《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第46話『決心』
倒れたミノタウロスをレイピアの剣先でツンツンとつついてみる。
特に反応はない。
そもそも<気配察知>にも<魔力知>にも引っかからないので、死んでいるのだろうけど……。
「なぁ、これ死んでると思う?」
「転移陣が出てるから死んでるんじゃない?」
「なんで消えねぇの?」
「ドロップアイテムってことじゃない? 斧は消えたみたいだし」
なるほど、そいうことか。
しかし、死骸まるごとドロップとはなんとも豪快だねぇ。
「デルフィの収納庫にこのままる?」
「そんな大きい収納庫契約してると思う?」
だよねー。
ってわけで、とりあえず皮はぎとかは後回しにして、部位ごとの切り分けを行う。
関節に刃をれ、健をきっちり切ってやると、意外とバラすのは簡単だ。
まぁ、<解>スキルと解用ミスリルナイフのおかげってのもあるが。
しかし人型モンスターをバラすのって、なんか悪いことしてる気分になるね。
とりあえず、腕は肩から切り外し、腳は付けから外したあと、膝部分も切斷。
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首も取り外し、の部分は腰から切り分ける。
蔵は……ホルモンみたいなじで需要があるかもしれないので一応冷凍しておこう。
他の部位はとりあえずそのまま冷蔵。
これが実際の死骸じゃなくドロップアイテムだってことは、解してみるとよく分かるね。
余分なは出ないし、臓なんて洗ったんじゃね? ってぐらい綺麗だわ。
いろいろ切り分けてなんとか2人の収納庫に収まった。
転移陣で11階層へ行った後、俺たちは帰還玉でり口に戻った。
**********
ダンジョンをでて買取所へ。
ミノタウロスのはなんと1,500Gで買い取ってくれたわ。
そもそもミノタウロスってのは野生の魔として確認されておらず、ダンジョンモンスターとしてのみ存在するんだとか。
つまり、ミノタウロスのや骨ってのはドロップアイテムとして手するしかないんだと。
だから希価値が高く、その上味いらしい。
他のドロップアイテムと魔石を合わせて1,800Gほどになったので、1,000Gをパーティーの資金としてプールし、殘りを山分けした。
屋臺の方を覗いたらまだガンドルフォさんたちが騒いでいたが、デルフィがゴミを見るような視線を向けてた。
俺もさすがに今から合流するのは面倒くさいし、まだ夜行馬車の時間に間に合うようだったので、デルフィと協議の上、一旦トセマに戻ることにする。
馬車の中で一息ついた俺は、デルフィに気になっていたことを訊ねた。
「なぁ、あれだけ木の上をホイホイ跳べるんなら、なんであの時ああやって逃げなかったの?」
あの時というのはもちろんシェリジュの森でグレイウルフに襲われた時のことだ。
「グレイウルフは木に登るわよ」
「え、そうなの? でもあんな猿みたいな速度で移はできないっしょ?」
「猿とは何よ猿とは!! そもそもあの時は今ほど樹上移は出來なかったわよ」
「あ、そうなの?」
「1人でダンジョン探索してるうちに、強化やら天啓やらで出來るようになったのよ」
ああ、そういうことね。
**********
翌朝トセマについた俺たちは、冒険者ギルドの食堂で朝食を終え、ランクアップ試験の予約をとる。
「2人とも、もう10階層攻略したの? すごいねー」
付はいつものフェデーレさん。
なんだかんだ彼と話すのが一番楽なので、朝食を取ったり浄化施設を使ったりしてフェデーレさんの出勤を待っていたのだ。
「で、教はいつごろ來られます?」
「そうだねぇ。クロードさんはしばらくここにいるからいつでもいいけど、カーリーさんは當分こっちに來る予定がないみたいだから、ちょっと連絡してみるよ。晝過ぎにもう一回來てくれる?」
とのことだったので、俺たちは次の目的地に向かう。
俺とデルフィが訪れたのは収納屋だった。
単純に魔石や細々こまごました素材なら今の2人分の収納力でも問題ないといえばないのだが、ミノタウロスの斧みたいな大を収納するスペースがないんだよな。
てなわけで、パーティー用の収納庫を借りることに。
「そういうことであればこちらなどいかがでしょう? 3~4名のパーティーで使っても問題ないほどの収納力ですよ」
収納屋の主人に進められたのは、100人乗っても大丈夫な置ぐらいの広さを持つ収納庫だった。
たしかにこれならミノタウロスの斧だろうが死骸まるごとだろうが問題なく収納出來ると思うけど、ちょっと広すぎねぇかな?
「失禮ですがお客様、ミノタウロスの斧ということは、ダンジョン探索を始められたのでは?」
「ええ、まぁ」
「たとえばエムゼタシンテ・ダンジョンの11階層より深い部分ですと、魔石の大きさもそれなりのものになります。同じ重さでも一個一個が大きいぶん嵩張かさばるので、収納庫などすぐにいっぱいになりますよ? そのうえ大型のモンスターも増えてきますから、ドロップアイテムも嵩張るものが多くなってきます。こちら、この収納力で月額200Gと大変お安くなっております。この下のグレードですと、半分のスペースで150Gですので、こちらの方が斷然おすすめなのですよ」
ふむう、大雑把に見て6畳ぐらいの広さで、15℃前後の溫度管理がついたトランクルームが月2萬円と考えたら確かにお得だな。
いや、トランクルームなんて借りたことないからテキトーぶっこいたけど、お得に違いないはずだ。
実際200Gぐらいなら今や半日で稼げる額だもんなぁ。
「じゃあ、これでお願いします」
というわけで、俺たちはパーティー用の資金から200Gを払い、新たな収納庫を契約した。
ちなみにまだ初月無料キャンペーン中なので、今の支払いで來月末まで利用可能だ。
**********
「ショウスケくん、デルフィちゃん、ダンジョンカード出してもらえる?」
収納屋を後にした俺たちは、ギルドの食堂でし早めの晝食をとった。
ちょうど食事を終えたところでフェデーレさんから聲が掛かる。
なんでも、カーリー教は當分こちらにこれないそうで、ダンジョンカードで10階層ソロ制覇が確認できたらDランクへのランクアップをしてもいいとのお墨付きが出たんだそうな。
ちなみにこの世界では、遠隔地とのやり取りを『収納』を利用した手紙のやり取りで行っている。
音聲通信技はまだないらしい。
「お、ホントにソロでミノタウロス倒したんだねぇ」
その辺りの報は専用端末でダンジョンカードを読み取れば分かるようになっているらしい。
本來ギルドとダンジョン協會は運営が異なるが、このあたりの提攜はしっかり取ってるみたいだな。
「オッケー、じゃあショウスケくんのランクアップは終了ね。今日からDランクだよ」
「あの、私は?」
「あ、デルフィーヌちゃんはね、ちょっと待ってて……っと來た來た」
奧の部屋からクロードさんが現れる。
「君は先日のハイエルフだな。エムゼタシンテ・ダンジョン10階層をソロで攻略したんだってな」
「ええ、そうよ」
前日のスカートめくり事件のせいか、デルフィがクロードを見る目は厳しいい。
「ふむ。では簡単な試験をやろうか」
クロードさんがそういうと、デルフィのスカートが風に揺れ始める。
「な……、また!?」
顔を赤くしながらもデルフィがクロードを睨む。
しばらく風に揺れていたデルフィのスカートだったが、やがて風が収まったのか揺れがとまる。
「ほう、しは風をれるようになったのだな。よろしい、合格だ」
「ふん! そう何度も同じ手に引っかかるものですか!!」
「はっはっは、その意気だ」
とクロードさんが言った矢先、デルフィのスカートがめくれ上がる。
「ま、油斷はだ」
「ふ、ふん! 見られても平気だもんね!!」
デルフィは顔を真赤にしながらめくれ上がったスカートを抑えている。
「これだからというやつは……」
「な、なによ……」
「別にスカートの中に何を履いていようがそんなことはどうでもいいのだよ。重要なのは”スカートの中が見える”という現象だ」
「な……!?」
「なかなか綺麗なヘソだな。さすがハイエルフといったところか」
さすが変態紳士、わかっていらっしゃる。
フェデーレさんも関心したように何度も頷いていた。
俺も同じような表なのだろう、と思ったら思いっきり頭をひっぱたかれた。
「アホー!! お前ら全員アホーッ!!」
顔を真っ赤にし、目に涙をためながらそうんだデルフィは、そのまま階段を駆け上がってギルドの宿泊施設へと姿を消した。
「ショウスケ、といったか?」
「はい」
「逸材だぞ。逃すなよ?」
「……ええ、わかっています」
クロードさんの言う逸材というのが、一何を指しているのかは微妙なところではあるが、俺はんな意味で彼を手放すまいと心に決めたのだった。
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