《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第34話『エムゼタシンテ・ダンジョン2階層』

ゴブリンズを倒した後、最初にゴブリンズが現れた辺りの地面が淡くっている。

近づくと、そこには転移陣があった。

「さて、続けて2階層も行っちゃいますか!」

転移陣を踏むと、一瞬で景が変わる。

さっきまで開けた広場にいたのに、また薄暗い森になった。

ここもやはりランダムな場所へ飛ばされるので、周りの景や木々の生え方なんかの特徴から転移先を割り出す。

「うわー、ボスエリアからだいぶ離れてんなぁ」

この階層も1階層と同じく森林ゾーンなのだが、どうやらボスエリアから一番遠い場所に転移されたらしい。

マップを頼りにボスエリアを目指す。

ここの出現モンスターは1階層とあまり変わらんのだが、グレイウルフが最大3匹の群れで出るのと、ゴブリン系のモンスターが出現する。

ゴブリン系といっても、さっきの階層ボスより弱めで、落とす魔石も一回りほど小さい。

Eランク冒険者が苦労するレベルではないのだが、Fランクのみで結された連攜の拙い3~4人のパーティーだと、ちょっと苦戦することもあるんだとか。

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「ま、この階層も楽勝だな」

順調に魔石を集めつつボスエリアに到著。

魔石は箱の6割を超えたぐらいだ。

途中<気配察知>に引っかかったやつを片っ端から仕留めていったから、結構時間かかったけどね。

ボスエリアの待ちはなかったので、そのまま突

1階層と同じようなエリアに、今度は6のゴブリンが現れる。

所持武からして、ゴブリンセイバー、ゴブリンランサー、ゴブリンアタッカー、ゴブリンアーチャー、杖持ってんのはゴブリンメイジかヒーラーってことか。

あと1は一回りが大きいので、たぶんホブゴブリンだな。

棒持ってるからホブゴブリンアタッカーか。

杖のゴブリンがこちらに向けて火の玉を飛ばしてくる。

ってことはゴブリンメイジね。

「おっそ!」

なんか火の玉がゆっくり飛んで來る。

これ食らうやついるの?

もしかして軌道変更出來るんだろうか? と思い軌道から離れてみたが、火の玉はそのまま誰も居ないところゆっくり飛んでいき、ボスエリアの境界となっている草の壁に當たって消えた。

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俺が火の玉をかわすのを見計らってアーチャーが矢を放ってきたが、そんなもんは察知済みなので、さらに跳んで線から離れ、『魔弾』で仕留める。

メイジはあれ放っといてもいいだろ。

そうこうしているにゴブリンズの前衛どもが近づいてきた。

まず最初にたどり著いたのがゴブリンアタッカーだったが、その後ろにランサーが控えている。

どうやら連攜しているようで、棒を振り上げたアタッカーの左側から俺を槍で突こうとしているらしい。

「反対に跳んだら狙えなくね?」

アタッカーが振り下ろす棒を、アタッカーのでランサーの死角にるようにかわし、アタッカーのをプスリ。

ランサーを避けて跳んだんだが、どうやらそれはそれで狙っていたようで、背後からセイバーが襲ってくる。

「殘念」

構えた剣を振るより早く『魔弾』がセイバーの眉間を撃ちぬく。

消滅しつつあるアタッカー影からランサーの槍が襲いかかってくる。

それを半翻してかわし、そのまま踏み込んでを一突き。

それを狙ったかのようにホブゴブリンアタッカーが棒を振り下ろそうとしたが、その寸前、顔面めがけて『魔矢』を発

さすが上位種だけあって危険を察知したのか、顔をのけぞらせたものの殘念ながら間に合わず、『魔矢』はホブゴブリンの鼻から左目辺りをえぐりとった。

そこへゴブリンメイジから放たれた本日2発目の火の玉が到著。

ホブゴブリンから距離を取る形で、余裕を持って避ける。

うん、アイツはやっぱ後回しでいい。

「グゲギャ……ガガ!!」

とわけのわからんうめき聲を上げつつも、怒りに燃えるホブゴブリン。

闘志を込めた殘りの片目で俺をにらんでるけど、ごめん、君もう詰んでます。

<無魔>ばかりじゃ蕓がないと思い、ちょっと距離をとって詠唱してたんだよね。

てなわけで、ようやく勢が整ったホブゴブリンアタッカーに向けて『雷球』発

『弾』程ではないにしろ、かなりの速度でホブゴブリンののあたりを捉えるの玉。

バレーボールぐらいの大きさかな。

で、その『雷球』が當たった瞬間、ホブゴブ君は10mぐらい後ろにふっ飛んだ。

「おお、なかなかの威力」

見たじ『雷球』がぶつかった衝撃というより、纏っている電撃にふっ飛ばされたのかな。

ホブゴブリンアタッカーは地面に倒れてしばらく痙攣してたけど、すぐ消滅した。

最後に殘ったメイジの方をみると、ちょうど本日3発目の火の玉を飛ばしていた。

せっかくなので『氷球』をぶつけてみる。

ゆっくり飛んできていた火の玉にそれなりの速度で氷の塊がぶつかったんだが、「ジュッ」ってけない音を殘して火の玉は消え、勢いの衰えない『氷球』がゴブリンメイジののあたりに命中。

上半をピキピキっと凍らせた後、ゴブリンメイジは消滅した。

例の如く現れた転移陣に乗ると、ダンジョンカードから警告音が鳴る。

《階層制限のため先へ進めません 口へ戻る場合はそのまま転移陣の上でお待ち下さい》

って文字がカードの表面を流れてるね。

とりあえず戻ろうか。

10秒ほど転移陣の上で待機していたら、景が変わった。

ここは最初に乗った転移陣の広場の、ちょっと外れだね。

ダンジョンの中は晝だったけど、外はもう日が暮れてるんだなぁ。

《出口はこちら》

という案板を頼りに砦を出た。

転移玉は回収ボックスがあったからそこにれておいた。

バカがクスねて罰金とられることが結構あるらしい。

能なダンジョンカードってのがあるんだから、すぐバレるってのはちょっと頭働かせれば分かりそうなもんだけどな。

**********

砦を出た俺は、まずギルドの買い取り所に向かう。

まだギリギリ営業中だったので、7割ほどが魔石で埋まっている箱を収納庫から取り出す。

「買い取りお願いします」

「はいよ」

買い取り所にはローブを著崩した無髭のくたびれたオッサンが座っていた。

「ああ~、10kgないねぇ」

オッサンはブツブツ言いながら計量機能付きの箱に魔石を移し替える。

「6.8……68Gね」

ってことは1kg10Gか。

2階層辺りで魔石集めするんなら薬草採取の方が斷然効率は良いな。

その他にいくつかドロップアイテムもあったので合わせて買い取ってもらい、合計147Gになったので、現金でもらっておいた。

この集落、カード払い出來るところが意外とないんでね。

ドロップアイテム含めると半日の稼ぎとしては悪くないか。

ただ、ドロップアイテムは運だからなぁ。

それに今回の目的はあくまで魔石だし。

それも明日には目標達できそうだけどな。

**********

買い取りを済ませた俺は、屋臺を適當に回ってよくわからんや野菜が混じった串焼きを3本平らげた。

この世界には転移魔があるので、基本どこにいても新鮮な食材が手にるんだよね。

なので、ちょっとした塩やタレで味付けされただけで結構味いんだわ。

食事を終えた俺は宿屋へ向かう。

集落とはいえ泊まりこみで探索する冒険者なんかゴロゴロいるわけだし、そうなると宿屋も必須となるわな。

結構立派な建が何棟もある。

ガイドブックを頼りに浄化施設と個室寢臺のあるとこを選んだ。

個室といってもピンきりで、俺が選んだのは広い部屋に寢臺を並べてカーテンで區切っただけのところ。

浄化施設使用1回と朝食がセットで50G。

B&Bベッド・アンド・ブレックファストってヤツだな、うん。

今日の儲けの3分の1がなくなったけど、しょうがない。

浄化施設なしだと20G安くなるんだが、森の中を走り回って汗塗れの泥だらけになっているので、それは考えられない。

仕切り無しの雑魚寢スペースだともっと安いみたいだが、流石にそれは無理だわ。

ってことで宿屋の浄化施設を早速使う。

「ふぅ~、すっきりしたぜぇ」

キレイになった武類を『収納』し、寢臺へ。

カーテンで區切られてるだけといっても、このカーテンには遮と防音魔が施されてるので、結構快適なんだよね。

寢臺は簀子すのこみたいなのがぽつんと置いてあるだけ。

付でシーツとフェイスタオル1枚だけは無料で貸してくれる。

布団と枕は別料金。

うーん、B&BっつーよりS&Bすのこ・アンド・ブレックファストだな、こりゃ。

ま、ギルドの寢臺で慣れている俺からすりゃ、ばせるだけで充分だわ。

とりあえず寢臺に腰掛け、今日の戦いを振り返る。

ダンジョンっつっても思ってたより大したことなかったな。

なんやかんやで野生の魔狩った経験や、カーリー教の訓練が生きてるってじか。

あと、ダンジョンモンスターってのは経験値やSPが高めだね。

あんな雑魚ばっかだったのに、レベルは2上がったし、SPに至っては3,000近く稼げたわ。

特に階層ボスが味しいんだよな。

ついこないだまでニートやってた俺だが、隨分と長したもんだよ。

しかし俺はソロだから問題ないけど、これ3~4人パーティーだとこの程度の収じゃやってられんだろうなぁ。

聞けばダンジョンを訪れる探索者の半數以上が1~3階層をメインに探索してるらしい。

1日の稼ぎが300~400Gぐらいでそれを3~4人で割ると1人100G前後。

それだけならまぁ問題ないかもしれんが、宿代やらメシ代やら武のメンテ代を差っ引いたら厳しいだろうなぁ。

俺の場合はお稲荷さんの加護やら長補正やらがあるからいいんだけど、普通の人は強くなるためにもっと苦労するんだろうね。

ほんとありがたいことだよ。

最近お供えしてなかったけど、また今度油揚げお供えしとこ。

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