《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第45話『連攜』

「ショウスケ、お前いま暇か?」

「あー、えっと、デルフィにいろいろ引き継いだら暇になります」

「デルフィ?」

「はい、あの時のエルフの……」

「ああ! あのエルフの嬢ちゃんか!! なんだ、パーティーでも組んだか?」

「まぁ、いろいろ縁がありまして。とりあえず10階層まではお互いソロで攻略してから合流ってことにしてるんで」

「ほうほう。じゃああの嬢ちゃんが今から10階層にアタックするってか? 大丈夫か?」

「いや、それが弓持ったらエルフってすっげー強いんすよ。ギルドで魔弓っての借りてからは絶好調みたいで」

「なるほどな。ああ、そういやあの時は悪かったな、事もしらんのに偉そうなこと言って」

ガンドルフォさんが申し訳無さそうにポリポリと頬をかく。

軽く頬を染めてるが、ごっついオッサンがそれやっても全然可くないから。

「なにがです?」

「ほら、あの時だよ、俺が救援要請けた時」

「何かありましたっけ?」

「いや、事をよく知らんから説教みたいなこと言っちまったけど、あの時お前さん、あのエルフの嬢ちゃんを助けようとしたんだってな。あとからあの嬢ちゃんに説明されてよ」

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ああ、そういうことか。

「いや、別に助けようとしたとかじゃなくて、たまたま居合わせただけですよ」

「そうか。まぁソロで10階層攻略できる奴がグレイウルフの群れごときに遅れはとらんわな」

まぁあの時は結構ギリギリだったんだけどね。

俺が行かなきゃデルフィは死んでたわけだし。

「じゃ、俺は屋臺にいるから、気が向いたら來てくれや。コイツの禮も含めてメシぐらいはおごるぜ」

とミノタウロスの戦斧をおしげにペシペシと叩く。

「ええ、じゃあ後で」

**********

宿屋に行き、デルフィを起こしてもらう。

宿屋のカフェスペースで待っていると寢ぼけ眼でデルフィが現れたので、とりあえずコーヒーとサンドイッチのセットを奢っておく。

コーヒーをすすっているに目が覚めてきたようなので、10階層のマップを渡した。

「ミノタウロス、意外と速いから気をつけてね。斧とかものすごい勢いで振り回してくるから」

「斧が屆く範囲に近づかないから大丈夫よ。ここまでのボスも出てきた瞬間に殺いころしてるから」

あ、そ。

なかなか容赦無いね。

俺からマップをけ取ったデルフィは、サンドイッチとコーヒーを平らげお金を置こうとしたので制止する。

「レアドロップで臨時収があってね。今日は奢るよ」

「え、悪いわよ……」

「いいのいいの。金があるときぐらいカッコつけさせてよ」

「……わかった。ごちそうさま」

「俺はこの後ここで寢てるか屋臺で飯食ってるかってじだから、終わったら聲かけてよ」

デルフィがダンジョンへ向かった時點でまだ八刻(午後4時)前。

飯を食うには早いので、2時間ほど仮眠とった。

疲労がある程度取れてすっきりしたところで屋臺に向かう。

ガンドルフォさんはすぐに見つかった。

「よぉ、遅かったじゃねぇか」

「すんません、ちょっと疲れてたもんで、休憩してました」

「そうかそうか。とりあえずビールでいいか?」

「あ、はい」

「まぁ適當につまんでくれや」

ガンドルフォさんの前には屋臺料理が所狹しと並んでいたので、適當につまむ。

食事や飲みは通常各屋臺まで取りに行かなければならないが、小遣い稼ぎの子どもがその辺をウロウロしているので、チップを渡せば持ってきてくれるようだ。

しばらくすると、犬獣人の子どもがビールを持ってきてくれた。

やべぇ、モッフモフで可いな。

「じゃ、乾杯だ」

<酔い耐>のおかげで悪酔いしづらくなってはいるものの、それでも多は酔うので、いい気分にはなる。

しかし屋外で食べる屋臺料理ってのはなんでこんなに味いのかね。

引きこもりじゃ経験できなかったことだなぁ。

とまあ、そんなこんなで1時間ほど、ガンドルフォさんや、周りにいた見知らぬオッサンらと無駄話しながら飲んでると、デルフィが帰ってきた。

「よぉ、嬢ちゃん!! ミノタウロスはどうだったよ?」

デルフィを見つけたガンドルフォさんが上機嫌で聲をかけた。

「え? あ……楽勝でした」

最初は面食らったデルフィだったが、なんとか応答出來たようだ。

「へええ、この嬢ちゃんがミノタウロスをねぇ!」

見知らぬオッサンどもも當たり前のように會話にってくる。

「そうだぜ? しかもソロだぜ? なあ嬢ちゃん!!」

「え、ええ……まぁ」

1人だけシラフのデルフィは絶賛ドン引き中だ。

「ほへぇ~、見かけによらずすげぇ嬢ちゃんだなぁ!!」

「見かけによらずってんならこのショウスケだってだぜ? 見ろよこの立派な斧!! コイツぁショウスケがソロでミノタウロス倒して手にれたんだぜぇ!?」

「だぁかぁらぁ、その話はもうさっきから10回以上聞いてるっつーの!!」

「うるせぇ!! あと20回は聞けぇ!!」

とまぁこんなじで出來上がってるオッサンどもを放っといて、俺はデルフィのそばへ行く。

「どうだった?」

「酒くっさ! アンタも飲んでんの?」

「まぁ付き合いでね。で、ミノタウロス戦は?」

「別に。いままでのボスと同じで向こうの程外から撃ちまくって終わりよ」

「……容赦ねぇな」

「油斷して死ぬよりはマシでしょ」

そりゃそうだ。

「疲れてる?」

「全然」

「じゃ、2人で行ってみる?」

「……アンタ酔ってんでしょ?」

「こんなもんは『下級自己解毒』で……、ほらスッキリ」

解毒が宿酔に効くって話は聞いてたんで、試しに使ってみたら一気に酔いが醒めたわ。

「おうおうショウスケェ!! なーに酔い覚ましてんだよぉ!!」

とガンドルフォさんが絡んくる。

「すんません。これからデルフィと一戦やってくるんで」

「一戦……? これかぁ!?」

とニヤニヤしながら卑猥な手の形を作る。

そういうのはこっちの世界でも共通なのね。

「ば……馬鹿じゃないの!?」

デルフィが顔を真赤にして抗議するが、こういう酔っぱらいにそんなこと言っても喜ぶだけだって。

「2人とも10階層の規制解除出來たんで、もう一回ミノタウロス倒しに行こうかな、っと」

「そうかそうか。じゃあサクッとやって帰ってこいやぁ」

「はいはい」

酔っ払い共を放置し、デルフィとダンジョンへ向かう。

「おう、早速再アタックか。もしかして2人で行くのかい?」

「ええ」

「しかし、まだ2人とも冒険者ランクがEのままだから、11階での規制になるがいいか?」

「ええ、いいですよ。今回は連攜を試すのに1フロア攻略だけで考えてますから」

「わかった。じゃあ行ってきな」

**********

「ショウスケ、遅い!」

「ちょ……ま……」

森のエルフ舐めとった。

なんなのあれ? 猿なの?

木の上から1回も下りず、枝のしなりとか利用してポンポン跳んでいくんだぜ?

こちとらデコボコの地面を木や草をかき分けて走ってるもんだから、全然追いつかねぇ。

が出てもデルフィがサクサク倒していくもんだから、俺は完全に魔石やドロップアイテムを拾う係になってるよ。

つか、跳びながらく標的を抜くってどんな神業だよ。

あれで能力に劣るハイエルフっつ―んだから驚きだよな。

10分とかからず迷路施設にたどり著いたよ。

「ゼェ……ゼェ……。ごめん……ちょい休憩」

けないわね」

クソ……デルフィのやつ全然呼吸れてねぇわ。

り口で10分ほど休憩し、迷路にった。

迷路の中も楽だったわ―。

流石に森の人無雙とまではいかんが、デルフィが見敵必殺サーチ&デストロイとばかりに、モンスター出現直後に『矢』を放っていき、俺は殘りを適當に倒していく、ってじでサクサク進める。

森の人無雙を見てるもんだから、もう完全に信頼できるんだよね。

なので、俺の脇をすれすれで『矢』が飛んでいっても全然平気。

先制攻撃のあとは上手いこと俺をフォローするじで援護してくれるもんだから、効率の良さが半端ない。

1+1は2じゃねぇ200だ! 10倍だぞ!! の世界なんよ、マジで。

迷路施設のり口が前回と違ったが、それでもマップがある上に、なんとデルフィは地図が読めるなので、これまた楽勝だった。

俺が地図とにらめっこしてたらすぐに「ここはそれだから、次左ね」みたいにサポートしてくれて、ナビ役としても超優秀。

てなわけで30分とかからず迷路を制覇し、ボス部屋へ。

事前の打ち合わせ通り、部屋にるなり俺は全力ダッシュ。

の粒子が集まり、ミノタウロスが実化するやいなや、俺の脇を抜けて『雷矢』が飛び、ミノタウロスの右膝を撃ちぬく。

「ヴモオオォオォォ……」

悲鳴のようなびを上げて膝をつくミノタウロス。

下がってきた首筋に刺突の連撃を加え、頸脈を貫く。

首から噴水のようにしぶきを上げ、ミノタウロスのが傾く。

長柄の斧を杖のようにしてを支えたが、ほどなく斧が消滅し、ミノタウロスはその巨を石床に橫たえた。

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