《死に戻りと長チートで異世界救済 ~バチ當たりヒキニートの異世界冒険譚~》第63話『活の概要』

「おう、なかなか順調なようじゃの」

デルフィの実家を訪れた日の夜、彼の寢室で眠った俺は、久々にお稲荷さんとの再會を果たす。

「あ、ども。お久しぶりです」

「仕事も順調。人もできてご両親に挨拶も済ませ、生活も順調。まさに順風満帆といったところかの」

「えへへ……、どうも」

「ま、その幸せも長くは続かんのじゃがの」

「ですよねー」

そう、俺がここにいるのは、この世界を救うためなんだよね。

最初に釘刺されてたもんな、『異世界生活を満喫するために転送したわけじゃない』ってさ。

いますっげー幸せなんだけど、いずれ何かが起こるのかぁ。

ヤだなぁ……。

「あのさー、結局のところ”世界を救う”って、一何をすればいいの?」

というわけで、俺はこちらに來てからずっと疑問に思っていたことを、ようやくお稲荷さんにぶつける事が出來た。

「そうじゃな。遠からずその世界は滅亡する。それをお主の力で回避するのじゃ」

うーん、これまた象的な……。

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「世界が滅亡って、的に何が起こるの?」

「ふむう……あれをどう表現すればよいのか……」

「もしかして、また意地悪で教えてくれないとか?」

「いや、あれは説明するより実際見てもらったほうが早いのじゃよ」

「その滅亡とやらは事前報無しで回避できるものなの?」

「さて、どうじゃろうな。それまでのお主の努力次第かの」

イマイチ要領をえんなぁ。

「なんかヒントくんない?」

「ヒントのう……。そうじゃな、あれを一言で表すなら『百鬼夜行』とでも言えばいいかの」

「百鬼夜行……」

うーん、やっぱよくわからんなぁ。

たしか百鬼夜行ってのは夜に乗じて悪さするとかそんなじの言葉だっけ?

ってことは誰かがどこかで世界を滅亡させようと暗躍してるとか?

魔王復活、邪神顕現みたいな?

「ねぇ。やっぱ意味分かんないわ」

「じゃから、実際に見たほうが早いというとるじゃろうが」

「でも、それじゃあどう対処していいかわかんねーんだけど」

「そうじゃな。とりあえず強くなっとけ。今のままじゃ力不足も甚だしい、とだけ言っておこうかの」

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「えー、それだけかよ?」

「それだけじゃな。まぁ大抵のことは力でゴリ押しすればなんとかなるもんじゃ。後もう一つ言えるとすれば、結果的にダンジョンコアをひとつ停止させたのは正解じゃった、というところかの」

「えっと、じゃあダンジョンコアは停止させたほうがいいってこと?」

「ま、そうなるかの」

うーん、あれは非常事態だったから出來たわけで、ダンジョンコアの停止なんてのは一介の冒険者が判斷していいことじゃないと思うんだけどなぁ。

ダンジョンコアをポンポン停止させて行ったら、滅亡以前に経済とか産業とかが混しそうだし。

「さて、そろそろ時間じゃの」

「はぁ? もう?」

「ま、せいぜい頑張るんじゃの」

「いや、ちょっと……。あ、もし失敗したらどうなんのさ?」

「じゃからなんべんも言うとろうが。”世界を救うまでそれは終わらん”とな」

そこで目が覚めた。

隣ではデルフィが寢息を立てている。

やっぱ幸せだよな、今。

この生活を守るには、百鬼夜行とやらから世界を守るしか無いわけだ。

「うん、がんばろう」

誰に言うでもなく、俺は決意の言葉を口にする。

「……明日から、がんばろう」

とりあえず二度寢することにした。

**********

それから俺とデルフィは、いろんな場所を回った。

獣人の國で武闘大會に出たり、鬼人の島で水沒都市を探索したり、竜人の國でボケた古竜をシバき倒したり……。

各地の冒険者ギルドで困難な依頼をこなしつつ、なにか不穏なきはないか、水面下で悪巧みしてる奴はいないか、等々出來る限り調べていった。

しかし各國を回ればまわるほど、この世界の勢ってのがすげー安定してるのが分かる。

國家間や種族間の関係も良好で、戦爭はもちろん、ちょっとした小競り合いすら起こりそうな気配もない。

いろんな研究機関みたいなところを見て回ったけど、平和を脅かすような研究はなかったし、宗教団も大小問わず調べてみけど、邪神復活とかそういうヤバそうなのは確認できなかった。

自稱予言者的な連中も各地で見かけたけど、特に終末論を振りかざす奴はいなかったし。

こんな狀況で何が起これば世界が滅亡するわけ?

そんなこんなで、俺がエルフの里を訪れてから半年以上がたち、俺とデルフィはなんやかんやでSSランクの冒険者として各地に名を馳せるようになった。

俺の細剣の師匠であるカーリー教も鼻高々ってじで、鬼人の島で生産されている希な酒をプレゼントしたら喜んでくれたよ。

とりあえず、細剣習得希者が結構増えたらしいわ。

高ランク冒険者の影響力ってのは中々のもんらしい。

ってことでその名聲を利用してダンジョンコア停止についても働きかけてみたが、これに関してはどの國も了承してくれなかった。

いくらSSランクの冒険者と言っても、國家を相手に喧嘩するわけにも行かないし、そこは諦めることにしたよ。

それでも各地を旅する中で未発見のダンジョンを3つほど発見したので、ギルドやダンジョン協會には報告せず、裏に停止させていった。

そうそう、ダンジョンコアはやっぱ全員日本人の転生者みたいだ。

真島同様、知識はあるけど記憶はなかった。

そして全員が例外なく停止されることをんでいた。

無抵抗で停止させてくれる奴もれば、戦闘をむ奴もいて、その辺は個次第ってじだな。

デルフィには滅亡云々の事を一応説明しておいた。

最初は全然信じてくれなかったけど、俺が異世界人ってことはすでに知ってるわけで、俺も賢者サンペーのように実は使命を帯びているんだ、的なじで説明したらなんとか納得してくれたみたいだ。

なので、最初は未発見のダンジョンを報告無しで停止することに異を唱えていたが、滅亡回避には必要なことだと説明すれば納得してくれた。

もちろん滅亡云々の話は2人だけのってことで。

こんな與太話、普通なら誰も信じちゃくれないんだが、一応俺たちエリック・エイタス以來のSSランク冒険者なわけで、どれぐらいの影響力があるのか自分でもよくわからんのだよね。

パニックとか起こったらヤだしさ。

あ、死に戻りについては説明してないよ。

というか、説明のしようがないわ。

ちなみに現在のステータスはこんな

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名前:山岡勝介

職業:魔法剣士

レベル:89

HP:8736

MP:20869

攻:SS(S+)

魔攻:SS+(SS)

防:S+(S)

魔防:SS(S+)

力:S

神力:SS+

魔力:SS+

賢さ:S

素早さ:S

用さ:A+

運:B+

【所持金】

現金:34,586G

カード:1,708,451G

【裝備】

竜骨のレイピア(海竜):攻S

白木の杖:攻F[ /魔攻S /魔効率UP /魔詠唱短

オリハルコンの鉢金:防B+ /魔防C+

蜘蛛糸のシャツ(アラクネ):防B /魔防A-

竜鱗の甲(地竜):A+ /魔防B+

火竜の篭手:防B /魔防B- 

革のズボン(古竜):防B+ /魔防B+

革のショートブーツ(古竜):/防E- /魔防D- 

【稱號】

SSランク冒険者

Sランク魔

Aランク治療士

ダンジョン攻略の鬼

竜の天敵

・・・・・

・・・

・・

【スキル】SP:176,583

稲荷の加護

古竜の加護

言語理解

細剣:Max

・・・・・

・・・

・・

----------

正直項目が増えすぎたので全部見るのも面倒だ。

……と思ったらいろいろ省略してくれた。

なかなか高能な加護だこって。

能力値に関しては比較対象が過去の自分しか無いので何とも言えないが、まあそれでもかなり強くなったほうだと思う。

ただ、地の能力値が高くなると、裝備での補正が効きにくくはなるみたいね。

裝備に関してはんなとこ巡っていろんな素材を手にれた。

例えばいまメインウェポンにしている『竜骨のレイピア』は、鬼人の島で請け負った水沒都市探索で発見した海竜の死骸から取った骨を加工したもの。

『火竜の篭手』ってのは竜革のグローブと竜鱗の手甲を合わせたもので、これはどこかのダンジョンでドロップアイテムとして拾った素材を使ったんだったかな。

ダンジョンのドロップアイテムといえば今著ている『蜘蛛糸のシャツ』も、アラクネっつー悪夢みたいに強いダンジョンボス倒して手にれた糸玉から誂えてもらったもので、オリハルコンやミスリルで作った鎖帷子より高能なんだわ。

しかし俺って蜘蛛糸のシャツ好きだな、今思えば。

古竜の素材は、竜人の國でボケた古竜をシバき倒した時、罰として皮の一部を提供させた。

切り取った皮もどうせすぐに再生するから、遠慮はしなかった。

そうそう、ヘクター討伐でドラゴンを倒しまくった時に<竜の天敵>っつー稱號を得ていたようで、竜人の國では大いに役立ったよ。

なんか俺やデルフィのことがすっげー怖いみたいで、本來は傲慢で気難しいはずの竜人の皆さんが、常に平低頭で接してくれたよ。

正直に言えば居心地はものすごく悪かったけど、依頼を遂行する分にはよかったかな。

とまぁそんなじでいろいろあったけど、俺がこの世界にきてもうすぐ1年が経とうとしていた。

そして終わりの時は突然やってきた。

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