《スキルイータ》第二章 救出

/***** イサーク Side *****/

俺は今猛烈に後悔している。

逃げるのが正解だったのではと思い始めている。しかし、逃げられるものではないと理解もしている。

ガーラントが小聲で教えてくれた。

聞かなければよかったと思った。

俺たちを案した4人だが、エントとドリュアスだという事が判明した。その上位者が居るという事は、エルダーエントである可能が高い。

エルダーエント。

”萬を知るもの”。”森の賢者”。そして、ブルーフォレストの支配層の一角。

それを従える者が居る。

俺たちは、巖山の下にできていた、屋敷で、カズト・ツクモ殿が戻ってくるのを待っている。対応してくれたスーン殿の話では、2-3日で戻ってくるだろうという話だ。その間、この屋敷で待っていてしいという事だった。安全は保証されているのだろう。魔など出てきていない。部屋は3部屋。俺とナーシャで一部屋。ピムとガーラントで、別々に部屋をを使うことにした。一部屋に一人メイドが付いている。

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風呂にる事を進められた。

ピムもったほうがいいといい出したので、俺とガーラントとピムで風呂にる。暖かいお湯にるだけでも心も癒やされるとは思っていなかった。それに、この石鹸という奴は気持ちがいい。一皮むけた様なじだ。も心なしかすべすべになっている。黒狼族でる俺は、腕や背中にもが生えている。そのらかくなっているように思える。

そして、俺は一つ間違いを犯した。

綺麗になった事を、ナーシャに自慢してしまった。ナーシャから、自分たちばかりずるいと言われた。メイドに頼んで、ナーシャも風呂にれてもらった。そして、その夜いつも以上に燃えてしまった。

翌日、執事長を名乗る、スーン殿が來訪して、大主であるカズト・ツクモ殿が明日には帰ってくることを告げられた。時間までは正確に読めないので、余裕を見て、明後日の會談を申し込むことにした。

大主に伝えますと、スーン殿が帰っていった。

お土産に、聞くのが怖い魔(完全下処理終了済み)とアプルとピチやレモネやグルプやペアを、沢山置いていった。

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「なぁガーラント?」

「イサーク。聞きたいか?儂は、鑑定した事を後悔したぞ」

「そっそうか?でも、教えてくれ」

「サラマンダーのだ」

「すまん。もう一度頼む」

「サラマンダー・・・火竜蜥蜴のだ」

ダメなやつ確定。

大商人や領主でも、10年に一度口にできれば幸せと言っているようながブロックで置かれている。

「ねぇピム。サラマンダーって火を吹く大きな蜥蜴よね?」

「うん。そうだよ」

「あれって倒せるの?ううん。こんなに綺麗な狀態のになるの?」

「なるんじゃない?実際に、目の前にあるからね」

「でも、前に聞いた時には、単獨で現れた時でも、部族全員でかかってなんとか倒せる。でも、半數以上は戦闘不能になるって聞いたよ」

「僕の認識もそうだよ」

ナーシャの問いかけに、半ばヤケになって答えてしまった。

ガーラントとピムも何やら話しているが、俺の中の常識が崩れ落ちていく。

俺たちを歓迎してくれているのかもしれない。違うな。普段から食べているのだろう。サラマンダーごときいつでも倒せるのだろう。

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ガーラントとピムがサラマンダーを焼いて食事をする事になったが、味しかった以上の想は必要なかった。

塩や胡椒を使うだけで、味が違ってくる事も判明した。

「さて、明後日には會談となるが、皆の意見を聞きたい」

皆考え込んでしまった。

俺でも、何か一つを選ぶ事なんてできない。

「ねぇここに住まわせてもらえないのかな?」

「ナーシャ!」

「だって・・・」

「ナーシャ。俺もそれを考えなかったと言えば噓になるが、駄目だろう。いや、違うな、カズト・ツクモ殿なら、了承してくれるだろう。だが、ダメだろうな」

「なんで?」

「俺たちは、いや、俺は、ここの主である。カズト・ツクモ殿に何も渡せないからな」

「ミュルダの様に稅を納めれば・・・駄目かな?」

確かにそれも一つの方法だろう。

稅ごときでこの生活ができるのなら、こぞって移住者が出てくるだろう。ブルーフォレストの中心に近い場所だという事を差し引いても魅力的な場所だ。

「駄目じゃろうな。そもそも、稅とは契約じゃからな。その契約が結べるとは思えん」

「なんでぇ?」

「ナーシャ。お主、何を稅として収める?スキルか?それとも、魔素材か?農作か?ミュルダなら薪でも良いかもしれん。しかし、ここでは、スキルも魔も、薪も食料も必要とはしていないじゃろうな。儂らが提供できるは無いのじゃよ」

そう、ガーラントが言うとおりなのだ。

馬鹿らしい話だが、ミュルダでトップクラスの冒険者である俺たちが、ここでは役立たずなのだ。

力?多分、エルダーエントとは言わない。案してくれた、エントやドリュアス一人に、全員でかかってなんとか勝てるかも知れないというレベルだろう。

スキルも、ツクモ殿は必要としていない。それに、彼がするスキルが有ったとして、俺たちが持ってこられるとは思えない。この服を數著出して、換を申し出ればいい。それか、俺たちに渡した魔核の様なものがあれば、いくらでもスキルは手にるだろう。

「イサーク。どうするの?」

「俺の考えは、ツクモ殿と面談してからにしたいが、まずはミュルダに戻る事を前提に考えたい」

「どういう事?」

俺の予想では、ツクモ殿がするは、報ではないのでは無いかと思っている。ピムの話を聞いて核心に近いを持っている。明後日は、それを確認できればいい。もし、”報”が対価として考えられるのなら、俺たちの存在をありがたいと思ってくれるに違いない。

そして、今窮地に陥っている(であろう)ミュルダを救う手段になるかもしれない。なくても、ここに人が住んでいることは誰も知らない。街の上層部は知っているのかもしれないが、それだとしたら、ツクモ殿や周辺がもうし騒がしくなっていてもよい。ピムが言うには數日前に來た時には、この建はなかったと言っている。

「俺は、ツクモ殿と渉して、ミュルダとの繋がりを作ってもらう事を考えている」

一気に最終目的を話した。

ガーラントは一瞬だけ考えたが、わかってくれたようだ。ピムは、もともとツクモ殿に會っている上に、”報”の価値もわかっているのだろう。ナーシャは、今の所置いておこう。

「いいのではないか?」

ガーラントが賛してくれる。ピムもうなずいているから大筋合意なのだろう。

「え?なに?なんで?」

ナーシャには、今晩説明すればいい。

それか、會談の場には出ないでもらうほうがいいかもしれない。

/***** カズト・ツクモ Side 4日前 *****/

こちらに來てはじめての人との遭遇は張した。

スーンが側に寄ってきた。

「大主様」

スーンは、俺の事を、大主とよぶ。スーンたちの主は、ライなので、ライの主人である俺は、主人の主人で、大主なのだそうだ。別に、普通に名前でもいいのだけれどと、言ったらスーンやドリュアスたちから全力で拒否された。

「どうした?ピム殿から何か要でもあったか?」

「いえ、外に出ていました者から、森の西側で、”戦闘音がする”と、報告がありました」

「戦闘?魔同士か?」

「いえ、人同士だと思われます。どうなされますか?」

「無視する」

「かしこまりました」

スーンだけではなく、カイやウミやライを見る。

なんとなく、俺に期待しているように見える。俺の勝手な想像かもしれないが・・・でも、そうだな。

「スーン。報がしい。監視を多めにしろ、善悪の判斷は難しいが、子供が殺されそうになったら介しろ。子供を殺すようなクズたちは殺されても・・・いや、子供を殺そうとした奴らは全員捕らえろ。監視役が足りなければ、ライ。ヌラとゼーロとヌルに言って鋭を出せ」

「かしこまりました」「わかった」

それからのきは早かった。

スーンが仕切って、偵察隊が組織された。ダンジョンで見つかったスキルは、一部を除いて”好きに使っていい”と、言ってある。はじめてのスキルや、一枚しかないものは、殘しておくようにしているが、それ以外は自由に使って良いことにした。

偵察に有効なスキルを調べることができるチャンスでもある。今回の件は丁度いい”テストケース”になる。

逐一報告させるようにした。スキルの有用に関しては、後で會議をするから、なるべく覚えておくように伝えた。

それだけ指示を出してから、窟に戻って、カイとウミに挾まれて眠った。

戦闘も気になっているが、ピム殿も気になる。両方からの報告をけるには、窟よりもログハウスのほうがいいだろう。

「カイ。ウミ。ライ。今日、俺は、ログハウスで過ごすけど、お前たちはどうする?ダンジョンに行くか?」

『主様。今の階層では運にもならないので、僕はログハウスで主様と一緒に居ます』

『僕も!』『あるじ様。僕もご一緒します』

カイとウミとライと一緒に、ログハウスの二階にある。執務室にる。機と椅子だけが置かれている部屋だが、無いよりはいいのだろう。

ドリュアスが順番で、の回りの世話をしてくれる。必要ないと言ったのだが、すごく悲しそうな顔をされて、泣き崩れる演技までされてしまったのでは、認めるしかなかった。

ピム殿たちは順調にこちらに向っていると報告をうけた。報告を聞いただけだが、ここの環境は”異常”なのかもしれない。俺が住みやすいようにしているのが原因なのか、眷屬たちが優秀なのかはわからない。

この辺りのことも、ピム殿たちから聞き出せたら嬉しい。できれば、人間の街のことも聞き出したい。

問題は、もう一つの方だ。

戦闘は斷続的に続いていてるようで、報告からの判斷だが、人の街アンクラムの兵士と森の淺い場所に集落を作っていた獣人族の村との戦闘のようだ。兵士は、半分の男を殺して、と子供と一緒に攫っているようだ。

スーンの報告で、獣人族の村も、複數の種族の集合な村もあれば、単一種族の村もあるようだ。

すでに、3つの村が滅ぼされている様だ。そして、とらえられた獣人族のと子供は、そのまま奴隷商人に引き渡されるようだ。

「スーン。奴隷商人に引き渡された、獣人族を奪還することはできるか?」

「大主様。たやすいことですが・・・」

「どうした?」

「いえ、そうなると誰がやったのかと問題になってしまうかもしれません」

「奴隷商人や兵士たちを、全員捕らえるか、殺すかしてもか?」

「・・・それでしたら・・・」

「スーン。ヌラとゼーロと協力して、獣人族を奪還しろ。手段を選ぶ必要はない。ただし、お前たちに犠牲者が出ないようにしろ、犠牲者が出そうなら撤退しろ」

「かしこまりました。大主様」

森の地図は、徐々に作しているが、獣人族の集落がどの程度あるのか把握できていない。

「ライ。眷屬に、森の中にある獣人族の集落を調べさせてくれ、場所や人數を簡単でいい」

『わかりました。すでに、調べているので、すぐに報告させます』

ある程度は把握してまとめてくれていたようだ。

報告を聞くと、集落/村は、全部で7つ存在していた、認識できていた3つが滅ぼされている。殘り4つの集落が、戦闘を行っているようだ。これは、スーンからの報告を待つことにする。

晝ごはん代わりに、果実を剝きながら食べていると、スーンが面會を求めてきた。

戦闘に関しての報告があるということだ。指示を出してから、數時間しか経っていないのに早い。

「大主様。奴隷商人を補足しました。今夜決行いたします。捕えられている獣人はどういたしましょうか?」

そうか、獣人のことを考えていなかった。

「そうだな。安全が確保できそうな場所まで移させてから、休ませてやれ。後は、本人たちの希を聞いてからだな」

「かしこまりました」

「スーン。どうやって現地とはどうやって連絡しているのだ?」

「え。あっはい」

スーンに確認したら、簡単な方法だった。

固有スキルとして、”念話”を持っている者が、通じる範囲で待機して、連絡事項を伝達しているのだ。

「スーン。そんなに固有スキル持ち居たか?」

「はい。ですので、配置に手間取りまして申し訳ございません」

「謝罪されるようなことじゃないな。まとめさせて、スキルだけど、”念話”はどのくらいある?」

控えていたドリュアスが一歩前に出てきて

「すべての整理が終わっていませんが、現在112枚、確認されております」

112枚か・・・多いようで使い始めたら一気に無くなってしまうな。スキルとして固定してもいいのだけど、戦場の近くに行くことを考えると、隠のスキルや障壁や結界の方を付けたいからな。

「スーン。し実験をしたいから、數名待機させてくれ」

「かしこまりました」

攜帯電話は無理でも、無線機くらいなら作できるのではないかと思っている。

レベル5相當の魔核と”念話”のスキルを用意させる。

あと、枚數がやたらとあった”隠蔽”や”煙幕”のスキルや、レベル3の”力強化”や”速度向上”や”命中向上”のスキルを適當に付與したを作した。それを、スーンが手配した數名にもたせて、それで連絡できるかを調査させた。

念話が通じることや、固有スキル持ちとの連絡も問題がない事などが確認された。

112枚の”念話”と112個のレベル5魔核を利用した、”攜帯電話”の作が急ピッチで行われた。実際に、作ったのは俺だけど、途中で心が折れそうになったが、必要なことだと思って作を続けた。

が終了して、最初に聞いた報告が、”獣人族を捕えていた奴隷商人”の襲撃結果だった。

俺の一日はまだ終わりそうになかった

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