《められていた僕はクラスごと転移した異世界で最強の能力を手にれたので復讐することにした》22・チーム
優希が初めてじっくり観戦した死闘。これで得たものは意外にも大きい。
獣使の戦略、複數の恩恵による連攜、相手の攻撃に対する反応。この報は、今後優希の〖行命令アクションプログラム〗に組み込めば、もっと無駄なくカウンターを決める事ができる。
ならば、この二人とは戦わず、共に行して學習した方がいいのではと考える。
まだ、表面上しか分からないが、第一印象は二人とも善人そうだ。腹の読み合い、騙し合いなどをせずとも、合理的な理由があれば、簡単にチームとして迎えそうだ。
「さてと、俺たちはどうする? 戦うか? それとも互いに見逃すか?」
仮とはいえ、數秒前まで共闘していた相手。だが、今では共通の敵は消え、いつ戦いが始まってもおかしくない狀況。
青年の反応からして、戦はしたくないようだ。一時的とはいえ、共闘した以上多の仲間意識が芽生えてしまった。
それでも、の方が戦の選択肢を選んだ場合、対応する気ではいるのだが、
「いいえ、仕方ないですけど、今回は見逃して差し上げます。良かったですね」
冗談めかしく、上から目線で桃髪のは言った。意見の一致により、さっきまでの味方が敵になるという殘酷な狀況にならずに済み、青年とから笑みがこぼれる。
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そして二人はそれぞれ別行をとるわけだが、その前に。
青年はの方に歩いて近づき、刀を納刀した後、握手を要求するように手を差し出す。
「俺はクラッド。次に會うときは敵になるかもだが、とりあえずよろしく」
握手はこの世界でも挨拶の一つで、
「わたくしはクラリス。この試験中は會わないことを祈ります」
握手を応えて、二人は固く握手した後、自己紹介をする。
本來ならそこで別行になるのだが、それを引き留める拍手の音。
突然の音に二人は発生源を見る。突然の音で警戒したのか、二人の目は鋭い。
「あんたたち強いな。さっきの戦い凄かった。なぁ俺と協力しないか?」
二人を屋上から見下ろす年。雪のように白い髪に、燃えるような緋の瞳が、逆により強調される。その隣に立つ銀髪のは、黒真珠のような瞳が二人を捉えて離さない。
「なんだお前ら、いきなり出てきて名前も名乗らねぇのか」
當然の反応。ここは戦場で屋上の二人は突然現れたのだ。味方か敵かを判斷する必要がある。
クラッドに言われて、白髪の年は「悪ぃ悪ぃ」と軽く謝罪した後、
「俺はジーク、こいつはメアリー、よろしく」
想よく微笑んで、白髪の年は挨拶した。
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「協力? どういうことだ?」
クラッドの刀はいつでも抜刀できるように、親指が添えられている。まだ味方と認められていない様だ。クラリスの方も警戒を完全に解いたわけではなく、表には出さないが空気が固い。彼の肩の上にいるフォルテは完全に敵視しており、今にも襲い掛かりそうだ。クラリスが小聲でフォルテを落ち著かせているのが分かる。
「協力は協力だ。俺達で組んで一緒にプレートを集めないかって話」
優希は屋から飛び降りる。黒コートが上に流れ、ブーツを履いた足は小音の綺麗な著地をする。
メアリーは変わらず屋上から様子を見る。優希は渉人。その立場の人間が屋上にいたまま渉を進めても上手くいかない。話す時は相手の視線の高さを合わせた方が、相手も心を開きやすい。
結果かなり警戒されているが。
「この試験は二十人近くは合格できる。つまり、一人で百枚集めても、四人で四百枚集めてもさほど変わらない。それに、さっきの三人組みたいにチームを組んでる奴も當然いる。どこでも共闘する相手がいるわけではないし、一人だと苦戦を強いられる」
クラッドとクラリスはさきの戦いを思い出す。結果的に一人でも戦えていたが、クラッドはクラリスが、クラリスはクラッドがいなければ、こうして無傷で立っていないだろう。これが一人の限界。ここから先、自分よりも格上の相手が一人ずつ現れるわけではないのだ。
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「なら、その場その場の仲間じゃなくて、終始変わらないメンバーでいた方が良いとは思わないか?」
優希の提案に二人は深く考え込む。
しかし優希の見立て通り、二人は人を信じやすい格で、
「……まぁあんたの言っていることは一理ある。俺は一人が好きだが、相手も一人とは限らねぇからな。プライドだけ高くても試験は合格できないってか。俺は賛、嬢ちゃんはどうする?」
「わたくしも賛です。仲間は多い方が心強いですし、何よりあなた結構お強いですよね」
クラリスはフォルテの反応やじるマナから、優希の実力を推測。
とりあえず、警戒は解けた様で、表も態度もしらかくなった。
優希の方はだが。
「で、あっちの嬢ちゃんは? ジークの知り合いだろ?」
「あぁ、メアリーお前もこっち來い」
優希の呼びかけに反応し、メアリーはようやく三人の元へ。
銀の長髪がく度になびき、その整った容姿にクラッドは、
「お、近くで見りぁ結構な別嬪さんじゃねぇか。俺はクラッド、よろしく」
クラリスもというランクには余裕でっている。これほど整った容姿は見たことが無い。だが、クラッドにとってはメアリーの方がタイプのようで、クラリスとはし対応が違う。
クラッドはクラリス同様に握手を求め、優希は応えた。だがメアリーは、
「ぁあよろしく」
握手をせずにそう簡単に言って終わった。じが悪いとはまさに彼のことを言うのだろう。
だが、クラッドは別に嫌な顔をするわけではなく、
「へへっ、クール系も悪かねぇな」
クラッドが元の世界にいたらさぞ人気者だっただろう。
そんなことを思いながら優希は近くの樽に座る。そして、同じく座ってくつろぐメアリーを他所に、三人は今後の方針を的に計畫する。
「一番確実なのはやっぱり待ち伏せだろう。連中が必死に集めたプレートを一気に奪うなんて邪道かもしんないけど、會場がゴールな以上、自然とプレートは集まるのも事実だ」
クラッドの提案。本人は邪道と言いつつもこれが王道、普通だろう。
もちろんそれは他の連中も気付いていることで、奪う方も簡単ではない。その上、おそらく多くの験者は同じ作戦をっとっているだろう。つまり、ゴールである會場周辺の戦率はとても高い。戦になった場合、四人では厳しい可能もある。
四人チームである現段階では、この作戦は危険極まりない。
「じゃぁ暫く隠れるか。互いに潰し合ってくれれば、人數も減って、相手はかなり消耗してる。俺達にも勝機が出來る」
漁夫の利を狙う作戦。
優希たちがく頃には、チーム數もなく、力的にもかなり消耗しているため、戦しても勝機は十分にある。だが、この作戦は勝率は高くても合格率が高いとは言えない。チーム數がないということは、優希達も狙えるチームがないということ。萬が一優希達が標的に選んだチームが逃げることに集中して逃した場合、代わりに狙う敵がいないのだ。つまり、チャンスは大きいがない。
それにこの作戦にクラリスは乗り気ではない。やはり卑怯なのだろうか。だが、そんな甘いことを言っていられるような狀況ではないので言葉にはしない。
「では、ここは大きい勢力につくのはどうでしょうか。わたくしたちは四人、なら十五人くらいのチームに加われば、會場周辺の競爭にも參加できます」
戦力が足りないのなら戦力を強化して正々堂々真正面からぶつかる作戦。
だがこれは、他にも信頼できる仲間を作るということ。生半可なチームでは意味がない。一人一人がそれなりに強く、尚且つ高い結束力があるチーム。弱者が徒黨を組んだところで、即席のチームでは簡単に崩れる。一人一人が強くても個ばかりが強く得れば簡単に部崩壊する。
まず一人一人が強く、結束力もあり十五人程のチームを探す必要があり、そこに加えてもらえるようにしなくてはならない。下手をすればその場で標的にされる可能もある。
「それに、俺たちの持っているプレートは合計八枚。この狀態で言っても玉の輿狙いって思われるだけだろ。こちらにもやる気があることを証明するには、一人三十枚はしいな」
優希は自分の持っているプレートを提示し、クラッドとクラリスも同じくプレートを見せる。
優希は試験開始直後に奪ったプレートが一枚ともともと持っていた分の合計二枚。クラッドはさっきの戦いで得た剣士の男のプレート一枚ともともとの一枚の合計二枚。クラリスは槍兵と弓兵の分二枚と、自分の一枚の合計三枚。メアリーは自分の一枚。
まだ試験が始まってからそう時間は経っていないが、明らかにない。チームにれてくれと頼んだところで、施しをけようとしてると思われたら終わりだ。あくまでも対等の仲間として認識してもらう必要がある。
「どのみち、クラリスの案は現狀では難しいな。その場で標的にされれば、數の暴力の餌だ。渉材料がそろわないと何とも」
とりあえず、三人は意見を出した。それぞれメリットデメリットがあるが、今だいい案は出ていない。くにしても早くしないと、合格者が次々に出て、不合格になる確率が高くなるだけだ。
「お前はどう思う?」
優希は全く話さず、様子を伺っていたメアリーを見る。
メアリーはその銀髪を指で絡めたりばしたりと弄りながら、
「私か? そうだなぁ、數狩りってのはどうだ?」
不敵に笑う銀紙の。
そのの髪が不自然に揺れる。その時、優希はマナに浸る覚を味わった。マナの海に全を漬かるような、溫かい覚に包まれる。だが、決して心地よいとは思えない。すべてを見かされる様な気味の悪い覚。
「……現狀は、二十人規模のチームが三つ、十五人規模が四つ、五人程度が一つ、殘りは単獨か二人組だな」
べリエル亭の時にも使用したと思われる、超広範囲の【索】。あの溫かい覚はメアリーのマナにれた覚。
彼の【索】の力は信頼できる。
まだそれほどチームは出來ていない様子。なら今のうちに數の験者を狙うということ。本來、チームの正確な人數が分からなければ賭けな為、誰も提案しなかったが、彼の力で一番安易な方法が取れる。
「こいつの【索】は信用できる。とりあえずこいつの【索】を使って地道に集める。ある程度待ったら他のチームと合流する。どうだ?」
優希の確認に、クラッドとクラリスは頷く。指針は定まり、三人は行を開始する。
優希とメアリー、クラッドが標的の方に歩き出す。そして、クラリスも後を続こうとした時、肩に乗っていたフォルテが彼にしか聞こえないほどの小聲で、
「あのジークって男、絶対に気を許してはダメにゃ。あいつからは厄災の匂いがするにゃ」
「もうダメですよ、フォルテは男相手になるとすぐにそんなこと言うんですから」
いつものことのようにフォルテに注意し、そんな彼をフォルテは心配していた。
そして、優希たちが行し始めてから結構経った。
メアリーの【索】を駆使して、地道にプレートを集めていた。
現時點での枚數は、優希二十二枚、クラッド二十枚、クラリス二十三枚。メアリー十九枚の合計八十四枚。そろそろ數で行する者もなくなっていた。
「これだけありゃぁどこのチームも行けるんじゃねぇのか?」
クラッドは余裕そうに笑みを浮かべた。正直まだないが、これ以上數のチームを探すのも大変だ。そろそろ他と合流してもいいかもしれない。
「そうですね。ではどこのチームと渉しますか?」
クラリスもクラッドの意見に合意し、合流するチームをどうするか考える。
ここからは如何に強い勢力に所屬するかが重要になってくる。つまり、この試験の勢力図を把握しておきたい。メアリーの【索】は、人の有無は分かれど、その人がどれほど強いのかは分からない。つまり、そこは地道に調べるしかないのだ。
「……んじゃ、俺が今から調べてくる。お前らはここにいろ」
優希が自ら調査役を申し出る。これは自分が一番適任だと思ったからだ。
四人もいれば邪魔になるし、クラッドもクラリスも、潛が得意とは思えない。メアリーは潛など調査に関しては優希よりも上だろうが、戦闘に関しては今一つの信頼だ。彼が戦うところを見たことが無いのだから當然である。
それに自分が見て選んだ方が、他人に任せるより安心する。
それに、優希が適していると全員思っていたのか、誰も異議は唱えなかった。
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