/*** フィリーネ Side ***/

私は、フィリーネ。大主様に仕える、ドリュアスの１人です。

ドリュアスの中で、名前持ちは、私と、もう１人だけなのです！

私たちは、ライ様の眷屬である、スーン様の配下となるが、ライ様とスーン様から、大主様直轄になることを許されている。

他の眷屬も同じ扱いだ。その中で、名前持ちは、魔蟲がそれぞれ６匹。最初に進化した者だと教えられた。エントも同じく、スーン様配下で５が名前持ちになっている。ドリュアスは、スーン様からのご命令で、ヒト型になって、大主様のお世話をするメイドとなった。

そのために、名前が頂けなかった。

ドリュアスで、名前をもらったのは、私が最初となる。

しかし、役目は、大主様のお世話をする班から外されて、冒険者の世話係に任命された。その役目を仰せつかったときに、フィリーネという名前を大主様から頂いた。

それから、カイ様から、進化のために、魔を吸収しろと言われて、冒険者たちが、待機場所にる前に、魔形態に戻って、カイ様が持ってこられた、魔を吸収した。魔核も、そのまま吸収して良いと言われた。大主様にお渡ししなくて良いのかとお尋ねしたら、こんな程度の低い魔核なら吸収してしまって問題ないと言われた。

私から見ても、かなりの品質だと思うが、カイ様からは、大主様のために、進化する方が大切だと言われて、吸収する事にした。

それから、カイ様が、大主様にお願いして、スキルを固定化した魔核をいくつか持ってきてくださった。

それらの魔核を吸収して、スキルを覚えさせていただく事になった。

私に付與したスキルは

// レベル４ 清掃

// レベル５ 念話

// レベル５ 治療

// レベル５ 収納

の、４つのスキルが固定化された。メイドとして必要なスキルを優先してもらった結果だ。

進化ができて、スキルが４つまで付けられると教えられて、選んだだ。

// 種族名：フォレスト・クリーン・ホワイト・ドリュアス

これが、私の種族名だ。イリーガルには屆かなかったが、フォレストの稱號や、クリーン/ホワイトの屬には満足している。

進化した事で、配下を付けてくださった。これで、大主様に恥をかかせないで、客人をもてなす事にしよう。

大主様から言われた事を忘れないようにして、配下を導いていかなければならない。

私は、フィリーネ。

大主様に仕える。ドリュアスの１人。

/*** イサーク Side ***/

ふぅ風呂から出て、すぐの場所に、冷えた飲みが用意されていた。

俺たちの世話と言うか、用事を聞いてくれるのが、フィリーネさんだ。メイド服を著ているが、ドリュアスだと言われた。言われなければ気が付かない。シスターズと呼ばれる配下の者も居るようで、俺たちの世話をしてくれている。

カズト・ツクモ殿との面談は、明日になった。

スーン殿が來られて、詫びられてしまった。なんでも、別件の用事が思った以上に大きな事になってしまったらしい。この待機場所で待っていてほしいと言われた。

問題は一切ない。謝罪されるような事でもない。ナーシャは、ここに住みたいとまでいい出した。

最終的にどうするのかは、ツクモ殿と話をしてからだが、やはり、ミュルダに一度帰るべきだとは思っている。

この冷やした、ピチのが飲めなくなるのは、しさびしいのだが・・・。ナーシャは、また來ればいいと言ってるが、ここに居ると忘れてしまいそうになるが、ここが、ブルーフォレストの奧地だという事だ。ミュルダからだと、サイレントヒルを超えて、ブルーフォレストにって、直線でも150キロ以上離れた場所なのだ。その間、魔も居る。目標があるので、道に迷うことはなさそうだが、距離の問題はどうしてもある。

「イサーク！」

風呂の後で、食堂で集まる事にしていた。

フィリーネさんが、食事を振る舞ってくれると言われていた。

「おぉ悪い。ナーシャは、風呂はいいのか？」

「ってきたよ。服も新しいにしてもらった！ピチのも味しかった！」

待機場所と呼ばれている場所で、”末な作りで申し訳ない”と言われたが、ミュルダやサラトガの高級宿屋と比べても、俺は、こっちの泊まりたいと思う。１０倍のスキルカードを要求されても、俺は”待機場所”を選ぶだろう。

「イサーク。それで、なんじゃ？」

「いや、フィリーネさんが、食事を作ったので、意見がしいと言われたのでな。俺は、料理は・・・」

そう言って、隣に座る。ナーシャを見る。

「そうじゃな。お主たちの料理は、”切って焼く、焦げた所を切り落として、食べられそうな部分を食べる”しか無いからな」

「ひどぉーい。塩があれば、塩もかけるよ！」

「そのかけた塩の部分が焦げて、切り落としていたら、塩の意味も無い！それに、塩が多くて、しょっぱくなってしまっている。お主のは、料理ではない！」

「そそ、イサークとナーシャは、料理をしていないからね」

前は、それが普通だと思っていたし、それ以外の方法を知らなかった。

スープにしたりするのは知っていたが、の使い方なんて、切って焼くか、切ってスープにれる。それだけで十分だった。偉そうに言っている、ピムもガーラントも似たようなだ。ドリュアスたちと移してみて、”料理”を知ったと言っても過言ではない。

高級宿屋の料理と比べても味しかった。味しい以外の言葉が無い。同じなのに、こんなにも違うのだと、料理の意義を思い知った。

「そうか！そりゃ嬉しいな」

「あぁ俺たちのような者の口にあうのかを教えてしいと言われた」

「皆さんおそろいのようですので、始めさせていただきます」

フィリーネ殿が、食堂にってきた。

後ろに、同じような格好をした、ドリュアスなのだろう、何かを持っている。順番に俺たちの前に置いていく

「これは？」

「”ターラントフィッシュのマリネ”でございます」

聞いた事がない料理だ。マリネ？薄く切られたターラントフィッシュのを、軽く焼いてあるのか？

それに、なにかわからないが、を付けたものなのか？下に敷いてあるはなんだ？野菜か？

「ふむぅし酸っぱいじがするが、複雑な味でうまいな」

ガーラントの評価だが、俺も同じ考えだ。

ターラントフィッシュは、よく食べるが、し泥臭くなりやすいが、これはそんな事がない。どうしたら、ここまで味しくなるのか？レモネのをかけているのだろう。それだけではないような気がするが、わからない。

二口程度で終わってしまった。量を作ることができないのだろうか？

次の料理が運ばれてきた。

今度は、スープのようだ。

「これは？」

「はい。”ベーコンのスープ”でございます。ブルーボアのを、燻製にいたしまして、クックの骨や野菜を煮込んで作ったスープにれたです。スプーンを用意しましたので、それをお使いになってください」

「はぁ？」

何を言っているのかわからないが、目の前に置かれたスープからは、今まで嗅いだことがない匂いがしている。

スープの橫に、スプーンが置かれていて、それを使って”ベーコン”を掬って口の中にれる。

「味しィィィ！なにこれ？お？ボアってくさいよね？本當に、ブルーボアなの？」

ナーシャがんでいるが、同じ事を俺も思った。

ブルーボアのは何度も食べている。燻製というのがわからないが、干しに似ているが、臭さは一切じられない。それだけではなく、黃金というのだろうか、明なスープにも、しっかり味が付いている。”ベーコン”がなくても、スープだけでもしっかりと味が付いていて、味しい。

一気に、飲み終えてしまった。

これも、量がないのは、作るのが難しいからなのだろうか？

そう思っていると、いつの間にか、次の料理が置かれている。

今度は、茶いにとろみがある明なソースが掛かっている。

「同じ、”ターラントフィッシュ”のフライになります」

「フライ？」

「はい。”ターラントフィッシュ”を切りにして、を付けて、油の中で火を通したです。そのまま、食べてください」

「うむ」

見た目と違って、らかい。

「そう言えば”ターラントフィッシュ”は、骨が合ったと思うのだが？」

「ご安心ください。骨に関しては、切りにしたときに、抜いております」

「そうか」

「！！」

ピムが、を震わせて、一気に食べている。

「イサーク！イサーク！食べないの？僕がもらうよ！」

ピムが、俺の皿に手をばしそうになっている。

”ターラントフィッシュ”と言っていたが、どうなっているのかわからない。フォークで、茶いの真ん中を切ってみる。

中から、”ターラントフィッシュ”が出てきた。そのままと言っていたので、茶いものと一緒に、口にれる。

なんだこれは？

びっくりした。周りの茶いものは、でしっているが、しっかりした歯ごたえがある。も明なだから、味がしないかと思ったら、先程のスープの様にしっかり味がする。その上で、茶いがアクセントとなって、中の”ターラントフィッシュ”を引き立てている。白いにも味が付いていて、口の中で”ほろほろ”と崩れるがすごく味しい。ピムが、俺のまで手をばしたのがよく分かる。

一気に食べてしまった。食べ終わって、皿を見つめてしまった。

皆が呆然としている姿が目にってくる。

ドリュアスは、すぐに次の料理を持ってきた。

今度は、小さなに、しだけ盛られている。

「氷菓子でございます」

これは見た目でわかった、ピチのなのだろう。今、”氷菓子”と言ったか？凍らせてあるのか？

フォークではなく、スプーンで食べるようだ。

スプーンを、氷菓子に差し込む。確かに、凍らせてあるようだ。し掬って、口にれる。

冷たい！

ピチじゃない。いや、ピチだ。でも、ピチを凍らせたじゃない。

「これは？」

「ピチのを、砂糖と蜂で煮詰めまして、その後で、アプルのを細かく切ったをれて、凍らせたです」

あぁそれで、ピチの味がするのだな。

甘みもするが、凍らせてあるので、それがクドくないのだろう。アプルのがっているので、アクセントになっている。

ナーシャが夢中で食べている。

食べ終わって、呆然としている。俺やピムやガーラントのを見て、無くなっているのを確認して絶のオーラを発している。

次の皿が運ばれてくる。

さすがに、俺も解ってきた、これは、しずつの料理を順番に食べさせる形式なのだ。

「これが最後の料理になります。この料理の後で、デザートをお持ちいたします」

俺の前に置かれた皿には、になにか掛かったが置かれた。皿の中には、他にも野菜だろうか、野菜は焼かれているようだ。

料理なら、俺たちにも馴染みがある。

しかし、目の前に置かれているはどうして焼いていないのだ？生で食べるのか？

「レッド・サラマンダーのを、まるごと回転させながら焼きまして、表面の焦げ目を切り落として、可食部分を取り出しましたでございます。そのまま、デミグラスソースを付けてお召し上がりください」

今、サラッといったが、レッド・サラマンダーとか言っていなかったか？

ピムもガーラントも固まっている。ガーラントを見る。目が合った、うなずかれてしまった。鑑定したのだろう。

本當に、焼けているのか？

ナイフをにれてみる。生ならが出てくるが、そうなっていない。焼いたときに出る、のが滴るだけだ。どうやったら、こんな事ができるのか教えてしいが、焼けているのは間違いないようだ。

ナーシャも、ピムも、ガーラントも、俺を見ている。正確には、俺の手元を見ている。

切り分けた、を--”デミグラスソース”と言っていたな--濃い赤のソースを付けて、口に運ぶ。

鼻がひくひくしてしまうくらいにいい匂いがする。

口の中でが無くなってしまったかのような覚だ。が溶けるわけがないのはわかる。わかるが、他に表現のしようがない。ソースの濃厚な味と、から出てくるがわって、なんとも言えない味が口の中に広がる。

今まで、至高だと思っていた、料理が平坦なにじてしまう。

「うまい」

それ以外に言葉が出ない。

俺が食べるのを見て、他の三人も食べ始める。一口目を飲み込んでからは早かった。あっという間に、出された料理を食べ終えてしまった。付け合せの野菜は、なにかわからなかったが、ホクホクした口當たりのと、赤い実が印象的だがしだけ甘みがあるだ。これも全部デミグラスソースと合わせて、味しかった。

一気に食べてしまって、皿の上が空になった事に絶してしまった。

「皆様。どうですか？もうし食べられるようなら、同じもので恐ですが、出させていただきます」

おかわりが有るようだ。遠慮なく、もう一皿もらう事にした。

運んできたドリュアスがしだけ嬉しそうに見えた気がした。

そして、今度は、パンなのだろうか？一緒に運ばれてきた。

「申し訳ありません。冒険者様でしたら、パンも一緒にお出ししたほうが良かったですね。パンは、沢山有りますから、遠慮なさらずにお手に取ってください」

やはりパンのようだ。

中央に置かれたカゴの中から１つ取る。楕円型で、よく見かけるパンと同じ形だ。圧倒的に違うのは、パンから出ている匂いと手りだ。

るまで気が付かなかったが、らかいのだ。なぜ、こんなにらかくなっているのかわからないが、ナーシャの耳たぶよりもらかいかも知れない。

ちぎったが、驚くほど、らかい。”ほのか”に甘い匂いがする。ちぎったパンを口の中にれる。

「！！」

らかいだろう事は解っていたが、パンが甘い。勘違いかも知れないので、もう一口だべる。確かに甘い。爭うように、中央に置かれたパンを取り合った。

「ナーシャ！」

「何よ。ピムは、さっきパン取ったでしょ！」

「僕は、食べ終わったから取った！ナーシャは、両手で取るのは、はしたないよ！」

「うるさい。いいの！」

何やら、騒いでいるが、フィリーネさんを見るとドリュアスになにか指示を出している。控えていたドリュアスが、新しいカゴを持ってこさせてくれるようだ。

「皆様。パンは、まだ沢山ご用意しております」

そう言って、新しいカゴには先程の倍以上のパンがっていた。

「し、施行を凝らしたパンでございます。料理に合わせてありますので、料理と一緒にお召し上がりください」

を食べてから、パンを食べる。

食の違いや、甘みの強いパンとの相がすごくいい。デミグラスソースをパンにつけて食べても味しい。

先程のよりも大きく切り分けられているのがわかる。

それにしても、なぜ俺たちに、これだけの料理を出してくれるのかわからない。

２回のおかわりをして、３皿目の料理を食べた時には、腹も、心も満たされた。

食事の後に、先程食べた”氷菓子”とは違う、アプルを使った甘い食べが出された。

「部屋を移しまして、し、お話をお聞きしたいのですがよろしいですか？」

皆を見回すが、問題は無いようだ。

「あぁ大丈夫だ」