《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第38話『お化け屋敷へ行こう』
俺は子供の頃、夏休みの大半を田舎のばあちゃんちで過ごしていた。
夜は仏間に布団敷いてばあちゃんと寢てた。
稚園児ぐらいの頃だったと思うが、ある夜、ふと目が覚めて布団にったまま部屋の中をぼーっと見てた。
視界の中に裝ケースがあった。
上からフタをするタイプのやつ。
で、なんとなくその裝ケースを見てると、ゆっくりとフタが持ち上がった。
空いたフタとケースの隙間から、誰かがこっちを見てるらしく、その誰かと目が合った。
そいつはしばらく俺を見た後、また裝ケースの中に沈んでいき、ゆっくりとフタは閉まった。
その時はなぜだかしらんが「ばあちゃんがあそこにって俺を見てたんだな」って思って、そのまま寢た。
翌朝、裝ケースを見て思う。
いやいや、こんな小さい裝ケースにばあちゃんれんだろ、と。
何よりばあちゃんは俺の隣でずっと寢てたし。
じゃあ前の晩、俺と目が合ったあいつは何者だったんだ?
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小學校にってすぐぐらいの頃だったかな。
俺は地元のイベントでキャンプに參加した。
引率者はいるものの、基本的に子供だけで行するイベントだったと思う。
何やったかはあんま覚えてないけど、初対面の上級生4人ぐらいと同じ班になったのは覚えてる。
夜はテントで、子供だけで寢る。
上級生に怖い話をされてひとしきり脅かされた後、消燈して就寢。
夜中に目が覚めた。
テントの外に何かの影が見えた。
人影っぽいんだけど、なんというかシルエットが明らかに人じゃない。
どう表現すればいいのかわからないんだが、その時思ったのは「お化けだ!」ってこと。
で、急いで上級生を起こしたんだが「見回りだろ?」ってことで片付けられた。
そう言われればそんな気がしたので気にせず寢ることにした。
その後、なぜかその先何年もこの夜のことを時々思い出した。
そしてふと思ったんだ。
なんで真っ暗闇の中、テントの外にいる人の影がテントの中から見えるのか、ってね。
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そう、よくよく思い出したら、影がはっきり見えるぐらい明るかったんだ、その一面だけ。
懐中電燈やカンテラの明かりじゃない、もっと異質な明るさだった。
あれは一なんだったんだろう?
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こういった経験が原因かどうかは分からないが、俺は極度の怖がりだった。
正直に言おう。
俺は中學生になってからもしばらくは1人でトイレに行けなかったので、妹についてきてもらってたんだよね。
ところが高校生ぐらいになると恐怖心を好奇心が上回って、今まで怖がりだった分が逆に振りきれたのか、心霊スポット巡りなんかするようになった。
上記の験以來、これといって不思議験がなかったことに、ある日突然不満を覚えたってのもあるかな。
大學へ進學してからはオカルト系サークルにって、さらに広範囲の心霊スポットを巡るようになったんだが、ついぞ不思議験をすることはなかった。
オカルト系サークルには子もいて、心霊スポット巡りの時は、アレだ、腕にしがみつかれて「キャー!」なんてこともよくあった。
大學生になる頃には暗闇だろうが廃墟だろうが怖いものは無かったので、普段はともかくそういう場所ではそこそこ頼りにされてた。
腕に當たる子のおムネの覚なんかは今でもはっきり思い出せるな。
で、今も子が俺の腕にしがみついてるんだが……、なんとも殘念だ。
「今、なんかガサガサって……!」
「ネズミかなんかでしょ?」
「そ、そうね。ネズミか何かよね」
俺は今、デルフィーヌさんと廃墟調査に來ている。
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伝説のSS級冒険者エリック・エイタスの邸宅調査。
それがあの時デルフィーヌさんがけようとしていた依頼だ。
俺の優雅なコーヒータイムを邪魔したアレな。
族から不産屋へ依頼があり、それが冒険者ギルドに回ってきていた。
通常、空き家の調査といえばGランク依頼で、報酬も50~100G程度。
大きめの邸宅となると稀にFランクで報酬も200Gを超えることもあるのだが、なぜかこの依頼はEランクで、報酬は1,000Gとかなり高額。
デルフィーヌさんはその高額な報酬につられてこの依頼をけようとしていたようだ。
で、どうにもその依頼に嫌なものをじたフェデーレさんが説得していたところに運悪く俺が居合わせたってわけ。
正直無視しようと思ってたんだが、涙目で「話だけでもいいから聞いてください」って言われたらさ、無視はできないよね。
その後はなんだかフェデーレさんにうまいこと丸め込まれて、パーティ申請を行ったうえで一緒に依頼をけることになったんだが……、あのトカゲ野郎<詐欺>とかのスキル持ってんじゃねーの?
依頼をけた後、アンデッド系の魔がいるかもしれないってことで、1,000Gで『魔纏剣』覚えるつもりが2,000Gで『聖纏剣せいてんけん』を覚えることに。
まぁエムゼタシンテ・ダンジョンにもアンデッドがよく出る階層があるみたいだから無駄じゃないとは思うけどさ。
ただ、俺の貴重なローン枠が……。
なんか納得行かない部分もあったので、Fランク魔士のローン枠がまっさらのデルフィーヌさんに『聖矢せいし』『聖弾せいだん』『聖球せいきゅう』を覚えてもらう。
すっげー嫌そうな顔してたけど、たかが1,000Gの借金でガタガタ言うなし。
借金は生きる活力になるって、H・フジオカも言ってたぞ?
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そもそも幽霊やら妖怪やらの何が怖いって、いるかいないかわからないから怖いんだと思うんだ。
見たことのない人が大多數で、どちらかというと「いないに違いない」と思われているものが「もしかするといるんじゃないんか?」と思う所に恐怖が生まれるんだと、俺は考えるわけよ。
でもさ、この世界にはいる・・んだよ。
強い未練を殘した死者の魂が魔と化した”ゴースト”
邪法や強すぎる負のが原因で生霊となるも何らかの理由でに戻れず悪霊化してまった”レイス”
死者のを何らかの魂が乗っ取り起き上がった”ゾンビ”
その他諸々、ホラーやスプラッタに出てくるんなが、魔として現れるんだよね。
つまり、元の世界と違って、「いるとわかっている」ものが「いる」ってことで、その恐怖はオカルト的なものじゃなく、たとえば「山に行ったら熊が出るかも」っていう恐怖に近い……はずなんだけどなぁ。
「ヒィ……!」
「なんです? ゴーストでもいました?」
「ゴースト! どこよ! どこにいるのよ!!」
そうやってところかまわず『聖矢』ぶっ放すのやめてくんない?
壁とか家に當たるたびに傷ついて埃が舞うんだけど……。
「つーかさ、何がそんなに怖いわけ? アンデッドなんてただの魔でしょ?」
「べ、別に怖くないわよ! 警戒してるのよ、警戒! 私の依頼なのにあなたに怪我でもされたら困るでしょ?」
立派なこと言ってっけど、へっぴり腰で腕にしがみつかれたまま言われても説得力無いぜ?
しっかし殘念だ。
あー殘念だ。
この人、甲とかつけてないよね?
「な、なによ。なんでこっち見んのよ?」
「いえ、別に……」
甲はおろか、鎖帷子すら著てねーよ。
布數枚隔ててが當たってるはずなんだけどなぁ。
あー殘念だ!
まことに殘念だ!!
「……あなた、さっきから失禮なこと考えてない?」
「いえ。それよりそこ、ゴースト」
「ヒィ!」
俺の視線の先に半明の、辛うじて人型を保っていた浮遊があったが、デルフィーヌさんの放った『聖矢』を食らって消滅する。
最下級の攻撃魔一撃で倒せる魔の一何が怖いんだか。
あれか。
元の世界でも犬ってだけでやたら怖がる人いたな。
チワワみたいな小さいのでもダメ、みたいな。
アレに近いと思えばいいのか?
いまのところここではゴーストとしか遭遇していない。
ゴーストなんてほぼ無害だぜ?
実態がないから直接攻撃出來るわけじゃなく、れられると神異常をきたす、と言われているが、せいぜいちょっと気分が悪くなるぐらいだ。
レイスともなると、元が魔士だったり、生霊出すレベルの負のを持ってるから、魔で攻撃してきたり、呪いで深刻な神異常をもたらしたりするけどさ。
それだって『聖弾』や『聖球』で仕留められそうだし、一応『聖纏剣』使える俺もいるわけだし。
……なんて理屈も恐怖癥レベルで怖がってる人にはあんま意味ないか。
「うう……もうやだぁ……」
いやいや、アンタが無理言って引きけた依頼でしょーが!
むしろ最初は1人で行こうとしてたよね?
そのくせ屋敷にってからこっち、ずっと俺の腕にしがみついてんじゃん!
……まぁ、絶壁は絶壁だけど、それでも腕に絡みつく特有ののはあるわけで、それを役得と思って頑張りますか。
それになんだかんだいってデルフィーヌさん人だし、人が弱ってる姿ってのは無條件で萌えるもんだ。
しかもデルフィーヌさんは切れ長ツリ目の強気系人顔なんで、このギャップは結構アリだな。
屋敷にって1時間程度。
価値のありそうなめぼしいを適當に『収納』しつつ、いまのところ依頼は”一応”順調に遂行されている。
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