《異世界冒険EX》仮面會議
「全員集まったね。じゃあ始めようか」
王都アッサムの中心にそびえ立つ城の一室には、十四人の男が集まっていた。
先程発言した年とその近くに立つ二人を除き、それぞれ一から十一までの數字が刻まれた仮面を被っている。
「急に呼び出してどうしたんですか?」
年の隣に座るが尋ねる。彼の名前はセリエ。仮面には三の數字が刻まれている。
「申し訳ない。ちょっと問題が起きてね」
「問題ですか?」
「ああ。だが、その話をする前に二つ、報告がある」
年はそういうと近くに立たせていた二人、黒の學生服を著た年二人に目を向ける。
「あ、は、初めまして。田沼護です」
太った年がおどおどとした様子で挨拶する。その視線は落ち著きなくき回り、張による嫌な汗をかいている。
「初めまして。新城司と申します。まだアッシュさんに簡単な説明をして頂いただけなので、何がどうなってるのか全然わかりませんが、皆様と敵対するつもりはありません。よろしくお願いします」
Advertisement
もう一人の年は堂々とした様子で挨拶する。しだけ張も見えるが、それよりも期待や興といったが大きいようだ。
「ま、そういう訳だから皆よろしく」
アッシュと呼ばれた年は手で二人を下がらせると、座っている仮面達に告げる。
「容量の調整の為にまた二人、転移を行った。二人は知り合い同士らしいけど、それは偶然だから変に勘繰らないでね」
「またアッシュの世界からかよ」
十の數字が刻まれた仮面を被った男が呟く。彼の名前はギル。アッシュや田沼、新城とは違う、ゲームの世界からこの世界に転移してきた。
「あそこはアイギス様が管理する世界ですからね。プレッシャーを與える意味でもそこからが一番かと考えました」
ギルの呟きに答えたのは一番の數字が刻まれた仮面を被っているだ。名前はニルギリ。そう、この世界を管理する神だ。
「で、もう一つの話なんだけど」
アッシュは手を叩き、注目を集める。その顔には朗らかな笑みが浮かんでいた。
Advertisement
「カール、良くやってくれたね」
「はい?」
カールと呼ばれた男はし間の抜けた聲を上げる。仮面には十一の數字が刻まれている。
「正直、時間稼ぎが出來ればそれでよかったんだけど……いやまさか、本當に始末してくれるなんてね。あのドルゲを」
「……っ!」
アッシュはにこやかな笑みを浮かべながら続けるが、その一方でカールは心の驚きを隠すのに一杯だ。
カールはある村の警察署長でもある。そしてそこの部下からの報告ではドルゲの殺害は失敗したはずだ。
まさかあのユウトとかいう異世界人が……?
カールは考える。現在の狀況と自の最善の立ち回りを。アッシュが彼に頼んでいたのはドルゲが作戦の邪魔をしないように始末するか、時間を稼ぐかだった。
そこでカールは彼自の固有魔法、記憶作を使いドルゲの記憶を作する事によって時間を稼ぎつつ、自の都合のいい駒として使っていた。
しかし、段々と記憶作の通りが悪くなってきた為、殺害する事にしたのだ。
「してこずりましたが當然です」
カールはとりあえず話を合わせる事にした。否定する事に旨味は無い。
なにより今はまだユウトの存在を知られたくなかった。
「……どんな手を使った?」
そんなカールに年老いた聲が尋ねる。四の數字が刻まれた仮面の老人、ダグリスだ。その聲には驚愕と嫉妬が混ざっている。
「それは企業ですよ」
カールはそう答えるしかない。転移直後にダグリス含め、三人のメンバーに重癥を負わせたドルゲを殺すなど、手段を選ばなかったとしても並大抵の事ではない。
可能があるとすれば仕掛けだとカールは考えていたが、それを口に出す訳にはいかない。正解か不正解かもわからない以上は。
「とにかくドルゲが始末できた事は喜ばしい……だけどね」
年は笑顔から一転、真剣な顔で呟く。
「未だにアイギスからの返事がないんだ」
「「なっ!?」」
年のその発言に座っていた仮面達が驚きの聲を上げる。ニルギリとギル、そしてカールを除いて。
「皆、落ち著いて。今回の作戦は世界崩壊を渉材料に神長アイギスとの渉が肝だったんだけど……返事が無いらしい」
「む、無視されているということですか?」
三の仮面を被ったセリエが、仮面の上からでもわかるほど、揺しながら尋ねる。
「そうだね」
「馬鹿な!? 自分の管理している世界でないとはいえ、連鎖して他の世界にも影響があるのはわかっているはずだ! 斷るならともかく無視するとは考えられないぞ!」
アッシュが答えた瞬間。ダグリスが機を叩き、激昂しながらぶ。
「だけど実際に返事はないらしいからね。もしかすると既に対策しているのかもしれない……」
「どういうことだ!? ニルギリ! お前の話じゃ対策は不可能ということだったじゃないか!」
座っていたニルギリがゆっくりと立ち上がる。そのきは流麗で落ち著き払っており、それを見た仮面の者達はしだけ落ち著きを取り戻す。
「私にもわかりません。ですが、実際に返事が無いのは事実です」
「……ちっ。それじゃあ、わしの願いは?」
「葉わないだろうね。僕の願いも、他のみんなの願いも」
「マジかよ……」
アッシュの発言に何人かの仮面が肩を落とし頭を抱える。
彼らは全員が全員、年に従っているわけではない。願いが葉うかもしれない、その一點の為だけに協力している者もいる。アッシュもそれはわかっていた。
それに彼自もどうしても葉えたい願いがあるからこんな集団を作ったのだ。
だからこそ、アッシュは口を開く。
「このままなら、ね。僕にし考えがあるんだ」
「本當ですか!?」
中々の勢いで顔を上げたセリエが、期待に満ちた聲で尋ねる。
仮面の隙間から見える瞳はキラキラと輝いている。尊敬するアッシュの作戦とあって、期待がほとばしっている。
「うん。今回はその事について話し合う為に皆を集めたんだ」
「流石です! アッシュ様! それでその考えとは!?」
「他の世界でも同じ事をやるんだよ。この世界だけじゃなく、他の世界も危なくなれば神長もなにかしらリアクションを取るはずだ。最悪の場合、神長の管理する世界で行ってもいいだろう」
ニヤリとそれまでと違う、邪悪な笑みを浮かべるアッシュ。
見た目こそ年若い年だが、その面はずっと大人だ。自分の目的の為なら犠牲なんて欠片も気にしない。
「……なるほど。ですがこの世界では神を仲間に出來たから、別の世界から召喚を繰り返し容量を埋めることが出來ましたが、他の世界ではそんな簡単にいかないでしょう。神からの妨害もるでしょうし」
「妨害といっても神自に出來るのは手駒を差し向けることぐらいでしょ? それぐらいなら自分達で何とでも出來るはずだよね? 君達なら」
「勿論です」
セリエは期待されているとじたのか、し嬉しそうに答える。
他の仮面達も自信満々に頷く。
「で、他の世界の容量の埋め方だけど……まず君達を他の世界へと送る。で、次にその空いた分を使って新しい異世界人を召喚する。で、その召喚した異世界人をまた他の世界へと送る。それを繰り返せばいい」
つまり、この世界を経由して別の世界から別の世界へと転移させていくという事だ。それならニルギリ一人でも可能だ。もちろん、ルール違反ではあるが。
「しかし、誰が他の世界に行くのですか?」
「んー……それはくじ引きで決めようか?」
セリエの質問に適當に答えるアッシュ。誰が行ってもかまわないということだろう。
「申し訳ありませんが、私は遠慮させていただきます」
カールは立ち上がると、そうアッシュに告げる。その言葉にアッシュはしだけ驚いた顔を浮かべ、尋ねる。
「なんでかな?」
「私は神に頼ってまで葉えたい願いはありませんし、今は々別の案件が忙しいので。もちろん、出來る限りの協力はしますが」
「俺もだ」
カールに続いてギルもまた立ち上がる。
「俺はただ強い奴と戦いたいだけだ。戦いになったら呼べ」
「……まあ仕方ない、か」
立ち上がった二人に対し、座ったままアッシュは呟く。
「ニルギリ。二人を送ってやってくれ」
アッシュがニルギリに視線を送る。それと同時にギルとカールのがその場から一瞬にして消失する。
「相変らず早いけど、遊び心が無いよね」
転移させたニルギリに苦笑しながらそう言うと、アッシュはくじ作りを始めた。
【書籍化・コミカライズ】実家、捨てさせていただきます!〜ド田舎の虐げられ令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される〜
【DREノベルス様から12/10頃発売予定!】 辺境伯令嬢のクロエは、背中に痣がある事と生まれてから家族や親戚が相次いで不幸に見舞われた事から『災いをもたらす忌み子』として虐げられていた。 日常的に暴力を振るってくる母に、何かと鬱憤を晴らしてくる意地悪な姉。 (私が悪いんだ……忌み子だから仕方がない)とクロエは耐え忍んでいたが、ある日ついに我慢の限界を迎える。 「もうこんな狂った家にいたくない……!!」 クロエは逃げ出した。 野を越え山を越え、ついには王都に辿り著く。 しかしそこでクロエの體力が盡き、弱っていたところを柄の悪い男たちに襲われてしまう。 覚悟を決めたクロエだったが、たまたま通りかかった青年によって助けられた。 「行くところがないなら、しばらく家に來るか? ちょうど家政婦を探していたんだ」 青年──ロイドは王都の平和を守る第一騎士団の若きエリート騎士。 「恩人の役に立ちたい」とクロエは、ロイドの家の家政婦として住み込み始める。 今まで実家の家事を全て引き受けこき使われていたクロエが、ロイドの家でもその能力を発揮するのに時間はかからなかった。 「部屋がこんなに綺麗に……」「こんな美味いもの、今まで食べたことがない」「本當に凄いな、君は」 「こんなに褒められたの……はじめて……」 ロイドは騎士団內で「漆黒の死神」なんて呼ばれる冷酷無慈悲な剣士らしいが、クロエの前では違う一面も見せてくれ、いつのまにか溺愛されるようになる。 一方、クロエが居なくなった実家では、これまでクロエに様々な部分で依存していたため少しずつ崩壊の兆しを見せていて……。 これは、忌み子として虐げらてきた令嬢が、剣一筋で生きてきた真面目で優しい騎士と一緒に、ささやかな幸せを手に入れていく物語。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※書籍化・コミカライズ進行中です!
8 173小さなヒカリの物語
高校入學式の朝、俺こと柊康介(ひいらぎこうすけ)は學校の中庭で一人の少女と出會う。少女は大剣を片手に、オウムという黒い異形のものと戦っていた。その少女の名は四ノ瀬(しのせ)ヒカリ。昔に疎遠になった、康介の幼馴染だった。話を聞くと、ヒカリは討魔師という、オウムを倒すための家系で三年もの間、討魔師育成學校に通っていたという。康介はそれを聞いて昔犯した忘れられない罪の記憶に、ヒカリを手伝うことを決める。
8 165『休止中』平成を生きる世界最高峰の醫者は、戦國時代の名もなき農民に転生したみたいです!
世界最高峰の醫者は、戦國時代に転生した?! 転生したら、農民でした。 醫學、前世の知識を使い成り上がりを目指そうとする。 しかし、主人公の前には山賊、海賊、キリスト教などが 圧力や武力で襲い來る。 それを前世の経験、知識で避けて、後から來た他の転生者達と協力をしながら、天下を取る?! ※豊臣秀吉が、主人公ではありません。 ※作者、醫學の知識皆無です。もし、間違っていたらそこは訂正するつもりです。 ※ノベルバでも、更新しています。是非!!! https://novelba.com/works/877492 ※この作品を読んで不快になる方もいると思います。 武將の子孫の方々、キリスト教の方々、仏教の方々、外國人の方々、そのほか歴史が大好きな方々、先に謝罪申し上げます。 これはエンターテイメント小説としてあつかってください。 実際と性格が違う、ここの部分忠実と違う! そんなことが、多數あると思います。 しかし、皆さん何度も言いますが、これはあくまでもエンターテイメント小説としてお楽しみください。 一応、ジャンルは歴史なんですけどね、、、(笑) よろしくお願いします。 なるべく、忠実にそうように気をつけますが(笑) ブクマ登録よろしくお願いします。 感想待っています。 改善したほうが、良いところがあれば教えてください。 善処します。
8 144異世界転移するような人が平凡な高校生だと思った?
「全ての條件は揃いました」 平凡な高校生活を送っていた佐野 祐。 だが神の都合で、異世界に強制転移させられてしまう。 そして、祐が神からもらった力、それはもしかしたら神にも匹敵する力だった。 ※投稿頻度は不定期ですが約1週間周期を目標にしてます。
8 135天才と煩悩
小さい頃から天才と稱されていた泉信也 怪我によって普通へと変わってしまう そんな泉信也にある出來事をきっかけに 自分への考えなどを変える 新たなスタートを切る泉信也 そんな中、煩悩であった木下と出會う 天才と煩悩の二人が協力し兇悪なテロリストに向かう 天才と煩悩が作り出すストーリー 初めての小説です 掲載は毎週月曜日更新です よろしくお願いします
8 132魔術で成績が決まる學園で魔法を使って學園最強
いじめの辛さに耐えてかねて自殺してしまった主人公カルド。そしたら神に君は自殺者10000人記念だからと転生させてもらった。そこは魔術で人生が決まる世界その中でどうやって生きていくのか
8 88