《自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十數年酷使したはいつのまにか最強になっていたようです〜》番外編②:王國と王

王國からサラが出発する日。

サラも軽鎧だが王國の紋章がった立派な鎧にを包んでいた。

王からのおれで兵士が集められ、総勢で約500名。

場所が遠いのと、スタンピート討伐と聞いてそこまで希者が現れなかったのが原因だ。

しかし集まった人材の中には貴族の息がかかった兵士もいた。

それ故にサラは出発せざるを得ない狀況になる。

もし「兵士がないから辭める」などと言えば、どんな嘲笑と失墜をけるかわからないからだ。

王國の門から500名の兵士が旅立った。

サラは馬車に乗り、側近と部隊長が馬に乗る。

そしてほとんどの兵士は徒歩での移だ。

ここからスタンピートで襲われそうな街までの距離は10日以上。

し長旅になる。

何度かの休憩と宿泊を経て目的地の場所へ到著した。

街は慌ただしくいており、防壁を作るのに忙しそうだ。

サラが馬車から外を覗くと、1人の男が歩いて來た。

「遙々王國からようこそいらっしゃいました。援軍を謝いたします」

「苦しゅうない。楽にせよ」

サラもこういった場所での発言と行は把握している。

王族の威厳を落とさずに、民のことを考える用さも持っていた。

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近付いてきた男は、この街を切り盛りしている長「グドー」と言うそうだ。

グドーの案で街を歩き始めた。

街には商店街もあるが、スタンピートの影響か商っている店はない。

兵士達の泊まる場所と、自分たちの泊まる場所を案してもらった。

達はもう1日程で街の近くに現れるらしい。

グドーの案の元、屋敷に招待されそこで迎撃する會議が始まった。

サラを含めて10人程が席に著いている。

最近の報告では、大小合わせても1000匹程。

の強さは後ろに行くほど強くなるが、サラの連れてきた兵士と駐留する冒険者でなんとかなるだろう。

話を聞く限り、滯在する冒険者はDからAランクまでいる。

Aランクの冒険者がいれば、相當強力な魔出ない限り倒せるはずだ。

「サラ様、こちらがAランク冒険者パーティ『サザンクロス』の方々です」

「初めましてサラ様。我々はーー」

サザンクロスのリーダーが立ち上がり、サラに話しかけた。

サラサラのブロンドヘアをしているハンサムなイケメン。

なら誰でも虜になりそうなルックスを持った男だ。

リーダーはパーティメンバーの紹介をすると椅子に腰かけた。

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ウィンクをサラに送りながら……だがサラはそれを華麗にスルーした。

それからも會議は続いた。

兵士の配置と、後半戦になった時の勢力のれ替え。

さらには補給部隊や魔法部隊による撃など。

その會議は夜遅くまで続く。

會議が終わったあと、サラは部屋で1人考え事をしていた。

スタンピートまであと1日。

一緒にやってきた兵士達は魔法で回復させてもらえるとしても、準備期間が足りない。

最初から救援に迎えていれば……

だが過去に戻ることなど不可能だ。

今は現狀で目の前を打破するしかない。

「ふー……」

あてがわれた部屋は王國の自室に比べて狹かった。

しかしこの狹さが逆に安心を覚える。

ベットも自室のよりはいが寢れないわけではない。

仰向けになり、右腕をおでこの上に置く。

しシミの出來た天井が心の不安を表しているように見えた。

「……ふー」

(最近ため息しか出てないわね)

自分の行に諦めたような笑い聲が溢れる。

世間を知らず親の言う通りにいていた頃に比べて隨分と自我が出てきたものだ。

それは我儘なのか、それとも民を思う気持ちなのかはわからない。

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しかし自分の人生を悔いが殘るものにはしたくなかった。

出來る事があるならなんでもしたい。

兵を率いて討伐しろと言われた時は萎してしまったが、今は覚悟を持つ事が出來ている。

もしここで死ぬなら……そこでサラは考えを止めた。

考えるなら別の事だ。

先ほどの會議でも話したが、兵のかし方や回復のタイミングなどだろう。

サラも期に戦爭の陣形や人のかし方を學んだ事はある。

だがその頃は兄が王家を引き継ぐとしか考えていなかったため、そこまで知識があるわけではない。

(ちゃんと勉強しておけばなぁ……)

後悔先に立たずとはまさにこの事だ。

今更過去を振り返っても改変することは出來ない。

しかし今回の討伐にはAランク冒険者パーティがいる。

そして同行した人の中には軍団長もいる。

メインで兵をかすのはサラかもしれないが、特に軍団長にはお世話になるだろう。

軍団長は王側の人間だ。

サラには喜んで協力してくれるだろう。

貴族達もメンツの為かわからないが、數十名の兵を渡してきている。

その兵士も戦力としては強い部類にる。

だが敗戦濃厚になれば逃げられる可能も高い。

上手く導などしないと部から崩壊してしまうだろう。

も1000匹ならなんとかなる筈だ。

(考えすぎかしら。でも考え続けなきゃ勝てないわよね)

明日は朝から準備しなければならない。

考え続けなければ勝てないかもしれないが、そもそも寢不足ではもっと危ないだろう。

サラは目を瞑り、今度こそ思考を止めた。

次の日の朝。

500名の兵士と集まった冒険者達を前にして、サラは壇上に上がり見渡していた。

目の前では軍団長が作戦の指示を伝えている。

し寢不足な部分がサラにはあったが、朝から新鮮な果を絞ったジュースを飲んで脳をクリアにしていた。

軍団長がサラに挨拶を求めてきた。

兵士の士気を鼓舞するためにもサラは一歩前へ出る。

「私は……」

何を言おうか。

いや先程までは決めていたのだが、數百の目線がサラに集まると、一気に飛んでしまった。

期待と不安、珍しそうな目線など様々な思がサラに突き刺さる。

だが、それに負けていては指揮など出來ない。

「私はサラ・ワードクリフ。この戦いの長を勤めます。

ですが見てもわかるように、皆さんのように力があるわけでも能力が高いわけでもありません」

この発言にしざわめきが起きる。

これから魔を討伐するのに長がこんなに弱気でいいのかと。

期待よりも不安や揺が多く見えた。

「しかし……私はこの國が好きです。

生まれ育った國の街が魔に襲われようとしている。

それを許すことは出來ません。

だから……みなさん力を貸してください」

サラの目は真剣そのものだ。

自分の弱さを知っている。

上から目線で命令だけをするなど出來ない。

もしかしたら場面によっては必要なのかもしれないが、今は最適ではないだろう。

「國を守るため、街を守るために立ち上がったみなさんには謝しかありません。

の數は膨大です。

でも!みなさんならやれると信じています!」

サラが言葉を紡ぐ。

噓偽りのない本心からくる言葉。

いつの間にか大半の兵士達がその目を輝かせ、サラの言葉に耳を傾けていた。

「我々はこの戦いで勝利を得ます!

國を、民を、街を守り、平和な日々をまた勝ち取りましょう!!」

「「「おぉぉぉ!!!!」」」

「部隊、出陣!!」

士気は最高まで高まった。

軍団長がし目を潤ませている。

なからずとも軍団長もあるサラを知っていた。

だが今目の前にいるのは我儘で自分勝手な王妃ではない。

國の代表として、國を守るために立ち上がった軍団総司令だ。

涙をこらえながら軍団長が出陣を命令していく。

集まった兵士達は最高に高められた士気で配置についていった。

「お見事です」

「いえ、私に出來るのはあれぐらいしかありませんから……」

軍団長が皿の元へくる。

すでに外では魔の迎撃態勢が整っていた。

街から西にし離れた平原。

軍はそこに配置させてある。

街の正面部分を一番厚く守りを固めていた。

その奧にサラたちが陣取っている。

今その場にいるのはサラと軍団長、そして貴族側の兵士統括を任された師団長。

そして護衛に數人の兵士が待機している。

本陣からし離れた両端には約100ずつ人の配置。

はまっすぐ進んでくると報告をけているので、一番兵士を厚くした場所で足を止めて両脇から崩していく。

軍団長が提案した『両翼挾撃』と言う陣形だ。

しかし1つ疑問が出てきていた。

スタンピートとは本來ダンジョンから出てきた魔が周辺を荒らすものだ。

街までまとめてくるのは珍しい。

しかも固まっているとなると、魔を使役するナニカがいる可能が高い。

の強さもそうだが、連攜を取られた時がし危ない気もする。

それに対抗できるのはパーティを組んでいる冒険者たちだ。

Aランクのサザンクロスもいるが、彼らは本命が來る時のためにし溫存しておきたい。

最初はBランクやCランク冒険者たちが活躍するだろう。

両翼に配置してあり、魔っている存在が見えれば撃破しにいく。

最後の打ち合わせをしていると、男が1人慌てたようにびながらサラ達の近くまでやってきた。

向を摑ませる為に送り出していた伝令兵だ。

師団長が眉を持ち上げながら聲を荒げる。

「うるさいぞ、何事だ」

「ま、魔です!大群が現れました!」

「知っておる。それを潰すために我々がいるのだろう」

師団長は不機嫌そうだ。

何故かというと、サラに何も力はないボンボンだと思っていたが先程の演説で考えが変わっていた。

もし彼がこの討伐を功させてしまったら、貴族側に何らかの被害が出るだろうと。

そうなると甘いを啜っている自分たちにも被害を及ぼしかねない。

貴族達の命令で來ていたとはいえ、サラをどうにかする事を心に誓っている。

しかし伝令兵が持って來た話は師団長にとって追い風となる話だった。

「い、いえ!1000ではありません!2000、いや3000はくだらないかと!」

「な、なんだ……と?」

顔を青くしながら軍団長が立ち上がった。

が3000ならば500の兵は吹き飛ばされてしまうかもしれない。

いくら強くても疲労がたまれば度も落ちていく。

疲弊した冒険者などが格下の魔に殺される話は珍しくない。

伝令をけた司令部は一瞬靜まり返った。

軍団長が何かを支持していているが、サラはいていない。

そして誰にも見られないように師団長が口に端を上げた。

(こんな時に……こんな時に英雄が居てくれたら……)

サラの思考回路が現実から逃げるようにいていく。

しかし絶対に逃げるわけにはいかない。

どんなに魔の數が多くても、戦う前から司令が逃げたとなれば、民からも不平不満が出るだろう。

それだけではない。

貴族の連中からも避難を浴び、サラが表に出る事はなくなる。

下手したら國外へ追放だ。

それならば、やる事は一つ。

「やるしか……ないですね」

サラが下を向きながら口を開いた。

恐怖と不安が一気に押し寄せてくる。

もしかしたら民も救えず自分も死ぬかもしれないと。

それを見た軍団長が口を開いた。

「……大丈夫です。我々が持ちこたえれば、必ず援軍が現れるはずです」

事実、その報告を聞いてすぐに軍団長は王國へ援軍要請を送った。

この街で止められなければ、周辺にも甚大な被害が出ると加えて。

周辺の街に被害が出るとなると、一部の貴族は領土を守るために兵士を送り出してくるだろう。

そうなれば全駆逐とは行かずとも被害は抑えられるはずだ。

「幸いにも報告では殆どがFランクの魔です。後は頭さえ潰せば魔も散り散りになり、各個撃破しやすくなります」

「そう……ですね」

軍団長が作戦を改めて他の人間に伝え始める。

もう間もなく戦爭は開始されるだろう。

ここで食い止めなければ、街が壊滅してしまう。

サラも覚悟を決め、改めて気合をれ直した。

「……行きましょう。討伐です」

サラ、軍団長、師団長が司令部から出て行った。

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