《自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十數年酷使したはいつのまにか最強になっていたようです〜》番外編②:王國と王③
開戦。
実際には笛の音や鐘が鳴った訳ではなく、なし崩し的に戦闘が始まった。
魔は本當に隊列を組んでおり、正面と左右からの攻撃は有効そうだ。
真ん中に位置する魔は戦闘に參加できていない。
そして殆どの魔が理攻撃しか手段を持っていなかった。
弓や魔法の類はほとんど見られず、遠距離からも攻撃が有効。
最初こそ勢いが強かった魔たちだが、なんとか堪えている。
それでも數の暴力とは恐ろしいものだ。
しでも兵士側で前に出すぎたりすればあっという間に囲まれて殺される。
目の前で戦友が死ぬと、なからず揺が走るらしい。
その點冒険者たちは優秀だった。
周りの兵士の鼓舞と能力向上の魔法。
さらに大量の魔との戦い方を知っている。
兵士たちもある程度慣れているとはいえ、ここまで大量なのは初めてだ。
遠距離部隊が魔を牽制し前衛たちが駆逐していく。
しかし堪えられていたのは最初の方だけだった。
1人、また1人と魔に飲み込まれていく。
1000匹でもつらいと言われていたのが、その3倍を相手しなければならない。
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だが、なんとか半分以上の魔は倒し勝利が見えそうな所まで來ていた。
サラ達は、し高臺に登っている兵から戦況の報告をけていた。
負傷した兵を下げて別働隊を投するなど、サラと軍団長が捌いている。
師団長も貴族部隊に指示をしているが、上手くいているようだ。
あまり前には出しすぎていない。
むしろ數名の貴族部隊兵に何か指示を出している。
勝てる。たとえ相手が弱くとも3000匹。
それを勝利で収められるのが見えた。
だがそれは高臺の兵士によって崩れ去る。
「敵襲!!さ、さらに1000!一番後ろには……ジェネラルオーガです!」
「な……んだと!?」
増員。
魔が溢れて來るダンジョンを潰さない限り増援が終わらないのかもしれない。
しかも相手の大將はジェネラルオーガだ。
鬼種オーガの変異。
オーガだけでもBランク程の強さがあるが、ジェネラルオーガならSランク指定までされている。
滅多に人里に姿を見せない変異が生まれていたのだ。
さらにそれだけではない。
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魔を統率している能力も有しており、すでにこちらも負傷兵や疲弊した者を合わせれば戦える者もかなりない。
ジェネラルオーガの統率能力は対象と近いほど力が増幅される。
そして一緒にいるのはオーガの群れ。
弱いと言われる魔相手でも疲弊しているのに、さらにオーガクラスが先頭に加わればどうなるかは予想がつく。
つまりこれ以上の激しく厳しい戦闘が予想されるのだ。
サラの顔がさらに青くなる。
勝利が見えた瞬間に絶へと叩き落とされた。
街の住民はある程度他の街へ避難させている。
しかしまだ逃げきれていない住民もいるのだ。
今更逃げるわけにはいかない。街を守るためにも。
それをニヤニヤした顔で見ている男、師団長だ。
「ククク……サラ様、もうここはお捨てになって逃げた方がよろしいかと」
「な、何を言ってるの!?」
出來るわけがない。
自分だけ逃げてしまっては、殘って戦っている兵や冒険者に顔向けが出來なくなる。
それに殘された民はどうなる?
腹を決めて抵抗し、援軍を待ち続けるしかないだろう。
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軍団長が指揮とゲキを飛ばしている。
今司令部から何人もの兵が飛び出していった。
攻撃ではなく防を中心にする陣形へと。
まだ持ちこたえるつもりでいる。
師団長も何かを指示していた。
撤退なのか攻撃なのかはわからない。
その指示が終わるともう一度サラに口を開く。
「サラ様、ここは一度逃げましょう。近隣にサラ様自ら援軍を要請しにいくのです」
「私が離れるわけには……いきません」
「…………ちっ。グダグダうぜーな。お前が逃げてくれないとこっちも仕事が出來ねーんだよ」
「……えっ?」
師団長の顔が醜く歪み始めた。
サラを見る目は野獣そのもの。
腰に帯刀していた剣を抜こうと手をかざす。
「き、貴様……!サラ様に向かってーー!!」
軍団長が抜刀しようとした瞬間に後ろから腹を刺された。
一緒にいた軍団長の兵士もやられている。
刺したのは先程師団長が何かを命令していた兵士だ。
躊躇なく突き刺された剣を兵士が抜くと、軍団長がその場に倒れた。
「ひっ……」
「抜刀とは危ないですねぇ。……さて、本命の仕事をしますか」
師団長は大貴族からサラ拐を指令された男だ。
その指令書は大貴族のサインがっているのを持っている。
今までも要人や邪魔者を消す手伝いをしていたが、今回は王族の拐。
萬が一バレれば大貴族からも見捨てられ処刑される。
そうならない保のために用意させていた。
しかしスタンピートの規模と魔の強さから問題はないだろう。
むしろ早めに出なければ、師団長達が魔に殺される可能もある。
防陣形を指揮し、今のタイミングが一番逃げる時間を稼げる。
そう思い師団長が行を開始した。
「殺しはしません。安心して捕まってーー」
捕まえようと手をばした瞬間師団長の顔にいが當たった。
サラがにつけていた指だ。
しかも當たりどころが悪く、目に當たってしまい師団長が怯んだ。
(今しかない……!)
サラはその場から逃げるように走り始めた。
軍団長は死んでしまったのだろうか。
軍団長の斜め後ろにいたサラからは顔が見えなかった。
まだ魔に殺されるならいい。
しかし今は師団長が裏切り自分を殺そうとしている。
逃げるしかない。
民と兵士、冒険者のことも一瞬浮かんだが、殺される恐怖の方が強かった。
「このクソアマぁぁぁ!」
司令部から出る瞬間師団長の吠え聲が聞こえて來た。
殺しはしない。だがひどい暴力は振るわれるだろう。
逃げるしかサラには選択肢がなかった。
捕まれば酷い目にあうのは軍団長を刺したことからも容易に想像できる。
逃げて誰かに援軍を求めた方がいい。
だが誰に?
冒険者たちは今最前線で戦闘をしている。
しかも國の端っこであるこんな場所に好きこのんで戦える人は來ないだろう。
サラは逃げながら絶が心を支配されそうになった。
視界の悪い森へと逃げる。
だがにつけている鎧がサラの走りを邪魔する。
軽鎧とはいえ、慣れてないサラは力が削られていく。
(だれか……誰か!!)
走った事によりが乾く。
聲を出したいがそんな余裕はない。
すぐ後ろに追いかけてくる人間の足音が聞こえている。
逃げなければ。逃げなければーー
「やれ!」
師団長の聲とともにサラの足を1本の矢が貫いた。
痛みによってサラがその場で転倒する。
なんとかもがいて立ち上がろうとするが、手足が思ったようにかない。
疲れと痛みがサラを同時に襲って來る。
それでも走らなければ……。
「はーい、そこまででーす」
サラの口に布が突っ込まれた。
相手の聲を発生させなくするためには一番手っ取り早い手段だ。
なんとか腕と足をかそうとするが、それも抑えられてしまった。
抵抗できない。
大人4人が一箇所ずつサラの四肢を抑えつけ、何も出來なくなる。
そこに師団長が現れた。
隣には弓を持った男も一緒にいる。
サラの近くまで來ると、上から覗き込むように見てきた。
「まったく、めんどくさいですね。あー、傷にしたので君は処刑だな」
「えっ?」
隣にいた弓を持つ兵士が驚いた顔をしている。
師団長に命令されったのに、何故か自分のせいにされたのだ。
驚くのも無理はないだろう。
しかし師団長がそのまま剣を抜刀し弓兵の首をはねた。
サラの目の前でだ。
これ以上抵抗するならこうなるぞ、と脅しも兼ねているのだろう。
「ふむ。しかし……いいですね。貴方達も思うでしょう?」
四肢を抑えつけている兵士がそれに同調する。
目の前で兵士を殺した師団長の言葉だ。
同意しないわけにはいかないだろう。
心なしか抑えつけている手が震えている。
萬が一その手を離し逃げられでもしたら……最悪なことが想像できる。
「ふむ。すでに傷ですからね。生娘でもあるまいし、私が毒味しましょう」
ニヤニヤとした顔をしながらサラに手をばす。
サラは必死に抵抗しようとを左右にかすが、男達に抑えつけられているためけない。
それでも抵抗しようとを跳ねさせたり、足を引いたりなど暴れ始めた。
「んー!!んーんー!!」
顔を真っ赤にしながら必死の抵抗。
軽鎧を切り剝がされ、下著姿がわになる。
育ちきったとらしいらかそうな。
抑えつけている男も鼻の下をばしている。
しかしサラは抵抗し続けた。
これから何をされるかを察し、しでも時間を引き延ばすために。
だれが來るかわからない。むしろ魔が來るかもしれない。
凌辱されるぐらいならぐらいなら魔に殺される方がマシだ。
すると師団長がばしていた手を引っ込めて、し難しそうな顔をした。
なくともサラの抵抗は効果があったらしい。
一瞬サラが気を抜いた瞬間に、お腹に拳が振り下ろされた。
「ーーーー!!」
「あとで治療すればいいでしょう。まったく、抵抗するなど……」
腹を中心に何度も毆りつけてくる。
顔を手のひらで叩かれ、脇腹に蹴りをれられる。
口にっていた布が叩かれると同時に飛び出した。
だがぶ気力すらない。
苦痛と恐怖がサラを襲い、抵抗する気力を奪っていった。
「さて……と。やっと大人しくなりましたね」
師団長が汚い笑顔を顔に浮かべている。
その辺のを抱くわけではない。
相手は國の王だ。
興しているのだろう。
「いやぁ……いや……」
「すぐに気持ちよくなりますから。安心しなさい」
下半をいだ師団長がサラの足を摑む。
(死のう……)
サラは自分で舌を噛み切ろうと考えた。
このまま凌辱され、自分は一生み者になる。
そうなるぐらいならいっそ死のうと考えた。
師団長は興してサラだけを見ている。
今は手足を抑えている男すら眼中にないだろう。
一切抵抗しなくなったサラの下著に手をかけた。
「おい」
その瞬間、師団長の背後から聲をかけられた。
いや人の聲がするはずない。
今ここにいるのは目の前にいる兵達とサラ、そして師団長の筈だ。
「ねー?あの人すっぽんぽんだよー?」
「ダメダメ。汚いから見ちゃダメだよ」
さらにもう1人聲が聞こえた。
聲からして若いの子だろう。
師団長が摑んでいた足を離し、聲のする方へと向いた。
「誰だきさーー」
「汚いもんうちの子に見せんじゃねーよ!!」
神速の張り手。
師団長は頬を思いっきり叩かれて近くの樹へ吹っ飛ばされた。
何が起きたかわからない兵達が口を唖然と開けている。
「お前ら……には優しくしねーとカッコいい男にはなれねーぞ」
(うそ……ほんとに?本當に來てくれたの……?)
先程まで一切涙を見せていなかったサラから涙がこぼれ落ちる。
サラの中で一番の英雄、その人が見えていた。
「まずは……お前らにはお仕置きだな」
その男は30代後半の渋い顔つき。
し白髪が増えたのかもしれないが、清潭で整った顔をしている。
サラが何度も夢に見て、英雄だと思い続けた男だ。
サラを抑えつけていた兵士達が手を離し、腰の剣を抜いて男を囲む。
師団長は強い。だがそれを不意打ちとはいえ一撃で吹っ飛ばした相手だ。
警戒もするだろう。
「だ、誰だてめぇは!」
「あん?……名乗るほどでもねーよ」
男が拳を構えると、しニヤリとした表を見せた。
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