《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第43話『再びダンジョンへ』
結局あの後のデルフィだが、乗り換え後の馬車に乗って30分ぐらいでようやく覚醒してきたようで、エムゼタシンテ・ダンジョンに著く頃にはしっかり目が覚めていた。
「ねぇ……、見たでしょ?」
「なにを?」
「……寢顔」
「見たよ。盛大にヨダレぶっこいてたね」
「な……!? ウソおっしゃい!!」
「ウソじゃねえし。つか、ヨダレの跡」
俺が口の端を指差すと、デルフィは顔を真っ赤にしつつ手の甲でゴシゴシとヨダレの跡を拭く。
そして何を思ったのか拭いた後の手の甲をくんくんと嗅いだ。
「くっさ!」
「いや、やめなさいよの子がさぁ」
いやホント何やってんのこの子。
”見られた!?”ってじでこっち見てるけど、そりゃさっきから會話してんだからずっと見てるでしょうよ。
「はい、これ」
とりあえず皮の巾著からタオルを出して渡す。
「い、いいわよ、『浄化』するから」
「はぁ!? 『浄化』ぁ!!?」
「何よ」
「『浄化』使えんの?」
「『下級浄化』だけどね。真っ先に覚えたわよ」
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なぜかを張るデルフィ。
「やっぱ優先順位おかしくね?」
「う、うるさいわね……」
まぁ、そんなこんなで無事ダンジョンに到著したよ。
**********
デルフィにダンジョンカード発行の手順を簡単に説明した後、早速裝備を整えて付に向かう。
「おお、ソロで5階層まで言ったか。じゃあ次は7階層な」
付のオッサンに心されつつ規制を解除してもらう。
「面倒だから10階層まで解除してくれません?」
「だめだめ。言っとくけど、8階層以降は1階層ずつの規制になるからな」
「ええ~、マジっすか?」
「何嫌そうな顔してんだよ。普通1回しか倒せない階層ボスと2回やれるのは規制解除後の再アタックの時だけなんだぜ? むしろ1階層ごとに規制かけてくれって頼みを斷ることのほうが多いのによ」
そう、ダンジョンの階層ボスは、原則1回しか倒せないんだよな。
そうしないと、効率重視で階層ボスとばっか戦う連中が出てくるんだと。
パーティーの中に1人でも未経験のメンバーがいれば何度でも戦えるらしいが、そこまではさすがに規制しないらしい。
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ボスと戦いたいがためにメンバーれ替えるほうが効率は悪いからね。
「まぁ冒険者ランクをDまで上げるなりパーティー組むなりしたら規制は緩めれるけどな。焦らず頑張れや」
「うっす、がんばります」
そんなわけで5階層から探索開始。
6階層からはトレントやマンドラゴラみたいな植系モンスターが出現するようになる。
どっちもドロップアイテムがそこそこ高額なのが嬉しいね。
探索は相変わらず順調。
剣での攻撃時は出來るだけ『聖纏剣』を使うようにしている。
一回斬るごとに効果が切れるのは面倒だし、聖屬が付與されるだけで攻撃力が上がるわけじゃないんだけど、それでも対象が刃に直接當たるのは防げるのでね。
7階層制覇した時點で八刻半(午後5時)過ぎてたので、今日のところはこれで終了。
ゆっくり休んで明日も頑張ろう。
魔石とドロップアイテムで300Gほど稼げたので、力回復効果のある寢臺付きの部屋を借りた。
そういや、デルフィは見かけなかったな。
**********
翌朝、付のところでデルフィを発見。
「や、どこまでいけた?」
「昨日5階層の規制解除まで行って、今から2回目のアタックね。この調子だと今日中に10階層まで行けるんじゃないかしら?」
「はぁ!? 早くね?」
つまり俺が1日半かけて進んだところを半日で踏破したってことだろ?
「森で弓が使えるならエルフに怖いものはないわね」
と自慢気にを張るデルフィ。
「ショウスケは?」
「俺? 俺は昨日7階層の規制解除して、今から2回めのアタックだよ」
「ふーん? じゃあそっちも今日中に10階層までいけるんじゃない?」
「あ、おう。楽勝だろうな」
今日は魔石やドロップアイテム集めつつ9階層の規制解除を目指してたんだが、攻略速度を優先したほうが良さそうだな。
「じゃ、お先」
手続きを終えたデルフィはさっさとダンジョン口に向かった。
「おう、あの嬢ちゃんと知り合いかい?」
付で俺の順番が回ってきた。
「ええ、まぁ」
「お前さんもだが、すげー勢いで攻略してんなぁ」
「ええ。俺の場合は師匠からの課題といいますか、そんなじで」
「へええ。どういう課題なんだい?」
「ソロで10階層制覇ですね」
「おお、そりゃすげぇや! ソロで10階層制覇なんで半年ぐらいなかったなぁ」
「へええ、そうなんですね」
「おう。まぁ無理はするなよ」
「はい」
この日のダンジョン探索も特筆すべきことは何事もなかった。
順調に7→8階層を攻略して一旦戻り、規制を解除して8→9階層を攻略。
同じ森林ゾーンであるため、多出現モンスターの強さがかわるぐらいでは特に苦労することもない。
出現モンスターが強くなればその分獲得できる経験値も増えるようで、1階層につき1~2レベルほどレベルアップしている狀況だ。
なので、彼我の相対的な戦力差はそれほど変わらない狀態で探索が進んでおり、結局のところ淺階層のころと戦闘における苦労は変わらない。
しいて言えば階層が深くなるにつれ森も深くなっていくので、単純に移で苦労する面は増えてきてるんだけどね。
普通なら森が深くなる分、死角からの不意打ちなんかが増えそうなもんだけど、俺には<気配察知>と<魔力知>、それに<気配隠匿>があり、それも環境が過酷になればその分スキルレベルが上がっていっているので、ホント戦闘面では苦労がないわ。
手にる魔石の大きさもそこそこのものになっていて、7→8、8→9とのべ4階層を、スピード重視で攻略したにも関わらず、すでに20kgを超えてたので、一旦ドロップアイテムも含めて換金したところ、なんと400G近く稼げた。
まだ晝前なので、半日で400Gとなると、もうし深く潛れば1日1,000Gも夢じゃないか。
とはいえ俺みたいにソロで活する者はないので、4人以上のパーティーで10階層辺りを探索するなら、ソロで薬草採取やったほうが儲かるかもね。
まだ晝前だったけど、換金やら何やらを済ませた俺は晝食をとることにした。
いつものように屋臺で串焼きなんかを食べてたら、デルフィが來た。
「や、おつかれ」
「ふー……。さすがにちょと疲れたわ」
ちょっととは言ってるが、かなりお疲れのようだ。
無理してんじゃねーの?
「俺は一応9階層まで攻略出來たけど、そっちは?」
「ふふん、じゃあ追いついたわね」
おお、マジか。
さすがは森の民。
「だいぶ無理したんじゃない? ちょっと休んどいたほうが良さそうに見えるけど」
「……私に先を越されるのが嫌なんでしょ?」
「いや、別にそれは良いんだけどさ」
正直、このまま無理して死なれたら困るんだよな。
この子、その辺ちょっと抜けてるから、俺に対抗して無理して死ぬとか全然ありそうなんだわ。
ってわけで、その辺は牽制させてもらおう。
「ところでデルフィ、10階層のマップは買ってるの?」
「マップ? そんなもの必要ないわよ」
「ふーん」
俺はわざとらしい笑みを浮かべながら、懐から10階層のマップを取り出してデルフィに見せる。
「これ見ても同じことが言える訳?」
「な、なによこれ?」
マップをみて呆然とするデルフィ。
「ちなみに50G」
「高っ!」
とりあえず懐に訴えてでも休憩はとってもらうよ。
「俺は多分4時間ぐらいで攻略出來ると思うんだわ。そしたらこのマップ譲ってもいいけど?」
「ホントに?」
一瞬嬉しそうな顔をしたデルフィだったが、すぐに表が曇る。
「……何企んでんのよ?」
別に企むとかじゃないんだけどな。
「忘れてるかもしれないけど、俺ら一応パーティーでしょ? メンバー同士協力するのは當たり前だと思うけど」
「そ、それもそうね。そうよね、私たちパーティーだもんね」
真顔のつもりかもしれんが口元ニヤついてんぞ。
「というわけで、デルフィはこのまま宿に言って休憩な。終わったら知らせるから」
というわけで、俺が普段使ってる宿屋を紹介し、ケチらず回復機能がある寢臺を使うよう説得してデルフィを宿屋へ送った。
さて、ここでダンジョンへ潛る前にひとつやっておきたいことがある。
いよいよアレをやる時が來たぜ。
今日の探索で、無事SPが目標値に達したんだよねー!!
ってなわけで、以前からずっと狙ってたやつ、行くぜ。
《スキル習得》
<多重詠唱>
<詠唱短>
これだよこれこれ!
これがずっとしかったんだよねー。
ほんとは<多重詠唱>だけのつもりだったんだけど、9階層攻略時點でSPが75,000ぐらいあったから、ついでに<詠唱短>を覚えたぜ。
なになに、<多重詠唱>はLv1だと2つまで魔を同時に発できるんだな?
<詠唱短>は詠唱時間を1割削減か。
これは素晴らしいな。
ちなみに<多重詠唱>のレベルアップにはSPが100,000必要らしい。
これはレベル上げるたびに倍々で増えていきそうだな
どうやら<詠唱短>も倍々パターンみたいで、次のLvアップには40,000必要みたいだ。
とにかく、これで魔の連続使用が出來るようになったわけだ。
詠唱後の待機を上手く使えば、『魔刃』と『魔槍』を4秒ちょいに1回撃てるわけだな。
つーか『矢』系はほぼ連に近い形で使えるのか。
「よーし、じゃあサクッとミノタウロス倒しに行きますか!」
最悪剣で敵わない場合は魔でフルボッコにしたるぜぃ。
【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
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