《スキルイータ》第六十六話
/*** カズト・ツクモ Side ***/
スキル調整も終わったし、クリスのスキル確認の意味もあるから、ダンジョン探索を開始するか。
『あるじ!』
「ん?どうした?」
『うん。ダンジョン。攻略すると、ダンジョンの魔たちが溢れるけどどうする?』
「あぁ・・・そんな事を言っていたな。ライ。眷屬を呼び出して配置させておく事はできるか?」
『うん。大丈夫だよ。エントやドリュアスも呼んでおく?』
「そのほうがいいだろうな。意識芽生えた魔なら、話ができるかも知れないからな。それ以外は、狩り盡くしても問題ないだろう。魔のきなんかも観察させておいてくれよな」
『わかった!スーンに言っておくね。あと、ヌラやヌルやゼーロも働きたいみたいだけどいい?』
「あぁログハウスが問題なければいいぞ」
『ありがとう。皆で話し合って決めさせるね』
「頼むな」
クリスが不思議そうな顔をしている。
「クリスどうした?」
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「ううん。ただ、カズトさん達は、ダンジョンが攻略された時に、何が発生するのか知っていそうだったから不思議に思っただけ」
「ん?」
「だって、ダンジョンを攻略した時に、何が発生するのか調べるつもりだったと思ったから・・・」
「あぁそういう事か、俺たちも、実際に何が起こるのかはわからない。ただ、魔が意識を持って、ダンジョン・・・元ダンジョンから外に出ようとするだろうとは思っているだけだぞ」
「へぇ・・・そうなの?」
「あぁそうだよ。それよりも、クリス。5階層のボス戦はどうする?見ているか?」
話をそらさないと、納得するまで質問されそうだ。
俺が話をそらせばそれ異常は突っ込んでこないくらいの分別を持っているのはありがたい。
「ウミ姉。スキルの使い方を教えて!」
『いいよ。カイ兄。任せていい?』
『いいですよ5階層だし、まだ余裕が有るでしょうからね。低階層の間に、クリスにはスキルの使い方を覚えてもらいましょう』
「わかった!ありがとう。カイ兄。ウミ姉」
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話がまとまったようだな。
ライは、今回もお休みのようだ。バックから出てくる様子がない。
5階層のボス部屋にる。うーん。余裕かな?ゴブリンの集団のようだ。クリスを狙ってきているが、結界に阻まれている間に、短槍に炎をまとったもので突かれて倒れていく。
その間、クリスの橫で、ウミがスキルを発させている。
カイは、俺の橫で警戒しているに留まっている。
すべてを、ウミとクリスが倒した。
最後の1も、クリスがスキルを使って倒した。
「カズトさん!」
「あぁうまくできたな」
「うん!」
クリスが抱きついてくる。
今回ばかりは、カイもウミも邪魔しない。抱きしめてやれという事だろう。クリスを抱きしめて、頭をなでてやる。
大きく振られる白いしっぽが見えるのではないかと思うくらいに喜んでいるが伝わってくる。
「ウミ。クリスはどんなじだ?」
『うーん。まだ、無駄が多いかな?それと、魔眼に頼りすぎていて、魔眼で確認してから発しているから、今くらいの魔なら大丈夫だけど、魔蟲とかだと苦労する。何回か、結界まで迫られていた』
「えぇウミ姉厳しい・・・でも、そうだよね。まだまだ、僕は強くなれる!」
「あぁそうだな。さて、回収するだけ回収して、先に進むか」
「カズトさん。ここのゴブリンはどうするの?」
「あぁライ!」
『ん。わかった!』
ライが、バックから飛び出して、ゴブリンの死骸を収納していく。
階層に降りる。このダンジョンは、居住區のダンジョンと違って、窟のようなが続いている。ダンジョンという作りだ。通路の幅という制限が有るので、対峙する魔の數もそれほど多くない。今の所、最多でも3だ。これなら、クリスの訓練に丁度いいだろう。
カイも前から下がってきている。クリスと、ウミが、全面に出て、魔と対峙している。最初は、手間取っていたが、6階層が終わる頃には、だいぶ戦闘にもなれてきたようだ。
「ライ。収納は大丈夫か?」
『うん。まだまだ大丈夫!』
「無理そうなら、ゴブリンとか低位の魔は吸収するなり、魔蟲に與えていいからな」
『うーん。せっかく、クリスが倒したから、クリスに吸収させたいけど』
「ライ兄。僕、吸収できないから・・・」
そもそも、魔やハーフが、魔素や魔核を吸収しているなんて話を、イサークたちは知らなかった。リーリアの話では、いろいろ実験しているらしい、アトフィア教もたどり著いていないらしい。
「クリス。魔倒した時に、魔素が出るらしいけど、見えるか?」
「うーん。次見てみる」
「あぁ頼む」
俺の推測が當たっていれば、人族も魔素の吸収ができる事になる。
そうでないと、ダンジョンに潛ったり、ブルーフォレストで魔を狩って、力や魔力が上がる事の説明が難しい。
次の魔はすぐに見つかった。
クリスの魔眼で、魔力の流れを調べる事ができるのは解ってきている。それと同じ要領で、魔力の塊が有る場所を探させたら、ゴブリンが溜まっている部屋が見つかった。モンスターハウスの様になっている。部屋の口部分は大丈夫だが、中にると、20近いゴブリンが襲ってくるようになっているようだ。
皆で突撃して、あっさりとゴブリン共を倒す事ができた。この程度の魔では苦労はしない。
「クリス。ゴブリンたちが倒れた後の魔力はどうなっている?」
「え?あっうん」
今まさに倒されたゴブリンにクリスが集中する。
「あ!え?」
クリスが見えているを説明する。
ゴブリンが倒されると、死骸から、魔力がれ出す。全部ではなく、一部のようだ。その一部が、空中を漂って、俺やカイやウミやライに吸い込まれていくようにっていった。ダンジョンの壁にも一部吸い込まれていったようだ。
近くに居た者が多いのかわからないと言っている。次は、量に関しての考察だな。
でも、やはりというか、想像していたとおりだ。
そして、ゴブリンの死骸の中に殘った魔力が固まっていれば、魔核やスキルカードになるし、そこまでの量がなければ、徐々に溢れ出て行くだけなのだろう。
俺が、一般的な人族と同じかは置いておくとして、人族でも魔素を吸収できる事が解った。魔核の吸収ができるかどうかはわからない。リーリアやオリヴィエ辺りと話をすればやり方が見えてくるかも知れない。クリスに、魔核の吸収を見せるのも1つの方法かも知れない。
まだまだ、俺は強くなれる、安全に過ごせる様になる方針が見つかったのは嬉しい事だ。
「クリス。次は、魔から出た魔素を意識して、取り込むようにしてみろ」
「わかった!」
魔素と吸収に関して、調べる方向が決まったから、ダンジョン攻略を進める事にする。
次の休憩は、10階層のボス部屋前のセーフエリアとした。
このダンジョンは、1つのフロアがそれほど広くない。イサークたちが言っていたとおりだ。
最下層はわからないが、イサークたちが攻略したと言っていた階層までなら、さほど苦労なく行けそうだ。クリスの魔眼だよりだが、道も迷わないで行ける。無理に魔を倒さないで、最短ルートを進むように切り替えた。
魔素の吸収に関しても、だいぶわかってきた。
この世界には、ギルドで、パーティー申請を行う事ができるようだが、今回俺たちはそれをしていない。クリスと俺はソロでダンジョンにっている事になる。パーティーがどんな権能を持っているのかは、後日仕組みと合わせて調べる事にして、クリスにスキルを使わせて、練度を上げる事に集中する。
クリスが言うには、意識して魔素を多く取り込むのはできないようだ。取り込もうとしても、素通りしたり、飛散してしまうようだ。
10階層のセーフエリアに到著した。
「クリス。力や魔力は大丈夫か?」
「うん。僕、疲れていないよ。スキル回復があるからなのか、本當に疲れない」
「そうか、疲れていないのなら、いいよな。カイ。ウミ」
カイとウミは、わかっているのか、俺の膝の上で丸くなった。
「クリス。立っていないで、座れよ。10分くらい休んだら、ボス部屋にるからな」
「え?あっうん。ねぇカズトさん。僕がつかれたと言ったらどうしたの?」
「あぁライから、布団を出してもらって、一眠りしようとは思っていたけどな、今このダンジョンには、俺たちしか居ないから、寢ていても大丈夫だろう?」
「え?お布団?」
「あぁライが持っているからな」
『うん。あるじのお布団を持っているよ!』
「え?カズトさんが使っているお布団?」
「あぁライ。他は持ってきているか?」
『ううん。リーリアにあずけてある。リーリアが、あるじのだけ持っていけば大丈夫と言ったからそうした』
「リーリア・・・。まぁいいか?だってよ・・・どうした?クリス?」
つらそうな顔をしているが、口元が緩んでいる。
「はい。はい。疲れたフリしなくていいからな。サラトガのダンジョンも、だんだん狹くなっていくらしいからな。し休んだら、攻略を始めるぞ」
「・・・うん!でも、次の休憩では、お布団で休みたい」
「わかった。わかった。次は、20階層のセーフエリアまで一気に行くからな」
「わかった!」
「カイ。ウミ。大丈夫だよな?」
『主様。30階層でも大丈夫です』『うん。カズ兄。手応えがないから、早く進もう!』
そうだな。
結局、まだウミとクリスだけで進めているからな。
「そうだな。カイかライが參戦するようにならなければ、30階層を目指してみるか?」
「え?」
『かしこまりました』『わかった。クリス。頑張るよ!』
ライは、バックの中でおとなしくしているようだ。
10階層のボスも、ゴブリンだった。
このダンジョンは、ゴブリンしか出ないのか?鑑定したら、ゴブリンはゴブリンでも、ゴブリン・アーチャーやファイターやタンクとか出ている。カズが多いだけではなく、種族が違うのだろうか、もたせた武で種族名が変わるのか、種族名が変わって、持つ武が変わったのか、すごく興味がある。検証したい。検証したいが、方法が思いつかない。
棚上げだ。
クソぉスマホがあれば、ToDoリストに追加しておくのに・・・。
考え事をしていたら戦闘が終わっていた。
やはり、ウミとクリスだけでまだ大丈夫なようだ。居住區のダンジョンから學んだ事だが、フロアボスから次のフロアボスまでは、それほど魔が強くならない。ここだと、5階層ごとに、出てくる魔が強くなるのだろう。
「あぁぁぁぁぁ!!!そうかぁ!!!」
「え?カズトさん!どうしたの?僕、なにかやっちゃった?」
「あぁ悪い。クリス。カイもウミもライも悪い。考え事していて、前に疑問に思っていた事がわかっただけだ」
「え。なに?カズトさんが疑問に思っていたこと?」
俺は、クリスに説明する事で、自分の考えをまとめる事にした。
ダンジョンが、最下層から、徐々に魔が強くなっている。これに関して、不思議だった。人や餌になる””をおびき寄せて、喰らうモノかと思っていた。それなら、フロアボスをいきなり強くすれば、楽勝なのに、そうなっていない。それどころか、餌が徐々に強くなるようになっている。
そして、1番の疑問だったのが、フロアに居る魔たちは、他の魔が倒された場合に、魔素や魔核を吸収しないのか?という事だ。簡単に強くなれるだろう?実際に、カイやウミやライが強くなっている所を見ている。
そして、人族は魔に殘された魔素を吸収する事ができない。イサークなどの話から素材になるような魔なら持ち帰るが、そうじゃなければその場に捨てていくと言っていた。その捨てられた、魔の死骸に殘っている魔素はどうなっているのか?
ダンジョンが吸収していたのだろう。そして、吸収した魔素を使って、新たな魔が生み出される。
もちろん、それだけでは魔素は足りないだろう。”なんらかの方法”で魔素を作り出すか、魔素を調達する手段が有るのだろう。それが、ダンジョンコアの役目なのだろう。
フロアに居る魔は、魔素が吸収できないから、強くなることも、意識を持つことも、そして、俺たちが何度も実験していた、ダンジョンの魔をダンジョンの外で飼育する事ができなかったのだ。強くなる必要がないのか、ダンジョンコアとの関係なのかはわからないが、ダンジョンが攻略された時に、ダンジョンの魔が意識を持つと言われている事から、ダンジョンコアが魔を縛っているのだろう。
フロアごとに魔が産まれるのは、ダンジョンコアが魔を作っているわけではなく、魔素濃度によって作られる魔が決まっているのではないかと考えるのが自然なことだ。
よくあるゲームの設定だが、ダンジョンの魔たちが何を食べているのかではなく、魔たちは、ダンジョンコアの一部だと考えれば、いろいろ納得できる。
ここまで説明した。
「カズトさん」
「なに?」
「それ・・・一部は、コルッカ教が既に公表している容ですよ?」
「は?え?そうなの?」
「はい・・・ダンジョンの攻略後の話と、魔が魔素を吸収しているとかは、知っているかはわからないけど、ダンジョンコアが、魔をっている事や、ダンジョンの魔を連れ出しても、死んでしまう事とかは、一般的にしられている事ですよ?それから、ダンジョン魔の強さの検証もやっていて、カズトさんが説明してくれた徐々に強くなる事や、フロアボスと同等の強さになっているのも、魔素が関係しているだろうという結論になっていましたよ」
車の再開発のような事をしてしまったようだ。ログハウスに帰ったら、コルッカ教に話を聞きに行こう。
うん多分・・・無駄じゃなかったと思いたい。何か、新しい発見が有ったかも知れない。配実験とか・・・・はぁまぁいいか、楽しかったから・・・。
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