《スキルイータ》第五章 埋伏 第五十一話

/*** ??? Side ***/

「どうだ?」

「無理です」

「無理なわけが無いだろう?相手は、12~3歳のだぞ?さらって犯せば、いうことくらい聞くだろう?」

「そう思うなら、あんたがやればいい。俺は降りる。返すぞ!それから、二度と俺に聲を掛けるな」

男は、座っている男に向かって悪態をついてから、持っていた、レベル6スキルカード3枚を投げるように、渡してから立ち去った。

座っている男は、実はこれで3度目の事に呆然としていた。

裏稼業を生業にしている男にとって、よくある仕事だ。失敗する要素は一切なかった。それに、今回の客は太かった。スキルの払いも良かった。レベル6を10枚置いていった。功した時には、追加で10枚だ。

ターゲットも簡単に見つかった。

名前は、リーリア。12-3歳の。そいつを攫って、持っている収納袋を奪うだけの仕事だ。親は、何を考えて、こんな小娘にそんな高価なを持たせたのかわからない。追加報酬は、この小娘が持つ報を手する事だ。捕らえて、隷屬化のスキルを使う。し厄介だが、今まで散々やってきた事だ、失敗するはずがない。

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男は、そう考えて行を移した。

最初、スラムの元締めに聲をかける。奴らなら、レベル5スキルカード5枚でも1人くらい攫ってくる。男は、先払いで、レベル6スキルカードを1枚置いて、捕らえられたら、追加報酬で、レベル6スキルカードを払うと約束する。

2日経って、元締めから話が來た。流石に話が早いと思ったが、違っていた、スキルカードを返してきて、二度と來ないでくれと言われた。

何が有ったのかわからないが、元締めはそれ以上の報を出さなかった。翌日には、元締めを始め、裏稼業を手伝っていた者が、スラム街から綺麗に消えていた。その後、元締めの組織だけではなく、スラムで裏稼業を行っていた者との連絡が取れなくなった。

冒険者は、ターゲットと親しくしてるチームもいるのでまずい。

次に男は、教會連中を頼った。しかし、ここでも同じ結果になる。

最後に頼ったがさっきの男だ。

何度も、裏仕事を頼んだことがある。高いが、確実に仕事をこなす。を犯すのが趣味なような男だ。

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男は、自分で行を起こす。やめておけばよかったと、本気で後悔したが、その時には遅かった。

/*** エンリコ=メーリヒ・ミュルダ・マッテオ Side ***/

部屋の中に、コップが割れる音が鳴り響く。

俺が投げたのだ當然の事だ。コップが割れる。今までと同じで、を攫って、支配する。できて當然の事が、なぜできない。

「どうしてだ!どうしてできない!なぜだ!」

今まで、何度も裏の仕事を任せていた男との連絡が取れなくなって居る。街の金庫から、持ってきたレベル6のスキルカード10枚と共に、行方がわからなくなっている。10枚程度を持って逃げるとは思えない。だが、事実として、男は約束の期日を過ぎても姿を現さない。それどころか、男が使っていた奴らや、スラムの元締め。裏の奴隷商の奴ら。教會関係者が、ことごとく姿を消している。

ここ數日の出來事だ。オヤジ殿も、街の異変に気がついているのかも知れない。

「おい。誰か説明しろ!」

周りを見回しても、誰も俺と目線を合わせようとしない。

くそぉオヤジ殿が気がつく前に、なんとかしないと、俺の立場が悪くなってしまう。

そうだ!娘を人質にして、渉すればいい。あのは、娘を可がっているように思える。娘のためなら、咳が止まっているやスキルカードを渡してだろう。それだけではない、ナーシャや奴が使っている、収納袋をこちらに渡すかも知れない。

そうだ間違いない。

なんなら、ツクモとかいう奴に、娘をくれてやってもいい。あんな汚らわしい娘が俺のために役立つのだ、娘も本だろう。

「おい。娘はどうしている?」

「本日は、おの調子が良かったので、街に買いに出かけております」

「誰か著いているのか?」

「いつものメイドが付いています。呼び戻しますか?」

「その必要はない」

そうか、あのメイドも役立ったな。

ここで、娘を守って死んでもらおう。し、もったいないが、事を知りすぎている。

執事に作戦を立てさせる。

作戦は、三段階だ。

1.娘を襲わせて、メイドを殺す。この時に、リーリアという小娘をさらう。

2.小娘がさらえなかった場合は、娘を攫って、小娘と渉する。両者ともさらえた場合は、ツクモと渉する。

3.娘を取り戻すために、レベル6スキルカードを10枚使った事にする。

これで完璧だ。

俺は、これで、こんな獣人族が多く、臭い街から離れる事ができる。アトフィア教の司祭も夢ではない。

そうだ、リーリアとかいう小娘は、スキル治療が使えるのだったな。俺のにしてもいいだろう。ツクモも、娘と換なら文句は言わないだろう。治療が行える者を従えた司祭。それが俺だ。

もしかしたら、司祭以上を狙えるかも知れない。樞機卿になれば、今以上の事ができるだろう。

俺の未來は明るくっている。

間違いない。俺には、その才能があるのだ。

/*** リーリア・ファン・デル・ヘイデン Side ***/

愚か・・・。

なぜ、襲撃が功する前提で考えるのでしょうか?

今までの人たちと同じです。人族と言うのは、馬鹿なのでしょうか?いえ違いますね。ご主人様のような方もいらっしゃいます。それに、クリスティーネ様は聡い方です。お父上の事も気がついておいでです。ただ、認めたくないのでしょう。

さてどういたしましょうか?

ご主人様にお聞きすれば、問題は解決すると思いますが、ご主人様は今、ビックスロープの視察というスーン様にとっても、大事な行事を行っていらっしゃる。

こういう時のナーシャさんですが、いまいち頼りになりません。

イサークさんか、ガーラントさんがいいのですが、お二人は念話を持っていません。こちらから繋げるにしても、視認できません。

まずは、ナーシャさんに繋げます。

そこから、イサークさんとガーラントさんを呼び出してもらいます。

いつ襲撃してくるのかは、後ろに控えているメイドのきを見ていれば解るでしょう。

先程、私達に気が付かれないように、メイドに接してきた者がいます。ですので、メイドが店や路地に案した時が合図なのでしょう。それまでに、方針を決めないとなりません。

今までの襲撃の様に、泳がせて、隠れ家や上役の所まで案させて、捕らえて、作して、報を引き出す。

あとは、魔蟲の皆様に報酬として渡せばよかったので、楽でしたが、今回は、殺してしまわないほうがいいと判斷しました。

偶然というものは有るものですね。

私たちがろうとした店の數軒さきに、イサークさんとガーラントさんとピムさんがいらっしゃいます。

「ナーシャさん。し、イサークさんとガーラントさんとお話したいのですが、取り次いでもらってもいいですか?」

「え?いいよ。どんな話?」

下手な事をいうと、ナーシャさんが興味を持ってしまいます。

「ご主人様から、武のご相談をしてしいと言われています」

「そう、解った!緒の話?」

「はい。できましたら」

「了解。ちょっと席外すね。クリスちゃんの事お願い」

「はい。わかりました」

クリスティーネ様と、雑貨を見ることにしました。

普段の調子が悪い事もあって、なかなか街に出られないのですが、私の治療と、ご主人様からの指示で、咳も治まっているので、今日は街歩きをしています。走っても、息が切れないと大喜びです。

私に似合うだろうと、髪飾りを選んでくれました。これは、嬉しいものですね。お禮に、スカーフをプレゼントしました。

「リーリアちゃん!」

「クリスティーネ様。し行ってきます」

「うん。あのね。私の事、クリスって呼んでしいけどダメ?」

「よろしいのですか?」

「うん。それでね。私も、リーリアお姉ちゃんって呼んでいい?」

「もちろんです。クリスさん」

「ダメ。クリスって呼んで・・・しい」

「解りました。クリス。それでは、し行ってきます」

「うん。リーリアお姉ちゃん!」

ナーシャさんの目線の先に、イサークさんとガーラントさんとピムさんがいらっしゃいます。

手招きされたので、それに従います。

「リーリア殿。何か有ったのですか?」

「えぇしご相談というか、ご意見を伺いたいのです」

「ナーシャからは、誰にも聞かれたくないとか・・・間違いないですか?」

「そうですね」

「わかりました」

ガーラントさんが、魔核を取り出します。

ご主人様が作られただという事です。近くの食事が出る店にります。個室が有るそうなのです。個室をお願いしました。運良く開いていたので、個室にります。奴らの狙いの半分以上は、私ですので、私が合流するまでは襲われることは無いでしょう。

ガーラントさんが、魔道を作させます。

「それで?何が有ったのだ?」

早速本題にりたいのですが、確認しなければならない事があります。

「その前に、イサークさん。ガーラントさん、ピムさん、ミュルダの領主様の息子”エンリコ=メーリヒ・ミュルダ・マッテオ”様に関してはどうお思いですか?」

「嫌な奴だな。クリスの父親じゃなければ毆っている」

「イサーク!でも、儂も似たような意見じゃな。裏で、アトフィア教とつながっているという噂があるくらいじゃ」

「うん。僕もそれは聞いた事がある。彼は、ミュルダ翁の影に隠れて、いろいろ悪さをしているみたいだよね。スキルカードを黙って持ち出しているという話も聞いた事があるよ」

概ね、話しても良さそうですね。

皆さん、クリスの父親でなければ、相手にもしないというじでしょうかね

「ありがとうございます。実は・・・」

私は、知っている事を、調べた方法を省略して説明した。

「あいつ・・・でも」

「あぁそうだな。やりかねない。リーリア殿。1つ教えてしい」

「何でしょうか?」

「アトフィア教の話は本當なのか?」

ガーラントさんは、アトフィア教になにかあるのでしょうか?

でも、私はわからないと正直に答えるしかありません。

「私には判斷できません」

「そうか、それで、どうしたいのじゃ?」

「正直に言えば、殲滅ですね。1番簡単ですし、ご主人様に危害を加えようとした者を許す必要じません」

「そうじゃろうな。イサーク。どうした?」

「なぁリーリア殿。襲ってきた者を全員捕らえることはできるか?」

「できますが、捕らえる事でのメリットは?」

イサーク殿は、なにか考えがあるようです。

「そうだな。1番は、クリスに現実を見せる事ができる。あの娘は、聡い娘だ。現実を見せれば、リーリア殿やツクモ殿への気持ちの整理ができるはずだ」

確かに、私への気持ちはどうでもいい事だが、ご主人様の偉大さは沢山の人に知ってほしい。

そのためにも、クリスは味方に引きれておきたい。

それに、あの娘のスキルはご主人様なら有効利用できるはずだ。

「捕らえるのは簡単ですが、尋問などできる自信はありません。殺すだけなら簡単なのですが?」

「ねぇリーリアさん?」

「何でしょうピム殿」

「前から気になっていたけど、君、魔蟲に指示出したりしているよね?でも、君の隷屬や眷屬じゃないよね?」

「できますよ?ご主人様の・・・正確には、ライ兄さんの眷屬ですが、私の指示にも従ってくれますよ?それがなにか?」

「え?どういう事?」

何を疑問に思われているのかわかりません。

「え?どういうと言われましても、そのままですよ?ライ兄さんの眷屬が、ゼーロ殿やヌル殿やヌラ殿ですよ?」

「え?ちょっとまって、僕の理解力が悪いの?」

「大丈夫じゃ儂もわからん。ライ殿は、スライムじゃったよな?」

「はい。種族名を言ったほうがいいですか?」

「いや、聞かないほうがいいと心が言っておる」

ライ兄さんは、イリーガル・グレート・キング・スライムだったはずです。

「リーリア殿の種族名を聞いても問題のか?」

「えぇ問題ないですよ。今後、ご主人様に偽裝してもらいますが、イリーガル・シェル・ドゥロル・ハーフ・ドリュアスです」

「ハハハ。イサーク。儂は、今、領主のバカ息子に心から同したわい」

「僕もだよ・・・絶対に手を突っ込んではダメな所だね」

「あぁそうだな。いや、すまん。リーリア殿。俺やガーラントやピムが心配していたのは、一人でも逃すと、権力がある奴だから、面倒な事になるが、その心配はなさそうだな」

そういう事なら、全員逃しません。

「ありがとうございます。大丈夫です。1人も逃しませんし、私達が襲われた時點で指示を出した奴らの拘束を行うつもりです。問題ないですか?」

簡単に、説明したが、問題はないそうだ。

襲われた時に、できれば、し逃げるような素振りをしてほしいという事だ。その上で、イサーク殿とガーラント殿が突して、尋問を肩代わりしてくれる事になりました。私では、殺してしまうか、壊してしまう可能が高いからです。

有意義な話ができました。

さて、相手もしびれを切らしていることでしょう。クリスやナーシャさんの所に戻る事にしましょう。

ご主人様は怒るかも知れませんが、腕や足を軽く切られるくらいはしてもいいかも知れませんね。

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