《スキルイータ》第五十七話
/*** クリスティーネ=アラリコ・ミュルダ・マッテオ Side ***/
「えぇぇぇぇぇぇ」
『クスクス。慌て過ぎだよ。ご領主様が不審に思っているよ』
そうですね。
お祖父様が、勘違いされているようなので、早めに謝罪の言葉を口にしたほうが良さそうですね。
「ごめんなさい。し考え事をしていました」
「クリス。辛いのなら、部屋で休んでいても・・・」
「いえ、お話を聞かせて下さい」
『リーリアお姉ちゃん、な、な、何を言っているの?お嫁さんって・・・僕、子供だよ・・・』
『リーリア!カイも、ウミも、オリヴィエも、エリンも、すみません。クリスティーネ様』
『え?ツクモ様も、念話が使えるのですか?』
『えぇそうですね。眷屬たちと話をするときにないと不便ですからね』
『リーリア!カイも、ウミも、オリヴィエも、エリンも、先走るな。俺のことを大切に思ってくれるのは、嬉しいけど、行き過ぎると、不快だぞ!』
カズトお兄ちゃんが皆を抑えます。
でも、僕は知っています。さっき念話で僕だけに連絡が來ました。
”怒ったフリをするからね”という事でした。
そのときに、カズトお兄ちゃんが教えてくれました。僕に新しいスキルが目覚めたと言っています。
”魔眼”というスキルで、鑑定の上位版と、魔力の流れを読むことができます。
そして・・・自分を見ました。
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やっぱりというじです。
///種族名:人族(偽裝)
となっています。
偽裝のところを見ると、本來の種族が出てきました
/// 種族名:人族(リバート・ハーフ・ドリュアス・白狼)
お父様の言っていたとおり、僕は化のようです。
でも、不思議と悲しくありません。
カズトお兄ちゃんから、念話で話を持ちかけられました。
これからどうするのか?と・・・。
まだ、僕も考えられないと正直に言います。
『わかりました。でも、あまり時間がないのも事実です。まずは、あなたのお父様をどうするのかとなりますが、選択肢は2つ・・・いや、3つかな?』
『選択肢ですか?』
『はい。そうです。私は、今からかなり殘酷な事を、あなたにいいます。気にらなければ、私にそれをぶつけてください』
『はい』
『1つ目は、お父様とお祖父様の命で、私に許しを乞う。二つ目は、私達と共に來る。3つ目は、お祖父様には生きて責任をとってもらう』
僕は、優しいようにじてしまった。
『ツクモ様。僕は、2つ目と3つ目の選択肢を考えた上で、お父様には、自分がやった事への報いをけてほしいです』
『わかりました、報いとは、あなたにやったことを含めてですか?』
『・・・いえ・・・ううん。いや。そうです。私や母にしてきた事の報いです。それから、數多くの迷をかけた人々へです』
『わかりました。でも、次のようにしましょう』
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カズトお兄ちゃんからの説明をけたあとで、僕の考えを付け加えた形で、方針が決まりました。
お祖父様には申し訳ないのだけど、今まで僕に教えてくれなかった件でしだけ意地悪させてもらいます。
「お祖父様。ツクモ様。お父様たちは・・・」
「クリス!」
「あっすみません」
お祖父様は、僕がお父様の助命を願い出たのだと思ってくれたと・・・思います。
お父様もみっともないです。
今まで、僕のことを化と言ってきて、そんな化にすがってでも生きようと思うのでしょうか?
そうですよね。自分のためなら、娘なんてゴブリンに差し出しても惜しくないのでしょうからね。
「ツクモ殿」
「なんでしょうか?」
お祖父様が、なにか覚悟を決められたようです。
カズトお兄ちゃんの予測どおりに進んでいきます。
予想通りだとしたら、お祖父様は、お父様たちと自分の命を差し出す決心をしたのでしょう。
カズトお兄ちゃんは、それをんでいません。罰をけるのは、実際にいた連中と指示を出した人が居るなら、そいつがけるべきだと言っています。
「儂と、エンリコ、そして、ここで捕まっている者で許してもらえないか?」
「だめですね」
やっぱりです。
お祖父様がまったく関係ないとは言いませんが、お祖父様も被害者の一人になっていたかもしれません。
「それでは?どうしろと?」
「そうですね。1ヶ月、あなたに時間を與えます。ここに居る連中は、明日の朝食は必要ないでしょうが、それ以外に、食事の必要がなくなる人たちをすべて、ミュルダから排除してください」
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「それだけでいいのか?」
お祖父様は、この提案に乗るでしょう。
しかし、隠された意思を知る事はできないでしょう。
お父様、恥ずかしいですよ。
明日の朝食は必要ないと言われているのですから、今日中に食事が必要ない狀態にしろと言われているのですよ?
わかっておいでにならないのでしょうね。自分に都合がいいように解釈されているのでしょう。確かに、このまま進めば、もっともっと沢山生きられるでしょう。えぇ沢山生きてもらわないとならないのです。
お祖父様は、知恵者です。
それが、こうも簡単に騙されていくのですね。
「えぇそれで構いませんよ。それに、私は、ナイフそのものが使えなくなれば、あとはナイフを使った人間が居るかどうかが気になりますからね。ナイフだけを始末して、終わった気になっていると別のナイフに狙われてしまいますからね」
最初に教えられたときには、意味がわからなかったのですが、説明されて。納得しました。
お父様に指示を出した者を連れてこいと言っているのです。
さて、仕上げにりましょう。
今まで溜まっていた、淀みが解消されるでしょうか?
「わかり」「お祖父様!お父様を、ツクモ様。お父様を!」
「クリス。しかし・・・」
お祖父様、ありがとうございます。
お父様。沢山期待してくださいね。
「クリス。エンリコは、それだけの事をしたのだ」
「はい。理解しております」
一區切りれましょう。
「お祖父様。ツクモ様。お父様は、ツクモ様の使者相當のリーリア様に手を出して、め者にしようとしたり、私をその・・・ツクモ様に差し出して・・・とか、ナーシャ殿の持ちを奪おうとしたり、それが全部失敗して捕縛されて、それから逃げ出して、ツクモ様を直接害しようとしました」
「そうだな」
「えぇですから・・・」
あぁお父様。そんな目で、化である僕を見ないでください。
本當に愚かですよ。汚らしいと、僕のことを、罵ってきたのです。同じ事を、自分がされないと・・・なぜ思われるのですか?
ほら、もっともっと期待していいのですよ。
あなたの娘は、化らしく、あなたにふさわしいことをしてあげますからね。
「ですから、お父様とそこのえぇぇと、あぁぁゴミたちは、安易な死ではなく、ふさわしい賠償をさせてからの死にしたらどうでしょうか?」
お父様以外の者たちも同類でしょう。
違っていても構いません。僕のことをかわいいといってくれた、リーリアお姉ちゃんやナーシャお姉ちゃんを殺そうとした奴らにかけるけは必要ありません。殺そうとしたのです。殺されても文句は言えないでしょう。
賠償は、自分たちの命とと心で支払えばいいのです。
カズトお兄ちゃんは、スキルカードは必要ないとおっしゃっていた。魔核も、必要なら自分たちで取りに行くと言っています。
お父様。どんな気分ですか?
僕は、愉快な気分ではありませんが、清々しいです。やっと、お父様から離れられるのです。本當に嬉しい気持ちです。
「そうですね。ツクモ様は、いろいろ実験をしていらっしゃると聞きました」
「あぁそうだな」
「人族を使った実験もしていらっしゃるのですか?」
「いや、被験者がいなくてな」
「それじゃちょうどいいではないですか?お父様を含めて、ゴミクズが4人います。その者を、実験材料にしたら良いのではないでしょうか?どのような扱いをけても、私達は文句を言いません」
『仕上げです』
『はい。わかっております。ツクモ様。お願いします』
「クリスティーネ様。しかし、それでしたら、私達がけるメリットがデメリットと同等存在します」
「デメリットですか?」
「えぇそうです。確かに、私は、実験をしたいと思っています。世間一般的には、側の種族が生まれてくると言われていますが、それではなぜ、ゴブリンやオークは絶対的に、雄が多いのでしょうか?メスが存在しないわけではないようですので、多種族を襲う必要はないはずです。人族が優れていると言っている・・・えぇ・・・と」
「アトフィア教」
「あっそうそう、そのアトフィア教の信者や司祭に、ゴブリンのメスやコボルトのメスと配させたときに、上位種であるホブゴブリンやワーウルフなどが産まれたりしないかとか、興味が盡きません。あと、魔はなどを食べる事で進化する事がありますが、人族で同じ事が起きないかは、早めに実験しておきたい項目ですね」
「それならば!」
「そうですね。一定のメリットはじていますが、そこの人ではデメリットも多いのも確かです。えぇとお父様は、領主様の許可があれば大丈夫でしょう。取り返しに來たら、返り討ちにして、実験が増えるだけですからね。問題は、そこの司祭を自稱している者ですね」
お祖父様は気が付かれるでしょう。
その前に、可能を一つ潰しておきましょう。アトフィア教の人間が、ミュルダに今ってこられるわけがないのです。メリットがないですからね。実際に、魔眼で見ると、アトフィア教の人間は、仮の分証も、ミュルダの分証は持っていません。
アトフィア教の教會は、ミュルダにもあります。正規の手段で、街にってきているのなら、何らかの分証は持っているはずです。
それがないと言うことは、もともと、ミュルダに存在しない人たちのハズです。
「大丈夫ですわ。門番に確認していただければわかると思いますが、その者は、ミュルダには存在しない者です」
「ほぉ固有スキルですか?」
「はい。気持ちの整理ができたら、目覚めました」
「権能に関しては、あとでお聞きしても良いですか?」
「かまいませんよ。でも、そのときには、ツクモ様のことも教えてください」
「わかりました。さて、話を戻しましょう」
お祖父様の出番です。
「領主様。クリスティーネ様のおっしゃっている事が実現できるのなら、私は剣をおさめようと思います。いかが致しましょうか?」
カズトお兄ちゃんは、言葉を続けます。
お祖父様が、反論できる狀況ではないのに、相手に判斷を任せるのです。複數の選択肢を用意するのは、自分が答えを選択したと思わせる事が大事なのだと教えてもらった。
「領主様。この者たちは、ミュルダでは死んだことにしていただけますか?」
「・・・できる」
「わかりました、それで、ミュルダからの謝罪の意思をけ取ります」
お疲れ様でした。
お祖父様から安堵の聲が聞こえてきそうです。
お祖父様からしたら、これからのことなど、それほど重要ではないのかもしれない。僕にとっては、これからが本番なのです。
「次ですが、クリスティーネ様の調の事ですが、ここ暫くじゃ問題ないと聞きますがどうですか?」
しだけ驚いてほしいと言われています。
お祖父様を見れば、わかりました。ここで、驚かないと、僕とカズトお兄ちゃんがつながっていると思われてしまう。
「へ?僕?」
「えぇそうですね。あっ邪魔な者たちに先に出ていってもらいますか?」
「いえ、ぜひ聞かせてあげてください。お父様もそのほうが安心できるでしょうし、私の咳がなくなったことを、たいへん喜んで、リーリア殿を捕まえて、ツクモ様からを聞き出そうとしたくらいですからね」
「え?そうなのですか?それくらいなら、”娘の調が良くなったけど、なにか特別なことをやったのか?”と聞いてくれれば、教えましたよ?もちろん、無償でね」
嬉しいでしょう。
お父様。お父様が、僕やリーリアお姉ちゃんを拐させてまで知りたかった事がわかったのですよ
いい表ですね。お父様は、いろいろ間違えたのです。化と罵った娘が、あなたにいつまでもあなたに従っていると思っていたことや、あなたには価値があるように見えた事も、それほど意味を持たないと考えている人がいた事。
さてトドメですね。
「そうだったのですね。僕は、てっきり下著を変えたからだと思っていました?」
「下著?あぁナーシャが作ってしいといっていたやつですか?」
「そっそうです」
「子供用の下著を何著か頼まれましたよ。そうですか・・・確かに、下著を変えた事での効果はあると思いますよ、前の下著がどのようなだったのかわかりませんが、私が贈らさせてもらったなら、小さな生きが繁していませんし、へのフィットがあったと思います」
カズトお兄ちゃん。子供用を強調しなくていいのに・・・そりゃぁ僕は、ナーシャお姉ちゃんのように、おっぱいも大きくなっっていない・・・けど、子供用と言われるほど、子供じゃないとおもい・・・たい。
「うん。すごく履きやすかった・・・子供用というのが気になるけど」
「失禮しました。追加をお持ちしましたので、後ほど、リーリアにもたせます」
「え?本當?うれしい。いくら?」
「いいですよ。これは手土産としてお持ちしたものですし、私の眷屬たちが作ったですからね」
「そうなのですね」
お父様聞いていますか?
あなた達に向っていっているのですよ?
「作ったとは?」
「リーリアが説明したかもしれませんが、その下著の素材は、イリーガル・グレート・デス・フォレスト・スパイダーの糸で、作ったですよ?」
「え?イリーガル種ですか?すごく貴重なだとお聞きしましたが?」
「そうらしいですね。でも、私達にとっては、ありふれた素材ですし、でも、もう部以外に出す予定はないです」
「もったいないですよね」
「えぇっそうですが、あまり市場に出すと問題になると思いますし・・・」
お父様の表だけではなく、捕まっている連中の顔が素敵です。
そうですよ。あなた達が必死になっていた、スキルカードや魔核よりも、僕が履いている下著のほうが価値が高いのですよ。お父様のメイドにもあとで教えてあげないとだめでしょうね。
お父様に抱かれる事で、僕付きのメイドになって、ママを殺して、お祖父様が死ねば、妻になって、領主の妻になる夢を持っていたのでしょう。
もう、その夢も葉わなくなっているのでしょうけど、いろいろ教えてあげないとダメでしょうからね。
「あっそんな些細な事よりも、やはりレベル6治療では完治できませんか?」
「リーリアお姉ちゃんにしてもらって、かなり楽になったのですが、それでも夜や、起きてからしが痛かったりする事があります」
正直に答えます。
「ご主人様。クリスティーネ様。申し訳ございません」
「リーリアの責任じゃないから気にするな」「リーリアお姉ちゃんが悪いんじゃないです!」
『さて、本題なのですが、クリスティーネ様。レベル7回復でも、多分一時的には、すごく楽になると思いますが、數年後にはもしかしたらまた同じ事になってしまうかもしれません』
『そうなのですか?』
『はい。先程した説明どおり、小さなまで全部取り除かなければならないので、一時的には、力も回復して、治ったように思うのですが、再発する可能は極めて高いです』
『それでも・・・・』
『えぇわかっています。領主様にお願いを聞いてもらいたいので、レベル7回復は使います。使いますが、使い方をし変えたいと思います』
『使い方?』
『はい。リーリアから聞いているかもしれませんが、私には、スキルカードを固定するスキルがあります。それで、クリスティーネ様に、レベル7回復を固定したいと思います。幸い、スキル枠がありますし、魔力も足りています。そうしたら、クリスティーネ様は、いつでもレベル7回復が使えますので、だいぶ癥狀緩和にはなると思います』
『え?でも、そんな・・・』
『いえ、気にしないでください。私たちにもメリットがある事です』
『わかりました、お願いします』
『はい。その後で、偽裝するので、上位鑑定を持っていない限り見破れない狀況にしておきます。あと、樹木や獣化も隠蔽しますか?』
『え?そんな事ができるのですか?』
『えぇ大丈夫ですよ』
『・・・お願いします。あと、ツクモ様。僕の事は、クリスと呼んでください。それから・・・・』
『何でしょうか?』
『カズトお兄ちゃんと呼んでいいですか?』
『え?いいですよ。クリス。でいいのかな?』
『はい!それから、僕もリーリアお姉ちゃんたちと一緒になりたいけどダメ?』
『それは、いろいろ確認してからにしましょう』
『うん。カズトお兄ちゃん!わかった!』
「わかりました、それでは、レベル7回復を使ってみましょう。経過観察が必要になるとは思いますが、それでもいいですか?」
本當だ!
僕に、新しいスキルが著いた。レベル7回復を持つ者になった。
自分で、スキルを発する。
殘っていた、のだるさや息苦しいじがなくなっていく。
僕は、いつの間にか泣いていたようだ。
お祖父様が泣いていらっしゃるのを見て、自分が泣いているのに、気がついた。
カズトお兄ちゃんは、僕の英雄です。
戦って助けてくれたわけではありません。でも、英雄なのです。お祖父様がいなければ、抱きついてキスでも・・・頬にするところです。はしたないですし、僕のような化では、カズトお兄ちゃんが嬉しいとは思えません。ですので我慢します。
カズトお兄ちゃんは、お祖父様と渉を続けます。
僕は、これ以上この場にいても邪魔になるので、退席する事にします。
あぁ忘れていました。
お父様に最後の挨拶をしておきましょう。
「お父様。今までありがとうございます。もうお會いする事はないかと思いますが、ご健康に留意して、お過ごしください。お父様が罵った、化は、あなたの前から消えます。嬉しいでしょう。これから、沢山長生きしてくださいね。最後まで、私のことを見てくれなかった人。あなたの娘は、化として立派に生きていきます。楽しい実験が待っています。せいぜい長生きして、カズトお兄ちゃんの役に立ってくださいね」
「さようなら」
/*** カスパル=アラリコ・ミュルダ・メーリヒ Side ***/
クリスが、満面の笑みを浮かべながら、エンリコになにかを言ってから、別れの挨拶を口にした。
儂とツクモ殿に一禮してから退出した。
儂は、ツクモ殿に聞かなければならない事がある。エンリコ達の未來に関してだ。知らなくても、良いのかもしれないが、知っておきたい。
「ツクモ殿。この者たちの末路を聞きたい。どのような実験をする予定なのだ?」
「そうですね。先程も言ったのですが、魔との配実験ですね。アトフィア教では、人族のを使った実験が行われているようですね。それの逆でも同じ事ができると思います。特に、ゴブリンやコボルトとの配で、ダンジョンの魔でも知恵ある者が生まれるのなら、それは戦力として考える事ができますよね。あとは、レベル6変スキルを使用して、人族ののになった場合に、妊娠できるかの確認とかですね。ちょうど人族の男も居るので、互に試してみたいとは思っています」
聞かなければよかった。
でも、聞いておいてよかった。エンリコたちから余裕がなくなる。子供の実験程度に考えていたのだろう。自分たちが、今までしてきた事を10倍にしてやり返されているようなものだろう。
儂は、決めた。
1ヶ月間で綺麗に掃除を行って、長老衆にミュルダを託す事にする。そして、ミュルダの街が、カズト・ツクモ殿に犯意を持たないように、儂が防波堤になる。ツクモ殿が、承諾してくれるかわからないが、提案はしてみようと思う。
「さて、領主様。あなたが無罪放免というわけには行きませんよね?」
「・・・はい。わかっております。しかし!」
「そうですね。ビックスロープの責任者になってもらいます。ミュルダの街の領主と兼任でも構いませんが、人質として、ビックスロープに居住を移してください」
え?それでいいのか?
「かなり大変ですよ。1ヶ月の間に、ゴミ掃除を行って、領主代行を作って、ビックスロープの責任者になってもらうのです」
「わかっています。でも、それでよろしいのですか?」
「私が今求めるのは、ビックスロープの安定です。ミュルダとの易は功させたいですからね」
「わかりました。さすがに、今日、この場ですぐに返答できません。2-3日余裕をいただきたい」
「えぇ構いません。暫くは、クリスの狀態を観察する時間が必要です。でも、このゴミだけは、早急に片付けたいと思いますが、構いませんか?」
「・・・わかりました、お願いします」
エンリコたちが、リーリア殿たちに引きずられるように出ていく、なにか喚いているが、すでに言葉にはなっていない。
クリスの最後の言葉が全てなのだろう。
易を行うための準備をしなければならない。
生き殘るための方法も考えなければならない。
やる事、考える事が多い。
でも、やることが多いほうがいい。やる事が多ければ、変なことを考える事がない。
クリスはどうする?
この屋敷に住まわす事ができなくなってしまう。
「ツクモ殿」
「なんでしょうか?」
「一つだけ、儂の願いを葉えていただけませんか?」
「容によりますけど、なんでしょうか?」
「孫娘を、頼みたい」
「わかりました。クリス殿の意思に従うでよろしいですよね?」
「はい」
「アーモス殿はどうされるのですか?」
「アーモスは、儂が育てます。アトフィア教に毒されないように、ビックスロープで育てたいと思うが問題ありませんか?」
「構いませんよ」
儂は、エンリコとカスパルを失ったが、ミュルダの未來を摑み取った。
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