなんて言った?
獨り言か?
いやそんな獨り言を聞いた覚えないぞ。
「當たり前じゃ。わしはお主に話しかけておる」
じーさんが後ろを向いた。
その両目はしっかりと俺を見ている。
おかしいぞ?これは俺の走馬燈だろ?
なんでじーさんが俺に話しかけているんだ?
「お主が死ぬのはまだ早い。若いもんはもっと人生を謳歌するべきじゃ」
は?いやいやいや、何を言ってるんだ?
俺はもう死んだんだよ。
もう……死んだんだ。
大好きなを抱くことも出來ねぇ。
「はーっ。本當に頭が固くてジジくさいのぉ。だからおっさんなどと呼ばれるのじゃ」
うるせぇ。余計なお世話だ。
心ついた頃からずっとこれだよ。
「まぁよい。わしが任せると言ったのじゃ。すぐに戻れ」
は?
だからな、俺はもうーー
「バカもの。お主は死んじゃおらんよ。リムに謝するのじゃ」
は?だから何遍も言ってるが……。
そうじーさんが言った瞬間に俺はその場から遠ざかり始めた。
何かに引っ張られるように。
おい、まてよ!
まだ話は終わってねーぞ!!
「大事な……ファース……スを……リムを……頼むぞ」
俺のは吸い上げられるような上昇を験した。
じーさんの最後の顔。
あれは一生忘れられないだろう。
じーさんはいつも最後の言葉が聞き取れねぇ。
俺は……本當に生きてるのか?
「……ド。…………イド!」
誰かに名前を呼ばれる聲がする。
俺は目をゆっくり開けた。
そこには見慣れたリムの顔。
まさか……リムも死んだのか?
「あれ?リムもあの瓦礫に……」
「違うよ!生きてるんだよ!ケイドぉぉぉぉ!」
リムが俺に覆いかぶさるようにを投げ出してきた。
重……くはない。
再生した時は大人サイズだったリムが、今は型に戻っている。
周りを見回して見ると、塔は全て瓦礫の山となっていた。
これでは、ザブラ達を見つけるのは不可能だろう。
リムが泣きながら俺のにいるのに、何故か冷靜に周りを見る事が出來た。
「ケイドぉぉぉぉ!!」
「あぁすまんすまん。……俺たちはどうなったんだ?」
至極真っ當な疑問だ。
あの高さから落ちて無傷とは考えにくい。
さらにはまったリム。
何が何だかわからない。
いや、1つだけ思い當たる節がある。
じーさんだ。
もしかするとじーさんが俺たちを保護してくれた?
「まさかな……」
「ケイド……?」
自嘲気味に笑った顔にリムが疑問符を浮かべながら見てきた。
俺はリムに向かって微笑みながら頭をでた。
しっかりと覚が伝わってくる。
夢じゃない。
俺は……生きてるんだ。
「リム、お腹すいたな」
俺が突拍子も無いことを言ったからだろうか。
一瞬ポカーンとした表を見せたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「うん!野菜いっぱい食べよう?」
「いやー、それはちょっといらないかな」
俺の反論にリムの顔が膨れる。
だが2人して見つめあった後、すぐに笑いが起きた。
そう、俺たちの戦いはここで終わりを迎えたのだ。
「さーて、一度街に帰ってから王國に戻るかな」
「うん!あ、ケイド……」
「うん?どうした?」
リムがしもじもじしながら俺を見つめている。
なにかを伝えたいのだろう。
それならこれ以上俺から口を開くのは野暮だ。
大人しく待つことにする。
だがそれはそんなに時間がかからなかった。
「あのね?ケイドがよければーー」
「おう、これからもずーっと一緒だぞ?」
「ケイド!!」
すまんな、さっきのは撤回だ。
そんなセリフをに言わせるわけにはいかない。
うって行為は男からするもんだ。
ぱぁっと明るい顔をしたリムが俺にもう一度抱きついてきた。
これから先、リムと一緒に暮らしていくのがいいだろう。
安い家でも買って、のんびり過ごすのもオツだな。
「よし、んじゃ帰って味いもん食うぞー!」
「うん!!あ、でもお金……」
「あっ……」
そうだ。
金は全部荷袋にれっぱなしだ。
この瓦礫から見つけるのは……無理だ。
俺は瓦礫に目線を向けたが、すぐにリムに向き直った。
また前言撤回するとはな。
「よしリム。まずは簡単なクエストをけてお金を稼ごう」
「うん!リムも一緒に行くー!」
俺たちの戦いはまだまだあるようだ。
ま、この世界で生きて行くなら仕方ない。
これも俺の運命としてけれるしか無いか。
だが……もう俺は1人じゃない。
リムがいる。
ふと、俺とリムのやり取りが見られているような気がした。
だがここには誰もいない。
背後にじーさんの気配を一瞬じたが……気のせいだろう。
俺は立ち上がり、リムと手を繋いだ。
「なぁリム?俺が意識を失う前に……にらかいのが當たったんだが」
「えっ?知らなーい!」
リムが小悪魔のような笑顔で俺を見てくる。
ま、まさかな。
俺のは確かにらかいナニカにれたのを覚えている。
あれはどう考えてもキーー。
「ケイド、早く行こうよ!リムお腹すいたー」
「お、おう。そうだな!」
あのらかいとじーさんのセリフがずっと頭に殘っている。
多分……いや、きっとそうだろう。
だけどな、これ以上の詮索は男としてダメな事だ。
俺の脳に預けておこう。
俺たちは街への帰り道を歩き始めた。
悪魔の証明 R2
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