《スキルイータ》第一章 遭遇
気がついたら、転移転生してきてから、2年が過ぎた。
窟での生活が快適すぎる。ヌルゲーをやっているような覚だ。転移してきた當初は、食べや飲みに困ったが、飲みは、スキルを付與した魔核で水が生み出される。それだけではなく、スキルの組み合わせで、エアコンのようなを作る事ができた。
食べも、ダンジョン攻略を行っている過程で、食用に適した魔を倒して、食べている。果も、十分な量が確保できている。
野菜に関しても、森に自生していたを、実験的に栽培を行って、現在では食べきれないくらいの量が確保できている。
栽培場所も、當初は巖山の上に作った、ログハウスの周りを耕していたのだが、もっと適切な場所が存在した。
ダンジョンの中で、草原ステージになっている階層が存在して、その草原を開拓して森で見つかった、野菜や果の栽培を行っている。
草原ステージが、5階層と低階層だった為に、出てくる魔も、ゴブリン・アーチャーやゴブリン・ファイター程度なので、群れで襲われない限り、子蜂と子蟻で対処可能なのだ。群れで襲われた時の為に、開拓した場所は、柵で守っている。子供たちで対処が難しい時には、長した蟻と蜂と蜘蛛が迎撃を行っている。
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蜘蛛はいろいろな進化を見せている。
大きいで、3m程度に大きくなった者もいる。作り出している糸も、粘著がある糸だけではなく、丈夫な糸や、吸水がある糸や、撥水がある糸まである。糸の太さも、本當に見えないくらい細い糸から、腕程度ある糸まで自在になっている。數匹の蜘蛛が、糸を編み込んで布を作ってくれたのも生活向上に役立った。
巖山に抜ける通路ができて、その上にログハウスを作した。
ログハウスは、日本風に言えばワンルームにしている。こちらの平均的な家がわからないから、なんとなくで作ってみた。
魔核を使った道は、多分駄目だろうと考え、ログハウスには設置していない。ログハウスの周りに畑を作って、果を育てている。堀でログハウスを囲んで、その側に柵を作した。
釘でも作ろうかと思ったが、ライにお願いして、蜘蛛に補強してもらって、そこに蔦系の植を巻きつけるようにした。
この世界にも、春夏秋冬がある。冬場は、し雪がちらつくくらいには寒くなり、夏場はエアコンが無いと過ごせないくらいに暑くなる。日本で、俺が住んでいた場所に近いじがするのが嬉しい。
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ダンジョン攻略は2年間で44階層まで進んでいる。ログハウスを作ったり、魔核の実験をしたりしているのに、進んでいると思いたい。
このダンジョンだけなのか、全部のダンジョンがそうなのかわからないが、初踏破者には、ボーナススキルが與えられる。そして、初めてその階層にたどり著いた時にも、スキルが得られる。質的には、1-2段階劣るが、それでも、スキルが得られるのは嬉しい。
その事に気がついたのは、ライが自分の眷屬を連れて、階層を移した時に、スキルを得たからだ。
実験を行った所。次のような現象のようだ。
・転移門を使って、階層に出るとスキルはもらえない
・転移門を使って、前の階層に戻って、階層主を倒してから、階層に出てもスキルはもらえない
・俺が到達していない階層を、先にライの眷屬が降りてもボーナススキルやスキルはもらえない。カイやウミやライでも同じ。眷屬になっている駄目なのか、魔だと駄目なのかは不明。しかし、カイやウミやライがスキルを取得している事から、魔では駄目という事はなさそう。
・眷屬を連れないで転移門に移して、俺とライが戻って、ライが眷屬を呼び出す。そのまま階層を戻ると、スキルがもらえる
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判明したのは、階層を降りる時に、スキルがもらえる事と、判定は一度も通っていない事が條件になっている。
最初は、眷屬だけで、階層を歩かせたが、魔が居たりして、時間がかかってしまった。この問題を解決したのが、ライが取得した、呼子のスキルだ。
// スキル:呼子
// 眷屬を呼び寄せる事ができる
// 呼び寄せる數は、レベルに依存する
眷屬化との相抜群のスキルだったので、迷わず、俺とライに固定化した
これを使って、戻った階層で、ライが眷屬を呼び出す。眷屬の子供なのか、配下なのかわからないが、その眷屬を連れて、階層を降りれば、スキルがもらえる事が解って、階層を突破するたびに、この行を繰り返した。
のちに判明した事だが、最初にライを連れて突破するだけで、その後は、ライと眷屬だけでも問題は無い事もわかった。
問題は、魔蟲がそれほどスキルを保持できない事にある。ライに確認したのだが、多くても3つ程度だという事だ。
現狀、転移門を使って行ったり來たりしているので、魔蟲の數×44のスキルが得られる事になるが、魔蟲の數もかなり居るので、スキルの把握だけでも面倒な狀況になっている。
通貨と同じと言われるだけ有って、10単位でスキルのレベルを上げる事ができるので、使わなそうなや下位のスキルはまとめてしまう事にしている。
これが、ダンジョン攻略が遅々として進まない”言い訳”になっている。
実力的には、かなり深い階層に潛っても、カイとウミとライなら大丈夫だろう。俺一人だとまだまだ心配な狀況だが、眷屬と一緒に行く事で、容易ではないが、かなり安全マージンをとった狀態で、ダンジョンを攻略できている。
ダンジョン攻略の方法が正しいかわからないが、十分な數のスキルが得られてるのは嬉しい。
40階層だと、魔がドロップするスキルが、レベル5相當。レアとして、レベル6相當のスキルがドロップする。10階層ごとに、レベルが上がっているように思える。
1~10階層が、レベル1
11~20階層が、レベル2
21~30階層が、レベル3
31~40階層が、レベル4
41~50階層が、多分レベル5という事は、51~がレベル6。61~がレベル7。71~がレベル8。81~がレベル9。91~100がレベル10。101~がレベル∞という事になるが、レベル∞は金銭的な価値はなさそうだ。そうなると、レベル10までと考えると、100階層まであると考えるのが妥當かもしれない。101階層はもしかしたらあるのかもしれないが、最後のスキルボーナスの為のステージなのかもしれない。
「カイ。今日は、どうする?」
『はい。ライには新しい眷屬を連れて、スキルの調達。僕とウミは、44階層の探索をしたいと思います』
「俺は、上に居るから、何かあったら上に來てくれ」
『わかりました』『はい』『あるじさま。何匹か護衛に付けますので、外に出られる時には連れて行って下さい』
「おっわかった」
カイとウミとライは、そのまま転移門の部屋に向かうようだ。
俺は、食料を持って、地上に作ったログハウスに向かう事にする。カイたちが戻ってきた時に、腹を空かせているかもしれないから、食料を多めに持っていく。基本的な生活ができる狀態にはしているが、腐りやすいは、窟の中の倉庫にれるようにしている。
大きな冷蔵庫/冷凍庫になっているので、そこから持ち出す。
2年間で、俺のも大きくなった。ただ、漠然と過ごしていたわけではない。魔とダンジョンに関して、実験を行ったりしていた。
ダンジョンの魔を捕縛して、外に連れ出したら、意識が芽生えたりするのか?
わからない。が、答えになってしまっている。実験を継続しているのだが、外に連れ出した魔が、何を食べるのかわからないので、長くても、1ヶ月程度で死んでしまう。カイが言うには、”魔力がなくなってしまっている”らしい、そのために死骸から、吸収できるがないらしい。気分的に、放置ができなくて、森の中に埋めたのだが、対処がそれで良かったのかわからない。
それでは、ダンジョンの魔と外の魔は違うのか?
ダンジョンの中にも、フォレストボアや近親種だと思うが、ボア系の魔は存在した。食用にもなるらしい。魔核も取得できた。無責任だとは思ったが、ボア系だと確保が難しかったので、兎系の魔をダンジョンで捕獲して、外のフォレストラビットとの配を試みた。が、失敗した。
どうやら、ダンジョン兎と外の兎との配はできないようだ。
それでは、どうやって外の魔は産まれたのだ?
そんな疑問が産まれてくる。ダンジョンの魔は、階層を移しないようだ。3階層で産まれた者は、3階層にとどまっている。ダンジョンが、魔を生んでいるのは間違いなさそうだ。
こんな実験を繰り返して居たときに、スクルドから神託が下った。俺がやっていたのは無意味な事だった。
曰く、『ダンジョンが攻略された時に、生き殘った魔は、ダンジョン以外でも生きられる狀態になる』
と、いう事だ。いろいろな疑問は殘るが、これで魔が外に居る理由がわかった。ダンジョンは攻略しないほうがいいのか?
そんな疑問も出てくるのだが、育ちきったダンジョンは、今度は外に向って、魔を排出しだすという事だ。このときの魔は、俺が実験で捕えて、外に連れ出した魔と同じで、魔力がなくなると死んでしまうらしいが、100階層に居るような魔が出てくるので、近くの街や村程度なら全滅してしまう。そのために、人類としてはダンジョンが適度に育った段階で攻略するのがベストだという事だ。
食の安定供給には至っていない。
ただ、ダンジョンの攻略を進める上で、食の取得がしやすい階層や、果や野草・野菜の取得がしやすい階層がある事が解ってきている。問題がなかったわけではない。
食に関しては、狩りをすることで得る事にしている。魚に関しても同じだ。
果や野草・野菜に関しては、5階層の開拓場所での栽培を行っている。外から持ち込んだは、ダンジョンに定著するのだが、5階層より下で得られたは、5階層の開拓場所には定著しない。すぐに枯れてしまうのだ。ダンジョンで得た、果や野草・野菜は、ダンジョンの外では育たない。これは予想されていた事だったので、驚かなかった。
今の目標は、下の階層で、安全に開拓できる階層を見つける事だ。または、ライの眷屬の進化を待っている狀態だ。下の階層の草原ステージや森ステージでは、子蜘蛛や子蟻では対応できない魔が出てくる。そのために、開拓を行っても、破壊されてしまう狀況になってしまう。
食料確保の心配はないが、手を付けてしまった事だから、一區切りまで続けたいと思う。
ログハウスには、”魔蟲の間”の近くに作った階段から上がっていく、覚的には4階分くらいの距離だろう。
階段も何度か注文を出して作り直してもらった。最初は、ハシゴのようなだったが、今は、階段になっている。1階程度上がって、踴り場を作ってある。踴り場にも一工夫してあって、魔蟲たちが隠れられる場所を用意してある。ログハウスが襲われて、階段を降りられた時には、踴り場で撃退するか、通過させてから後方から襲いかかって挾み撃ちにする事ができる。
蟻が待機している場所では、階段を破壊する事もできる。
今日は、以前から進めていた。ログハウスの偽裝工作の続きを行う事にした。
山に作ったログハウスだが、周りを、柵+蔦で覆ってある。柵の周りには、堀を掘ってあるが、この堀に水を流し込みたい。魔核を使えば楽だが、それでは不自然に水が湧いているように見えてしまう。ログハウスの正面は、空けたじになっていて、し行くと窟のり口がある巖にたどり著く。巖の先は、森になっている。ログハウスの裏手は、森になっていたが、ログハウスを作る時に材料にしてしまった。空けた場所ができている狀態になって、その先に森が始まるようになってる。森の先は、500m程度行くと、山が見える壁の様になっている。その場所に、蟻にお願いして、水が出ればラッキーと考えて、を掘ってもらった。水は出るには出たが、チョロチョロだったので、面倒になって、レベル5の魔核に水のスキルを埋め込んだを作して、蟻に水が出始めている場所に埋め込んでもらった。それが數日前。
今日、見に行ったら、水が山から湧き出ているような狀態になっていた。後は、自然と川になるのを待っていてもいいが、堀に水を引く事が目標なので、なんとなくの水路を作る事にした。伐採した木で、水路を作っていく、なだらかな傾斜になっているので、そのまま水路を作っていく事にした。
スキルを併用して作っていくので、日本に居た時と比べにならない速度で水路ができていく。500mの水路を作るのに、半日もかからなかった。
無事、堀に水がたまり始めて、排水を考えていなかった事に思い立った。窟のり口を隠す意味も込めて、巖の上から窟のり口に向けて排水する事にした。蟻にお願いして、排水の為の水路を地中に作ってもらった。巖の中を通る形にしてもらった。
2年も一緒に居れば、なんとなくのニュアンスを伝える事はできる。しっかりしたお願いの時には、ライを間に挾むが、そうじゃない時には、なんとなく伝える事で、作業を手伝ってもらうことができる。
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