《スキルイータ》第七章 暗雲 第七十一話
/*** サラトガ領主 Side ***/
「それでどうなった?」
「・・・はい。どうやら、ダンジョンが攻略されたわけではなさそうです」
「は?それでは、なぜ、スキルカードも魔核も出てこない!」
執事が申し訳なさそうにしている。
「よい。話せ。何が解った?」
「はい・・・」
冒険者たちが持ち帰った報だと前置きされたが、サラトガのダンジョンのというか・・・サラトガ領主家にまつわる事だと言ったほうがいいだろう。
サラトガのダンジョンが、1人の男に寄って維持されているのは知っていた。知っていたが、それは領主家に伝わる話で、外には出していない。俺が聞いていた話では、何代か前の領主が、産まれたばかりのダンジョンを攻略するために、最下層に向かった。その時に、得たのが領主家に伝わる、レベル7回復だ。最初は、數枚有ったとされているが、バカな領主が自分の壽命を延ばすために使ったと言われていて、それから、レベル7回復は使用しないで、街同士の渉に使うだけに留めるようにと申し送りされるようになった。
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サラトガのダンジョンを攻略した領主たちは、ダンジョンコアを破壊せずに、その時に1番魔力が高かった者が、名乗り出て、ダンジョンコアを手中におさめて、この地にダンジョンを付かせたと聞かされている。
しかし、今聞いた話では、逆ではないか?
領主が無理やり男をダンジョンコアに與えた事になる。冒険者たちは、実際に玉座に縛られる格好で白骨化した男を発見したと言っている。ダンジョンコアはすでになくなっていて、魔素が抜けた大きい珠が転がっているだけだったようだ。
男は、どうやら、ダンジョンコアに意識を移して、ダンジョンの運営を行っていたのだが、いよいよ魔素がなくなってしまったという事だろう。魔素がなくなるまでに、誰かがたどり著いていたら、魔素を注できたのに、無念だとも書かれていたらしい。
まずいのは、そこではない。
その男の事を、サラトガの領主達が無視した形になっている事だ。
俺は知らなかったが、知らなかったとは言えない記述も見つかっている。
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どうやら、領主の申し送りの時に、ダンジョンを攻略して、ダンジョンコアに若いを生贄に捧げていたとの記述が殘されていて、それを行っていれば、ダンジョンコアとしての力が衰える事は無かっとさえも書かれている。
ここで2つの事が問題になる。
俺が、ダンジョンの攻略をしてこなかった事。そして、ダンジョンが、”若い”の生贄でり立っていた事。
この2つは確実に問題になる。アトフィア教としては、人族と記述はされていないが、”若い”である事から、人族のと考えるだろう。コルッカ教は、ダンジョンコアとサラトガの領主達が取引している事を問題にするかもしれない。
箝口令・・・と思ったがすでに遅かったようだ。
執事が知っている事から、冒険者はギルドに報告しているだろう、膨大な容が壁に刻まれていたと言っている。その事から、ギルドはすでに人を派遣して、寫しを作しているのだろう。
それらの事は、本來なら領主である俺がやらなければならない事だが・・・・もう、手遅れだな。
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冒険者はすぐにこの街を見捨てるだろう・・・獣人族の街に、ダンジョンがあるという噂がある。それに、コルッカ教の教會が道々にできていると言う話もある。
易ルートに街を作る。考えもしなかった方法だ。商隊も道に迷わない。道々で商売をする者も出てくる。街まで商隊を連れてこさせて、商売をするのが一般的だと思っていたが、街と街の間に、馬車を休ませる場所を作る。その作った場所に、宿屋を作って、安全な休憩を提供する。それだけで、安全が上がる。
今までは、商隊の規模を大きくして、安全を確保していたが、安全に休める場所があるのがわかっていれば、小さな商隊でも足をばそうと考えるだろう。
ミュルダ老の考えだろうか?
それとも、誰か別の・・・獣人の長からのれ知恵なのか?
「お前たちはどうする?」
「ご主人様とご一緒いたします」
執事には、若い者から暇を與えた。ダメ元で、獣人の使用人には、ミュルダ老への推薦狀をもたせた。
それでも、俺と共に逝くと言った者が數名殘った。
後始末をしてから、屋敷に火を放つ。それで、サラトガから出ていく者は出ていくだろう。
/*** カスパル=アラリコ・ミュルダ・メーリヒ Side サラトガダンジョンが攻略されてから3ヶ月とちょっと後 ***/
「代行!」
最初の頃、儂の事を、領主と勘違いしていた。
儂は、ツクモ殿から、商業區を預かっているだけで、領主はカズト・ツクモ殿だ。
スーン殿に、進言して、儂らは”領主代行”という立場にしてもらった。
または、”區長”とも呼ばれる。どちらでも構わないとは思っているが、”代行”が一般的な役職名の様になっている。
「どうした?」
「はい。ミュルダ経由で、サラトガの領主の所で働いていた獣人族の者が來ています。サラトガ領主の推薦狀を持っています」
「ほぉ?それで、そのものたちは?」
「はい。推薦狀によれば、サラトガ領主の所で、ダンジョンの管理運営を任されていた者のようです」
「なに?!本當か?」
「はい。サラトガに居た者からの間違いないという事です」
「そうか・・・それで、どうして?そんな者たちが・・・あ!ツクモ殿がこの前言っていた事か?」
「だと思います」
3ヶ月前に、ツクモ殿が、クリスと一緒に行政區を訪ねてこられた。
その時に、1つの”珠”を行政區で大切に保管するようにと言われた。クリスは、その”珠”の正は知っているようだが、儂は知らないほうがいいと言っていた。ツクモ殿絡みの事なので、儂も深くは聞かなかった。
聞かなかったが、その後に発生した事から、すぐにわかってしまった。
ツクモ殿は、ブルーフォレスト側に作られていた門の近くに新しく小屋を立てるように、スーン殿に指示された。
翌日には、質素な小屋が出來上がった。
そして、その翌日から、1週間は出り止と言われた。
正確には、10日後にアンクラムとミュルダを廻って來られたツクモ殿が寄られた時に、小屋を視察する事になった。
そして、あの”珠”がダメなだと認識した。
小屋の地下にダンジョンが広がっていたのだ。
小屋には、付のようなと、地下に降りる階段ができていた。小屋の今後の管理を含めて、獣人街・・・改めペネムと呼稱する事が発表された・・・の行政區で管理する事になった。
ペネムと呼ばれる街が出來上がった。そして、ダンジョンは、ペネム・ダンジョンと呼ばれる。ペネムと呼稱する時には、一般的にはダンジョンを指す事になる。街としては、獣人街と呼ばれている。実際には、獣人の割合は6割だが、行政區を取り仕切っているのが、獣人族なので、その呼稱が使われている。
ダンジョンは、小屋からる事ができる。小屋を降りると、左右に別れる道があり、右回りと左回りのどちらかを選ぶ事になるのだが、ダンジョンにる者は右回り。ダンジョンから帰ってくる者は左回りとする事がルールとして定著した。
通路には、不思議な事に、部屋がいくつも並んでいる。
ツクモ殿から言われて、右回りの方は、スキルを売ったり、武を売ったり、食料を売ったりする店が並んでいる。左側は、買い取りを専門に行う者達が並んでいる。それも有って、冒険者は行きは左回りで行って、帰りは反対側の通路で摂ってきたを売るようになっている。
スーン殿が見つけていた、サイレントヒルの地下に広がる場所がそのままダンジョンに変貌した。
広大なサイレントヒルの下に広がる形で、ダンジョンに変貌しているので、探索も進んでいない。現狀、5階層まで進んでいるのが1番深いところまで進んでいる者たちだ。イサーク達だが・・・ツクモ殿に言われて、こっちのダンジョンに潛るようになっている。
ツクモ殿は、その時に、サラトガはそのうち衰退するから、サラトガから人が流してきたら、明らかに問題がある者以外は、儂の自由裁量で採用して良いと言われている。最終的な確認はツクモ殿に上げる事になるが、紹介狀を持っている事もあるので、問題は無いだろう。
そして、今までサラトガでダンジョンに攜わっていた経験から、ダンジョン運営の手助けをしてもらえたら嬉しい。
「あっ代表の者が、代理にお會いしたいと言っています」
「大丈夫だ、どうしたらいいと思う?」
「応接室がよろしいかと思います。それから、お疲れの様子でしたので、ピチを絞ったをお出ししたいと思いますがよろしいですか?」
「あぁ頼む」
応接室は、ツクモ殿のログハウスに有った部屋を真似して作った部屋だ。
皆一度は通った道だ。どれだけ、ツクモ殿が素晴らしい方なのかをわからせるために丁度よい。
応接室にる。
やっぱりそうなるよな。代表は、兎族の者だろう。ソファーの前の方にちょこんと座っている。鑑定を持っているのだろう。鑑定した事を後悔したのだろうな。
そして、何気なく出された飲みを飲んで驚いたという所か・・・。溫かい飲みは意外と多いのだが、冷たい飲みなんて、寒い季節に出されるだけで、こんな暑い時期に出されるとは思っていないだろう。
「貴殿が?」
「え?あっミュルダ領主様。我らは、サラトガ」「”領主様”はやめていただきたい。もう、領主ではないのでな」
「それでは、なんとお呼びしたら?」
「儂の事は、代理とでも呼んでくれ、それで、貴殿は?」
代表は、立ち上がって一禮してから名前を名乗った
「失禮した。私は、プーペラという者です。見ての通り、兎族だ」
「どうぞ座ってくれ、それで、プーペラ殿は、今後どうされたいのですか?」
「できましたら、獣人街に住むことを許してしい。そして、厚かましいお願いだが、仕事が有るのなら紹介してしい」
心の中で歓喜が沸き起こる。
しかった人材が手にったかもしれない。紹介狀のとおりだとしたら、すごくすごくすごくしい。
「わかった。この街は、”來るもの拒まず。去る者追わず”が基本方針なのじゃ」
「それは?」
「あぁ街に住みたい者は、犯罪や獣人やハーフに偏見がなければOKじゃ。街から出たいという者も別に構わないというスタンスじゃよ」
「そうなのですか?それは、代理様のお考えですか?」
「違う。違う。違うのじゃ。この辺りの領主である。カズト・ツクモ殿のお考えじゃ」
「カズト・ツクモ殿?聞いたことが無いのですが?どこぞの族長様ですか?」
「ツクモ殿は、人族じゃよ」
「え?人族が、獣人族の街を?」
「あぁっと言っても、ツクモ殿は領主になられる事をご了承していないのでな。我らが、勝手にそう思っているだけじゃ」
「・・・なにか、事がお有りなのですか?」
「どうじゃろうな。しかし、儂らはツクモ殿の溫で生かされているのは間違いない。それさえ間違えなければ、問題はなかろう」
「・・・わかりました。ここに至る道でも同じ様な話をお聞きしました。しかし、ツクモ殿を見たという者がないので・・・」
「そうじゃな・・・彼のおかたは・・・それよりも、お主達、仕事を求めておるのじゃろ?」
「え?あっできましたら、なにか私たちにできる事が有りましたらご紹介いただけらた嬉しく思います」
「うんうん。お主達に頼みたい仕事がある」
「そうですか?それはどの様な?」
”実は”という話で、ペネム・ダンジョンの話をした。
ダンジョンが有った場所に街を築いたという事にしたのだが、この説明なら皆が納得してくれる。
そして、プーペラたちには、ダンジョンの運営や通路上での店舗をお願いしたい旨を告げた。
一度持ち帰って検討したいと言っていたが、表からはけてくれる事が伺えた。
これで、ツクモ殿からの無茶振りが1つ片付いた。
気になっていた事を聞く事にする。
「プーペラ殿。それで、サラトガの領主殿はどうされると思いますか?」
「え?あっ多分、ご自分で判斷されると思います」
自害するという事だろう。
サラトガの街も終焉にむかうのだろう・・・ツクモ殿なら、なんとかする方法をお持ちかもしれないが、儂がそれを言うのは違うだろうし、ツクモ殿にも失禮にあたる。
ツクモ殿は、神でもなんでもないのだから・・・ツクモ殿は、どこにでも居るとは・・・言えないけど、普通の・・・じゃないかもしれないけど、人族なのだ。それも、まだまだクリスと同じくらいの子供なのだからな。
--- その頃
「クシュン」
『あるじ。どうしたの?寒いの?』
「え?あぁ誰かが、俺の悪口を言ったのだろう」
『えぇあるじの悪口?そんな事、いう奴は殺しちゃおうよ』
「ライ。いいよ。それよりも、ライの中にっているを整理するぞ」
『うん!でも、あるじ、急にどうしたの?』
「あぁ魔の死骸とか、さっさと処理したほうがいいだろうからな」
『そうだね。結局クリスは吸収できなかったよね』
「そうだな。まぁいいよ。それで死骸だけど、ライの眷屬達で、分けていいからな」
『わかった!あっリーリアやオリヴィエやエリンは?』
「どうする?」
「ご主人様。私は必要ありません。魔核をいただきました」
「マスター。僕も、魔核をいただきましたし、魔のの処理は得意じゃないので・・・申し訳ありません」
「パパ。僕も、いらない!」
「だってよ。ライ。眷屬達に全部出しちゃっていいからな」
『わかった!』
- 連載中39 章
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