《【新】アラフォーおっさん異世界へ!! でも時々実家に帰ります》第3話『おっさん、確認する』前編

〈影の王〉スキルで3匹のゴブリンをやり過ごしたあと、木にもたれかかって座り込んで數分、敏樹はなんとか平靜を取り戻した。

そして落ち著いてくると、嘔吐の殘滓が殘る口の不快がこみ上げてくる。

「水……どっかにないかな……」

そう思った瞬間、敏樹の手の中に500ミリリットルのペットボトルりミネラルウォーターが現れた。

「は……?」

敏樹は手の中に現れたペットボトルをまじまじと見た。

それは日本で當たり前のように売られている、ごくごく普通のミネラルウォーターであった。

「……魔法? …………いや、アイテムボックスか!!」

そこでようやく敏樹は、アイテムボックス的なスキルを町田に要求したことを思い出した。

たしか〈格納庫ハンガー〉といったか。

「そういや“役に立ちそうなものをれておく”って言ってたよな」

敏樹は〈格納庫〉とやらに何がっているのか確認すべく、とりあえず念じてみた。

「ん? おお……? おおっ!!」

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それは奇妙な覚だった。

すぐ近くに大きな倉庫があり、その中にいろいろなものが収納されているのがなんとなく把握できる。

そしてものすごく広い倉庫にいろいろなものが収納されているにもかかわらず、し手をばせば必要なものをすぐに取り出せるということが、なぜか理解できた。

ともかく敏樹は手にしたペットボトルの蓋を開け、口の中を何度かゆすいだあと、殘りの水を飲み干した。

そうやって一息ついたところで、再び〈格納庫〉の中を確認する。

「あー、結構いろいろれてくれてんなぁ」

〈格納庫〉の中には水のペットボトルの他に、數種類の攜行食、調味料が一通りと調理道一式、著替えとなりそうな下著類、タオルやティッシュペーパーなどの生活用品、何かと使えそうなブルーシート、寢袋、ロープ、はさみやカッター、ペンとメモ帳などの文類、金槌や鉈、のこぎりなどの工類に加え、鍬くわや鎌などの農類も収められてた。

「……お、靴もあるじゃないか!」

収納は念じれば即時手の中に現れるようである。

「……靴、これしかないのかよ」

それはまだ敏樹が田舎に帰る前、都會で會社勤めをしているころ、ボーナスと言うにはあまりにない額の寸志が出た際、先輩社員に勧められて買ったドイツ製の革靴である。

それなりに高価な品で、もう十年近く履いているがまだまだ使えそうなほど作りはしっかりしており、履き心地もかなりいいものである。

というか、履けば履くほど足になじんでくるようで、いまや下手なスニーカーよりも歩きやすいものとなっていた。

だからといって、こんな森の中で履いていると足腰よりも靴が傷まないかどうかが心配になってきそうなので、できれば別の靴を履きたいところではある。

「ま、無いものはしかたないか。こんな森の中を靴下だけで歩くなんてのは免被りたいし……、あ、靴下」

敏樹は続けて替えの靴下とタオル、それに水のペットボトルを取り出し、タオルを水で濡らして足の裏を拭いたあと、靴下を履き、そして靴を履いた。

「よっこらせっと」

靴を履いたあと、立ち上がった敏樹は、履き心地を確かめるようにその場で何度か足踏みした。

「よし。これでとりあえずまともに歩けるな。さて……」

敏樹が改めて地面を見回すと、腳を拭いたティッシュや、空になったペットボトルが目にった。

し離れた場所にはぎっぱなしで放置された、の開いた靴下もある。

「ゴミ、どうしようか……」

このまま放置したとしても、誰にとがめられるわけでもあるまいが、“來たときよりも綺麗に”という日本人として當たり前の覚が染みついている敏樹にとって、ゴミを放置していくというのはあまり気分のいいものではない。

「あー、そっか。〈格納庫〉にいれときゃいいんだ」

〈格納庫〉の容量はかなりのものであるようなので、とりあえずゴミの類いはそこに収めておき、あとでまとめて捨てるようにすればいいだろうと思い至った敏樹は、飲み干したあと軽く潰されたペットボトル、の開いた靴下、汚れたタオルを手に取った。

そして軽く念じたことで問題なく〈格納庫〉に収納できたようであった。

**********

「さて、どうするかな……」

ひとまず危機は乗り切ったが、どうやらここは魔がうろつく森であるらしいことは確かである。

ゴブリンだけでなく、他の魔が現れる可能もあり、次に訪れる危機を乗り切れるとは限らない。

「とりあえず武になるを……」

當分の間は魔と遭遇しても逃げ隠れするつもりではあるが、それでも何らかの対抗手段は持っておくべきだろうと思い、敏樹は武になりそうなとして工類を取り出して地面に並べてみた。

金槌、鉈、薪割り用の斧、片刃のこぎり、ドライバー各種、スコップ、そして釘やネジ數種類各100本程度が並べられた。

金槌、鉈、斧などは、素人である敏樹にとって下手な武よりも使いやすいのでははないかと思いつつ、それぞれ手に取って軽く振ってみる。

どれも武としては頼りないが、ないよりは絶対にましであろう。

「もうしリーチがなぁ…………。あ、そういばトンガがあるな」

トンガとは鍬の一種――地方によっては鍬全の別名として使われる場合もあるようだが――である。

いくつかある鍬の中で、敏樹が取り出したのは昔からトンガと呼んでいた刃の幅が狹い耕作用のものであった。

おそらく〈格納庫〉の道類の中で、最もリーチが長いのがこのトンガであろう。

「とりあえずこいつを持っとくか」

なにも攜行する武はひとつに限る必要はなく、通常であれば腰に鉈でもつるしておいたほうがいいのだろうが、幸い敏樹には〈格納庫〉というスキルがある。

おそらく腰につるした工を持って構えるよりは、手の中に直接取り出した方が早いとの判斷から、トンガ以外の武は攜行していない。

それならばトンガも〈格納庫〉にれておけば良さそうなであるが、これに関してはとっさに取り出せるかどうかという不安がある。

なので、トンガは常に攜行し、有事の際にはそれで一時しのぎしつつ、必要に応じて〈格納庫〉から金槌や鉈を取り出して対応する、というのを基本方針とすることに決めた。

さらに防の類いがないのは怖いので、調理道として用意されていた小さめの鍋を頭にかぶり、フライパンでみぞおちあたりを守れるよう、柄をウェストに差し込み、ロープでに巻いて固定した。

かなり不格好ではあるが、安全には代えがたいのである。

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